※この作品はR-18です。

人斬り武者の幻想歌   作:紳爾零士

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四杯『夢の跡』

「…ハァ…ハァ…。」

 

浴びる鮮血。滴る血液。

月光に照らされた眠る街、江戸で人が次々に姿を消す。肩からの一閃、斬られた首、背に一閃…その死に方は十人十色。

 

「やめてくれ…!!まだ小さな息子が居るんだ…!!な…?」

 

「…この期に及んで命乞いとは…。武士として不甲斐無し。」

 

「なっ!?」

 

声も出さずに人が死ぬ。

振るった刀に斬られ、人が死ぬ。鮮血が宵闇に飛び死んで行く。見られぬよう路地裏で。夜の街で。

 

「…。」

 

人は今の吾を見て、どう思うか。

阿鼻叫喚、有象無象の戯けどもが人殺しと曰うのか。…悪くない。それが吾としての生き方なのだから。

 

「流石やなぁ、朱智くん。」

 

血塗られた街道の道を歩く人物。城を背に歩いてくる。

 

「…千石…。」

 

江戸御庭番衆、千石三太夫。

隠密部隊に属しているにも関わらず、金色の羽織を羽織っている。ザンバラ頭の人物。正直、好きではない。

 

「人斬り愈咫郎…別名『江戸の鎌鼬』。気づけば、斬られ、殺されている目をつけられたら最後の武人。…アンタ、本当にいけ好かへんなぁ。俺の仕事増やしよって…。」

 

「…知らぬ。御庭番衆ならば、少しは仕事に身を入れろ。目の前に人殺しがいるのだぞ…?」

 

「阿呆か。殺しに殺しで答えたら、そりゃもう同罪や。お前は地獄で閻魔様に裁かれたらええ…。それか…そのうち俺が噛み切ったる。」

 

…この男は読めない。

その自由さと残虐さから『蝮』と呼ばれている。今夜のように会う時はあるが、大体は話し合いで終わる。無駄な血は流さない主義らしい。

 

「…同じではないか。」

 

「一方的やったら良いんとちゃう?…なぁんてな。アンタとはじっくり喧嘩したいんや。お互い、殺される前にな。」

 

「…ふん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…。」

 

懐かしい夢を見た。

アレは江戸街道の話だったか。結局、太夫とは一度も対峙せず、お互い死んだ。なんともやるせない話だ。

 

…しかし、此処の布団はふかふかでいい。

あんな夢を見るくらいには安眠できた。今までの煎餅布団とは違うな。部屋も一軒家の居間くらいには広い。吾には勿体無いほどだ。

 

そんなことを思っていると、扉がコンコンと叩かれた。

 

「…?」

 

「ユタ、朝ごはんよ。」

 

咲夜の声だ。

…そうか。もうそんな時間か。

 

「あいわかった。」

 

…それだけ言うと洋風箪笥の中から、着替えを出す。レミリア嬢の用意してくれた黒い甚平だ。燕尾服などという物は好かん。それならとレミリア嬢のご意向で用意して頂いた。

 

「…さて。」

 

扉を開け、食堂へと向かう。

 

「すまぬ。遅れたな。」

 

「あら、やっぱり似合ってるじゃない。愈咫郎。」

 

食堂の一番目立つ席に座るレミリア嬢がそう言った。

 

「ねえ。咲夜。」

 

「…。」

 

…なんだ?咲夜のやつ。じっと見て…。吾の甚平姿、それほど変か。無言のまま、吾に近づいてくる。…やはり、昨日のアレが不味かったのか…?

 

「…。」

 

「…な、なんだ…?咲夜。」

 

「ゴミ、ついてるわ。あと、ちょっと前髪跳ねてる。」

 

そう言うと襟元についていた埃を摘み、吾の前髪を手で整え、咲夜はニコリと微笑んだ。…少し小っ恥ずかしい…が、悪い気はしない。

 

「あらあら。」

 

…何故か、レミリア嬢がニヤニヤとしている。

主君が笑っていて、この上ない悦の筈だが、なんとなく複雑だ。

 

「さて、愈咫郎。座ってちょうだい。食事にしましょう。」

 

「…御意。」

 

…ふむ。洋食とはあまり食べたことがないな。

南蛮渡来の金平糖やワインは口にしたことがあるが、この汁物は…なんだ?

 

「…美味い…。」

 

…しみじみと骨まで染み渡る…。玉ねぎの甘味がよく出ていて、ほのかに胡椒の香りが鼻を刺激した。

 

隣のパンとやらも美味い。

硬いパンにオリーブの油が塗られている。そこまでしつこくなく上品だ。米派ではあるが、これはこれで…良い朝食だ。

 

「…馳走になった。」

 

「はやっ…!!もっとゆっくり食べなさいよ。」

 

「すまぬな。レミリア嬢。…こんな美味い飯、生涯で一度も食べたことがなかったゆえ…!!」

 

自然と顔が綻ぶ。

旨味の幸福感と初の体験に腹の虫も満足したようだ。

 

「へぇ〜。良かったわね。咲夜。」

 

「はい。」

 

…なるほど。咲夜が作ったわけか。

料理も上手い、気遣いもできる、更に戦闘も強い。中々な良妻になりそうだ。

 

「さて、皆んな食べながらで聞いて良いわ。先ずはこの人。私の用心棒兼新しい家族の朱智愈咫郎よ。」

 

…ふむ。確かに新顔が何人か鎮座してらっしゃる。紫髪の女性と赤髪の中華風の服を着た女性、それに…あれはレミリア嬢の妹君か。

 

「…朱智愈咫郎と申す。ただの武士だ。宜しくお願いする。」

 

「あー!!私の部屋にいたお兄さんだ!!良かったぁ!!食べ物だと思って食べちゃいそうだったよ。」

 

…それは危なかったな。

吸血鬼の食べ物は腐っても人と言うことか…。

 

「あっ、私、レミリアお姉様の妹のフランドール・スカーレットよ!!宜しくね!!愈咫郎さん!!」

 

「…うむ。宜しく頼む。」

 

…レミリア嬢とは違う身体的な年相応の笑み。美しいではなく、可愛らしいと言った方が正しいだろうな。

 

「…私はパチュリーノーレッジ。宜しくね。」

 

紫髪の女性が次に名乗り出る。

どこか気怠げで、かつ、奥ゆかしい美人とも言える。

 

「はいはーい!!私は紅美鈴です!!宜しくお願いしますね!!愈咫郎さん!!」

 

「うむ。よろしく頼む。」

 

…とても元気のいい女性だ。

よく鍛えられている。それでいて、何処か不気味な強さがあるな。単なる殴り合いなら勝ち目はないだろう。

 

「お互い、自己紹介は済んだわね。…さて、今日は大事な話があるわ!!」

 

「…偉く急ね。レミィ…。」

 

…同意だ。まだ顔を合わせてレミリア嬢ですら一日しか経っておらぬ。それでいきなりとは…。いや、吾だけか?

 

「ふふっ。簡単よ。…我々、紅魔館は幻想郷で異変を起こすわ!!」

 

「「「…は?」」」

ハーレムって何人まで許容範囲?

  • 10人以下でおなしゃす!!
  • まぁ、ちょっと多いけど20人?
  • ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!
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