ひどく興奮している自分の暴走を抑えることができなかった。
生まれて初めて触る、男性が男性であるということを示す箇所を、ペニスをこの手で包み込んでいるということに、私はとてつもない羞恥心と、それ以上の欲情を感じていたのだ。
ましてやそれが、自分の友人でもある男性のものだと思うと……。
「駄目だよ、フェイト。触らないで……」
ご主人様――ユーノはそう言うけれど、無知だった頃とは違い、カルダモンにいろいろなことを教えられた私は、男性がどういうことを女性に求めているのかを知っている。
「やっぱり、固くなっています……」
こんなに熱を持って固くなる部分が体の一部なのだ、男性は。
最初は少し気味が悪いと思う部分もあったが、いつも私達のために頑張ってくれているユーノの体の一部だと思うと、ここに触れることで彼が弱々しい、ううん、少し可愛らしい反応を見せてくれるのだと分かると、途端にこの部分も愛おしくなってしまう。
私は知らなかったのだ。
ただの友人だと思っていた、ユーノ・スクライアという人物が、魅力に溢れる異性だと。
この施設に連れられてきてから、身も心も疲れ切っていた私を助けてくれたばかりか、それからもずっと守ってくれている。守り続けていてくれる。
何もできない自分が申し訳なくて仕方がないほどに、彼は男気にあふれる素敵な男性だ。
ああっ、どうして私は『ずっと』この事に気づかなかったのだろう?
ううん、違う。
気づかないふりをしていたんだ。
だって、ユーノは心からなのはのことが大好きで、私もなのはのことが大好きだったから。
だから、私からなのはを奪おうとする人間に、敵に思えてしまっていたんだ。
……でも、私はこの施設に連れてこられて調教を受ける中で気がついた。
私が『女』であることを。
そして、女は本来男性に惹かれていくということを。
それに気がつくと、私の中での優先順位が大きく切り替わった。
(今までの私は、なのはに、高町なのはという存在に依存していた)
初めての友達ということもあり、私の中でのなのはの存在は私の人生の指針にさえなってしまっていたのだ。
なのはと一緒にいるのが幸せだと、他の誰よりも、なのはの大切な存在で居続けることこそが大事なのだといつの間にか洗脳されていた。
孤独で縋るものがなかった弱い私が、私自身に掛けた洗脳から抜け出せなくなってしまっていたのだ。
もちろん、今でもなのはは私の大切な友人だ。そのことは変わらない。でも、私はもう彼女に依存はしない。
だが、洗脳が解けた今、私にとってのユーノは……。
(一途で、頑張り屋で、優しく、強く、頭がよくて、でも報われない人。なのはに好意を抱いてしまったがゆえに、決して報われない……)
これは、同情?
ううん、違う。
これは、怒りだ。
これほど素敵な、素晴らしい男性が幸せになれないなんておかしい。もっともっと、この人は、ユーノは幸せになるべきなのに!
なのはは自分の信念が一番大事だから、決してユーノに心を開くことはないだろう。
怒りさえ覚えるほどに、私はユーノに好意を抱いてしまっている。
でも、ユーノの一番好きな女の子にはなれないことは分かっている。だから、私の気持ちは報われなくてもいい。
ただ、少しだけぬくもりを与えてあげたい。
なのはの代わりでもいい。そのために私の人生を捧げても構わない。
(ああっ、私、本気なんだ)
密着することで彼の背中のぬくもりを躰に感じて、鼓動がせわしなく高鳴り続けている。
寂しい心を一時癒やすためだけの人形として作られたまがい物の私が、そのことから目をそらし続けていた私が、自らの意思でまがい物になってもいいと思っている。
これが、恋というものなのだろうか? それとも、愛というものなのだろうか?
分からない。けれど、なのはにだってこれ以上この人を、ユーノを傷つけさせたりはしないと私は固く決心した。
「私の躰で反応して下さっているんですよね? なのはではなく、私で……」
だから、ついそんな言葉が口から漏れた。
嬉しい。
こみ上げてくる感情が、私が本気であることを教えてくれている。
「あっ、くっ……」
「痛くはありませんか? 少しでも不快でしたら仰ってくださいね」
私は、カルダモンから教えられた知識を最大限に使って、愛おしい男性のシンボルを愛撫していく。
右手で愛らしいペニスを上下にしごきながら、左手でコリコリとした二つの玉を指と掌で優しく転がす。
こんな恥ずかしい知識を使うことなどないと思っていたが、今はありがたい。
なのはさえも知らないはずの、ユーノの喜ぶ顔が、羞恥と快楽に戸惑う姿を自分だけが知ることができるのだから。
「ふぇっ、フェイト! だっ、駄目だよ! このままじゃあ……」
「……はい、分かりました」
私は限界を訴えるユーノの大切な部分から優しく手を離す。
その際に、彼は安堵の息を吐いたが、声に何処か残念そうな響きがあったことを聞き逃さない。
だから私は、
「ご主人様……。私の口をお使いになりませんか?」
と優しく微笑みながら尋ねしたのだった。