皆さんは文さん派?椛派?それとも…どっちも?
「ユタ、お客さんよ。」
「ん?」
…朝飯を終え、少し時間を潰しに本を読んでいたところを咲夜がやってきた。…来客?紫姉さんなら無断で部屋にスキマを繋いでくるし、他の彼女らは自分からはやってこない。…となれば、玄関からやってくる吾に用のある人物など限られてくる。知り合いならという話だが。
「一体誰だ。」
「天狗よ。貴方が好きそうな子もいるわ。」
「…天狗?」
…天狗ってあれか。
昔、牛若という青年が剣術を習ったという…。伝説だから、よくわからんが、改めて此処はなんでもいるなと思う。…とりあえず、客人を待たせるわけには行かないので、客間へと足を運ぶことにした。
「あ、お忙しい中どうもすみません。」
…客室を開けると上手の方に二人の人物が座っていた。一人は山伏のような帽子と白いシャツ、黒いスカートに一皮目を引く大きな黒翼。…彼女が天狗なのだろう。もう一人は…なるほど。吾が好きそうだというのはこういう意味か。真っ白な服に黒と赤のスカート、更には目を引くのは頭頂部にある犬耳。…そういえば、藍にもあるが触ったことはない。今度、触らせてもらおう。
「私が射命丸文と言います。文々。新聞という新聞を書いております。今回は新しく幻想郷に来たお侍さんが居ると里の住人に聞きまして、取材したいと思い、足を運んだ次第です。」
終始笑顔が絶えない天狗…射命丸文殿がそう言った。
「彼女は助手の…。」
「…犬走椛です。」
犬耳の女性、犬走椛殿は少し困ったような疲れたような…そんな笑みを浮かべていた。
「ご丁寧にどうも。吾は紅魔館で護衛まがいのようなことをしております。朱智愈咫郎と申します。」
「いやいや、此方こそどうも。…早速なのですが、愈咫郎さん。いくつか、質問させて頂きたいのですが、宜しいでしょうか。」
「はい。…ですが、吾にも個人情報というのがあります。こういうことは初めてなのであまり分かりませんが…。」
「そうですか…。清く正しく、懇切丁寧に紙面にいたしますので、大丈夫ですよ。」
…そう、笑顔で言う文殿。…彼女には申し訳ないが、その清く正しいという枕詞が余計、不安にさせる。隣の椛殿も少し苦笑いをしている。…まぁ、興味がないわけではないし…。
「いいでしょう。文殿。しかし、嘘偽りのないようお願い致します。」
「あややや…。大丈夫ですよ。…そして、その殿というのはおやめください。椛、文で結構ですし、敬語も必要ありません。…では、早速ですが…。」
そう言うと肩掛けの鞄から小さな本とペンを取り出す文。
「では、まず、愈咫郎さんのことについてお教えください。なんでもいいです。」
「…ふむ。では…。」
吾は吾が喋れる全て…趣味、特技、交友関係…全てを答えた。
「…な、なかなか、モテる方ですね…。」
少し文が困惑しているのがわかる。
…ちゃんと幽香の件は濁したぞ?隣の椛は付き合うという単語が出た時点で、少し顔を赤らめている。…うぶな方なのかもしれない。
「…節操なしと言われればそうだろうが、吾は吾なりに筋を通して、彼女らと付き合っている。二人でいる時は少なくともちゃんと彼女らと寄り添うつもりだ。…こういうのは、嬢ちゃんら的には不服かい?」
「いえいえ、人の恋沙汰まで口を出すような野暮ではありませんよ。…しかし、数多くの女性を魅了する力…。妖怪が多いともなれば、それは男性的な魅力もあると思いますが、勿論、性的な魅力も強いのでしょう?…少し試したい気持ちも…。」
「文様ッ!!」
ぶつぶつと言葉を紡ぐ文。それに対して、顔を真っ赤にして声を荒げる椛。…耳がツンと立っている。
「じ、冗談ですよ。」
「もうっ!!そ、そういうのはちゃんとお付き合いした…だ、男性としてくださいっ!!…すみません。愈咫郎さん。上司が、こんなお話を…。」
「いえいえ。」
…勢いよく頭を下げる椛。なんというか、生真面目な子だ。正直、そっちの方が少し戸惑う。
「すみませんね。私も椛も処女ですので、そういう話には厳しいんですよ。」
「あ・や・さ・まッ!!」
顔を赤く染め、文に対して、語気を強めて怒る椛。上司に振り回される典型的な部下の形だ。少し可哀想にも思う。
「…こほん。話を変えましょう。さて、外では人斬りをしていたとのことですが、何故、人斬りになったのでしょうか。」
「…ふむ。」
…少し思い出したくない記憶だ。
ここに来て、その記憶に寄り添うことは決めたが、好き好んで思い出したくはない。
「…小さな頃、親父のように慕っていた人間をその実父に殺さされた。眠っているところを一突き。その人は痛みに起き上がるも、吾と気づくや否や、笑って抱きしめてくれた。そこからだろう。吾がその人物の駒となったのは。」
「…文様。これ以上は…。」
吾を不憫に思ったのか、文の隣の椛が文を止めた。
…優しい子だな。
「…そうですか。これは記事にはしないでおきましょう。では、次に好きなものは動物全般とおっしゃりましたが、何故、好きなんですか?」
「…そんなこと、聞いていて楽しいだろうか。」
「ええ。こんな話題の絶えない郷です。平和な時期はとにかく、ゴシップに飢えてるんですよ。特に…何もわからずの外の人間。どんなに小さなことでも伝えるのがジャーナリズムというやつです!!」
…ふむ。力説されるも少し…いや、だいぶとわからん。ジャーナリズムとやらはだいぶと難しいものなのだな。…ま、その程度のことなら。
「好きなものに理由などない。…ただ、吾の場合、憧れも強いだろうな。」
「憧れ…ですか?」
「あぁ。人に飼われた犬や猫。彼らはどれだけの寵愛を受けていたのか。…少しそれが吾にとっての救いだった。癒しだった。だから、好きなのだ。」
…しまった。湿っぽい話にしてしまった。
「…そうですか…。なら、ウチの椛の耳でも触ってやってください。」
「なッ!?あ、文様!?」
「い、いいのか?」
…正直、とても魅力的な提案だ。
椛の肩を持ち、此方へぐぐぐっと寄せてくる文。
「ええ、椛ったら私と天魔様以外の人に撫でられたことがないんです。これを機に、他の人にも慣れておいた方がいいかと。それに貴重なお時間を頂いたお礼です。…なんなら、私の翼もつけますよ?」
「文様ッ!!私は良いなんてッ!!」
…ピクピクと動く犬耳。それに髪も非常に綺麗だ。
「…わかった。」
「そうですよ。こんな急なこと…ってえぇーッ!?」
椛が声を荒げた。…これは触らねば損というやつだろう?
「おや、意外とノリのいい方ですね。」
文が悪戯に笑う。…初対面でここまでするのはあれだが、断るのも…なんとなく、気がひける。まぁ、欲望に忠実なだけだが…。
「うぅ〜…。わかりました…ッ!!…その、優しくしてください…。」
「…。」
涙目で此方を睨み、その後、少ししおらしくなる椛。…怯えた犬だとも思ったが、やはり、女性は女性だ。妙な気分になる。その頭に…ゆっくりと手を伸ばす。
「ひゃっ…!!」
「…っ。」
頭にポンっと手を置いてみる。
…なかなかこれは。毛並みが非常に柔らかく、手触りがいい。耳も触ると少しびっくりしたような声が出た。
「そこっ…敏感でぇっ…!!」
「…ふむ。」
「どうですか?もみ耳の感触は。気持ちいいでしょう?」
「あぁ。…だが、病気になられてもダメだ。この程度にしておく。」
…ふぅ…ふぅ…と少し顔を赤らめながら、息を整える椛。…髪が乱れてしまった。まぁ、自分で整えているからいいだろう。
「さて、これで我々はお暇させて頂きますので…。え?ちょっと、椛さん?」
…逃げようとする文を椛がガシッと掴む。まさに因果応報だな。
「あ〜や〜さ〜ん?…翼、お礼に触らせるって…言いましたよね…?」
「あ…あの…私も…そこは敏感…と言いますかぁ…。」
「…愈咫郎さん、もう弄りまくっちゃってください。それはもう猛烈に。」
…なんか不憫だが、此方としては願ったり叶ったりだ。
「ゆ、愈咫郎さん?や、やめ…。あうっ…!!」
…なるほど。なんというか、しっかりとしている。大きな翼だから当たり前のことだろうが、一羽一羽がしっかりと硬く、頑丈である。
「…ありがとう。貴重な体験ができた。」
「はぁ…はぁ…そ、それは…よかったです…。」
触った後、文も息を切らし、少し顔を赤らめていた。…そのあと、二人は帰っていったが、客間に立ち寄った美鈴に勘違いされたのはまた別の話である。
文さんと椛って不仲なんだよね。公式設定。
まぁ、仲良くてもいいでしょう。ハッハッハッ…。(書き始めて気が付いた)
バッドエンドってあり?
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ハッピーエンドになるなら展開としてあり
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見たくないから無し