…今日は先日約束した美鈴と遊ぶ日だ。因みに特に何も考えていない。まだ雪の残る人里、踏んでみればズボズボという何とも言えない感覚があるため、今日は着物にブーツと言った装いで来ている。足元が暖かい。因みに、これは昨日のあの後、咲夜から貰ったものである。…風邪さえ引かなければ良いが。
「あっ!!愈咫郎さんっ!!」
「…え?」
いつもは待っている側なのだが…。人里の門近くで美鈴がもう既に待っていた。いつものチャイナ服なのだが、袖が長く首元に黒いマフラーを巻いている。なんというか、暖かそうだ。…って、じゃなくて。
「は、早くないか?まだ、待ち合わせより1時間早いぞ?」
「えへへ〜。だって、楽しみだったんですもん。居ても立っても居られなくて。」
などと照れたように笑いながら、頭の後ろを掻く仕草をする美鈴。
「そうか。」
そんなこと言われたら、どうでも良くなってしまう。さて、少々ほっこりしたところで。
「どこ行く?」
「そうですね〜。…ん〜。取り敢えず、ぶらぶらしてみます?」
…なにか考えてたと思ったら…結局それか。
まぁ、咲夜と来た時も別に何か考えているわけでもないし、他も然りだ。
「散歩するだけで一日終わりそうだな…。」
「それも良いんじゃないですか?…なんか、熟年夫婦って感じで。」
「そうだなぁ〜。…ん?」
なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたような。隣の美鈴を見ると誤魔化すように目線を逸らして、ならない口笛を鳴らしていた。…生憎と耳はいい。
「熟年夫婦…ね?」
「い、いや、それはぁ…言葉のあやってやつです!!そうそう。」
顔がほのかに赤い。ふむ。こんな美鈴は初めてだな。いつもの穏やかな笑みじゃなくて、ちょっと照れるというか…恥ずかしがっている感じだ。新鮮である。
「ふふ。まぁいいさ。しかし、美鈴の口から夫婦なんて言葉が出るとは意外だな。そういうの、興味ないかと思った。」
「むっ…。失礼ですね。私だって女の子なんですよ?子どもとか、男の人とか少なからず興味あるんですぅっ。」
少し頬を膨らませて、不機嫌そうにそう言う美鈴。
「そりゃすまない。」
「そうですね。失礼ついでに、も一つ。私、なんか変化ありますか?」
「ん?」
そう言いながら、吾の肩を掴んでニコッと笑う美鈴。何処か、無言の圧を感じるが、見当たるところは何も変化はない。数ミリ、前より前髪が若干、短くなっているような…気もしなくもないが、気のせいだったら悪い。…見てわかる変化なのだろうが…。
「…手袋、つけてくれているんだな。」
「えっ?あぁ…はいっ。貰ったものなので…。」
愛おしそうに手袋を見る美鈴。正直、話を逸らす目的が大体だ。だが、こうして実際にあげたものを使ってくれているところを見ると、とても嬉しい。
「…って、話逸らそうとしてません?手袋もそうですけど、他にも変わったところが。」
「…えぇ…。髪ぐらいしかわからん…。」
「…ッ!?…せ…。」
「せ?」
「せ…正解…です…。」
前髪を押さえて顔を真っ赤にする美鈴。…合ってたか。良かった。この手の質問は咲夜で鍛えられている。しかし、これもまた思ったことない、反応だ。
「…わからないと思ってたのに…。」
「…ん?」
「…いえ。なんでもないですっ!!」
まるで何かを振り払うように顔をふるふると振って、また元気にはにかむように笑う美鈴。吹っ切れたという印象を覚えた。
「どうです?この前髪、ちょっと切りすぎたかなぁって思ってたんですけど。」
「ん?あぁ。似合ってるよ。全然変じゃない。」
「えへへ。そうですか?嬉しいです。」
ニコッと笑う美鈴。本当に子どもっぽい。…吾はそんな美鈴の頭を優しく撫でた。
「ひゃあっ!?」
「イテテテッ…!!」
さわっと撫でた瞬間、美鈴は肩をビクッと震わせ、吾の腕を持ち、曲がらない方向へ曲げ始めた。
「あっ…すみません。つい…。」
「ふぅ…。いや、吾も急に触ったりして…。」
「あっ…いやっ。…優しくされるの実は慣れてないんですよね〜。特に触られるのなんて。大体、ナイフが飛んできますから。」
苦笑いしながら、そう言う美鈴。それはお前が寝ているからだろう…と目で伝えるが、伝わってないみたいだ。
「じゃっ、もっかいいいですよ?撫でたいんですよね?私の頭。」
「…え?いや、だが。」
「ほらほらぁ〜。愈咫郎さん、早くしてくださいよぉ〜。」
…どう考えても撫でられてみたいという私欲が出ているのが目に見えている。…自分で言っててなんだ?撫でられたいって。顔を少し下に向けて、上目遣いで吾を見る美鈴。仕方なく、吾は美鈴の頭に手をやる。
「んっ…。なんか、変な感じですね。痒いような…暖かいような…。」
「…まぁ、そんなもんだろう。」
「よし、ありがとうございます。」
そう言いながらにへらと笑う美鈴。
「愈咫郎さん、手握ってもらっていいですか?」
「…え?なんでだ?」
「…寒いので。」
少し赤らめたような顔で口元をマフラーに埋める美鈴。まぁ、そのくらいならお安い御用だがと思い、手を差し出す。すると手袋越しに吾の手を握る美鈴。
「わっ。おっきいですね。いい手です。」
「そりゃどうも。」
こりゃ、今日一日離しちゃくれないな。まぁ、別にいいが。
「しかし、良いのか?お前、勘違いされちまうぞ?」
「何がです?」
前に咲夜にやったような質問を返す。美鈴は誰がどうみても美人の部類だ。しかも、紅魔館では珍しい、あどけなさの残らないような顔立ち。子どものような性格をしているが、顔自体は大人びている。可愛いよりも真っ先に綺麗が勝つような…そんな顔だ。
「お前、吾と恋人か何かだと勘違いされるぞって話。」
「ん〜。別に構いませんけどね〜。私。…ほら、私って愈咫郎さんのこと、好きですし。」
「ふーん。…え?」
「…あっ。」
あっ、じゃないよ。あっ、じゃ。しまったといったふうに口元を片手で抑える美鈴。…今の、聞き間違いじゃあないよなぁ…?
「今、お前…なんて?」
「…えっとぉ…。冗談ですよっ!!冗談っ!!ほら、年の瀬も近いことですし?ちょっとした…なんというかぁ…そうっ!!チャイナジョーク?てきな?…あはは…。」
少し誤魔化すように笑う美鈴。顔は寒さのせいか、ほのかに赤かった。
「…お前なぁ…。」
びっくりした。美鈴にも好かれているのかと思った。…恋人になりたい的な意味で。別に構わないが、冗談でもそういうことを言ってほしくない。…心臓がもたないからだ。慣れないな。ほんと。美人に好きだと言われるのは。そう思いながら、ジトーとした目で美鈴を見る吾。冬の澄んだ空気のせいか、美鈴がいつもよりも綺麗に見えた…気がした。
「えへへ。すみません。」
そう言いながら、はにかむように笑う美鈴。何か言ってやろうか…とも思った時、くぅ…と可愛らしい音が聞こえた。美鈴は顔を真っ赤に染めて、腹を抑えると恥ずかしそうに笑い、何処かへ食べに行きましょうと吾の手を引っ張っていった。
「…もう少し…待っててください。まだ…早いので。」
「…ん?なんだ?何か言ったか?」
急に吹いてきた北風の音に紛れて、美鈴が何か言ったような気がしたので隣を見たが…。美鈴は耳に長い髪をかけて、何もと笑ったのだった。
急ピッチで書いたから内容が薄い…。
でも、そろそろエッチ回書かないとね。明らかに飛ばしてきた彼女が居ますのでね。ではでは〜。