痛みよりも先に、衝撃が私の躰を駆け巡った。
一切の躊躇なく私の女の部分に、小早川悠斗様の分身が、男性器が入ってきたのだ。
もともとその部分はそういった構造で作られているとは言っても、最奥まで太い肉の棒で一気にこじ開けられた衝撃はとてつもないものだった。
知識で知っているだけだが、悠斗様のペニスは普通の男性の平均的よりも大きいので、よけいにそう感じるのかもしれない。
お腹の奥まで串刺しにされた恐怖と、その際に肉の壁を強引にこじ開けられた痛みを感じ、私は思わず悲鳴を上げそうになってしまったが、すんでのところで歯を食いしばって耐えることができた。
「うっ、あああああっ!」
悠斗様が声を上げながら体をのけぞらせる。その瞬間、痛みを覚える私の女の部分をこじ開けたペニスが震えて、何かがこのお腹の奥に注ぎ込まれていくのを理解した。
生まれてから今まで守っていた純血が失われ、生理を迎えたときよりも鮮明に、私は『女』になったのだと理解した。
……もうこの躰は私だけのものではない。私の所有者の、私を女に変えた人のものでもあるのだ。
胸に去来するのは喪失感。大切なものがなくなってしまったという寂しさと不安。
「ごっ、ごめん、緋沙子。やっ、やっぱり、我慢できなくて、すぐに射精をしてしまって……」
私にこんな痛い思いを、苦しさを、寂しさを味あわせる張本人が、申し訳無さそうにこちらを見て、情けない声を上げる。
でも、そんな情けない声を上げる理由は一つ。私を満足させてあげられなかったという後悔をしてくれているから。
それは、自らの女になった雌を満足させられなかった、人の雄としての矜持に過ぎないのかもしれない。
でも、この人は、悠斗様は違うと私は信じている。
一ヶ月にも満たない短い時間だったけれど、同じ屋根の下で寝食を共にして分かっているから。この人が、優しい人だと。
私は所詮、えりな様のおまけに過ぎない。
小早川悠斗という男性が一目惚れしたのは輝かんばかりの美しさを纏う『薙切えりな』なのだから。それなのに、この人は私のことも大切にしてくれた。私も、えりな様と同じ一人の女の子として扱ってくれた。
私もえりな様も、どんな扱いを受けても文句を言えないほどひどいことをしてしまったのに。そのことを罪とさえ思わないほど愚かだったのに、悠斗様は……。
「ふっ、ふふふっ……」
気がつくと、私は笑っていた。
未だに異物を挿れられたままのあの部分は痛いのに。
苦しさも寂しさも、喪失感も忘れて、笑顔になっていたのだ。
「ひっ、緋沙子?」
私の名前を口にして、どうしたものかと取り乱す姿に、私は一層笑みを強める。
「ふふふふっ……。良かった。私の初めての人が貴方で……」
幸せだった。この優しい人に、自分を大切に思ってくれる方に、純血を捧げられて、貰って頂けて。
「緋沙子……。緋沙子!」
「きゃっ!」
悠斗様は私と繋がったまま、体を前に倒し、私の躰をベッドから軽く持ち上げて抱きしめてくる。
その衝撃であの部分が少し痛かったのだが、本当に嬉しそうに、目尻に涙さえ溜めて笑顔を浮かべる悠斗様の笑顔に、私はまた嬉しくなってしまう。
「ありがとう、緋沙子……。凄く嬉しい……」
「ふふっ、そう言って頂けて、私も嬉しいです」
私は悠斗様の背中を優しく撫でる。
「これで、私は、もう完全に貴方の女。貴方の所有物ですよ。ですから……」
ついそこまで言葉に出してしまいそうになり、私は慌てて口をつぐむ。
本気で存在を忘れてしまっていたえりな様が、真っ赤な顔でこちらを睨んでいる。
そうだ。まだ、半分だ。
私自身が躰の一番深いところで結ばれたことで、終わったような気持ちになってしまっていた。
この結ばれ方は最高だ。
でも、それは私にとってそうだというだけ。
悠斗様にはまだ恐れがある。それをきちんと取り払わなければいけない。
そして、私とえりな様は、躰だけでなく、心でも結ばれるのだ。
そのために、こんな面倒な下準備などをしたのだから……。
「悠斗様。これで、前菜は終わりです。お口に合いましたでしょうか?」
しばらく抱き合っていたことで、膣が慣れてきたのか、痛みがだいぶ治まってきた私は、少し芝居がかった問いかけをする。
「……緋沙子……」
悠斗様は寂しげな顔をし、私の躰を強く抱きしめる。
私を求めてくれるのは嬉しいけれど、これは『逃避』が含まれている。
私達ももちろん変わり続ける。
悠斗様にとって最高の女であり続けられるように。
けれど、悠斗様にも変わってもらわなければならない。
お互いが変化をしながら、相手に合わせていく作業はどうしても必要になる。それがたとえ自分の主人となる方だとしても。
……いや。私達のご主人様になる方だからこそ、変わってほしい部分もあるのだ。
「さぁ、悠斗様。メインディッシュが待っていますよ」
私は悠斗様の耳に囁きかける。
「……あの身の程知らずに、自分がどれほどちっぽけな存在なのかを分からせてあげましょう」
そう私が口にすると、悠斗様は驚きで目を大きく見開くのだった。