※この作品はR-18です。

人斬り武者の幻想歌   作:紳爾零士

31 / 99
妖夢回は2話構成でいこっかなぁと思います。
今回は妖夢よりも幽々子様が多いですが。


三十一杯『約束』

「着いたわよ。白玉楼。」

 

…意外に早く着いたな。

さて、白玉楼の正門に直結で着いたわけだが…。正直、此処には良い思い出がない。そりゃあ、そうだ。ここで死にかけたわけだし。

 

「…。」

 

「幽々子〜?妖夢〜?お客さんよ〜?」

 

「紫様?紫様がお客様じゃあ…。」

 

…正門から人影が現れる。隣にふよふよとした白い塊が浮いている。鍛錬をしていたのか、首にタオルをかけている。

 

「…あっ。」

 

「…よ、よう。妖夢。」

 

…バッと走り、吾に抱きついてくる妖夢。

胸に顔を埋め、ただ無言で吾に抱きついている。吾は彼女の頭を優しく撫でた。

 

「おかえりなさいっ。師匠。」

 

「あぁ。ただいま。」

 

彼女は100点の笑顔でそう言った。半人半霊少女の笑顔はなによりも輝いて見えた。

 

「あらあら〜。紫、愈咫郎さん。こんにちは。」

 

「こんにちは。幽々子。」

 

客間に案内されるとそこに白玉楼の主、西行寺幽々子がお茶を啜りながら座っていた。吾は彼女に一礼すると向かいの座布団の上へと座る。

 

「妖夢〜。お客様にお茶をお出しして〜?」

 

「はーい。」

 

「これはこれは、ご丁寧にどうも。」

 

「うふふ。だって、お客様なんですもの。そのぐらいのおもてなしはさせてください。朱智愈咫郎さん。」

 

…この主人と会ったのは永遠亭以来か。

どこか、ふわふわとしていて、掴みどころがないが、紫姉さんのように胡散臭さ、恐怖を感じない。現に今も柔和な笑みを浮かべている。

 

「愈咫郎さん。その節はどうもありがとう。妖夢から聞きました。」

 

「いえいえ、頭を上げてください。」

 

頭を下げる幽々子。…むず痒いからやめてほしい。結局は吾一人ではただ死んで終わっていたことだ。霊夢がいなければ全員殺されていたし、魔理沙がいなければここまで来れなかった。咲夜がいなければ吾はあそこまで真剣に動けなかったし、紫姉さんがいなければ吾は死んでいた。

 

「…だから、吾一人の功績ではない。吾が全て終わらせたわけではありません。」

 

「ふふっ。謙虚ですね。…でも、私はあなたに救われました。白玉楼の主人として、あなたに御礼を申し上げます。」

 

「やめてください。幽々子殿。吾はあの時、幻想郷を救いたかったわけでも、自分の功績を後世に残したかったわけでもありません。あなたを助けてと妖夢に言われて、あの子を笑顔にさせるために戦ったのです。あなたを助けたかったから、咲夜を助けたかったから吾はあの木に立ち向かいました。…あの子が笑顔ならそれでいい。」

 

…隣で紫姉さんが誇らしげにしている。さっき、弟になったばかりなのに。…この日本語、おかしくないか?

 

「うふふ。お優しいのね。…確かに妖夢は昔よりも笑ってくれるようになったわ。だけど、しばらく貴方が居なくて落ち込んでたのよ?…もう、自己犠牲はなさらないで?」

 

「…善処いたします。」

 

「…だーめ。妖夢を泣かせたら承知しないわよ?なーんてね。」

 

上品に笑う幽々子殿。

ポカポカとして太陽みたいな人だ。母性の塊というか…なんというか。

 

「それと、幽々子殿っていうのはやめにしない?私もユタロー君って呼ぶから、幽々子で良いわ。硬っ苦しいのもなーし。良いわね?」

 

「…あいわかった。」

 

「お茶をお持ちしましたよー。」

 

そんな話をしていると、妖夢が2個の湯呑みの乗った盆を持ってやってきた。

 

「どうぞ。」

 

「ありがとう。」

 

「いつもありがとうね。妖夢。」

 

…おや、茶柱…。

良いことでもありそうだな。とりあえず、頂くとしよう。

 

「…美味い。」

 

「ありがとうございます。」

 

吾がそう言うと妖夢が一礼、ニコッと笑う。

…ほっこりとする。お茶の渋さと暖かさからだろうか。とても心の底から温まる感じがする。

 

「妖夢。ここは良いわ。貴女は修行に戻って良いわよ。」

 

「はいっ。師匠、今日こそ稽古つけてくださいね♪」

 

「あぁ、話が済んでからな。」

 

「はいっ。では、失礼します。」

 

そう言って下がっていく。

…師匠か。今更だが、他人行儀で嫌だな。いや、朱智さんだの愈咫郎さんだのよりは遥かにマシだが…。

 

「…あの子は決めたらしいわ。」

 

「ん?」

 

「自分のために命を捨てて、私を助けてくれた貴方にあの子は好意を抱いてしまった。あの子は真面目だから、真っ直ぐにそれを受け止めてしまう。だから、あの子は決めたの。アナタから一本。一本でも取ったら、告白するって。」

 

…なんでそんな。

 

「…あの子、自己肯定感が低いのよ。咲夜ちゃんに対しても、絶対にアナタの横を取ることはできないって。だから、諦めてたのだけど、幽香さんを見て決心したらしいわ。彼の近くに居られれば良いって。…愈咫郎くん。もし、あの子が手合わせを願うのなら少し手加減をしてあげてくれないかしら。」

 

「…。」

 

「お願いします。」

 

「ちょっ!?幽々子…!!」

 

幽々子が座布団の横に出て、吾に対して土下座をして、頼み込んでくる。それに対して紫姉さんがかなり驚いている。一つの屋敷の主人が一介の侍に対して頭を下げている。彼女の気持ちが痛いほど伝わってくる。…侍としての矜持か、妖夢との平穏か。

 

「…すまない。それはできない。」

 

「ゆ、愈咫郎ちゃんっ!?」

 

「…それは何故?」

 

幽々子の声は柔らかくも冷ややかであった。

 

「…例え、吾が手加減したとして彼女はそれで満足しないだろう。男女の前にお互い、剣士。半人前でも一人前でも手加減することは失礼に値する。彼女が苦悩の末、それを決めたのであれば此方も其れ相応の態度を示さねばならぬというもの。少なくとも吾はそう考えている。」

 

…理由はどうであれ、決意は決意。それに対しての下手な加減は彼女に対しての侮辱に値する。…その意を伝えたかったのだが…。幽々子は目を閉じて聞いている。紫姉さんは…なにやら慌てた様子でワタワタと手を動かしている。正直、見ていて動きがうるさい。

 

「…そうなの。わかったわ。多分、あの子も同じことを言うわね。アナタ、意外とアツいのね。あの子が信用する気持ちもわかるわ。」

 

「妖夢の剣の腕は買っているつもりだ。だから、彼女との約束も取り付けた。これから、彼女を見てやる。もし、その何日かで彼女が吾に一本取り、吾に告白をするつもりならば、喜んで答えよう。」

 

…そう言うと安心したかのように幽々子は微笑んだ。吾も少し口角を上げて笑う。心の中がとても暖かい。

 

「…では、妖夢が待っていますので。」

 

「ええ。お願いね?お師匠さん。」

 

「…御意。」

 

失礼して、そこから出た。

…行ったのはあの桜と戦った日本庭園である。そこに彼女が立っていた。目は完全に”侍”であった。

 

「…一手御指南、よろしくお願いしますっ!!」

 

「…あぁ。」

 

そう言い吾は、刀を抜いた。




今回、次回が妖夢回、その次が3話続けて妹紅回、その次が宴会って感じで進めていきます。ところで、皆さまに少しご相談なのですが、とんとん拍子で彼女が増えるっていうのは皆様的に如何でしょうか。僕としては僕が書きたい、可愛い東方キャラの恋慕を書きたいため、書きたいキャラは付き合わせてしまえっ!!みたいな感じで書いちゃうこともあります。一部、狂愛じみた感じなのはそういう部分ですね。別にヤンデレということはありません。…ヤンデレも書こうと思えば書けますが、あんまりホラーが書けないのでね…。

で、今回は妖夢に関して言及致しました。一本入れたら告白すると妖夢は言っています。これはいつでも書けるのですが、次の回で書いて妖夢ちゃん彼女になりました…となるとどうなんでしょうか。例えば、今回当てて、告白の返事を宴会回に先送りする…のは愈咫郎的にできないと思うので当ててからすぐ告白となってしまうと思うのです。もこたんは結構直ぐに付き合っちゃうし、らんしゃまも宴会で告白すると言っていますので時期的に妖夢ちゃんが遅くなってしまいますが、合わせてもいいような気も…。

もし、皆様がもう少し時間をおいた方がいいのではないか、いやいや妖夢などのキャラの絡みがもっと見たいから早く付き合わせてエロ回なりイチャイチャ回なり書いた方がいいのではないかというご意見がありましたら教えてください。幽香のあれでどうなのかなぁ…と思ってしまいまして。お時間あればでいいので教えてくださると幸いです。

あと、これからの投稿になりますが、時間が許しかつ僕が中身を思い付いたら二本投稿できると思いますが基本不定期更新なので空くことがありましたら気長にお待ちください。

ハーレムって何人まで許容範囲?

  • 10人以下でおなしゃす!!
  • まぁ、ちょっと多いけど20人?
  • ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。