開始早々、魔理沙が天へと飛び上がる。
「行くぜッ!!先手必勝、恋符『マスタースパーク』ッ!!」
天から虹色の極光が降り注ぐ。
それを神、洩矢諏訪子は涼しい顔で避ける。
「火力は高いけど、一直線は避けてって言ってるもんだよ。」
「へへっ。あれ、避けられなきゃ私の相手は務まらないぜ?これでもくらいなッ!!」
上空から星形の弾幕を降らす魔理沙。
それをまたもや涼しい顔で避ける洩矢諏訪子。
次第に魔理沙は徐々に降下。次第に二人の距離は縮まっていく。
「…攻撃しないのは自信の現れかしら。」
「…あの笑み、何か企んでいるのでは?」
…なんというか、先程までの緊迫状態とは一変。子どもがただ遊んでいるかのように見える。
「チッ…!!」
『魔理沙選手の弾幕、速度を上げて追撃するも諏訪子選手、それを軽々と避けていくッ!!』
「そりゃそうでしょ。素直に当たってやる必要なんてないんだからさ。」
…魔理沙にとっては歯痒いだろうな。相手は未来でも見ているかのように軽々と避けてしまう。魔理沙は短気な子だ。このままだと突っ込みかねん。
「クソッ…!!馬鹿にしやがって…ッ!!」
「でも、そろそろ手、出した方がいいかな?開宴『二拝二拍一拝』」
2種のレーザーが魔理沙を襲う。
それを魔理沙は器用に避けるも、続いて弾幕と再びレーザーが魔理沙を迎撃する。
しかし、魔理沙も負けじとそれを避ける。
弾幕が完全に消え去ったとき、無傷の魔理沙がそこには居た。
「へっ。神様の弾幕っていうのも、案外避けやすいもんだなッ!!」
「へぇ…。言ってくれんじゃん。」
ニヤッと笑う魔理沙に対して、諏訪子もふっと微笑む。すると諏訪子は自身を囲む円形状に米粒状の弾幕を魔理沙に向けて放つ。
魔理沙はそれを地面スレスレを飛んで避け、諏訪子の後ろへと飛ぶ。
「今度こそ…ッ!!大地を穿てッ!!恋符『マスタースパーク』ッ!!」
「…おっと、これは不味い。」
…地面スレスレ。武舞台すらも破壊しながら、諏訪子を飲み込む極光。
「勝負有り…かしら。」
隣の咲夜が言う。
「いや、まだよ。…だって、どれだけ強い攻撃でも当たらなければどうと言うこともないもの。」
レミリア嬢がしたり顔でそういった。
咲夜は首を傾げて、レミリア嬢を見る。
『極光が諏訪子選手を飲み込んだッ!!しかし、煙立つそこには諏訪子選手の姿は無しッ!!どこに行ったと言うのか…!!』
「へへっ。今の避けるとはな。流石だよ。神様。」
下がった帽子のツバを人差し指で上げ、上を向いて笑う魔理沙。…その上空には空飛ぶ諏訪子の姿があった。
「こっちも流石と言わせてもらうわ。今の一撃は流石に油断してた。当たったら危なかったわよ。」
「はっ。そりゃどうも。」
『流石は神ッ!!あの逃げ用のない極光を避け、上空から魔理沙選手を見下ろしているッ!!』
『状況は五分五分。…いや、ありゃ両方なんか、隠してるね。』
…ほう。この状況で隠し球とは。神、洩矢諏訪子はそうだが、魔理沙も余裕がある。
「…意外と頭がいい方なのかもしれないな。魔理沙は。」
「馬鹿ね。魔理沙が頭いいわけないじゃない。」
レミリア嬢の隣の霊夢がそう言った。
「アイツはね。馬鹿で世話しなくて、人のものを盗る性悪よ。…でも、人一倍、相手のことを見ていて、人一倍努力してる。だから、神様ともやりあえているんじゃないの?」
「…なるほどな。」
霊夢と魔理沙の仲だから言える話なのだろう。
…確かに、さっきから諏訪子が放つ弾幕を避けているが一向に涼しげな顔はしていない。確実に相手を格上の相手に見て、顔は笑わず、余裕のない表情で一瞬一瞬をまじめに戦っている。
「あなたもやるじゃない。私の攻撃を避け続けるなんて。」
「ハハッ。アンタの攻撃なんて食らっちゃ一巻のおしまいなんでね。…でも、そろそろ終わりにしなきゃなんねえな。アンタとやり続けるなんて、このままじゃスタミナ切れしちまう。」
「ふふ。そうだね。よくやったよ。…人間にしたらさ。土着神『宝永四年の赤蛙』」
「ッ!?」
…諏訪子が赤い光に包まれて、分身した?
赤く光っている諏訪子が魔理沙の後ろから追尾し、赤い米粒弾を配置していく。
魔理沙はやたらめったらに飛び、追尾する諏訪子から逃げるが、更に米粒弾が魔理沙に向かって飛び出した。
「チッ…!!」
『魔理沙選手を諏訪子選手の無慈悲な赤い弾幕が襲うッ!!魔理沙選手、逃げるしか術がないッ!!ただただ脱兎の如く、飛び回るッ!!』
…だが、諏訪子はもう一人、分身を生み出し、更に赤い弾幕を配置していく。
「こりゃ、やばいんじゃあねえか。」
「…そうね。単純に質量が倍になったんだもの。」
「…咲夜でもきつい?」
「ええ。私の場合、時は止められても周りを囲まれたり、拘束されたりしたら、意味ないもの。…魔理沙は速度でなんとか掻い潜ってるみたい。」
…だが、それもいつまで持つか。
「くっそ…!!いつまで続くんだよ…ッ!!これッ!!」
…魔理沙としては早く終わって欲しいところ。だが、赤い弾幕はしつこく追いかけてくる。
「あはは。逃げてるだけじゃ、何もできないわよ?」
「…だったら、話は早えッ!!」
…縦横無尽。飛び回っていた魔理沙は静止し、上空へと飛び上がる。
「へへっ。避けられねえなら、全部消しちまえばいいッ!!食らいなッ!!私の新必殺技ッ!!」
上空からミニ八卦炉を地上へかざす魔理沙。
「またあのレーザー?無理無理、来ても避けるだけ…。」
「…へへ。おんなじマスパだと思ったら、火傷するぜ?…これで終いだッ!!魔砲『ファイナルマスタースパーク』ッ!!」
『ななな、なんだッ!?魔理沙選手の姿が見えなくなったッ!!それどころか、虹色の太陽が迫り来ているようだッ!!』
…上空から、マスタースパークよりも更に巨大なレーザー砲が降ってくる。
「なっ!?避けられ…!?」
「いっけぇぇぇぇッ!!」
空から降り注ぐ極太レーザーが武舞台ごと、先程の弾幕と諏訪子を飲み込む。強烈な極光と轟音で会場は騒然となるが、それも数分経つと止んだ。
「ふぅ…ふぅ…。」
息を切らしたように地面に降りる魔理沙。帽子を直して前を見る。魔理沙の目の前には袖口やらなにやらが焼け焦げた諏訪子が倒れていた。
「ヘヘッ!!」
…こちらにピースをしてくる魔理沙。胸を張って誇らしげだ。
『ありゃりゃ、こりゃ無茶苦茶だね。』
『ご安心をッ!!この程度では神の作った武舞台は壊れないとのことですッ!!…しかし、すごかったですねぇッ!!武舞台の周りの土が完全に抉れてますッ!!…そしてそして、改めてッ!!第四回戦はなんとなんと、霧雨魔理沙選手の勝利ですッ!!人間が、神に勝ち星を取ったッ!!』
…魔理沙が我が物顔で此方へと戻ってくる。…これで博麗神社が負けることは無くなった。それを褒めろと言わんばかりの顔である。
「どうだ、霊夢。これで博麗神社は終わらねえぜ?」
「ええ。よくやったわ。魔理沙。」
「ヘヘッ。もっと褒めてくれよ〜。」
「はいはい。よく頑張りました。」
めんどくさそうに魔理沙をいなす霊夢。誇らしげに笑う魔理沙。…これが彼女らの距離感なのだろう。なんとなく見ていて、ほっこりする。
「でも、負けなくなったわけであって…勝ったわけじゃない。」
霊夢の顔がキッと引き締まる。…そう。このままでは平行線だ。また今回のようなことがあるかもしれない。
「…これで最後よ。行ってくる。」
そう吾々に言って、霊夢が武舞台の方は歩いていく。…正真正銘、これが最後の戦いになる。
『さぁ、さぁッ!!長かった守矢神社対博麗神社の対決もいよいよ最終試合となりましたッ!!』
『最後の試合も、白熱するに違いないね。さぁ、最終戦、選手のご紹介だよッ!!』
『先ずは守矢神社側。…神社は巫女のためにあるのではない。その荒ぶる御魂は注連縄と御柱を引っ提げて、山の神は本気となる。…山坂と湖の権化、八坂か〜な〜こォォォォッ!!』
…また神か。天にかかった雲が開き、陽光が照らす。二柱と言っていたから、もう一柱だろう。屈強そうな女性が武舞台の上に立っている。
『続いて、博麗神社側ッ!!…この娘無くして、幻想郷は語れない。幻想郷最強にして、博麗神社の巫女ッ!!異変解決はお手の物ッ!!…楽園の素敵な巫女、博麗れ〜い〜むぅぅぅぅッ!!』
紅白の巫女が武舞台の上へと歩いていく。キッと八坂神奈子を見て、睨みつけている。例え、神相手でも関係ないということだろう。
『さぁ、四回戦同様脅威のマッチアップ。何方もビッグネームですッ!!』
『これが正真正銘、最終試合だッ!!』
『それでは、第五試合…スタートですッ!!』
とりあえず、もうすぐ終わります。後、一、二話で。その後はほのぼのしながら考えますかね。では次回。ではでは〜。