※この作品はR-18です。

人斬り武者の幻想歌   作:紳爾零士

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『奏でる音は鬱の音色。ただ美しく、弦を引き、自分の世界を奏でるのみ。』ルナサ・プリズムリバー


十四杯『冥土へ』

「…あれか。」

 

「ハハッ…。空に穴が空いてやがる。」

 

曇天の雲が厚く空を遮る。そんな虚空に一つだけ、大きくただ存在感を放つ穴があった。噂通り、そこに桜の花びらが吸い込まれている。風は吹いていない。ただ吸い込まれている。…不思議な光景である。

 

「魔理沙!!」

 

「霊夢っ!!」

 

…巫女様のご到着だ。咲夜もいる。魔理沙の言った通りになった。たしかに早い。

 

「あそこに異変の主犯がいるのね。」

 

「らしいぜ。」

 

確信はない。ただ、現状、有力なのは此処しかないってだけだ。

 

「此処からは何があるかわからない。…吾らが勝つか、向こうが勝つか。残るのはそれだけだ。」

 

「関係ないわ。私が動いたからには負けないし、此処も好きにはさせない。せめて、もう少し暖かくしてもらわないとね。」

 

霊夢が言う。…うむ。彼女が言うと流石に様になる。咲夜も魔理沙もいる。何が起こっても勝つだろう。何をもって勝利というかだが、せめてこの寒さだけはどうにかせぬと。主人に顔が上がらない。

 

「行くぞッ!!霊夢、咲夜、ユタロー!!」

 

「「ええッ!!」」

 

「うむッ!!」

 

そう言い、吾らは穴をくぐっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…これはなんとも見事な。」

 

「ええ…。紅魔館にも引けを取らない…。」

 

何百段とも伸びる階段。周りには白い桜並木が連なり、空は淡く霞んでいる。登るには骨が折れる。魔理沙の箒に座り、飛んでいく。

 

「止まりなさい。」

 

…中腹あたり、それより少し進んだ頃だろうか。咲夜とは違う白髪の少女が吾々に待ったをかけた。…腰には刀を2本差し、横にはふよふよと謎の物体が飛んでいる。剣士か。

 

「ここは旅人が来る場所ではございません。お引き取りを。」

 

「旅人じゃないって言ったら?」

 

「では尚更お引き取りください。此処は遊び場ではございませんので。」

 

「嫌だって言ったら?」

 

霊夢が煽ると冷静沈着な少女は刀の持ち手に手を触れる。やる気…ということか。

 

「良い覚悟だ…ッ!!」

 

「おいッ!!ユタローッ!!」

 

…吾は勢いよく箒を飛び降りる。少女の顔つきも僅かに変わった。

 

「此処は吾がお相手いたす。皆の衆は先へ。後で追いかける。」

 

「ユタ…。絶対に来てねッ!!」

 

「行くわよ、みんなッ!!」

 

…そうだ。目的を間違えてはいけない。この子に手を割いては時間の無駄であり、彼方の思う壺。

 

「はてさて。幻想郷(ここ)で剣士に会うとは奇妙な縁もあったものだ。」

 

「…何方ですか。そこまで殺気を剥き出しにされても困るのですが。」

 

「これは失礼。…ただ、主人の命より他に優先すべきものはこの世にはないのでな。」

 

…一挙一動。よそ見した方が負ける。先に抜いた方など尚更だ。

 

「もう一度言います。アナタは何者ですか?その刀、血濡れていますが…。」

 

無論、比喩である。

本能的にこの刀が人を斬りまくってきた…というのを少女は気がついたのだろう。刀を構え、吾を睨む。吾は胸で手を組み、仁王立ち。

 

「吾か?…一言で言うなら…。」

 

手を崩し、紫御前を構える。

 

「”人斬り”」

 

「なんと野蛮な。」

 

少女はそう言うと後ろへと後ずさる。

 

距離をとった。…成る程。ただの阿呆ではない。冷静に格の違いを理解している。

 

「…人を斬らず、守るための刀か。吾にはわからぬものだな。」

 

「なにを…!!」

 

「では…お手並み拝見ッ!!」

 

地面を蹴り、勢いよく少女に斬りかかる。上から下へ縦からの剣戟に少女は刃を横向きにし、受け止めた。

 

「うっ…!!」

 

「…ッ!?」

 

弾き飛ばされた。軽くとはいえ、弾き飛ばすとは…。なかなかやる…。

 

「とりゃっ!!」

 

「ぬぅんッ!!」

 

少女の放つ刃。縦の斬撃。

 

それを吾は上へと打ち返す。

 

その後、少女は後ろに飛び、距離をとった。

 

「軽いな。」

 

「…ハァ…ハァ…。其方こそ…手加減はやめてください…!!」

 

「あの程度でへばってるのか?」

 

…だったら少し相手を過大評価しすぎていた。剣豪かと思えば、ただの侍ごっこか。

 

「…強すぎる…。だけど、まだ負けれない…!!こんなところで…!!幽々子様のために…!!」

 

「…所詮は弱者の妄言か。」

 

「…弱者ですか。そうです。私は半人前。お爺ちゃんが育ててくれても半人前。それでも…弱くても負けられやしないッ!!たぁっ!!」

 

刀を振りかぶり走ってくる。

 

その刃を吾は紫御前を思いっきり振るい、受け止めた。刃同士の触れ合う火花。まさに鉄と鉄の塊のぶつかり合いであった。

 

「ぐぬぬぬっ…!!」

 

「…悪くない。だが、やはりあまいッ!!」

 

「うわっ!?」

 

弾き返す。

 

少女の身体は後ろへと飛びかけたが、足で踏みとどまり衝撃を逃した。

 

「勢いだけでは、刀身に力は宿らん。刀は一挙一動。刀身から足先までを剣と呼び、それを扱えるものを剣士、剣豪と呼ぶ。信念だけは立派だ。しかし、それを口にするには相手を納得させる力がいる。」

 

「ぐっ…アナタにはそれができる…と…?」

 

「五臓六腑まで響かせ覚えよ。本物の力というものを…。」

 

…姿勢を低く、腰を低く、刀を構える。

 

何を言ったか、吾にもできぬことをこの小娘にやれと。無茶を言っている。が、実現することは不可能ではない。ようは、何者にも他言を許さぬ圧倒的な力を見せれば良い。それだけだ…!!

 

「朱智一刀流『覇人牛刀(はじんぎゅうとう)』ッ!!」

 

「…ッ!?」

 

朱智一刀流の中で最も力が入り、最も体への負担が大きい技。

 

身体中の筋肉を刀の柄とし、打ち込みの瞬間に全体重を乗っける。牛の突進かのような速さで二手三手と打ち込む。疲れるからあまり使いたくはない技だ。

 

しかし…。

 

「はっ…!!せいッ!!うっ!!」

 

…吾の渾身の一撃を全て受け止めている。

その腕からは血も滴っているというに。信念だけでそこに立っている。

 

「私は…負けるわけにはいかないんだぁッ!!」

 

「…ッ!?」

 

…押された?

 

四手目の縦の剣戟が弾き返された…!!

 

先程まで受けるだけだった少女が刀を上へと打ち返した。猿真似…にしては、できすぎている。

 

「まだです…!!幽々子様のためにも…!!」

 

「…良い目になった。まさに修羅だ。面白い…!!」

 

久々に心がたぎる。半人前には違いないが、できる娘だ。

 

「次で決めます…!!」

 

「意義はない…!!」

 

足を地面に滑らせ、様子を見る。

お互い、引かない攻防戦だ。引くに引けない。まさにそんな状況である。

 

本能的に感じていた。先に動いた方が敗者となる…。

 

「朱智…一刀流…!!」

 

「…たぁッ!!」

 

「『影狼怪奇譚(かげろうかいきたん)』…ッ!!」

 

勝負を決める一手には無粋。だが、そんなものはこの世にいらぬ。そこにあるのは勝った負けたの言葉のみ…!!

 

少女の縦の剣戟をゆらりと交わし、長い刀を後ろへと反射のように打ち込む。

 

しかし、それを少女はもう一本の刀で受け止め、後ろへと飛ぶ。

 

吾はそれを追い、娘の喉元めがけ、二手目の突きを。

 

それすらも少女は弾き、もう一方の刀で吾の首元を狙う。

 

ゆらりとそれを交わし、互いに後ろへと飛んだ。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…。」

 

「…。」

 

少女の息が上がる。次が本当に…最後の一手となる。

 

少女は刀を構え、斬りかかってくる。

 

吾はそれを受け止めようとするも…。

 

「ッ!?」

 

少女はそれを察知し、縦から横薙ぎの剣戟に転じた。

 

吾は刀を逆手に持ち、それを受け止める。

 

弾かれる刃と刃。

 

だが、それを見届ける暇などない。次の一手、少女のもう一本の刃が吾を狙う。

 

吾は刀を持ち替え、それを上に払う。

 

そして…勝負は決した。

 

「…ぐふっ…。」

 

「安心せよ。峰打ちだ。」

 

少女の腹に一撃。決まり手は峰打ちだ。

 

「…順序が逆転した。吾は朱智愈咫郎と申す。主は?」

 

「…魂魄…妖夢…ですッ…くっ…!!」

 

少女…もとい、魂魄妖夢は砂利道に倒れたまま、答えた。当たり前だ。峰打ちなのだ。硬い鉄が腹に入った。…下手したら死ぬがそんなヘマはしない。全く…。

 

「ひゃっ…!!な、なにを…!!」

 

「情けをかけられるのは嫌か?安心しろ、そこまで運ぶだけだ。」

 

「そ、そういう意味では…っ!?」

 

…あれだ。お姫様抱っこ…とやらで妖夢を運ぶ。何やら顔を赤く染めているが、よほど敵に情けをかけられるのが嫌なのだろう。とりあえず近くの階段まで抱えていく。

 

「ほら、そこに座れ。」

 

「うぅ…はい…。」

 

…一体、どうしたというのだ。

まるで茹で蛸のように顔を真っ赤にして…。

 

「よ、よく、そんなことできますね…。初対面の女性相手に…!!」

 

「あのまま放っておけと?…それの方が後味悪いだろ。」

 

「そ、それはそうですが…。うぅ…お嫁に行けないぃ…。」

 

何故、それと嫁が関係ある。

顔を真っ赤にして、手で隠している妖夢にそう問いたいが此処はじっと構える。我慢だ…。

 

「安心しろ。貰い手が居なくなったら責任ぐらいはとってやる。」

 

「…責任ってなんですか?さっきの感じ、あの銀髪の女性といい雰囲気でしたよね。そのマフラーもお揃いですし…。」

 

「…そりゃ、そうだけど…。」

 

妖夢がじとっとした目でこちらを見てくる。

何処か、心が痛い…。

 

「冗談だ。」

 

「そうやって、乙女の心を踏み躙って!!ずるいですよっ!!」

 

「何がだ。ったく。」

 

レミリア嬢よりも聞き分けのない娘だ。とんとん拍子で話が進まない。乙女とやらがツバまで飛ばして言うことか…。

 

「なら、せめて剣術ぐらいは教えてください。あと、幽々子様を救ってあげてください。」

 

「…は?何故だ。飛躍しすぎだぞ。」

 

「好奇心でやったことが此処までなるとは…。西行妖はもう…目覚めはじめてます。」

ハーレムって何人まで許容範囲?

  • 10人以下でおなしゃす!!
  • まぁ、ちょっと多いけど20人?
  • ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!
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