地下室で、毒による生き地獄を味わったマァムだったが、しかしまだ懲罰は終わっていなかった。
目を覚ました彼女は、自分の両手が、天井から伸びてきている鎖に拘束されていることに気づいた。更に足にも拘束するための鎖が付けられたばかりか、金属の棒が左右の鎖の間にあるため、足を閉じることが出来ない。
結果として、大の字に広げられたマァムは、女の一番恥ずかしい部分を露出するポーズで拘束されている。
そして、そんな彼女の前には、フェンネルの他に、ティナ、クイナ、ファリーナの姿もあった。
「お目覚めのようですね、マァムさん。良かったですよぉ。後少し遅かったら、水でも掛けようかと思っていたところです」
フェンネルはニッコリと微笑み、話を続ける。
「さて、これから何をするか分かりますか? 分かりますよね? ここにいる三人の顔を見れば。そう、復讐ですよぉ」
マァムは、怒りに燃えるティナとクイナの顔を見て、恐怖に躰を震わす。
ファリーナだけは顔を俯けているため表情は分からないが、怒っているのは間違いないはずだ。
「これから、マァムさんの股間をこの三人に蹴り上げてもらおうと思います。ですが、それだとただ少し痛いだけですので、皆の気持ちは晴れませんよね? うんうん。それでは、罰としては温すぎます。マァムさんのやったことを思えば、軽すぎますよね?」
そこまで言うとフェンネルは、マァムの股間に手を伸ばし、何かを短く唱えた。
股間がムズムズする。そして、内側から何かが膨らんでいく感覚がする。
嫌だ、気持ち悪い。
マァムは懸命に躰をよじって抗おうとするが、すでにフェンネルの手は離れている。
「あっ、ああ……。なっ、何、なんなの、こんな……」
マァムの股間の左右の大陰唇に、大きな丸い物体が二つ現れた。まるで、男性の睾丸のようなものが股間についているのだ。
「どうです? マァムさんの大陰唇に埋め込んでいる、人工睾丸を大きくしたんですよ。大きくなったとは言っても、核の周りを覆っている硬い膜を薄く伸ばしただけですけどね。
って、難しい説明よりも、体験して貰ったほうが早いですね。百聞は一見にしかず、です」
フェンネルはそう言うと、マァムの膨らんだ睾丸の一つを、ピンッと指で弾いた。
「……がっ、ああ……」
マァムはそれだけで、激しい痛みに悶絶する。
「ふふっ。痛いですよね? たったこれだけの刺激でも。いままで何度か股間を蹴り上げられた事があったと思いますが、その時とは比較にならない痛さですよね?
それもそのはずです。今までは、硬い膜によって股間の核が守られていたので、あの程度の痛みで済んでいたんですよ。ですが、今はそれをものすごく薄くしたんです。ですので、僅かな衝撃でも、核に、そして痛みを司る神経に響くんですよぉ~」
フェンネルは笑顔で説明をし、マァムの反対の睾丸を弾く。
マァムが痛みに苦しむのを確認して、フェンネルは満足げに頷いた。
「ああ。核はものすごく小さくて頑丈だから砕けません。そして、膜だった部分は砕けてもすぐに再生するようになっています。
でも、これが砕けた時は、はっきり言って痛いですよ。普通ならショック死してもおかしくない痛さです」
フェンネルの説明に、マァムは恐怖で躰を震わせる。
「大丈夫ですよぉ。女神ルシリス様の加護がありますので、マァムさんは決して死にません。良かったですね。なんども死ぬほどの痛みを味わっても大丈夫だなんて。
カモミールさんの毒も苦しかったでしょうが、瞬間的な痛みはこっちが上だと思いますから、楽しみにしていてくださいね」
「まっ、待って! 待って! そっ、そんな、あれよりも痛いなんて、いや……。止めて……助けて……」
マァムは懸命にフェンネルに許しを請う。
だが、次の瞬間、マァムの右頬に激痛が走った。
それが、フェンネルに殴られたからだということに、マァムはしばらく気がつくことが出来なかった。
「許しを乞う相手が違うでしょう。マァムさん。貴女、本当にクズですね。貴女が傷つけたのは誰だと思っているんです? そしてその相手が目の前にいるのに、彼女達に対する謝罪もなしですか?」
フェンネルは素の口調に戻して、マァムを窘める。
その言葉に、マァムは今更ながらに自分の浅ましさに気づいた。
痛みを恐れるあまりに、真っ先に謝罪すべき人達にそれをするのを忘れてしまっていたのだ。
だが、後悔して彼女達に改めて謝罪しようとしたマァムだったが、すでに手遅れだった。
フェンネルの言葉を耳にし、ティナ達は怒りに燃える瞳を彼女に向けている。
「さて、それでは、ティナさん、クイナさん、ファリーナさん。マァムさんの股間を蹴り上げてくださぁい。大サービスで、好きなだけ罵ってもいいですよぉ」
そして、フェンネルの開始の合図によって、マァムの受難の時間が、拷問が始まった。
「待って、待って、ごめんなさい。決して貴女達にしてしまったことを、反省していなかったわけではな……」
「この、強姦魔!」
マァムの弁明を無視し、まずは小柄なクイナがマァムの股間を蹴り上げた。
その一撃で、マァムの左の睾丸にヒビが入った。
「あっ、ああああっ……」
悲鳴など上げる力もなかった。あまりの痛さに意識が飛びそうになる。
マァムは陸に打ち上げられた魚のように、口をパクパクさせて、痛みに悶絶する。
「クイナ、それじゃあ優しすぎるわよ」
「うん。ティナ、私の分も全力でお願い」
クイナの言葉に頷いたティナが、右足を大きく振りかぶって、勢いをつけて全力で股間を蹴り上げる。
その衝撃で、マァムの両方の睾丸が砕けた。
あまりの痛みにマァムは失禁し、泡を吹いて気絶する。
「ああっ、いい忘れていました。みなさん、安心してくださいね。核の精子を作る機能は止めていますから。それと、何度でも再生するので、気が済むまで痛めつけていいですよぉ」
フェンネルはそう言うと、近くにおいてあった金属のバケツを手に取り、その中身の水を、マァムに頭からかぶせる。
「本当に、股が緩いですよね、マァムさんて。まったく、掃除する方の身にもなって欲しいですよ。……って、期待するだけ無駄ですね」
フェンネルはまだマァムが目を覚まさないことを確認すると、右手をかざして何かを唱える。すると、マァムの意識が瞬く間に戻った。
「……って……」
「んっ、なんですか? よく聞こえないですよ、マァムさん」
フェンネルはわざとらしく、マァムに耳を向けて尋ねる。
「お願い……許して……。謝りますから……許して……下さい……」
マァムの心は折れた。そして、涙ながらに謝罪を繰り返す。
だが、フェンネルは肩をすくめ、やれやれと首を横に振り、彼女と距離を取る。
すると、再びクイナの蹴りが、マァムの睾丸に襲いかかった。
そして、次はティナの蹴りが再び睾丸を砕く。
何度も何度もそれは繰り返された。何十回も。
マァムは何度も謝罪の言葉と、止めてくれるように懇願したが、それを聞き遂げてはもらえなかった。
「ファリーナさん。どうして貴女は参加しないんですか?」
いつまで経っても参加しようとしないファリーナに、フェンネルはにっこり微笑んで尋ねる。
「あっ、いえ、その……。私は、ティナさんやクイナさんほど酷いことはされていませんし、その、あの、もう、マァムさんも十分反省しているようですから……」
ファリーナは痛ましそうに、ティナ達のリンチを受けるマァムを見ている。
「……そうですか。分かりました。私の言うことが聞けないということですね」
「ひっ! そっ、それは……。でっ、でも、その……。はい、無理です。私には、あまりにも可愛そうで……」
ファリーナの言葉に、フェンネルは嘆息し、
「では、一足先に部屋に戻りなさい。外にいるクミンさんに、私にそう言われたと言えば連れて行ってくれますから。ただし、罰として夕食は抜きです」
そう言って出入り口の階段を指差す。
「分かりました……」
ファリーナは力なく返事をし、地下室を後にしていった。
リンチを受け続けるマァムはもちろん、それをすることに夢中なティナとクイナは気づかなかった。
その時、フェンネルが何故か嬉しそうに微笑んだことに。