※この作品はR-18です。

人斬り武者の幻想歌   作:紳爾零士

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五十六杯『開戦』

…妖怪の山、山頂。幻想郷中の主要な人物が一箇所に集められている此処は、守矢神社。番傘を指でくいっと上げて、見る。確かに博麗神社に負けずとも…いや、勝るほど立派な境内だ。ひとまわりほど大きい気がする。

 

「おはようございますっ!!…うわぁ〜…!!幻想郷にはお侍さんもいらっしゃるんですねっ!!」

 

「…ん?」

 

手水舎のあたり、だいたい神社の入り口だ。そこで声をかけられた。…誰だ?見た感じは、この神社の巫女さんか。発色のいい緑の髪をしている。

 

「あっ!!失礼しました。私、この神社の風祝をしてます。東風谷早苗と申しますっ!!気軽に早苗とお呼びくださいっ!!」

 

胸の前で手を合わせ、握り、首を傾げてニコッと笑う…早苗。そういうことなら気軽に呼ばせてもらおう。

 

「吾は朱智愈咫郎と申す。…早苗って言ったな。何故、博麗神社に宣戦布告を?」

 

「え?…あ〜…。まぁ、同業ですし、神様もなにもわからないような神社に人を集めるよりっ!!私の神社に人を集めた方がよくないですか?」

 

「…そう言われてもなぁ…。」

 

キョトンとされても困る。

 

「…別に博麗神社と守矢神社が一緒にあっても良くはないか?神社いくつもあってもいいような…。」

 

「それではダメなんですッ!!」

 

「うおっ…!?」

 

早苗は吾の手を両手でギュッと握り、先程のような笑顔ではなく真剣そのものの顔で吾の顔を見つめた。

 

「私は神奈子様達に感謝してます。土地神と言われたあの方達も今世では信仰が少なくなってきました。…私はあの方達に育てていただいた恩を今、返さなければならないのです。その為には博麗神社は古くからあり、我々にとっては邪魔になる…。だから、ここまでのことを起こしました。だから、博麗神社には消えていただかないと…!!」

 

「…。」

 

神を親代わりに持つ少女…か。親近感が湧く。吾も親代わりの人にここまで育ててもらった。その人のために奔走するのはわかる。

 

「す、すみません。初対面の方にこんな…!!」

 

バッと手を離し、顔をほのかに赤く染め、恥ずかしそうに笑う早苗。どんなに元気で美人な少女にでも想像し難い現実がある。難儀なものだ。

 

「…感謝か。その為に腹を括ったか。…馬鹿だな。」

 

「なっ!?…貴方に何がわかるんです?」

 

早苗はムッとした表情で吾を見た。吾は出来るだけ穏やかな声で言葉を紡いだ。

 

「…だが、そういうバカは嫌いじゃあねぇ。手前のやりたいことのために手前が手を振るったんだ。その心意気は称賛に値するよ。」

 

今度はポカンとしていた。説教臭くなるの…歳かな。

 

「ま、やり方は嫌いじゃねえが、博麗神社が無くなると吾も困る。…だから、本気でやらしてもらうぞ。…いいな。」

 

「ええ…。どんな結果になろうとも、恨みっこ無しですっ!!」

 

ビシッと指を吾に向けて指す早苗。その顔は先ほどよりも晴れやかににぃっとはにかんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁさぁ!!皆さんッ!!お待たせいたしました。博麗神社チームvs守矢神社チーム、お互いの寺院存続をかけた、5番試合の開幕をここに宣言いたしますッ!!司会、実況は私、河城にとり製司会ロボット『MKーG4』、マスター河城にとりがお送りしますッ!!皆様、本日はよろしくお願いしますッ!!』

 

けたたましい音楽と共に無機質とは到底思えない音声が境内に響き渡る。周りを見渡せば、境内を二分にして守矢神社&妖怪の山、そして、博麗神社兼幻想郷の住人達が所狭しと座っていた。

 

「愈咫郎、こっちよ。」

 

霊夢の声が聞こえる。

その声に導かれるまま、吾は足を進めるとそこには霊夢、魔理沙、三太夫の3人と観覧の紅魔館組、白玉楼・マヨヒガ組、そして、もしものための永遠亭組が勢揃いである。

 

「咲夜は…?」

 

「もう、スタンバイしてるわ。相手はわからないけどね。」

 

目の前には灰色の整備された試合会場が用意されていた。吾はレミリア嬢の隣に腰をかける。すると背中に柔らかい感触が走った。

 

「…おや。」

 

「ユタくん。久しぶりだね。」

 

横を見ると吾の腰に尻尾を添える藍の姿があった。優しく微笑んでうっとりとした様子で吾を見ている。

 

「あぁ。藍こそ、どうして…?紫姉さんでもいるのか?」

 

「うん。少し遅れてくるってさ。紫様のお立場はあまり人前に出れないからね。特に一般の妖怪に対しては。」

 

「なるほどな。」

 

…となれば、あの人のことだからひっそりとどこかで見ているかもしれない。姿は見せずとも、博麗神社の消失はあの人にとっても気がかりなはずだ。見届けないわけがない。

 

「これが終わったら、今度、何処かデートに行こうか。」

 

「ん?」

 

「私だって、そういうことに興味があるんだよ?…そうだな。また食べ歩きするのもアリだし、晴れてたら玄武の沢で水浴びをしてもいい。」

 

…少し冷たいとも思うが。それでも藍の提案は魅力的だ。また天狗に狙われても藍なら大丈夫だろう。

 

「…ふっ。そうか。寂しかったんだな。」

 

「っ…。まあね。だって、ユタくん。あの日から連絡すらくれないんだもん。心配になっちゃうよ。私も彼女の一人なんだからさ?」

 

「…そうだな。」

 

…覚悟を決めて、今の彼女達と懇ろの仲を突き通している。誰かを贔屓するわけにはいかない。同率に平等に吾の出来る範囲で愛し、寄り添うことを第一に考えている。

 

「…今度、お前の飯を食わせてくれ。絶対に行く。」

 

「うんっ。約束だよ。ユタくん。」

 

「あぁ。」

 

にっこりと微笑む藍。

…その日はしっかり腹を空かせておこう。

 

『それではーッ!!第一試合、選手の入場ですッ!!』

 

…その声に湧いていた周りの声が静まった。

 

『まずは守矢神社サイド、選手はコイツだッ!!…天魔を抜いて、幻想最速。天狗、妖怪の山の威信にかけて勝負の大敵を望み、やってきた。最も幻想郷中を駆け回り、最も幻想郷を知り尽くす新聞記者ッ!!里に最も近い天狗、射命丸…文ァァァァァッ!!』

 

「…なるほど。」

 

…咲夜対文か。相手は幻想郷最速の天狗。だが、速さだけなら咲夜に分がある。

 

『続いて、博麗神社サイド、選手はコイツだッ!!…紅魔館のメイド長。彼女の時は彼女の思うがまま、自由に動き、止まり続ける。彼女の手腕はまさに幻想郷のジャックザリッパーッ!!完全で瀟洒なメイド長、十六夜…咲夜ァァァァァッ!!』

 

…文とは違う別側から咲夜がゆっくりと歩いてくる。…別の形の天狗対人間。文にとっては咲夜のナイフと能力の回避を要求される。これはやはり咲夜に分がありそうだ。

 

『これは人間対天狗のマッチアップ。普通なら誰が見るまでもなく、天狗に軍配が上がりますが…どう思いますか、にとり様。』

 

『そうだねぇ…。種族だけじゃ決められない。これは山の情勢が変わる、そんな第一試合になりそうだよ。』

 

『なるほど。では、第一試合ッ!!はじめッ!!』




安っぽい感じにならないようしないとね。
それぞれで一話使うくらいでいいですかね。出来るだけ出せるように頑張りますっ!!では次回。ではでは〜!!
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