「…あれか。」
「ハハッ…。空に穴が空いてやがる。」
曇天の雲が厚く空を遮る。そんな虚空に一つだけ、大きくただ存在感を放つ穴があった。噂通り、そこに桜の花びらが吸い込まれている。風は吹いていない。ただ吸い込まれている。…不思議な光景である。
「魔理沙!!」
「霊夢っ!!」
…巫女様のご到着だ。咲夜もいる。魔理沙の言った通りになった。たしかに早い。
「あそこに異変の主犯がいるのね。」
「らしいぜ。」
確信はない。ただ、現状、有力なのは此処しかないってだけだ。
「此処からは何があるかわからない。…吾らが勝つか、向こうが勝つか。残るのはそれだけだ。」
「関係ないわ。私が動いたからには負けないし、此処も好きにはさせない。せめて、もう少し暖かくしてもらわないとね。」
霊夢が言う。…うむ。彼女が言うと流石に様になる。咲夜も魔理沙もいる。何が起こっても勝つだろう。何をもって勝利というかだが、せめてこの寒さだけはどうにかせぬと。主人に顔が上がらない。
「行くぞッ!!霊夢、咲夜、ユタロー!!」
「「ええッ!!」」
「うむッ!!」
そう言い、吾らは穴をくぐっていった。
「…これはなんとも見事な。」
「ええ…。紅魔館にも引けを取らない…。」
何百段とも伸びる階段。周りには白い桜並木が連なり、空は淡く霞んでいる。登るには骨が折れる。魔理沙の箒に座り、飛んでいく。
「止まりなさい。」
…中腹あたり、それより少し進んだ頃だろうか。咲夜とは違う白髪の少女が吾々に待ったをかけた。…腰には刀を2本差し、横にはふよふよと謎の物体が飛んでいる。剣士か。
「ここは旅人が来る場所ではございません。お引き取りを。」
「旅人じゃないって言ったら?」
「では尚更お引き取りください。此処は遊び場ではございませんので。」
「嫌だって言ったら?」
霊夢が煽ると冷静沈着な少女は刀の持ち手に手を触れる。やる気…ということか。
「良い覚悟だ…ッ!!」
「おいッ!!ユタローッ!!」
…吾は勢いよく箒を飛び降りる。少女の顔つきも僅かに変わった。
「此処は吾がお相手いたす。皆の衆は先へ。後で追いかける。」
「ユタ…。絶対に来てねッ!!」
「行くわよ、みんなッ!!」
…そうだ。目的を間違えてはいけない。この子に手を割いては時間の無駄であり、彼方の思う壺。
「はてさて。
「…何方ですか。そこまで殺気を剥き出しにされても困るのですが。」
「これは失礼。…ただ、主人の命より他に優先すべきものはこの世にはないのでな。」
…一挙一動。よそ見した方が負ける。先に抜いた方など尚更だ。
「もう一度言います。アナタは何者ですか?その刀、血濡れていますが…。」
無論、比喩である。
本能的にこの刀が人を斬りまくってきた…というのを少女は気がついたのだろう。刀を構え、吾を睨む。吾は胸で手を組み、仁王立ち。
「吾か?…一言で言うなら…。」
手を崩し、紫御前を構える。
「”人斬り”」
「なんと野蛮な。」
少女はそう言うと後ろへと後ずさる。
距離をとった。…成る程。ただの阿呆ではない。冷静に格の違いを理解している。
「…人を斬らず、守るための刀か。吾にはわからぬものだな。」
「なにを…!!」
「では…お手並み拝見ッ!!」
地面を蹴り、勢いよく少女に斬りかかる。上から下へ縦からの剣戟に少女は刃を横向きにし、受け止めた。
「うっ…!!」
「…ッ!?」
弾き飛ばされた。軽くとはいえ、弾き飛ばすとは…。なかなかやる…。
「とりゃっ!!」
「ぬぅんッ!!」
少女の放つ刃。縦の斬撃。
それを吾は上へと打ち返す。
その後、少女は後ろに飛び、距離をとった。
「軽いな。」
「…ハァ…ハァ…。其方こそ…手加減はやめてください…!!」
「あの程度でへばってるのか?」
…だったら少し相手を過大評価しすぎていた。剣豪かと思えば、ただの侍ごっこか。
「…強すぎる…。だけど、まだ負けれない…!!こんなところで…!!幽々子様のために…!!」
「…所詮は弱者の妄言か。」
「…弱者ですか。そうです。私は半人前。お爺ちゃんが育ててくれても半人前。それでも…弱くても負けられやしないッ!!たぁっ!!」
刀を振りかぶり走ってくる。
その刃を吾は紫御前を思いっきり振るい、受け止めた。刃同士の触れ合う火花。まさに鉄と鉄の塊のぶつかり合いであった。
「ぐぬぬぬっ…!!」
「…悪くない。だが、やはりあまいッ!!」
「うわっ!?」
弾き返す。
少女の身体は後ろへと飛びかけたが、足で踏みとどまり衝撃を逃した。
「勢いだけでは、刀身に力は宿らん。刀は一挙一動。刀身から足先までを剣と呼び、それを扱えるものを剣士、剣豪と呼ぶ。信念だけは立派だ。しかし、それを口にするには相手を納得させる力がいる。」
「ぐっ…アナタにはそれができる…と…?」
「五臓六腑まで響かせ覚えよ。本物の力というものを…。」
…姿勢を低く、腰を低く、刀を構える。
何を言ったか、吾にもできぬことをこの小娘にやれと。無茶を言っている。が、実現することは不可能ではない。ようは、何者にも他言を許さぬ圧倒的な力を見せれば良い。それだけだ…!!
「朱智一刀流『
「…ッ!?」
朱智一刀流の中で最も力が入り、最も体への負担が大きい技。
身体中の筋肉を刀の柄とし、打ち込みの瞬間に全体重を乗っける。牛の突進かのような速さで二手三手と打ち込む。疲れるからあまり使いたくはない技だ。
しかし…。
「はっ…!!せいッ!!うっ!!」
…吾の渾身の一撃を全て受け止めている。
その腕からは血も滴っているというに。信念だけでそこに立っている。
「私は…負けるわけにはいかないんだぁッ!!」
「…ッ!?」
…押された?
四手目の縦の剣戟が弾き返された…!!
先程まで受けるだけだった少女が刀を上へと打ち返した。猿真似…にしては、できすぎている。
「まだです…!!幽々子様のためにも…!!」
「…良い目になった。まさに修羅だ。面白い…!!」
久々に心がたぎる。半人前には違いないが、できる娘だ。
「次で決めます…!!」
「意義はない…!!」
足を地面に滑らせ、様子を見る。
お互い、引かない攻防戦だ。引くに引けない。まさにそんな状況である。
本能的に感じていた。先に動いた方が敗者となる…。
「朱智…一刀流…!!」
「…たぁッ!!」
「『
勝負を決める一手には無粋。だが、そんなものはこの世にいらぬ。そこにあるのは勝った負けたの言葉のみ…!!
少女の縦の剣戟をゆらりと交わし、長い刀を後ろへと反射のように打ち込む。
しかし、それを少女はもう一本の刀で受け止め、後ろへと飛ぶ。
吾はそれを追い、娘の喉元めがけ、二手目の突きを。
それすらも少女は弾き、もう一方の刀で吾の首元を狙う。
ゆらりとそれを交わし、互いに後ろへと飛んだ。
「ハァ…ハァ…ハァ…。」
「…。」
少女の息が上がる。次が本当に…最後の一手となる。
少女は刀を構え、斬りかかってくる。
吾はそれを受け止めようとするも…。
「ッ!?」
少女はそれを察知し、縦から横薙ぎの剣戟に転じた。
吾は刀を逆手に持ち、それを受け止める。
弾かれる刃と刃。
だが、それを見届ける暇などない。次の一手、少女のもう一本の刃が吾を狙う。
吾は刀を持ち替え、それを上に払う。
そして…勝負は決した。
「…ぐふっ…。」
「安心せよ。峰打ちだ。」
少女の腹に一撃。決まり手は峰打ちだ。
「…順序が逆転した。吾は朱智愈咫郎と申す。主は?」
「…魂魄…妖夢…ですッ…くっ…!!」
少女…もとい、魂魄妖夢は砂利道に倒れたまま、答えた。当たり前だ。峰打ちなのだ。硬い鉄が腹に入った。…下手したら死ぬがそんなヘマはしない。全く…。
「ひゃっ…!!な、なにを…!!」
「情けをかけられるのは嫌か?安心しろ、そこまで運ぶだけだ。」
「そ、そういう意味では…っ!?」
…あれだ。お姫様抱っこ…とやらで妖夢を運ぶ。何やら顔を赤く染めているが、よほど敵に情けをかけられるのが嫌なのだろう。とりあえず近くの階段まで抱えていく。
「ほら、そこに座れ。」
「うぅ…はい…。」
…一体、どうしたというのだ。
まるで茹で蛸のように顔を真っ赤にして…。
「よ、よく、そんなことできますね…。初対面の女性相手に…!!」
「あのまま放っておけと?…それの方が後味悪いだろ。」
「そ、それはそうですが…。うぅ…お嫁に行けないぃ…。」
何故、それと嫁が関係ある。
顔を真っ赤にして、手で隠している妖夢にそう問いたいが此処はじっと構える。我慢だ…。
「安心しろ。貰い手が居なくなったら責任ぐらいはとってやる。」
「…責任ってなんですか?さっきの感じ、あの銀髪の女性といい雰囲気でしたよね。そのマフラーもお揃いですし…。」
「…そりゃ、そうだけど…。」
妖夢がじとっとした目でこちらを見てくる。
何処か、心が痛い…。
「冗談だ。」
「そうやって、乙女の心を踏み躙って!!ずるいですよっ!!」
「何がだ。ったく。」
レミリア嬢よりも聞き分けのない娘だ。とんとん拍子で話が進まない。乙女とやらがツバまで飛ばして言うことか…。
「なら、せめて剣術ぐらいは教えてください。あと、幽々子様を救ってあげてください。」
「…は?何故だ。飛躍しすぎだぞ。」
「好奇心でやったことが此処までなるとは…。西行妖はもう…目覚めはじめてます。」
ハーレムって何人まで許容範囲?
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10人以下でおなしゃす!!
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まぁ、ちょっと多いけど20人?
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ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!