「お待たせっ!!」
「あぁ。」
あの後、人里で日用雑貨類を買いたいと幽香が言うので、吾はそれに付き合った。荷物持ちにでもなればと思ったが、それほど買わなかったのか。
「あとは、服も見たいわねー。」
「また店の前で待っていよう。」
「そうね。ねー、新しい服、着て欲しい?」
…此方を振り返り、そう言う彼女。そんなところが愛くるしい。
「そうだな。見てみたい。」
「ほんと!?じゃあ、気合入れて選ぶわっ!!」
そう言いながらにっこりと笑う幽香。初めて会った時のあの冷たい笑みはどこへいったのだろう。小傘の言っていたことがわかったような気がする。
「じゃ、行ってくる。」
「わかった。」
そう言って幽香が呉服店に入って行く。
…これが所謂、咲夜の言うデートというものなのだろうか。吾の思うそれは縁側で茶でも飲む…そういうものだったと記憶しているが…。
まぁ、幽香の和服というのも良いものだろう。美人には何を着ても映える。そういうものだ。
「…もし。」
「…ん?」
…誰だ?
「朱智愈咫郎殿であっているか。」
「…然り。主は何者だ?」
「私は幻想郷賢者、八雲紫の式神、八雲藍だ。」
八雲藍…。
青色の…どこか、中華じみた服装をしている。何かの教信者か何かだろうか。頭巾のような帽子もそのような印象を覚える。極め付けは…しっぽ?
「…狐?」
「おっ。わかるか。」
「わかる。動物は好きだからな。」
山に良くいる犬の仲間だ。厳密に言えば、違うのだろうが。だが、もふもふとした動物は好きだ。猫、犬などよく見ては癒されていたもの。…話が脱線した。つまり、彼女は狐の妖怪。妖狐…と言ったところか。
「なんだ?触りたいのか?」
「…い、いや、別に触りたくは…。」
「…ふふっ。あはははっ♪そう言いながら、目が泳いでいるではないかっ。面白い男だな。だが、ダメだ。流石に破廉恥だぞ?」
むっ…。諭されてしまった。
たしかに触りたいが、そんなにわかりやすいものだろうか。
「顔に出ていた。今も出ているぞ。残念そうな感じがなっ。」
「…そうか。」
最初は警戒したが、意外に気さくな人のようだ。
少なくとも初対面の幽香よりは冗談が通じる人と見受けられる。
「それで。ご用件は何だ?」
「ん?いや、なに。紫様が助けた異世界人がどのような人間か見極めに来ただけだよ。血も涙もない侍が、同じく血も涙もない人を殺すのに何の躊躇も厭わない大妖怪、風見幽香と対敵した時、どうなるのか。紫様は感謝しておられたよ。幽々子様を助けてくださったってね。」
「…あぁ。」
なるほど。あの封印に巻き込まれなかったのはその賢者殿のおかげか。ならば、吾も感謝せねばなるまいな。
「それで、風見幽香と歩いていたように見えるが、一体何があった?」
藍殿が小首を傾げる。
吾はここまで会ったことを事細かに説明した。
「…なるほど。しかし、愈咫郎くん。あまり、そういうことは言わない方がいいぞ。」
「何故だ?」
「何故って…。若者のそういうお盛んなことは勝手だが、人のいるこういうところで言うとあまり良くない…とだけ覚えておきなさい。」
…藍殿の顔が少し赤い。
しっぽがつんっと立っている。なにか、気に触ることでも言ったか。流石に昨夜のことは控えた方が良かったか。
「わかった。」
「よろしい。」
こほんっと咳払いをする藍殿。
幽香や咲夜よりもすこし知的な感じがする。個人の感覚だが。
「藍殿。」
「むっ。少し痒いな。殿はいい。紫様も恐らくそうおっしゃるだろう。」
「では、藍。お前の要件はそれだけなのか?」
「…そうだね。紫様が助けた人間に私が興味が湧いた。それだけだ。」
にっと歯を見せ笑う藍。
なんとも素直に言う方だ。興味が湧いた…とは何故なのだろうか。
「どうしてって顔してるね。あの紫様が助けたんだ。身勝手で頼りにはなるが、少し自由すぎる紫様がね。君も主人を持つ立場なら、わかるだろう?」
「…ウチは咲夜が給仕諸々をやってくれている。吾は自由にしているだけでいい。」
「なんと羨ましい。だから、メイドともイチャイチャしてる暇があるのだね?」
…ん?
「…何故わかってる。」
「紫様が君のことを偉く気にしていてね。スキマからちょろっと。」
怖えよ。何がスキマからちょろっとだ。
「それにほら、妖夢からも聞いているからね。」
「…そっちだけ伝えてほしかった。」
「あはははっ。覗きはほどほどにするように伝えておくよ。」
笑い事ではないのだが。
「今日は風見幽香とデートでもしてるんだろ?今度、君の話を教えてくれ。お茶でも奢ろう。」
「悪い気はしねえ。アンタみたいな美人と飲めるなら、いつでもいいさ。」
「ふふっ。もしかして、私を狙ってるのか?物好きだね。君は。」
「そうか?」
「女としてよりかは、尻尾が狙いだろうけど。」
「…。」
「何故目線を晒すんだい?」
…なんとなく罪悪感。
そんなに大きな尻尾をチラつかせられちゃ、触りたくもなる。猫じゃらしみたいにゆらゆらとうごしていた。
「まぁ、いい。君のことが気になるのは私だ。そういう関係に発展していったら好きなだけ触らせてあげよう。」
「本当かっ!?」
「あはははっ。可愛いじゃないか。本当だよ。ほら、恋仲になれば尻尾だけじゃなくていろんなところが触れるだろう?」
「そ、それは…。」
目を逸らす。藍は大きな尻尾も特徴的だが、幽香に勝るとも劣らないほど綺麗な体をしている。…だが、知り合って少しだ。そういう目で見るのは少し控えたい。
「うーむ。魅力的ではないか。なるほど。なるほど。君を籠絡するのはまだ先のようだ。それじゃあ、風見幽香とお元気で。また、何処かで会おう。」
「…あぁ。」
「そうだ。…少し先の夜。月に異変を感じたら、永遠亭に来るといい。」
「ん?」
「…紫様からの伝言だよ。恐らく、咲夜も来るだろう。君の活躍を期待しているよ?…それじゃ。」
そう言い、藍は帰っていった。
月に異変を感じたら?…また天候が変わるというのか。何れにせよ、刀が仕上がるまでは吾は出れない。足手まといになるだけだ。
「…今考えても仕方ないか。」
「ユタ〜?どうかした?」
「いや、なんでもない。」
呉服店から幽香が帰ってきた。
違うことを考えていてはまた怒られるな。
「行きましょ?」
吾は幽香の手を取り、帰路につく。
藍の言葉がわかるのは…その僅か数日後であった。
ハーレムって何人まで許容範囲?
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10人以下でおなしゃす!!
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まぁ、ちょっと多いけど20人?
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ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!