「…んん。」
…これが地獄か。
修羅が出るか、鬼が出るか。生前の罪故、たとえ何が来ても困らぬが。目を開けたら、知らぬ天井。紅魔館でもなければ、何処でもない。一軒家か。生活感の溢れる空間。綺麗にはしてある。
「あら、目が覚めたようね。」
「…女。」
…鬼…?いや、生前会った者が鬼になることはあるのか…。
「…なんか失礼なこと考えてるわね。アンタ、まだ生きてるわ。」
「…そうか。」
てっきり殺されてしまったのかと思った。やりかねない顔だったからなぁ。しかし、身体中が包帯塗れだ。女の顔にも湿布のようなものが貼ってある。
「その傷…。」
「覚えてないの?アンタ、手、斬りながら攻撃してきたのよ。最後の最後に。まさに執念だった。」
…圧迫された風船のように、指の肉が破裂し、血が滝のように出た。その今思えば、ただの自傷行為だ。馬鹿馬鹿しい。だが、不思議と痛みはなかった。此処で死ねば、全てを失うと思った。
「応急処置だけど、二、三日はそのまま居なさい。動けるようになったら、すぐにでも出て行って欲しいけれど、流石にそれは酷だもの。家事は手伝ってもらう。それでいい?」
「…殺し合いをした相手を匿うとは。不思議なものだ。なぁ?女。」
「その女ってのやめて。私は風見幽香。そう呼びなさい。」
…風見幽香。女…もとい、幽香はそう言うと吾の隣の椅子に腰掛け、持っていた盆から粥の入った皿を机に置いた。
「少しでも栄養補給しないとね。外ではいいけど、家の中で死なれちゃ寝付き悪いし。ほら、口開けなさい。」
「…っ!!自分で食える…ッ!!大丈夫だ…!!」
「その怪我で?…全く。変なとこで意地張るもんじゃないわよ。ほら、あーん。」
「んっ…。」
これは少し恥ずかしい。大の大人が、女中でもない女に…食べさせてもらうとは…。紅魔館で咲夜にしたことはあるが、その間、少し気まずかったのを覚えてる。
…ええい。ままよ。と、粥を口に頬張る。…優しい味だ。卵の甘さと米がするすると入る。微妙な塩味が程よい。
「しかし、えらい掌の返し方だな。」
「ん?…あぁ、そうね。元々は私もそこまで人を殺したくはないのよ。花畑を汚されたりしなければ、危害は加えないつもり。ほら、あーん。」
「んぐっ…。」
…意外と寛容な方なのかもしれない。だが、流石に怪我人相手にあれはやりすぎだと思う。吾は許された…のか。
「それで、アンタはなんなの?長い間、此処にいるけどアンタみたいな侍。見たことも聞いたこともないわ。」
「…吾は朱智愈咫郎と申す。紅魔館でレミリア嬢に仕えている。給仕というよりは護衛に近いがな。」
「ふーん。あの薄気味悪い家の…。似合わないわね。もう少し、執事とかメイドとか、そういう人種のいるところだと思ったけれど。」
…喋りながら、食べさせられるとどっちに集中していいか、わからなくなるな。しかし、執事か…。そんな人間には会ったことないな。メイドならゴロゴロと居るが。
「…馳走になった。」
「はいはい。じゃ、お皿洗いしてくるから。休んでなさい。」
…甘えるとするか。しかし、早く紅魔館へ行きたいものだ。…刀、紫御前も折れてしまった。苦楽を共にしたのだが、別れとはあっさりと来るものだ。
14年…ここに来て15年か…。数字にすると短いが、体感では家族というものよりも長い時間を共にした。これを惜しまず、なんとする。
「刀、どうするの。」
「…幽香。」
全てはここに来たことから始まっていた。幽香は侵入者を撃退し、吾は応戦した。それで、犠牲が出たのだ。戦いに犠牲は付き物。
「其方が気にやむ必要はない。仕方なかったことだ。」
「偉くさっぱりしてるのね。…まぁ、折ってしまった手前、何か出来ないかと思ってただけだから、当の本人がそこまでさっぱりしてるんだったら何もしない方がいいわね。お金くらいは出すけど。」
「…例え、新しく紫御前を鋳造し、仕立ててもらったとしてそれは、紫御前であり、紫御前にならず。もはや、あれは戻らん。やるとするなら…そうだな。二刀流にでもなってみるかな。」
…アレを使うとするならば、多少金は浮くだろうか。金に糸目はつけぬが…。
「…それはそうとして、アンタ、これからどうするわけ。」
「だから、紅魔館に戻る。」
「あら、そう。でも、2、3日ってのは最低でもかかる日数よ。本当に応急処置だし、一週間ぐらい居ないとあんな遠いとこまで行けないんじゃないかしら。」
「…ふむ。」
…成る程、一理ある。急ぎのようではないし、それに吾は飛べぬ故、歩かなければならない。人よりも休まなければならないな。
「じゃあ、暫く時間もあるし。アンタの話を聞かせてもらえる?」
「…吾の…か?」
「そ。長い間過ごしてると花達のトピックスしか無くてねぇ…。生きてる人間なんて久々に話したから、何か面白いこともあるかと思って。」
…確かにいつものように鍛錬もできない。咲夜と寄り添うこともできない。…幽香なりに心配してくれているのだろうか。胸一杯に息を吸い、ゆっくりと吐く。
「…聞くに耐えぬことだぞ。少し昔、吾が拾われた時の話をしよう。」
「拾われた?」
幽香が小首を傾げる。
「…あぁ。歳にして5つ。母の顔も父の顔も覚えておらぬ。」
愈咫郎の過去編です。次の回はね。東方関係ないかもですが。
ゆうかりんは入れたいから入れました。少し前後…いえ、花の異変もやると思います。永夜抄→萃夢想→花映塚の順番になるので違和感ある人もいるかなと。一応、大きなことがあってから宴会にしたいので、ユタ君がいなきゃ、咲夜達は楽しめませんしね。
では次回。ではでは。
ハーレムって何人まで許容範囲?
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10人以下でおなしゃす!!
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まぁ、ちょっと多いけど20人?
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ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!