※この作品はR-18です。

人斬り武者の幻想歌   作:紳爾零士

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個人解釈があります。ご注意ください。


五十五杯『開幕の狼煙』

「さぁッ!!作戦会議するわよッ!!」

 

霊夢の声を皮切りに話し合いが始まる。

…例の5番試合の件だ。本日、早朝。博麗神社にひとりの女性がやってきたとのこと。その女は霊夢に会うなり、「この神社を分家にする。幻想郷の信仰は守矢神社のものだ。」と宣戦布告。そして、折られた謎の紙を渡されたと。そこには日付と5番試合をやる、幻想郷から5人連れてこいとの趣旨。それで勝った方が負けた方の土地を頂く。と書かれていたらしい。

 

「てかさぁ、ここってそんなに信仰って大事にするところだったか?さっき、賽銭もユタローが入れたぐらいしか入ってなかったぜ?」

 

「うっさい。色々あんのよ。こっちにも。…あー。愈咫郎が毎日来てくれたらなぁ?」

 

チラッチラッと吾の方を見る霊夢。別に博麗神社以外でも賽銭ぐらい入れるが…。

 

「こらっ。ウチの従者を金ヅル扱いしないでくれるかしら。」

 

「してないわよ。アンタも賽銭ぐらい入れなさいよ。レミリア。」

 

「嫌よ。それなら、自分のために使った方がだいぶとマシよ。」

 

「ねー。愈咫郎?もっと頻繁に来て良いのよ?」

 

…霊夢が甘えたような声を出して、吾に言ってくる。頻繁に来るような場所でもないがな。藍に会う時も紫姉さんが飛んできてくれるし…。

 

「ダメよ。ユタ、物欲がないからお小遣いもあんまり使ってないじゃない。」

 

「ちぇっ。財布の紐は彼女が握ってんのね。」

 

…確かに。小遣いとして渡されたものがここ何ヶ月か…溜まりに溜まっている。そもそも、無職というわけではなく、紅魔館の従者なのだが、殆どの収益はレミリア嬢と咲夜からの小遣いである。どうでも良い話ではあるが。…そろそろ、小傘のところにも顔を出しておきたいな。

 

「おい。なんのために集まったんだよ。私たちはユタローの懐事情よりも今は博麗神社を守る為の作戦会議だろ?」

 

「そうだった。ありがとう、魔理沙。で、作戦会議なんだけど…。そこにいる三太夫とかいう奴も出るわけ?」

 

…なぜか中に入ってこない太夫を霊夢が呼んだ。

 

「あ゛?まぁな。騒ぎあるとこに三太夫ありや。ええ仕事するでぇ?」

 

「まぁ、それなら良いけれど。…それと向こうで確定に出てくるのが、あの早苗とかいう巫女と黒葉っていう天魔か。早苗はなんとかなりそうだけど、天魔は問題ね。愈咫郎でも勝つのは難しかったんでしょ?」

 

「あぁ。あれは勝つ以前の問題だった。」

 

そもそも勝負になっていなかった。霊夢なら勝てるだろうが、力だけなら話は別だ。

 

「なら、そこは考えないとね。」

 

「…後3人か。」

 

「とんでもない隠し球を用意してそうやな。例えば…神社やから神さん…とか?」

 

神様…か。あり得ない話ではない。妖怪やら幽霊やらがいる世界だ。神様だっているはず…。

 

「…まぁ、神職があるくらいだものね。私と魔理沙、それと咲夜で終わらせるわ。愈咫郎と三太夫が弱いわけじゃないけど、天魔やそれ以上の敵が現れるとして、戦力になるかは怪しいわ。」

 

「んな殺生なぁ〜。俺も死合うてみたいわ。それが、たとえ神さんでも。いや、神さんやからこそ…。」

 

「やめとけ。…流石にお前でも相手が悪すぎる。でしゃばって倒されて足引っ張りたくはないだろ。」

 

「…ヒヒッ。足を引っ張るかなんて毛頭ないわ。アンタみたいに守りたいもんなんてないしな。俺は俺がやりたいようにやるだけや。」

 

…そう、吾に笑いかけてくる太夫。

 

「…どうなろうとも、吾はレミリア嬢の為に日々奔走するだけだ。神であろうがなんであろうが、障害となるものは斬る。」

 

「はぁ…。全く、ウチの侍どもはなんでこうも命知らずなのかしら。」

 

霊夢が少し呆れたようにそう言った。

逆にレミリア嬢は誇らしげに笑っている。

 

「ふふふ。凄いでしょ。ウチの愈咫郎は。」

 

「至極光栄にござりまする。」

 

「まぁね。…で。」

 

…その後、少し話し合い、各々帰っていった。具体的な案は決めず、敵を見てから考えるといったもの。所謂、無策である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…しかし、明日か。」

 

決戦は明日。各々、準備をしながら迎えることになるだろう。吾の出番は最後だ。順番は、咲夜、魔理沙、霊夢、太夫…そして、吾。鬼が出ようが蛇が出ようが、どうなるかは明日次第。

 

「あら、珍しく考え事?」

 

寝具に座る隣の咲夜が言う。

 

「…なんだかな。身体が妙なんだよ。」

 

「妙って?」

 

…黒葉とやり合ったとき。身体は徐々に回復していった。その速度は遥かに早く、既に自分は人ではなくなっていることが理解できた。…しかし、妹紅は違う。妹紅は傷が癒える速度は普通だ。普通だが、彼女は不老で不死。つまり、言葉通りなら回復とは別の手段で死なないということだ。

 

「…どう思う?」

 

「う〜ん。」

 

咲夜が小首を傾げる。…いきなり難しい話をしてしまったか。

 

「…例えば、そうね。妹紅が一度、死んでからまた生き返るのに対して、貴方はそもそもが死ねないんじゃないかしら。外傷では死ななくて、何かしらの方法で死ねる…なにかしらの理由でそんな不完全な状態になっているんじゃない?」

 

「つまり、吾は不老不死ではないと?」

 

「そうじゃなくて…なんて言ったらいいかしら…。黒葉様との戦いで貴方は身体中が傷だらけになったわよね?でも、数分で貴方は何も無かったかのようにケロッとしていた。回復もして、それでいて生き返るなんて妹紅と同じ薬を飲んだ貴方が妹紅の上位互換のはずがない。でも、何かしらの条件で生き返る部分が弱体化したのであれば…。」

 

…辻褄が合うと。

 

「と言っても私の勝手な憶測よ。貴方の身体のことは誰よりも知ってる自負はあるけど、貴方よりは知らないから。」

 

そう言ってにっこりと笑う咲夜。

ギュッと吾の右手を握って離さない。彼女の豊かな双乳が当たって潰れている。

 

「明日はお弁当、作っていくから。お腹ぺこぺこじゃ本気で戦えないでしょ?腕によりをかけて、作ってあげるから楽しみにしててね?」

 

「…ふっ。咲夜の料理が不味いわけないだろ。」

 

そう言って吾は彼女の唇にそっと唇を重ねた。

 

「…おやすみ。咲夜。」

 

「ええ。おやすみなさい。ユタ。」

 

部屋の明かりを落とし、いつも通り寄り添いながら眠る。…少しの疑問もあるが、時間が解決してくれる…と思う。吾の腕を枕にして眠る咲夜を見て、吾もそっと瞳を閉じた。




妹紅→体力、回復は人並み、リザレクションで生き返ることが可能。

愈咫郎→体力、回復は妖怪並み、生き返るかどうかは不明。

ってな具合です。まぁ、それだけじゃないですけど。次回からは風神録編です。では次回。ではでは〜。
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