※この作品はR-18です。

人斬り武者の幻想歌   作:紳爾零士

63 / 99
なんやかんや書き終えましたw
とりあえず後何話かは幽香と。今日は導入なので、手短に。


六十三杯『成長』

実に涼しげな風吹く幻想郷。今日は待ち合わせだ。反物屋の前で。冷やかしかと思われるのは心外だが、まぁ、買うわけではないのは事実だ。昨日の雨でどうなるかとも思ったが、今日は一変してカラッと晴れていた。女心と秋の空は…なんて言うが実にその通りだと思う。

 

「お待たせ、待った?」

 

「…良いや。今来たとこだ。」

 

少し暇だと思い始めていた頃、ピンクのレースのついた日傘を持った発色の良い緑髪の少女が立っていた。少女は吾を見るなり、初めて会った時の冷徹無慈悲の鉄仮面を崩し、上品に朗らかに笑顔を浮かべた。そして、ウキウキで吾の左の手を握ってくる。

 

「すまなかったな。色々あって、そっちに行けなくて。」

 

「…むっ。そうよ。そのうち、なんでこんな人のこと、好きになったのかしらとか思い始めるとこだったわ。寂しさで死んでしまいそうだったわよ。」

 

…少女、風見幽香は不満げに頬を膨らませ、そう言った。

 

「…まっ、今日来てくれたからチャラにしてあげる。」

 

「ふっ。当たり前だ。恋人の頼みなんて無碍に出来ないだろう?」

 

「うふふ。ユタのそういうとこ、大好きよ。」

 

そう言うと彼女は少しはにかみ、笑った。今度、家に行っても良いかもしれない。これも、ここ最近のゴタゴタが終わったから言えることだが…。

 

「で?今日は何するんだ?」

 

幸い、ここ最近の懐は潤っている。…まぁ、使わずに増えていくばかりではあるが。少なくとも、少しの我儘くらいは叶えられるつもりだ。

 

「今日はね。お花屋さん見に行きたいなって。」

 

「あぁ。あそこか。」

 

小傘の工房近くの。二十歳そこらの若い店主がやっている店である。確かによく見かけはしたが、寄ってみようとは思わなかった。

 

「あ、でも、ユタは小傘のとこ、行ってて良いわよ。お花のことはわからないでしょ?」

 

「…むっ。そうか。」

 

確かにここ最近は特に寄りたいとは思っていたが…。

 

「しかし、良いのか?久しぶりなのに、違うとこ行って…。」

 

「別に、お洋服選ぶとかじゃないから。近くにいるってのは変わらないし、こんなぬかるんだ地面で待ってろなんて言わないわ。」

 

「そうか。わかった。」

 

…幽香は好きなものにのめり込むタイプだしな。まぁ、花に知識がないのは確かだから、仕方ないか。

 

「じゃっ、行ってくるわね。」

 

「おう。」

 

幽香は笑顔でそう言うと古民家のような花屋に入っていった。吾は隣の小傘の工房へと入っていく。

 

「お邪魔する。」

 

「いらっしゃいませ。おや、お兄さんじゃないですか。」

 

「あぁ。…少し見てもらいたくてな。」

 

工房へと入っていくと小傘は笑顔で出迎えてくれた。吾はいつもの二振りを小傘に渡す。

 

「拝見します。」

 

小傘は目の前で吾の刀を抜き、ゆっくりと見た。吾が見た限りは刃こぼれ無し。だが、なんとなく不気味な感じがする。

 

「…刃こぼれも錆もありません。…ただ、わちきでも怖くなるくらい、妖力が増してます。…例えば、最近、大きな戦いでもありましたか?」

 

「あぁ。」

 

妖怪の山…それと竹林のアレか。

それを小傘に伝えると、少し押し黙って刀を見た。

 

「…となると、妖怪の血ですか。…妖刀の原理は言いましたよね。」

 

「あぁ。」

 

持ち主の恨みつらみがそのまま刀へ乗り移ったパターンと、人や動物を沢山殺しているパターン。…恐らく、吾の場合は後者となる…と思うが。

 

「…人や動物ならまだ良いです。しかし、妖怪や神といったこの地特有の種族に対しては話は別。斬れば斬るほど刀は生命力を奪い、妖力を増していくんです。微増ですが…。ただそうすると段々と手に負えないほど、強くなっていく…。」

 

「…ふむ。」

 

「…気をつけてください。」

 

…そういって、二振りとも返された。

流石は妖怪。持ち主でも知り得ないことを知っている。小傘の言うことは妙に納得できる。

 

「…すごいな。博識だな。お前は。」

 

「ふふ。い〜っぱい、勉強しましたから。」

 

とニコッと笑う小傘。…流石だ。

 

「じゃあな。」

 

「はいっ。ありがとうございましたっ!!」

 

暖簾を潜り、外へ出る。すると鍛冶屋の隣には、日傘を差した幽香が立って待っていた。

 

「待たせた。」

 

「…私を待たせるとは良い度胸してるわね。」

 

ジトーっと此方を見る幽香。…妙なスイッチが入ったな…。

 

「悪かった。」

 

「これは何か無いとダメよねぇ?」

 

…甘味でも奢れということか。

 

「…ったく。」

 

だがまぁ、昼頃だし。そろそろ、飯を食いたい時間でもある。どこか、手頃なものを奢るくらいはしよう。

 

「何食いたいんだ?」

 

「…そうねぇ。お蕎麦とかにしましょうか。」

 

…蕎麦屋ねえ。

行きつけはないが、まぁ、大丈夫だろう。幸い、人里には色々と飯屋がある。蕎麦ぐらいなら、あるだろうな。

 

「いこうか。」

 

「そうね。」

 

…手を握ると、何処からかくぅ〜…と音が聞こえた。…吾の腹ではない。横を見ると幽香がお腹を押さえて顔を真っ赤にさせて、びっくりしたような顔をしていた。

 

「…くくっ。」

 

「わ、笑うなッ!!」

 

「うおっ!?」

 

照れ隠しと言わんばかりに腹を殴られる。

…すごく痛え。隣を見れば、此方を睨む幽香。まるで唸っているような声を上げた。

 

「…うぐ…。痛え…。」

 

「お、乙女の…お腹の音を…笑う方が悪いのよッ!!…全く…。」

 

別に、面白いから笑ったわけじゃないのだが…。

 

「はぁ…。」

 

「なによぉ。」

 

「まぁいい。とりあえず、食いにでも行くぞ。」

 

…また一波乱、ありそうだが…。

 

 




まぁ、そろそろあっちも書きたいよねぇ…。
誰にしようかな。藍、妖夢ちゃんでもいいし、また咲夜さん、ゆうかりん、妹紅でもいいし…。まぁ、気分次第で。では次回。ではでは〜。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。