※この作品はR-18です。

人斬り武者の幻想歌   作:紳爾零士

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日常話〜。今回もあんまり関わりのない方です。


六十七杯『閻魔会談』

…賽の河原ってのはここか。

ふらっと立ち寄って良い場所ではないが、やることもなく暇していた。

 

「おや、兄さん。死んじゃいないね?」

 

「…お。」

 

見た顔だ。真っ赤な髪の船頭さん。手には大鎌を持っている。…前は酔い潰れていたが、素面みたいだな。

 

「だめだよ。生きた人が興味本位でこんなとこに来ちゃあ。」

 

「大丈夫だ。閻魔とは顔見知りだしな。」

 

「ありゃりゃ。面会かな。…四季様、今、暇かねぇ…。閻魔って、友達みたいにそう簡単に会える立場じゃあないからね。」

 

「あぁ。心得ている。」

 

…とりあえずここまで来たんだ。挨拶だけでもしておこう。

 

「となると、帰った方がいいねー。四季様が仕事中なら、門前払いだね。」

 

「へぇー。門前払いですか。そうですか。」

 

「そうそう…って!?四季様ッ!?」

 

…こりゃ、良いとこに。

吾が会いに来たその人物、四季映姫・ヤマザナドゥがやってきた。その仏頂面も健在だ。

 

「本日の業務は終わりました。それに、彼は私が呼んだのです。」

 

「えっ!?そ、そうだったんですかッ!?」

 

「ええ。誰かさんの不始末を御礼したいので。」

 

「へっ…?」

 

…誤解のないように言うが、一切そのようなことはない。一度、彼岸とやらを観光したかっただけなのだが…。話を合わせてくれている…らしい。ジトっと吾と赤髪の女性を見る映姫。

 

「ふぇ…えっ!?」

 

宴会の際の話をする映姫。

聞いていくにつれ、髪だけでなく顔も赤く染まっていく。

 

「な、なななっ…!?」

 

「ほんとですよ。この人が来てくれなきゃ、何も出来ませんでした。」

 

見る見るうちに顔が赤くなっていく女性。

目には少し涙を浮かべている。

 

「し、失礼しますぅぅぅッ!!」

 

…走り去って行ってしまった。

残された吾ら二人は呆然と立ち尽くしてしまっている。

 

「…こほん。お見苦しところをお見せしました。…立ち話もなんですし、座りましょうか。少し歩きますが、私の仕事場に案内します。訪問者も多いので。帰りはさっきの小野塚小町にやらせますので。」

 

「わかった。」

 

…仏頂面は解かない…か。

映姫の隣を映姫に合わせて歩く。…しかし、凄いな。賽の河原から少し歩いただけで見渡す限りの彼岸花畑。圧巻である。

 

「しかし、今回は如何様な御用件で?…まさか、ただ寄っただけなんて言わないですよね。」

 

「まぁ、そんなところだ。顔も見ておきたかったし、挨拶にでもと思ってな?」

 

「はぁ…。観光気分で来て良い場所じゃないんですよ?…全く。」

 

…飽きられてしまった。

 

「で?…また、一皮剥けた…ような気がしますが。何があったんです?」

 

青々とした緑色の目に吾の姿が映る。

…嘘は見逃さない…とでも言うようで、一から十まで知っているようなそんな感覚を覚えた。…しかし、吾は洗いざらい全てを話した。

 

「…なるほど。いくらか、天狗が私の元にやってきたのはそういう理由で。」

 

「…なに?」

 

小首を傾げる映姫。

…てか、待てよ。天狗が彼岸に来たってことは…。

 

「…なんだか、怯えてましたけど。般若みたいな男に皆殺しされていると。」

 

「…はぁ…。」

 

やっぱりか。手加減し損ねた太夫の犠牲者だ。嫌な予感が当たってしまった。

 

「…貴方じゃないんです?」

 

「知り合いだ。…殺すなつったのに…。」

 

まぁ、アイツなら勢い余ってやっちゃった…ぐらいで済ましそうだがな。

 

「…それで、その次は神と対峙ですか。しかも、風祝を圧倒したと?」

 

「…圧倒?運が良かっただけさ。」

 

圧倒なんてもんじゃない。

結局、勝ち負けなんてなかった。吾が周りの状況におとなしくせず、怒り、勝負を破棄した。…霊夢たちには迷惑をかけたと思っている。

 

「で、女性関係はどうですか?あれから少しは懲りましたか?」

 

「…うっ…。」

 

「…ふふ。嘘をつかないのはいいことですね?…しかし、あれから一人増え、更には3人の女性と身体を重ねたとは…。」

 

…不敵な笑みが逆に怖い。

というか、閻魔だからか。或いは、そういう何かを持っているのか…。映姫には吾の行動が筒抜けである。…普通に怖い。

 

「…まぁ、合意の上なら構いませんが…。」

 

「つまり、閻魔様は吾と彼女らの戯れをその目で見ていた…と?」

 

「はぁっ!?」

 

…映姫の顔が赤くなる。

知っている…ということは見たか、聞いた話だ。…赤くなったってことは…十中八九、前者だろうな。

 

「ななな、なにをっ…!?わ、わた、私がそんなことをすると、お思いでッ!?」

 

茹で蛸のように真っ赤になり、手をワタワタと動かしている。…先程までの鉄仮面が嘘のようだ。これはこれで面白い。

 

「ほお?…見てないにしては中々に面白い反応をなさりますな?」

 

「うっ…!!謀りましたね…ッ!?」

 

「くく。吾とアンタの秘密にしておいてやる。」

 

「く、くぅ…!!」

 

目に涙を浮かべ睨む映姫。羞恥心からか、その顔は周りの彼岸花よりも真っ赤だ。

 

「でも、これからは盗み見しないように。」

 

人差し指を立て、諭すように言う。

…吾が悪いように聞こえるが、流石に全部が全部悪いわけではなく、盗み見している映姫にも非はある。

 

「…わかりました。」

 

映姫はしょぼくれながら、そう言った。

人に説教されたのは初めてのことなのだろうか。子どもというよりもスレンダーな女性といった印象の映姫ではあるが、今回限りは少し子どものように感じられた。自然と吾の手が伸びる。

 

「むっ…な、なんですか…!!」

 

「ふふ。」

 

笑みが溢れ、彼女の頭を撫でる。

相当頑張っていたのだろう。少し髪質が悪い。映姫も突然のことに戸惑っているかのように見えたが、今は抗議の目でこちらを見ている。

 

「…おや、嫌いかい?」

 

「知人ですから良いですけれど、これが名も知らぬ人なら犯罪です。…全く、貴方の考えていることは理解できません。」

 

むすっとしたように吾を見る映姫。ほのかに顔は赤く染まり、潤んだ目で吾を見ている。

 

「吾は新しいアンタを知れたよ。…地獄の閻魔様は意外とエッチってことがね。」

 

「っ!?だから、誤解ですッ!!」

 

ペシペシとお酌で叩く映姫。少し痛いが、幽香の照れ隠しよりは可愛いものだ。吾は顔を真っ赤にしてそういうことをする映姫に対して笑顔を絶やさず、ただ彼岸花畑を歩いていた。




閻魔の耳は地獄耳。…なら、目も?ってね。実は真面目だけどエッチな映姫様…いいじゃないですか。
次回はHALLOWEEN!!特別回です。気合入れて書くよ?…間に合ったらいいなぁ…。では次回。ではでは〜。
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