…まぁ、といっても最初は違うわけですが。
「…これはまた。」
下から見上げれば壮観だ。青々と茂る大山を見上げる。山頂なんて余裕で見えん。
番傘を頭に被り、やってきたは妖怪の山。理由は単純で些細なことだ。先日、文、椛との取材を見て、興味を持ったとある者が吾を呼び出した。…しかし、そのとある者が重要なのである。手紙の内容はこうだ。
『是非、一度お目にかかりたく、この手紙を送る。読み次第、どうか、貴君お一人で妖怪の山へと足を踏み入れたし。妖怪の山、天狗の長、天魔』
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紅魔館を出るほんの数刻前
「大丈夫?」
咲夜が言った。顔は少し沈み、不安げを一切隠していない。吾はふっと微笑んだ。
「あぁ。何があっても生きて帰ってくる。大丈夫さ。」
…しかし、妙な感覚も覚えてはいる。確実に、加筆された跡があるのだ。後で書き足したいと天魔と言う者が書き足したのならそれでよし。…ただ筆跡がぱっと見ではあるが、違う気がする…。
「わ、私も着いていきましょうか?」
咲夜が吾の顔を覗き込む。
…もしも、咲夜と夫婦になったら、いつもこんな風に迎えてくれるのだろうか。そう思うとすこし緊張がほぐれた。
「例えば、もし。もしよ?最悪の場合、天狗が貴方を狙ったりしたら…。あの新聞には包み隠さず貴方のことが載っていたし、天魔様が何れ、貴方を脅威となるものとして排除しようとしているなら…。」
「…ならば、よほどお前らは来ない方がいいな。」
「…なんで?」
珍しく咲夜が少し怒っている。言葉の随所随所にそんな感覚を覚えた。
「引き金が外の者。ならば、お前達が出てこの件を大ごとにしてしまえば、例え戦争になってもならずとも、それは異変になってしまう。しかも、種族間というのはめんどくさいものだ。…少しでも拗れれば、一生終わらぬ呪詛となる。」
「でも、いくらユタだって…!!」
「なにも本当に戦争が起こるわけじゃないんだ。ただ天魔と会ってくるだけ。…それに吾は死んでも死なない。」
不安げな咲夜をぎゅっと抱きしめる。
…咲夜なら上手くやれるだろう。しかし、その話がもし真実になり得るならば…。咲夜たちが介入すれば余計話が拗れる。
「…でも、死ぬことは許さないから。もし危ないと思ったら、紫を呼んで逃げることッ!!…いい?」
「…わかっているさ。」
…あの人はこういう話には入りたがらないと思うが…。
「…そうだ。一つ、頼まれてくれ。」
「なに?やっぱり着いていってほしい?」
「違う違う。」
それでは話が振り出しに戻ってしまう。咲夜が居るのは心強いが、もし、紅魔館、引いては人里、幻想郷全土に天狗達の襲撃が起これば、大惨事は目に見えている。
「————。」
「え?…それって。」
「…どうだ。頼まれてくれるか?」
…咲夜は深く考えず、首を縦にこくっと振った。その後、静かに彼女から、唇を重ねて、吾は紅魔館を出たのであった。
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…そして、現在。吾は山登りを行なっている。生前はこれほど立派な山に登る機会はそうなかった。周りを見れば、木、木、木…。虫の声が秋の到来を感じさせる。…木陰が少し冷えるな。もう少し厚着で来るべきだったか。
「…しかし。」
同封されていた地図のようなものを見る。これでは前後左右、よくわからん。なんだこれ、試されているのか?ただ、墨でちょろちょろっと描いただけに見える。…これを使って歩けなんてとてもじゃ無いができない。入る前に気づくべきだったな。やれやれ。
草鞋で山道をただ踏みしめる。少し土が柔らかい。鼻にもなんとなくであるが、腐葉土の臭いがする。…あの、山というか…雨降り後の段々畑の臭いだ。…というか。
「…おかしい。」
顎に手を当て考えるが、妙だ。視線は感じるというのに、気配がない。…もう確実に取り囲まれているのはわかる。
「…何者だ。出てこい。」
バサッと音がする。…大振りの羽根の音。
スタッと目の前に降りてくるのは大きな羽根と巨大な体躯の大男だった。
「貴様こそ何者だ。此処が我々天狗の拠点、妖怪の山だと知っての所業か。」
「…無論承知。吾はこの山の天魔に会いに来た。」
…そう言うと周りがざわざわとざわめき出した。人数的には十数人ほどか。…天魔の名を出すと前の大男がキッと睨みだした。
「天魔様に?…貴様のようなただの人間風情が…。そうやすやすとあの方の名を出すなッ!!」
激昂している。…よほど、天魔とやらが地雷なようだ。
「本当だ。…なんなら、確認してくれてもいい。」
「…確認?必要ないな。人間なんてのが信用できるわけない。それに貴様、射命丸と犬走が昨日、取材しに行った侍とやらではないか。…聞いているぞ?八雲紫とも繋がりがあるとか。」
「あぁ。義理の姉だ。…それが何か問題あるか。」
「…当たり前だ。ただでさえ、八雲紫だけでも手に負えんのにその義理の弟だと?…妖怪の山に戦争でも起こしに来たのか。厄介者どもめ。」
…少し私怨も見える。もちろん、筋は通っていない。山を守りたいと言っているように見えるが、紫姉さんのおかげで此処にいられると言うことを知らないのか。
「素直に引き返せば、命だけは取らないでおいてやろう。我々は急に現れた神社の調査で忙しいのだ。」
「…それは出来ん。貴様らが天魔の使いなら話を通してもらおう。それまで、吾は帰ることができないからな。」
そう言うと男の顔がわかりやすく引き攣った。周りの天狗たちも槍を構えて吾を見る。…罠だったか、或いはこの天狗たちが急いでいるかの二択だ。先程のやつのセリフ、『急に現れた神社』などと言っていたな。ならば、それに関係する…或いは不審な人間に気を張るのは当たり前か。
「言ってもわからぬか。人間よ。これだから、下等な人間は困るのだ。力の差も、人数の差もわからぬ。この人数を一人で相手にできるものならやってみよ。この妖怪の山を貴様の墓場にしてくれるわ。」
「…やるしかないか。」
刀を抜き、剣先を男へと向ける。
男は翼をばさりと羽ばたかせ、吾を冷ややかに見下した。
「…チッ。」
「仕方ないから相手をしてやろう。しのごの言わず、かかってこいッ!!」
「…やれ。」
その言葉とともに周りの天狗どもが向かってきた。
元々二話前に入ろかなと思っていました。続きは思いつき次第書きます。風神録は導入は強引ですが、まぁ、良いかなと。あと、やってないので本来どういうものかはわかりませんが、5本戦の武闘会みたいなのを予定しております。まぁ、博麗神社より守矢神社の方が信者が欲しいし、守矢神社の方が優れているから、博麗神社に守矢の分家みたいなんになれみたいな話だと思ってます。違ったらすみませんw
では次回。この戦闘は力入れて書きたいっすね…。