とりあえず後何話かは幽香と。今日は導入なので、手短に。
実に涼しげな風吹く幻想郷。今日は待ち合わせだ。反物屋の前で。冷やかしかと思われるのは心外だが、まぁ、買うわけではないのは事実だ。昨日の雨でどうなるかとも思ったが、今日は一変してカラッと晴れていた。女心と秋の空は…なんて言うが実にその通りだと思う。
「お待たせ、待った?」
「…良いや。今来たとこだ。」
少し暇だと思い始めていた頃、ピンクのレースのついた日傘を持った発色の良い緑髪の少女が立っていた。少女は吾を見るなり、初めて会った時の冷徹無慈悲の鉄仮面を崩し、上品に朗らかに笑顔を浮かべた。そして、ウキウキで吾の左の手を握ってくる。
「すまなかったな。色々あって、そっちに行けなくて。」
「…むっ。そうよ。そのうち、なんでこんな人のこと、好きになったのかしらとか思い始めるとこだったわ。寂しさで死んでしまいそうだったわよ。」
…少女、風見幽香は不満げに頬を膨らませ、そう言った。
「…まっ、今日来てくれたからチャラにしてあげる。」
「ふっ。当たり前だ。恋人の頼みなんて無碍に出来ないだろう?」
「うふふ。ユタのそういうとこ、大好きよ。」
そう言うと彼女は少しはにかみ、笑った。今度、家に行っても良いかもしれない。これも、ここ最近のゴタゴタが終わったから言えることだが…。
「で?今日は何するんだ?」
幸い、ここ最近の懐は潤っている。…まぁ、使わずに増えていくばかりではあるが。少なくとも、少しの我儘くらいは叶えられるつもりだ。
「今日はね。お花屋さん見に行きたいなって。」
「あぁ。あそこか。」
小傘の工房近くの。二十歳そこらの若い店主がやっている店である。確かによく見かけはしたが、寄ってみようとは思わなかった。
「あ、でも、ユタは小傘のとこ、行ってて良いわよ。お花のことはわからないでしょ?」
「…むっ。そうか。」
確かにここ最近は特に寄りたいとは思っていたが…。
「しかし、良いのか?久しぶりなのに、違うとこ行って…。」
「別に、お洋服選ぶとかじゃないから。近くにいるってのは変わらないし、こんなぬかるんだ地面で待ってろなんて言わないわ。」
「そうか。わかった。」
…幽香は好きなものにのめり込むタイプだしな。まぁ、花に知識がないのは確かだから、仕方ないか。
「じゃっ、行ってくるわね。」
「おう。」
幽香は笑顔でそう言うと古民家のような花屋に入っていった。吾は隣の小傘の工房へと入っていく。
「お邪魔する。」
「いらっしゃいませ。おや、お兄さんじゃないですか。」
「あぁ。…少し見てもらいたくてな。」
工房へと入っていくと小傘は笑顔で出迎えてくれた。吾はいつもの二振りを小傘に渡す。
「拝見します。」
小傘は目の前で吾の刀を抜き、ゆっくりと見た。吾が見た限りは刃こぼれ無し。だが、なんとなく不気味な感じがする。
「…刃こぼれも錆もありません。…ただ、わちきでも怖くなるくらい、妖力が増してます。…例えば、最近、大きな戦いでもありましたか?」
「あぁ。」
妖怪の山…それと竹林のアレか。
それを小傘に伝えると、少し押し黙って刀を見た。
「…となると、妖怪の血ですか。…妖刀の原理は言いましたよね。」
「あぁ。」
持ち主の恨みつらみがそのまま刀へ乗り移ったパターンと、人や動物を沢山殺しているパターン。…恐らく、吾の場合は後者となる…と思うが。
「…人や動物ならまだ良いです。しかし、妖怪や神といったこの地特有の種族に対しては話は別。斬れば斬るほど刀は生命力を奪い、妖力を増していくんです。微増ですが…。ただそうすると段々と手に負えないほど、強くなっていく…。」
「…ふむ。」
「…気をつけてください。」
…そういって、二振りとも返された。
流石は妖怪。持ち主でも知り得ないことを知っている。小傘の言うことは妙に納得できる。
「…すごいな。博識だな。お前は。」
「ふふ。い〜っぱい、勉強しましたから。」
とニコッと笑う小傘。…流石だ。
「じゃあな。」
「はいっ。ありがとうございましたっ!!」
暖簾を潜り、外へ出る。すると鍛冶屋の隣には、日傘を差した幽香が立って待っていた。
「待たせた。」
「…私を待たせるとは良い度胸してるわね。」
ジトーっと此方を見る幽香。…妙なスイッチが入ったな…。
「悪かった。」
「これは何か無いとダメよねぇ?」
…甘味でも奢れということか。
「…ったく。」
だがまぁ、昼頃だし。そろそろ、飯を食いたい時間でもある。どこか、手頃なものを奢るくらいはしよう。
「何食いたいんだ?」
「…そうねぇ。お蕎麦とかにしましょうか。」
…蕎麦屋ねえ。
行きつけはないが、まぁ、大丈夫だろう。幸い、人里には色々と飯屋がある。蕎麦ぐらいなら、あるだろうな。
「いこうか。」
「そうね。」
…手を握ると、何処からかくぅ〜…と音が聞こえた。…吾の腹ではない。横を見ると幽香がお腹を押さえて顔を真っ赤にさせて、びっくりしたような顔をしていた。
「…くくっ。」
「わ、笑うなッ!!」
「うおっ!?」
照れ隠しと言わんばかりに腹を殴られる。
…すごく痛え。隣を見れば、此方を睨む幽香。まるで唸っているような声を上げた。
「…うぐ…。痛え…。」
「お、乙女の…お腹の音を…笑う方が悪いのよッ!!…全く…。」
別に、面白いから笑ったわけじゃないのだが…。
「はぁ…。」
「なによぉ。」
「まぁいい。とりあえず、食いにでも行くぞ。」
…また一波乱、ありそうだが…。
まぁ、そろそろあっちも書きたいよねぇ…。
誰にしようかな。藍、妖夢ちゃんでもいいし、また咲夜さん、ゆうかりん、妹紅でもいいし…。まぁ、気分次第で。では次回。ではでは〜。