小早川悠斗は長い射精を終えた。
今日は何度も射精しているのに、今までで一番濃厚な精子が出ていった実感がある。
あの薙切えりなを孕ませる事ができるという高揚感が、彼をケダモノに変えていた。
だが、射精が終わり、気だるい疲労感が襲ってきたところで、悠斗は自分のしたことを改めて理解する。
「……酷い……。こんなの……」
ペニスを受け入れたままの状態で、顔を両手で抑えて泣きじゃくるえりな。
その姿を改めて確認し、悠斗の高揚感は一瞬でなくなり、残ったのは激しい罪悪感だけだった。
「……僕は……なんて事を……」
嫌がるえりなに、無理やり精液を注ぎ込んだ。
望まぬ妊娠を強要したのだ。
今頃になって、悠斗は自分が犯した過ちに気が付き、顔面が蒼白になる。
「えりな……。その……」
ごめん、という言葉が喉元まで出かかったが、謝罪をして許される問題ではない。
「ふふっ。いかがでしたか? 高慢ちきな女を徹底的に犯した感想は?」
新戸緋沙子が笑顔で尋ねてくるが、悠斗はそれに答える気分ではなかった。
けれど、緋沙子の言葉は続く。
「悠斗様。女など、所詮はこんなものです。偉そうに振る舞っていようと、アソコに悠斗様のものを挿れられてしまえば、途端に逆らえなくなる、愚かな生き物なのですよ」
緋沙子は「失礼します」の言葉とともに、丁寧に悠斗のペニスを手に取り、えりなの女の部分からそれを抜いた。
想像どおり、かなりの量の精液を放っていたようで、えりなの股から、粘度のある白濁液が滴り落ちてくる。
「……緋沙子。……少し黙って……」
八つ当たりをしたくなかったので、悠斗は極めて静かに、冷静な声で緋沙子に口を噤むように促す。
緋沙子は心得たもので、何も言わず、ウエットティッシュで悠斗のペニスを綺麗にし終えると、彼の背後に周り、視界に入らないところで片膝をついて待機する。
悠斗も緋沙子も黙ったことで、この部屋に響くのは、えりなのすすり泣く声だけになった。
そのため、一層えりなの辛さが分かり、悠斗は顔を俯ける。
「その、えりな……。今更謝っても遅いことは分かっている。けれど……」
悠斗はそこまで口にすると、顔を挙げてえりなを見る。
両手で顔を抑えたまま泣いている彼女を。
「もちろん責任は取るから。僕なんかが、どこまで君を……そして、緋沙子を幸せにできるのかは分からないけれど、精一杯努力をする。だから……」
悠斗は静かにえりなに近づき、彼女の耳元でゆっくり告げる。
「ごめん。君を傷つけて。この償いは、一生をかけてするから……。いや、させてくれないかな?」
土下座でもしたほうがいいのではと思ったが、そんな物は自分の罪悪感を薄める自己満足の行為に思えたので、悠斗はただただ心からの謝罪を口にするだけにした。
「悠斗様……」
背中から、緋沙子の声が聞こえた。
ただ、その響きは温かで、自分のこの提案を快く受け入れてくれているようだ。
「……えりな……。その……本当に……」
「……悠斗様……」
泣きじゃくっていたえりなが、不意に悠斗の名前を口にした。
この部屋に入ってから続けていた、『小早川くん』ではなく、今までのように『悠斗様』と呼んでくれた。
「一つだけ……。一つだけ正直に答えて下さい……」
えりなの言葉に、悠斗は「うん」と返事をする。
どんな質問が続くのかは分からないが、誠心誠意、正直に答えるつもりだった。
だが、えりなの問は、全く予想外のものだった。
「……悠斗様。……私の躰は、気持ちよかったですか?」
その問いかけを聞き、それが耳から入って脳で理解しようとしたが、悠斗はしばらく彼女が何を言っているのか理解できなかった。
「……えっ?」
だから、つい聞き返すようなことを口にしてしまった。
「…………」
けれど、えりなは何も言ってくれない。
いったい、何と答えればいいのか、悠斗は混乱する。
けれど、しばらく考えた後に、先程決めたように、正直に答えることにした。
「その、ごめん。すごく気持ちよかった……。あまりにも気持ちよくて、興奮して、あんな乱暴なことをしてしまうほど、無我夢中になってしまった……」
悠斗がそう答えると、えりなの口から声が漏れた。
ただ、その声は、今までのような弱々しい泣きじゃくる声ではなかった。
「ふっ、ふふふふっ。そう。そんなに私の躰に興奮して、気持ちいいと思ってくださったんですね。悠斗様は」
えりなはそこまで言うと、静かに躰を起こし、ベッドの端に腰掛ける。
「苦労したかいがありましたね、えりな」
背後に控えていた緋沙子が、えりなに声を掛けて、彼女も楽しそうに微笑む。
だが、二人のやり取りに、悠斗はついて行けない。
「あっ、あの、えりな? その、緋沙子も……」
困惑する悠斗に、えりなはいたずらっぽく微笑む。
「まだ分かりませんか? 今までの私と緋沙子の喧嘩は、全てお芝居です。悠斗様に気持ちよくなって、最高の快楽を味わって頂くための」
「はい。申し訳ございません。えりなが、悠斗様の初体験は譲る代わりに、お芝居に協力するようにと我儘を言いまして」
得意げに笑うえりなと、申し訳無さそうに苦笑する緋沙子の顔を見て、悠斗はようやくこの二人に自分が騙されていたことに気がつく。
「でっ、でも! 緋沙子、本気でえりなのことを叩いて……」
「それは、私が緋沙子にお願いしてあったんです。せっかくの盛り上がりに水を差さないように、全力で叩いてほしいと。でも、思っていたよりも痛くなくて、心配だったんですよ」
えりなは何でもないことのように、笑っていう。
「ごめんなさい、えりな。つい手加減をしてしまって。私も、あそこで悠斗様に気づかれないかヒヤヒヤしていました」
緋沙子もそう言って微笑む。
「えっ? えっ? どうして、そんな事を? ぼっ、僕は、てっきり……」
悠斗は自分がえりなを深く傷つけてしまったことを心から反省していたというのに。
「理由はいくつかあります。一つは、先程から申し上げているとおり、悠斗様に最高の快楽を味わって頂くためです。従順な処女を二人、ただ抱くよりも、予想外のハプニングから、無理やり犯すという体験をして頂きたかったんです」
「それと、後は、えりなと私の我儘です」
えりなと緋沙子の言葉に、しかし混乱している悠斗は何が何やらわからない。
「詳しくご説明致します」
緋沙子は苦笑し、今回の計画を話してくれた。
えりなと緋沙子は、一向に自分たちに手を出そうとしない悠斗にしびれを切らし、このクリスマスイブに、二人まとめて抱かれて、名実ともに悠斗のものにしてもらおうと画策していた。
だが、悠斗は以前、えりなに自分が丹精込めて作った料理を頭から被せられて、苦手意識を持っている事に二人は気づいていた。
そのため、最初に悠斗の相手を務めるのは、緋沙子が担当したほうがいいだろうという話になった。
だが、えりなはそれが少し不満だった。
大事にしてくれるようにもなってくれるだろうし、緋沙子に悠斗の初めての相手をさせて、彼の最初の女にするのはまぁ仕方がない。
だが、ただ単にその後、自分も同じように抱かれるのであれば、悠斗の初体験のイメージは、緋沙子だけのイメージになってしまう。
そこで、えりなは考えついた。悠斗の心のなかにある自分に対する苦手意識を解消し、同時に自分との初体験も忘れられないものにする手段を。
それが、えりなと緋沙子が仲違いをし、その結果、えりなが初体験でレイプされるというとんでもない案だった。
えりなを一方的に蹂躙することで、悠斗は彼女を大したことのない存在と認識し、苦手意識をなくす。そして、レイプと言う、まともな生活をしていればまず経験することのない事柄を行った優斗は、間違いなく自分との初体験を忘れられなくなる。
えりなはそれを一石二鳥と考えたのだ。
「それらに加えて、悠斗様の私達への苦手意識を解消して頂く狙いもありました。どうしても今まで、悠斗様はえりなはもちろん、私にも一歩引いているのが分かっていましたから」
緋沙子はそう言い、穏やかに微笑む。
「でっ、でも……。僕のために、そんなことを……」
一生に一度の初体験を、記憶に残らせるためだったとは言え、こんな無茶を計画したえりなと緋沙子の行動が、悠斗には信じられない。
「ふふっ。言ったはずですよ。私は、貴方に惹かれていると。惚れた男性を振り向かせるためならば、女はこの程度のことは簡単にしてしまうんですよ」
えりなが満面の笑顔で発した言葉に、悠斗は背筋が凍りそうになるのを感じていた。
女という異質な存在が持つ、怖さの片鱗を見せつけられたような気がしてしまったのだ。
「長話をしてしまいましたね。ですが、クリスマスイブも、私達の記念すべき夜も、まだ終わっていませんよ」
緋沙子の言葉に、悠斗は驚く。
「ふふ。そうね、緋沙子」
えりながそれに同意し、立ち尽くしていた悠斗の股間に顔を近づけてくる。
「悠斗様。私にも、悠斗様のものをお口でご奉仕させて下さい。そして、顔に掛けて下さいませんか?」
えりなはとんでもないことを口にする。
「それはいいですね。えりなの中は精液でマーキングしましたから、今度は顔をマーキングしましょう、悠斗様」
「ひっ、緋沙子……」
悠斗は少し抵抗しようとしたが、美しい二人の少女が裸で懇願してくるお願いを断り切ることができず、結局言われるがままになってしまった。
そして、えりなのフェラ奉仕と、緋沙子の睾丸マッサージを受けながら、悠斗はえりなの顔にまたかなりの量の精液を発射した。
けれど、それで行為は終わらず、顔にこびりついた精液を、緋沙子が悠斗のペニスを横から掴んでその先端を使って、えりなの顔に塗りたくり始めたのだ。
「ふふふっ。これでもう、えりなは悠斗様のものですよ。見て下さい、えりなの嬉しそうな顔を」
緋沙子は笑っていた。
精液を塗りつけられたえりなも笑っていた。
けれど、その幸せそうな笑顔は、悠斗をゾクリとさせる。
緋沙子は、もうえりなは自分のものだと言ったが、逆なのではないだろうか?
自分こそが、薙切えりなのものにされてしまったのだと。もう離れられなくされてしまったのではないかと不安になってくる。
「悠斗様、えりなの痴態を見ていたら私も……。どうか、私の顔にも……」
緋沙子も悠斗に所有されている証をつけてほしいと懇願してくる。
悠斗は当然、その申し出も断ることはできなかった。
そして、悠斗は、自分が手を出した女二人が、あの薙切えりなと新戸緋沙子だということを再認識し、興奮と恐怖を覚えるのだった。