…鳥の囀りが聞こえる。
異変が終わり、どっと疲れが来た。風呂に入った後、すぐに眠ってしまった。夏であったことが幸いしたため、上裸ではあったが、風邪はひいてないようだ。
「…?」
…左の方が重たい。いつもの甚平に着替えて、眠ったはずだ。吾は徐にそれを見る。
「…すぅ…。」
「…!!」
170を超える大男に銀髪の少女が胸を枕に寝息を立てていた。…起こすのも悪い気がするほど、和やかな風景。いつもの彼女では無く、年相応の姿に見えた。…じゃないっ…。
…胸が痛い。鼻をくすぐる果実のような甘い匂い、そして、触ったら折れてしまいそうな身体。触られる胸から感じる指のしなやかさ。生まれてこの方、女や金より殺しに生きた吾でも、なんとでも言いようのあるこの状況。…とても胸が痛い。
「…んんっ…。」
…まだ日は低いか。山から半身飛び出しただけ。このまま眠っていてもなんの問題もないだろう。普段の給仕仕事より昨日のアレは疲れただろうな。吾も久方ぶりに暴れて、泥のように眠った。…まさか、そのときに咲夜までこの部屋に連れてきた…のか?
…異様な感覚。何故か、身体が熱い。鍛錬が足りぬな。心が揺さぶられるようでは。ただ…嫁も娘も妹も居なかった昔の吾に見せてやりたいほど、胸がいっぱいになる。…それほど、この娘が大事だと言うことか。何故か、この娘に頼られると心地が良い。初対面…まだ2日ほどしか経っていないのに。
「…ハハッ…。」
乾いた笑みをこぼす。
寝不足だ。余計なことまで考えちまう。まだ時間もあるし、吾も二度寝と行こうか。
「ユタ…ねぇ、起きて。」
「ん…。」
…ゆさゆさと身体が揺さぶられる。なんだ、結局寝ちまってたのか。なかなか寝れなくて、二度寝もやめようとしてたところだった。
「…おはよ。」
「あぁ…。」
ニコッと笑う咲夜。…夜中のことは覚えてないか。
「ごめんね。昨日、そのまま寝ちゃったみたい。」
…そうか。吾が連れてきたわけではなかったか。
「…痛みはもういいのか?」
「え?あぁ…。」
吾の問いに彼女が答える。覚えている限りでは、服はほぼ糸くずみたいなもので、下着が見えていた気もする。…至る所が焼けていたような気もするが。今の彼女はいつもの咲夜であった。故に気にはする。
「うん。大丈夫よ。ちょっと…まだ痛むけれど。」
「…お前、足怪我してなかったか?」
「えっと…そうね。」
触った感覚、骨までいっていたような気がする。咲夜はレミリア嬢とは違い、ただの人間だ。吾と同じく。だから、そんな簡単に傷が癒えない。…心配で仕方ない。
「…ふふ。心配してくれてるの?」
「当たり前だ。」
「ちょっ…近…。」
…人斬りが人の心配するなどこれ程までに矛盾していることがあるだろうか。いや、無いな。ただ、どうもこの娘に興味がある。一度、刃を交えたからか、或いは何か特別な感情なのか。そんなことは知らん。ただ、咲夜に傷を負わせてしまった自分に無性に腹が立つ。…女だから、子どもだからではない、咲夜だからだ。
「…どうしたの?そんな怯えた目をして。」
「…吾は別に。」
それはこちらの台詞だ。顔から湯気でも出そうなくらい真っ赤で、少し潤った目が此方を見ている。まるで犬だ。お預けをくらった時の犬。
「そうだ。そんなに心配なら、今日のお買い物、ついてきてくれないかしら。」
「ん?」
…唐突にそう言われた。
買い物…か。たしかに毎日毎日、とんでもない量の飯が出るわけだが、足りなくなることもしばしばあるはず。買い物に行くこと自体に不思議はないが…。
「ダメ…かしら?」
「…わかった。荷物持ちでもなんでも使え。」
…目をうるっとさせるのはずるいと思う。
不覚にも少し愛らしく思ってしまった。…動物とかに感じる感覚…だよな。多分。
「言っとくが、無理はさせんからな。立てなくなるか、痛みを感じたらおぶってでも帰るからな。」
「おぶってくれるの?じゃあ、頼もうかしら。」
「…じゃあ、連れていかん。」
「嘘嘘っ。冗談よ。」
本当だろうか。
悪戯な笑みが逆に信じがたい。
「昨日はお姫様抱っこしてくれたくせにね。」
「…あれは非常事態だからだ。」
…そんなものとは梅雨知らず。
不意に吾は顔を背ける。そういえば、ほぼ接吻出来る距離ではないか。…ここまでジロジロ見るのは失礼では…。
「っ!?」
…顔を背けると左頬に柔らかいものが触れた。
流石に何をされたのかはわかる。
「おまっ…!!」
「ふふっ。昨日のご褒美。」
…全く。悪戯にはにかむ姿が妙に絵になる。麗人の特権か。…だが、ほのかに頬が赤らんでいる。無理はしない方が良いのではないか。
「…それと…予行練習?」
「何か言ったか?」
「ううん。なんでもないわ。」
首をぶんぶんと横に振る咲夜。
…ならば良いが。
「時間みろよ。」
「えっ…?…あらやだ、もうこんな時間っ!!」
…時間は彼女には関係ないのだがな。
そろそろ、腹の虫が鳴く頃か。
「おい、咲…。」
気がつけば、彼女は既に消えていた。
いつものメイド服に着替えている頃だろう。吾もそろそろ下に降りようか。
「…全く…。」
左頬を軽く撫でながら、ゆっくりと立ち上がる。
…急でびっくりした…が、悪い気はしなかった。最後にボソリと言っていた言葉も気になるが…。
「…なんの練習だ?」
…そんなことを思いつつ、吾も着替え始めた。
ハーレムって何人まで許容範囲?
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10人以下でおなしゃす!!
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まぁ、ちょっと多いけど20人?
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ハーレム好きだから30人以上でしょっ!!