※この作品はR-18です。

人斬り武者の幻想歌   作:紳爾零士

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七十八杯『喧嘩とセイギ』

吾と太夫は、刀を抜き、鬼戸の体に剣先を突く。ズブリと簡単に受け止める鬼戸。ニヤッと笑うと、吾と太夫の顔面を殴り抜いた。

 

「ぐあっ…!?」

 

「くっ…!!全く効いてへんやないか…ッ!!」

 

「ンダァ?この程度かよォ…。笑わせるねェ…。えぇ?太夫。テメェ、死んで鈍になっちまったんじゃあねえか?」

 

鬼戸は歯をむき出しにして、笑顔で体に刺さった刀を抜き、放り投げる。

 

吾は蟷螂丸を、太夫は自身の短刀を抜き、再び前を向く。すると、そこには鬼戸の姿はどこにも無かった。

 

「…どこだ…!!」

 

「流石、鬼戸ちゃんや。多分、こういうときは…朱智くんッ!!上やッ!!アイツ、跳びよったッ!!」

 

「んーどっこいしょォォッ!!」

 

石が飛んでいるあたり、紅魔館の門の高さあたりまで鬼戸は跳び、そこから組んだ腕でトンカチのように吾ら二人を目掛けて地面へ振り下ろしてくる。

 

吾らはすんでのところで避けはしたが、地面はそこから円形に窪んでいる。

 

「チッ…!!」

 

「ユタローッ!!どけぇぇッ!!必殺、恋符『マスタースパークッ!!」

 

その声を聞いて、吾はすかさず右へ跳び避ける。

 

すると背後から魔理沙のマスタースパークが鬼戸を真正面から飲み込んだ。…もう少しで焼かれているところだった。

 

「おい。魔理沙。」

 

「へへ。避けろつったろ?」

 

「…油断するにはまだ早いで。鬼戸ちゃんは、異常なタフさがウリなんやから。」

 

…その言葉を聞いてか否か。極光の起こした黒煙から大きな腕が伸びてくる。それは魔理沙の顔をガッチリと掴むと、そのまま放り投げた。

 

「うわぁぁぁッ!!」

 

「魔理沙ッ!!」

 

そんな魔理沙を霊夢が受け止めた。

吾らは晴れた黒煙の方へ向き直す。そこには五体満足…少し上着が焼けた程度の鬼戸の姿があった。

 

「へんちくりん帽子の嬢ちゃんッ!!…いいもん食らわしてくれるじゃあねえか。気に入ったぜッ!!此処は、良い喧嘩で満ちてらァッ!!」

 

「…嘘だろ…。手加減したとはいえ、霊力やら妖力やらなんの力も持ってない人間が…あんな…無傷で…。」

 

…異常なタフさ。まさしく鬼戸は最も人間離れした人間と言って良い。まさに豪傑、そして、狂人。弾幕でも殺す気でやらなきゃ、先ず怪我を負わないだろう。なにせ、あのマスパ…吾の対峙した時よりも弱かったがマスパはマスパだ。かすり傷すらついちゃいないところを見るに、奴もまた此処にきて進化をしたのだろう…。

 

「さぁッ!!次は誰が来るゥ?俺を満足させてくれやァッ!!テメェらァァァッ!!」

 

「ちょっと!!鬼戸ッ!!アンタ、こんなところで暴れて、衣玖が来たらどうするのよッ!!」

 

…まさしくやる気満々、来るもの拒まずの鬼戸を静止するよう、後ろの天子が声を荒げた。鬼戸は面白くないとため息を吐き、天子を睨みつけた。

 

「だからなんだ、関係ねェ…。俺ァ喧嘩しに来たつったろ?どんな邪悪も、比類なき聖人も拳だけは嘘をつかねえ。喧嘩だけだ!!階級つかず強者、弱者と区分されるのは。…それによォ。総領娘様。アンタと俺ァ、対等だつぅ、話だぜ?」

 

「…ぐっ…。アンタねぇ…。」

 

「満足いくまでやらせろやッ!!生きとし生けるもの全てに備わった力、すなわち暴力ッ!!俺を満足させてみろッ!!テメェらァッ!!」

 

「朱智一刀流『鳥越』ッ!!」

 

地面を蹴り、蟷螂丸で鬼戸の腕を斬りつける。…硬い。中まで入りきらなかった。が、鬼戸の背後に出ることは叶った。

 

そこに続いて、太夫が速度を生かした連撃で何度も鬼戸の身体を斬りつける。

 

…が、どう見ても決定打にはなっちゃいない。

 

「かった…!!なに食ったらこうなんねん…アンタッ!!」

 

「その程度かァ?太夫ッ!!」

 

「う゛ッ!!」

 

鬼戸は前まで来た太夫の腹に膝蹴りを入れると、そのまま太夫を吾の方へ放り投げた。

 

吾はそれを受け止め、鬼戸を見やると拳が顔面まで近づいていた。

 

「ガッ…!!」

 

血が舞う。鬼戸の大きな手が吾の首をガシッと掴んだ。…息が…出来ない…。とんでもない閉塞感を感じる。

 

「ぐ…ぁあ…がッ…。」

 

「…もがくか。テメェら二人の暴力はつまらねェ。痛くも痒くもねぇんだよッ!!そんな鈍ァッ!!」

 

「グオッ…!!」

 

鬼戸はそのまま吾を地面へと投げ落とした。

…今ので骨が何本か…いった…。回復するまでの時間が少しかかるが待ってくれるはずもない。

 

「朱智くん…!!」

 

「ユタッ!!」

 

「次は私らが相手よッ!!」

 

動けなくなった吾に変わり、咲夜、霊夢が迎撃する。

 

霊夢はお札を、咲夜はナイフを前へと投げる。

 

「ァア?」

 

鬼戸はそれをもろに食らった。身体からは飛散した血とそれを隠すような黒煙が飛び散った。

 

「…相手は人間、最大出力の弾幕は打てないわ。」

 

「そんなこと言ってる場合!?今は、ユタたちを何とか助けないとッ!!」

 

「…ある程度は肉弾戦でやるしかない。…ッ!?」

 

「ハァン?誰かと思えば、この前人里であった別嬪さんとよく名前が出る巫女さんじゃあねえか。面白い。来なッ!!…でも、骨折れてもぴーぴー泣くんじゃあねえぞ。」

 

霊夢が先陣を切って、鬼戸の腹へと掌底を打ち出す。

 

それを鬼戸はただ口角をにぃっと上げ、受けるのみ。

 

「くっ…。かった…。」

 

「…やっぱ、女はダメだなァ…?喧嘩の仕方つーのを全く理解してねェ。代わりにこっちは…私怨が乗ってらァ…。」

 

「…ッ!!」

 

鬼戸の周りをナイフが取り囲む。それがブスりっと鬼戸の身体に突き刺さった。

 

続け様に咲夜が鬼戸の頭に蹴りをかました。

 

鬼戸は少しフラつくような様子を見せる。そこを霊夢が腹に右拳をねじ込んだ。

 

「ハァ…。良いねェ…。肌をつんざくこの痛みィ…。別嬪さんらの殺意ィ…全て感じることができる…。くくくっ…ガッハッハッハッ!!良いッ!!やっぱ此処は良いッ!!男もォ…女もォ…ッ!!良い暴力を持っているゥッ!!喧嘩の味を知っているゥッ!!最高…じゃあねえかァァァッ!!」

 

「「ッ…!?」」

 

…受けるだけだった鬼戸が…反撃の拳を二人に向ける。

 

咲夜は時を止めたのだろう、霊夢とともに確実に撃たれたそれを避け、拳は虚空を切った。

 

が、鬼戸は口元が裂けんばかりにニヤリと笑い、避けたはずの咲夜に向かって地面を蹴って走り、ガシッと咲夜の腕を掴んだ。

 

「くっ…。」

 

「一瞬の移動…確実に入るはずだった拳の回避…俄には信じ難いが、とんでもない速度の移動、又は時間停止の能力とやらだな…?能力については総領娘様のお陰で知ってるさ。…だが、どちらにしろ…こうやってガッチリ掴んでいりゃあ、動くことすら不可能だろ?」

 

「くっ…離せっ…!!」

 

「…残念だ。こんな美人、ほっときゃおかねえのになァ…?…どうだ?今からでも遅くない。俺のものにならねェか?…楽しいぞォ?金にも、暴力にもなに不自由させねェぞ?」

 

…咲夜はキッと鬼戸を睨みつける。反動をつけて、ザクッと手に持っていたナイフを鬼戸の腕に突き刺した。

 

「…これが答えよ…ッ!!人でなし…!!」

 

「…気の強え女だ。だが、嫌いじゃあねェ…嫌いじゃあねェが…敵の女に情けはかけねえ。恨むなら、テメェが好きになった朱智愈咫郎を恨みな。」

 

「…恨むわけないでしょ…!!私は約束したんだからッ!!」

 

「そう…かよッ!!」

 

鬼戸の拳が咲夜に迫っていく。

…全く。

 

「…ぬぅぅんッ!!」

 

少し痛みはあるが、仕方ない。

地面を蹴って、鬼戸の頬に拳をねじ込む。鬼戸は飛ばされたり、ふらついたりはしなかったが、咲夜を掴んだ腕は離された。

 

「…良いぜ?この行き場もねェ拳、テメェに入れてやるァッ!!」

 

「望むところだ…ッ!!無刀『一心』ッ!!」

 

迫り来る鬼戸の拳を吾は無刀術で迎え撃つ。

…咲夜を守りながら、吾は腕の痛みを堪えながら、弾き返した。

 

「ほお?」

 

「…まだ、負けちゃいない…!!吾ら、全員…なッ!!」

 

「面白ェ…ほんと面白ぇなァ…!!」

 

鬼戸は後ろへ飛び抜き、構え、そしてこちらに来いと挑発してきた。吾はその挑発に乗り、地面を蹴って奴へと殴りかかった。

咲夜さん達が人以外になる強化はあり?(不老不死になったり、妖怪や近い存在になって長寿になる等)

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