「…ハァ…ハァ…。」
浴びる鮮血。滴る血液。
月光に照らされた眠る街、江戸で人が次々に姿を消す。肩からの一閃、斬られた首、背に一閃…その死に方は十人十色。
「やめてくれ…!!まだ小さな息子が居るんだ…!!な…?」
「…この期に及んで命乞いとは…。武士として不甲斐無し。」
「なっ!?」
声も出さずに人が死ぬ。
振るった刀に斬られ、人が死ぬ。鮮血が宵闇に飛び死んで行く。見られぬよう路地裏で。夜の街で。
「…。」
人は今の吾を見て、どう思うか。
阿鼻叫喚、有象無象の戯けどもが人殺しと曰うのか。…悪くない。それが吾としての生き方なのだから。
「流石やなぁ、朱智くん。」
血塗られた街道の道を歩く人物。城を背に歩いてくる。
「…千石…。」
江戸御庭番衆、千石三太夫。
隠密部隊に属しているにも関わらず、金色の羽織を羽織っている。ザンバラ頭の人物。正直、好きではない。
「人斬り愈咫郎…別名『江戸の鎌鼬』。気づけば、斬られ、殺されている目をつけられたら最後の武人。…アンタ、本当にいけ好かへんなぁ。俺の仕事増やしよって…。」
「…知らぬ。御庭番衆ならば、少しは仕事に身を入れろ。目の前に人殺しがいるのだぞ…?」
「阿呆か。殺しに殺しで答えたら、そりゃもう同罪や。お前は地獄で閻魔様に裁かれたらええ…。それか…そのうち俺が噛み切ったる。」
…この男は読めない。
その自由さと残虐さから『蝮』と呼ばれている。今夜のように会う時はあるが、大体は話し合いで終わる。無駄な血は流さない主義らしい。
「…同じではないか。」
「一方的やったら良いんとちゃう?…なぁんてな。アンタとはじっくり喧嘩したいんや。お互い、殺される前にな。」
「…ふん。」
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「…。」
懐かしい夢を見た。
アレは江戸街道の話だったか。結局、太夫とは一度も対峙せず、お互い死んだ。なんともやるせない話だ。
…しかし、此処の布団はふかふかでいい。
あんな夢を見るくらいには安眠できた。今までの煎餅布団とは違うな。部屋も一軒家の居間くらいには広い。吾には勿体無いほどだ。
そんなことを思っていると、扉がコンコンと叩かれた。
「…?」
「ユタ、朝ごはんよ。」
咲夜の声だ。
…そうか。もうそんな時間か。
「あいわかった。」
…それだけ言うと洋風箪笥の中から、着替えを出す。レミリア嬢の用意してくれた黒い甚平だ。燕尾服などという物は好かん。それならとレミリア嬢のご意向で用意して頂いた。
「…さて。」
扉を開け、食堂へと向かう。
「すまぬ。遅れたな。」
「あら、やっぱり似合ってるじゃない。愈咫郎。」
食堂の一番目立つ席に座るレミリア嬢がそう言った。
「ねえ。咲夜。」
「…。」
…なんだ?咲夜のやつ。じっと見て…。吾の甚平姿、それほど変か。無言のまま、吾に近づいてくる。…やはり、昨日のアレが不味かったのか…?
「…。」
「…な、なんだ…?咲夜。」
「ゴミ、ついてるわ。あと、ちょっと前髪跳ねてる。」
そう言うと襟元についていた埃を摘み、吾の前髪を手で整え、咲夜はニコリと微笑んだ。…少し小っ恥ずかしい…が、悪い気はしない。
「あらあら。」
…何故か、レミリア嬢がニヤニヤとしている。
主君が笑っていて、この上ない悦の筈だが、なんとなく複雑だ。
「さて、愈咫郎。座ってちょうだい。食事にしましょう。」
「…御意。」
…ふむ。洋食とはあまり食べたことがないな。
南蛮渡来の金平糖やワインは口にしたことがあるが、この汁物は…なんだ?
「…美味い…。」
…しみじみと骨まで染み渡る…。玉ねぎの甘味がよく出ていて、ほのかに胡椒の香りが鼻を刺激した。
隣のパンとやらも美味い。
硬いパンにオリーブの油が塗られている。そこまでしつこくなく上品だ。米派ではあるが、これはこれで…良い朝食だ。
「…馳走になった。」
「はやっ…!!もっとゆっくり食べなさいよ。」
「すまぬな。レミリア嬢。…こんな美味い飯、生涯で一度も食べたことがなかったゆえ…!!」
自然と顔が綻ぶ。
旨味の幸福感と初の体験に腹の虫も満足したようだ。
「へぇ〜。良かったわね。咲夜。」
「はい。」
…なるほど。咲夜が作ったわけか。
料理も上手い、気遣いもできる、更に戦闘も強い。中々な良妻になりそうだ。
「さて、皆んな食べながらで聞いて良いわ。先ずはこの人。私の用心棒兼新しい家族の朱智愈咫郎よ。」
…ふむ。確かに新顔が何人か鎮座してらっしゃる。紫髪の女性と赤髪の中華風の服を着た女性、それに…あれはレミリア嬢の妹君か。
「…朱智愈咫郎と申す。ただの武士だ。宜しくお願いする。」
「あー!!私の部屋にいたお兄さんだ!!良かったぁ!!食べ物だと思って食べちゃいそうだったよ。」
…それは危なかったな。
吸血鬼の食べ物は腐っても人と言うことか…。
「あっ、私、レミリアお姉様の妹のフランドール・スカーレットよ!!宜しくね!!愈咫郎さん!!」
「…うむ。宜しく頼む。」
…レミリア嬢とは違う身体的な年相応の笑み。美しいではなく、可愛らしいと言った方が正しいだろうな。
「…私はパチュリーノーレッジ。宜しくね。」
紫髪の女性が次に名乗り出る。
どこか気怠げで、かつ、奥ゆかしい美人とも言える。
「はいはーい!!私は紅美鈴です!!宜しくお願いしますね!!愈咫郎さん!!」
「うむ。よろしく頼む。」
…とても元気のいい女性だ。
よく鍛えられている。それでいて、何処か不気味な強さがあるな。単なる殴り合いなら勝ち目はないだろう。
「お互い、自己紹介は済んだわね。…さて、今日は大事な話があるわ!!」
「…偉く急ね。レミィ…。」
…同意だ。まだ顔を合わせてレミリア嬢ですら一日しか経っておらぬ。それでいきなりとは…。いや、吾だけか?
「ふふっ。簡単よ。…我々、紅魔館は幻想郷で異変を起こすわ!!」
「「「…は?」」」
ハーレムって何人まで許容範囲?
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10人以下でおなしゃす!!
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まぁ、ちょっと多いけど20人?
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ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!