ちょっと怪しいです。
…髪が長いのも難儀だな。
長く手入れはしていないが、生前のまま伸びず切れずだ。それに、筋肉質な裸体に幾千もの傷。特に胸あたりの横一閃は生々しく残っている。
「…。」
こうして風呂に浸かるのは幾年ぶりか。
温かな白湯が骨の髄まで染み渡る。吾が最後に長風呂をしたのは、もう何年も昔のことだ。…少しは甘えても良いだろうか。
「これで、酒でもありゃあ最高なんだがな。」
外の一番好きな光景は露天風呂で夜景を見ながら、日本酒を煽る。ゆったりとしたその時間がこの上なく甘美だ。
…さて、そろそろ身体でも洗うかな。
「…え?」
「ん?」
立ち上がった瞬間、浴室の引き戸が開く。
そこにはタオルで身体を隠した十六夜咲夜が立っていた。
「ゆ、ユタ!?…な、なんで。」
「なんでってそりゃあ、嬢ちゃんよ。」
なんならまん前でレミリア嬢に話したし。
風呂に行く旨は聞いていたはずだ。
「あっ…。」
思い出したのか、咲夜の顔が赤く色づいていく。擬音にして、カァァ…とかだろうか。
「ご、ごめんっ…!!す、すぐ出て行くから!!」
「…やっ、別に気にしないが。恥ずかしいなら吾は裏を向いておこう。」
「は、はい?」
…なるほど。レミリア嬢よ。
昨日の敵は今日の友、裸の付き合いをして、親睦を深めよと言うことか。思慮深いお方だ。
「…先に身体を洗ったどうだ?」
「い、いえ。貴方の方が先に洗おうとしていたのでしょう?背中ぐらい流すわ。」
「…い、いや…その。」
…なんというか、目のやり場に困ると言うか。
咲夜を見ながら洗うわけでもなかろうに、ただ同じ室内にいると言うだけで、胸が疼く。…精進が足らぬな。
「…だめ?」
上目遣いになり、前へと飛び出してくる咲夜。白い…百合のような肌とバスタオルから見える…谷間を見ずに彼女の顎あたりを見る。…男は女に弱いとは言うが…此処までとはやはり精進が…足らぬ。
「…よろしく…頼む…。」
目を背け、言葉を口にした。
…度胸試し…か。レミリア嬢は恐ろしい人だ。
布から泡が立ち、程よい強さで背をさすられる。
…気分が高揚する。
「…傷だらけなのね。」
後ろから咲夜の声が聞こえた。
当たり前だ、後ろにいるのだから。
「あぁ。…最早、何で何時ついたものかは、知り得ない。鍛錬の際についたものか、はたまた、仕事の際についたものか。」
「…仕事?」
「仕事は仕事だ。吾はしがない人斬り。ただの罪人よ。普通ならあの世で閻魔様にしょっ引かれてる筈だが、何の因果か、こんな所で寝てやがった。」
…裸の付き合いと酒の席は話が弾む。
流し目で彼女を見た。歳は…15、6か。十分、伴侶を見つけ、家庭を築くことができよう。…あの珍妙な格好はなんとも言い難いが、今の彼女は女知らずの吾の観点からも見目麗しゅう…と手放しで誉めてしまいそうだ。
「そういや、髪がとても白いのだけれど。貴方、一体何歳なの?」
「む?…
「随分年上ね…。」
「主の周りの方が吾より上だろう。」
…人としては紅魔館では最高年齢ではあるが、咲夜と吾しか居らぬしな。
「それで?ユタはなんであんなにも強くなったの?能力もなしにあんな動きできるわけがないわ。」
「ハッハッハッ。強さを誉められるとは嬉しいものだなっ!!…だが、やってきたことといえばそれほど無い。素振りも数えられぬ…ざっと幾万は超えたかそのくらいだ。やり続けていれば、その内知らぬうちにその身に染み付いている。それだけだ。」
…思えば人を初めて斬ったときは齢9つの頃だったか。
まるでそうなるように、領主は吾に殺しを教えた。時には屋敷に忍び込み、寝首を掻っ切ったり、時には先陣切って、大将首をとったりしていた。吾の剣は人を守るものでなく…人を殺めるものだ。誉められたものでは無い。
ただ湯煙舞う湯室の中、少女に背中を洗われていた。
「…それだけ美人でここまで裁量が良いのなら、引く手数多ではないか?」
…ふと、疑問に思った。
「ふぇっ!?…き、急にどうしたの?」
「…気になり、申した。咲夜は殿方と懇ろな関係になりたいとは思わぬのか?」
…裸の付き合いだ。
多少は聞きづらいことでも、聞きたいと思うのが男のサガだ。断られればそれはそれで…吾が悪かったと心のうちにしまっておこう。
「…別に思わないわ。私には紅魔館がある。お嬢様達がいるもの。メイド長として、私はお嬢様に従う。それが私の幸せだから。」
…清々しいまでの声色で言われた。
幸せ…か。吾にも人並みにそんなことを願うことがあったのだろうか。
「ユタは?奥さん、欲しいの?」
「わ、吾がか?…吾はわからぬのだ。一生を主人に捧げ、恋路など夢見ることなく、ただひたすらに刀を振るっていた。吾には女はわからぬ。」
「ふふっ…。だから、私の身体を見てドギマギしてたのね?」
「むっ…バレていたのか…。」
…軽率であったか。
女は見ているとはよく言うものだな。吾もまた男であったと言うことか。
「すまぬ…。」
「い、いえ、別に。貴方からは下心も感じないもの。まるで、初めて玩具を見た子供のよう。可愛かったわ。」
…鈴のような声でコロコロと笑う咲夜。
しかし、吾が可愛いとは。中々に珍妙なことだ。どちらかと言うと目つきの悪さに怖がられると思った。
「よし。ユタの方はお終い。じゃあ、次は私の背中、流して?」
「なぬ!?吾が咲夜の背を!?」
…なんと破廉恥な。
いや、同じ湯室で裸でいるのだから、元々…破廉恥ではあったか…!!
「だめ?」
咲夜の声が後ろから聞こえてくる。
…一宿一飯、しかも、風呂で背を流してくれた恩義だ。背くわけにゃいかねえよな…。だがぁ…。
間違いなくこの女は吾を楽しんでいる。
まさか、素で言っているわけではなかろう。
「…最早、腹を括るしかあるまい。」
「やった。ほらほら、早くして。」
…心なしか、咲夜め。吾に甘えてはおらぬか?
喜色を含んだ声でそういうと、吾の座っていたところにちょこんと座りだした。
「…乱暴にはなるが、文句は言うなよ?」
「ひゃっ…!!」
…真っ白な彼女の背に布が触れたとき、何故か、彼女は艶やかな声を上げた。やれと言ったのはこの娘だ。吾は…少しは配慮してやるが、多くは知らぬ。
「さて、行くぞ。」
「待っ…んっ…!!」
背を流して終え、湯船に二人で使った時、すでに咲夜は息絶え絶えであった。当たり前だ。触れるたびに何やら甘い声をあげるのだから、外から見ればバリバリ勘違いされかねんな。
「さて、吾は出るぞ。」
「あっ…ありがと…。」
「…ん?何か言ったか?」
湯で口を隠しているが故、泡の音でよく聞こえなかった。
「な、なんでもない!!ほら、早く自分の部屋に行ってきたら?」
「ふむ。では、お言葉に甘えて。」
…吾はその場を後にした。
※ユタは女の子が苦手なわけではありません。ヘタレでもありません。ただ慣れていないだけです。
妹紅がヒロインだつってんのに、咲夜に傾いてる今日この頃。…どうしよっかねぇー…。
ハーレムって何人まで許容範囲?
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10人以下でおなしゃす!!
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まぁ、ちょっと多いけど20人?
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ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!