「…。」
…もう朝か。昨日は確か、白玉楼で泊まって…そのまま妖夢と抱き合って眠った。流石に寝苦しかったので、少し離れたが、今は右腕に柔らかい感触があるのがわかる。
横を見ると…。
「…ふふふ…ユタしゃ〜ん…。」
などと寝言を垂れながら、吾の右腕に抱きついている。柔らかい感覚とは彼女のなだらかな双丘だった。…別に今更何を思うでもないが、このまま起こせば、触ったなどと泣き叫びそうで…。
だが、いつもの彼女からは考えられないほど、涎は垂らしていないにしてもだらしのない顔だ。寝言だから、いつもよりも声がふにゃふにゃとしている。
…こうしてみれば非常に愛くるしい。
ただ、彼女の本当の気持ちを知った今だからこそだが。それも確証はなく、幽々子の聞き間違いや自身の驕りかもしれない。全力でぶつかってみればいいだけ。
「んん…。」
あっ、起きた。
妖夢が目をパチクリと開け、少し涙を浮かべながら目を擦った。
「おはようございます〜…。ユタさん。」
「ふふ。あぁ。」
ふにゃふにゃとしている。
頭を撫でてやると「ふにゃあ〜〜っ」と満足げで舌ったらずな声を漏らす。…猫か。猫も好きだ。
「…くくっ。」
「むっ…なんですかぁ〜。」
「いやぁ、妖夢は可愛らしい…と思ってな。」
「なっ…。朝っぱらから何言って…。まぁ…嬉しいですけど…。」
…なんか言ったか?
「…それじゃあ、その…私、ご飯作ってきますので…。」
「ん?あぁ。」
そう言い、そそくさと部屋を出ていった。
…顔がほのかに赤かったのはさっき、我が言ったことが原因か?
まぁ、いい。吾も早く支度をして、幽々子の元へ行こう。
「あらあら〜。昨晩はお楽しみだったのかなぁ〜?」
「えっ!?愈咫郎ちゃんッ!!まだそんなの、お姉ちゃん許してないわよッ!!」
…寝床とは別の客間。着替え、そこに行くと面倒なことになっていた。口元を隠し笑う幽々子と吾の肩を持ち、ぶんぶんとふるわせ、顔を真っ赤にしながら問い詰めてくる紫姉さん。…正直、気持ち悪くなってきた。
「…誤解だ…。」
「あら、そうなの?…てっきり、昨日、あんなにイチャイチャしてたから、もうしてしまったのかと思ったわぁ〜?」
「うぇっ!?そうなのっ!?愈咫郎ちゃんッ!!」
「違う。…まだ、付き合ってもないんだぞ。今、そんなことしたら、それだけで終わりになってしまうではないか。」
…というか、姉さん、忙しい人だな。ぶんぶんの後に幽々子を見て、吾を見てぶんぶん…それの繰り返しだ。
「…姉さん…そろそろ、吐く…。」
「えっ!?ご、ごめんね?…ほら、お姉ちゃんの横に座って。ね?」
「ありがとう。」
…ふぅ…。やっと一息つけるってものだ。
「…というか、なんで紫姉さんがここに?」
「え?だって、お昼には帰るんでしょ?だから、来たのよ。」
ふむ。差し詰め、幽々子が先に紫姉さんに知らせていたのだろう。時刻は8時を少し回ったところ。まぁ、日が落ちないうちには帰りたい。
「幽々子様、ユタさん、紫様。朝ごはんができました。」
妖夢は4人分のご飯を並べ始めた。
本日のメニューは白飯に沢庵、焼き鮭に味噌汁、それとだし巻き卵だ。4人で声を合わせて「いただきます」を言った後、吾は卵を割って、ご飯と共に口に運んだ。
「美味い。」
「…えへへ。嬉しいですっ。」
妖夢の料理もハズレはないな。
甘めのだし巻き卵だ。それこそ、子どもが好きそうな…。しかし、塩味がないわけではなく、甘じょっぱさがちょうど良い。
味噌汁は白味噌か、うん。これも。朝にふさわしい優しい味だ。食欲がない時でも食べられる。
「あらあら〜。」
「…?」「どうしました?」
幽々子と紫姉さんが吾と妖夢を見て、笑顔になっている。…なんだと吾ら二人は顔を見合わせ、キョトンとしていた。
「まるで夫婦ね〜。微笑ましいわぁ〜。」
「なっ!?…いえ。まだです。私はユタさんにとっては、3人目です。いくら、幻想郷が外の世界の理屈で考えない世界だとしても、私は私が納得いく形でユタさんにお付き合いを申し上げると決めたんです。…たとえ、今日じゃなくても後日、ユタさんに…お師匠様に勝てば良い。私はずっと、ユタさんをお慕いしておりますから。」
…それはもはや、言ってしまっているのではないか。と、言ってしまいかけるも彼女の慎ましく健気に微笑むその顔に…言う気を無くしてしまった。
「…お師匠様。朝食後、最後のお手合わせをして頂けないでしょうか。」
「…最後…?」
「ええ。いくら、お師匠様でも私なんかと時間を過ごすより、彼女さんと時間を過ごされた方がいいと思いますので。」
…心が痛い。その清々しいまでの笑顔に目を背けたくなる。この数日間、彼女は一人、待ってくれていたのだ。…答えねばなるまいな。
「勿論だ。…だが、手加減はしない。」
「はいっ。」
朝食後、吾ら二人は庭へ。姉さんらは縁側でこの戦いを見届けるとのこと。二人とも木刀を持ち、足を引き、静かに見合わす。
「…行きます。」
「…来いッ!!」
「てやぁぁぁッ!!」
先手は妖夢。走り出し、横薙ぎに叩き込む。
それを吾は逆手持ちで受け止め、弾く。
しかし、すかさず二手目の妖夢。下右斜めの剣戟を繰り出す。
…すごい。たった一日で吾を翻弄する速さを手に入れた。やっぱり彼女は天才だ。…だが、こんなところで負けては示しがつかない。
「ぬぅんッ!!」
「ッ!!」
妖夢の縦の一撃。それを吾も縦の一撃で受け止め、上へと思いっきり弾き返す。
妖夢は吹き飛ばされるも、すぐに形成を立て直し、吾に走りながら斬りかかる。
…これは…すぐに終わるな。
「…ハァァァッ!!」
「…ッ!!」
…結果はこうだ。
たった一瞬の隙を、剣先が喉元に触れた。小さな腕に握られた木刀が吾の喉元に触れている。
「…見事ッ。」
…決して、油断はしていない。
お互い、本気でやってのこの結果。幽々子も姉さんも…そして、妖夢も最初は何が起こったか理解してはいなかったが、すぐにドッと湧き上がった。
「すごいわッ!!妖夢ッ!!」
「あぁ。全く。数日で吾を超えやがって。」
呆然としている妖夢の頭をポンっと軽く叩く。叩かれた瞬間、目を閉じる彼女だったが、すぐに優しく微笑んだ。
「…ほんとに、私、勝ったんですね…っ。」
「あぁ。吾も本気だった。手加減無しでお前が勝ったんだ。」
「ほんとに…ほんとに…っ…。」
…妖夢の目には大粒の涙が浮かんでいる。
だらしなく吾に抱きつき、泣きじゃくる妖夢。まるで子供のように吾の胸に顔を擦り付け、泣いている。
「ふふっ。そんなに泣くことないじゃないか。」
「ひぐっ…だってぇ〜…!!嬉しくてぇ〜…ぐすっ!!」
「ほら、妖夢。何か、愈咫郎くんに言うことないの?勝ったら言うんでしょ?」
幽々子が妖夢の耳元でそう言う。
妖夢は頷き、袖で涙を拭くと再び、あの輝く笑顔で吾に向いた。少し頬が赤い。
「…ユタさん。私、ユタさんのことが…す、好きですっ!!私とも…お付き合いしてください…。お願いしますっ!!」
「…あぁ。」
ここで断る程無粋なことはこの世にない。
その言葉を聞いてか、妖夢はまた吾の胸に飛び込んできた。次は泣いていない。ぱぁっと開いたような笑顔だ。
「嬉しい…。ユタさん、大好きです…。」
「…妖夢は甘えん坊だなぁ。」
「えへへ。…ユタさん、チューしてください。」
「今、ここでか?」
…幽々子と姉さんも見ているが。据え膳食わぬはなんとやら…だ。目を閉じ、口を少し窄める妖夢の口にゆっくりと重ねた。その唇はとても柔らかく、妖夢の匂いが鼻いっぱいに広がった。
「あらあら〜。アツアツねぇ〜。」
「…ぷはっ。」
「…キス、しちゃった。」
「しちゃったな。」
…顔を赤らめ、唇に触れる妖夢。そして、満面の笑みになった。
「…えへへ〜。少し恥ずかしいですね。」
「ふふっ。そうだな。」
…秋風が熱くなった顔を優しく撫でる。
その後は昼飯を食べ、紫姉さんに送ってもらった。最後に妖夢はまた吾の頬にキスをして、優しく笑っていた。
「…藍ちゃんにもあんな感じでよろしくね。」
「勿論だ。」
…そう言って、紅魔館に帰っていった。そのあと、咲夜に抱きつかれたのは言うまでもない。
2話出すと言ったな。…単純に無理でした。さて、活動報告にも書きました通り、この『人斬り武者の幻想歌』がR18日間ランキングの48位にランクインしました!!…いやぁ、今まで読んでくださった皆様、感想で応援してくださった皆様、そして、こんな拙い作品を評価してくださった皆様、有難うございます。これからも僕が書きたい可愛い女の子、そして、楽しい作品をつくることを日々目指して、精進していきたいと思ってます。
もうすぐお気に入りも100人いきそうです。
100人いったらそろそろ、咲夜さんと愈咫郎の…まだ秘密です。その前に妹紅編です。妹紅編は愈咫郎にとって、一度目の山場になるかと思います。オリキャラ戦も書きますが、まぁ、そんなに思い入れもしないでしょう。では次回。ではでは。
ハーレムって何人まで許容範囲?
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10人以下でおなしゃす!!
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まぁ、ちょっと多いけど20人?
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ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!