※この作品はR-18です。

人斬り武者の幻想歌   作:紳爾零士

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10月から忙しいんですよね。
思い切って定期更新で日決めてしまおうかしら。


六十杯『愛情弁当』

「アンタねぇッ!!何勝手なことしてるのよッ!!」

 

…胸ぐらを掴まれて、霊夢にどやされた。まぁ、仕方ないことだ。霊夢からしたら勝てる試合を放棄した…と思われるだろう。

 

「…あ、あれは…仕方なかった…というか。」

 

「仕方なかったで済まされると思うッ!?」

 

「ま、まぁまぁ。愈咫郎の性格を考えたら…。」

 

…主人に尻拭いをされる従者とは。全く、面目ない。

 

「はぁ…。アンタ、人斬りだったんでしょ?なんで、そんなに優しいのよ。」

 

胸ぐらを離され、襟を正す吾に霊夢が聞く。…はてさて、それは吾にも見当つかず。ただ…。

 

「…狂っていたのかもしれない。前の吾は。」

 

「…へぇ。」

 

「こらこら。霊夢。あんまり、ユタを虐めないでくれる?」

 

手にバスケットを持った咲夜が吾の隣に座る。

 

「あらら。鬼嫁の登場だわ。」

 

「誰が鬼嫁ですって?」

 

「まぁまぁ、いいじゃねえか。せっかくのご飯が不味くなるぞ?」

 

横から魔理沙と藍、紫姉さんがやってくる。藍の手には小さな小包が二つ。一つは花柄の桃色の、もう一つは紺色のものだ。

 

「むっ。咲夜がお昼を用意してたのか。私もユタ君のためにいくつか見繕ってきたが…。」

 

「え?…あぁ。大丈夫よ。この人、胃袋だけは底なしだから。」

 

「…褒めてねえだろ。それ。」

 

キョトンとしたような顔で吾を見る咲夜。

…そんな顔で見られても困るのだが。

 

「む、無理はしなくていいからな。」

 

困ったようにはにかむ藍。

 

「いや、大丈夫だ。」

 

流石に重箱二つとかだと、キツイが藍の持ってきた弁当箱はちょこんとした小さなものだ。別に食えないほどではない。

 

「そうかっ。…それは良かった。」

 

藍は静かに微笑み、吾に紺色の包みを渡してきた。

 

「じゃあ、お昼にしましょうか。咲夜。ユタ。」

 

「はい。」

 

「あぁ。」

 

…咲夜がバスケットを開け、中身を取り出す。そこにはいくつかのおにぎりと唐揚げに玉子焼き、コロッケにカボチャの煮付け、シーザーサラダとスパゲティなど彩色豊かでとても美味しそうな匂いが鼻に通る。

 

「あの、私のも見てくれないかな…?少なめだけど、ちょっと作ってみたから。」

 

藍が顔を少し赤らめて、上目遣いでそう言った。ふむ、それならと上蓋を開けると中身は玉子焼きにポテトサラダとウィンナー、それと何個かの稲荷寿司があった。なるほど、藍らしい。

 

「嫌いなものとか、ないかな?気づいたら君の好みなんて、何もわからないことに気づいて、私とお揃いにしたんだけど…。」

 

「あぁ。大丈夫だよ。」

 

「ほ、本当かいっ!!…良かったぁ。」

 

そう言うとほのかにふっと笑う藍。

…しかし、どれから食べるか。こう豪華なものだと、何から食べて良いかわからないよな。

 

「うふふ。ほら、あーん。」

 

「…ん?」

 

「どうせ、貴方のことだからどれから食べるか、とか考えてたんでしょ?」

 

「ふふっ。迷うくらいなら食べさせてあげよう。」

 

藍と咲夜が箸で玉子焼きを掴んで、吾の口元に持ってくる。なんというか、お酌されているような感覚だ。吾は咲夜のを口に含んで飲み込んでから、藍のを口に含んで飲み込む。…うん。これはこれで嬉しいのだが…。

 

「…具体的な味がわからんな。」

 

「むっ。そうか。」

 

「そう?じゃあ…最初はグー。」

 

咲夜と藍が目の前でジャンケンをしている。…見ていて微笑ましい。どうやら、咲夜が勝ったようだ。

 

「やった♪うふふ。じゃあ、改めてあーん。」

 

笑顔で箸で掴んだ玉子焼きを吾に向ける咲夜。それを口に頬張る。…甘いな。子どもの喜びそうな味をしている。

 

「美味い。」

 

「ふふ。ありがとっ。」

 

顔をほのかに染めて、ニコッと笑う咲夜。先程までの緊張感が一気に抜ける。

 

「つ、次はわたっ、私だなっ…!!」

 

「どうした?藍。」

 

藍の顔が熟れた林檎のように真っ赤になっていた。耳もツンっと立ち、体も少し硬っている。

 

「い、一対一だと…良いのだが…他の方に見られていると…思うと、そのっ…は、恥ずかしくてな…。ふ、ふぅ…。もう大丈夫だ。ほら、あ、あ〜ん…///」

 

「んっ。」

 

藍も玉子焼きを吾の口にに近づけてくる。目はこちらを見ず、何処か恥ずかしそうにしている。吾はそれを成すがまま頬張る。…おっ。こっちは少々、しょっぱい。

 

「美味いな。」

 

「ふぇっ!?…そ、そうか。よかった…。」

 

藍は一瞬、びっくりしたように目を見開くと顔を手で隠し、ほのかに笑った。

 

「愈咫郎。アンタ、ハムスターみたいね。」

 

「…ハムスター?」

 

「ほら、与えられるものをもぐもぐ頬張って…。うふふ。可愛い。」

 

むっ。レミリア嬢に笑われてしまった。くすくすと笑うレミリア嬢に、少し恥ずかしくなった。

 

「…おやめください。こんないい歳の男より、レミリア嬢の方がよっぽど可愛らしい。」

 

「…へ?」

 

…そう言って吾は咲夜のおにぎりを一口齧る。…塩昆布が混ぜ込まれており、程よい塩加減だ。レミリア嬢に目を向けるとキョトンとしたような顔で徐々に顔を真っ赤に染めていった。

 

「な、ななな…ッ!?何言ってんのよッ!?急に…!?」

 

「ほらな。咲夜。」

 

「えぇ。ユタよりも長くおりますけど、レミリアお嬢様はとても可愛らしいお方ですわ。」

 

「さ、咲夜までッ!?」

 

…咲夜が少し微笑んでレミリア嬢を見ている。レミリア嬢は顔を真っ赤にして、パタパタと羽を早めに羽ばたかせている。完全に動揺しているのが、目にとれてわかる。

 

「でも、お嬢様にまでおいたはいけないわよ?」

 

「ふふ。わかっておるよ。」

 

…さて、そんな話をしているとバケットの中身も弁当箱の中身も空になった。知らないうちに食べすぎてしまったかな。これは…明日は胃もたれかな。

 

「お前、凄え量食うな。」

 

「魔理沙。」

 

後ろから歩いてきた魔理沙が吾に声をかけてくる。

 

「確かに…今日は食いすぎた。」

 

「まぁ、お前はもう戦い終わった奴だし…。ちょっと休んでな。」

 

ニヤッと笑う魔理沙。

 

「そうか。次はお前か。」

 

「おうっ!!私が負けたら、博麗神社の敗北に終わる。でも、負ける気はさらさらねぇよ。」

 

「ふっ。そうだろうな。」

 

「だから、応援頼んだぜ?」

 

魔理沙が握り拳を吾に向かって出してくる。吾はそれに握り拳を合わせた。

 

「んじゃ、行ってくる。」

 

「…頑張れ。」

 

「おうっ。」

 

そう言って魔理沙は歩いていった。

 

『さぁさぁ、皆さま、大波乱の前半戦を終えて、此処からは後半戦ですッ!!後半戦もどうなるか、予想がつきませんッ!!果たして、勝利の女神はどちらに微笑むのかッ!?』

 

『ふふ。現在は守矢神社一勝一敗一分け、博麗神社一勝一敗一分けと拮抗している大接戦ッ!!さぁ、注目の第四戦選手は?』

 

『先ずは博麗神社側、選手のご紹介ッ!!…多種多様、人妖蔓延る幻想郷。異変のたびに空かける巫女と共に箒に乗ってババっと解決ッ!!今宵はどんな活躍を見せてくれるのか…!!博麗神社、四戦目選手、普通の魔法使い、霧雨…ま〜り〜さァァァァァッ!!』

 

魔理沙が箒片手に武舞台に上がる。…相手次第ではあるが魔理沙なら大丈夫だという安心感がある。

 

『さぁ、続いて守矢神社側。…守矢神社の裏の裏、二柱のうちの一柱で守矢の名を持つミシャグジ様ッ!!姿形で侮るなかれ、その力はまさに神ッ!!その恐ろしさを今、博麗神社側に見せつけるッ!!守矢神社代表、土着神の頂点、洩矢す〜わ〜こォォォォッ!!』

 

…これはこれは。大物が出てきた。武部隊、魔理沙の対面から出てきたのはレミリア嬢やフラン嬢と同じくらいの背丈の少女であった。が、発せられるものは普通の少女のそれではなく、人ならざるものということが客席にもビンビン伝わってくる。

 

『神対人間の脅威のマッチアップッ!!皆様、見届ける準備は出来ましたかッ!?それでは、第四試合…スタートですッ!!』




まぁ、その次も神対人間ですがねw
では次回。ではでは〜。
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