今年に見る人は今年もありがとうございました。2022年に見る人は明けましておめでとうございますっ!!2022年も紳爾零士と人斬り武者の幻想歌をよろしくお願いしますっ!!
「…お湯加減、どうですか〜?」
「あぁ。いいぞ。」
…暖かい。つん裂くような外の寒さとは裏腹に、檜の匂いと湯の香りが身体の芯からポカポカさせる。椛の家の風呂は、大きさをそこまで要していない。大浴場ではなく、普通の風呂場だが、それでも疲れが簡単に吹き飛ぶくらいにはゆったりできる。
流石に初めて会った頃の幽香や咲夜のように中まで入ってくることは無かったが、遠くから湯加減を気にしたり、脱衣所に着替えを置いといてくれたりなどしてくれている。
「それは良かったですっ。あっ、お着替え、ここに置いときますんで。」
「わかった。」
椛がはにかむように笑っているのが見えていないが目に浮かぶ。…さて、そろそろ茹ってしまいそうだ。吾は外へ出て、脱衣所に置かれていた白い服に着替えた。…おっ、サイズが丁度いい。
「空いたぞ〜?」
「あっ…。」
「…え?」
…脱衣所から出ると、下着姿の椛と目があった。何故、このクソ寒い中、下着姿になっているのか…。そんなことを思ってると椛の顔が見る見る赤くなっていくのがわかった。
「わ、悪いっ!!」
バタンと脱衣所の扉を閉める。
…最低ではあるが、意外と大きい方…いや、なんでもない。多分だが、部屋着に着替えようとしていたのだろうな。
「…は、入るぞ…?」
「…ど、どうぞっ…!!」
今度は了承を得て、ゆっくりと開ける。
…今度は可愛らしい水色の服に身を包んだ椛が座っていた。少々、縮こまって。
「…お前は入らなくていいのか?」
「あっ…わたっ…私っ…あさっ、朝風呂なのでっ…!!」
…焦りまくって噛みまくっている。
吾は取り敢えず何も言わずに隣に座った。少々、首元が緩いのか、隣に座った吾からは彼女の頸が見えていた。…普段は白そうな肌だが、今は真っ赤に染まっていた。
「…みっ…見ました…よねっ…。」
「…あー…うん。見た…。」
「う、うぅぅぅ…っ…。ごめんなさい…。この歳になって…男の人に…見られたことなんて…無かったものですから…。」
「…いや、別に。」
謝ることはないが…。
…だいぶと恥ずかしいのか、此方を見ずにそう言う椛。吾はそんな椛の頭にポンっと手を置いた。
「わひゃっ!?」
「…あんまり気にすんなよ。気張り過ぎると持たねえぞ。」
「…今、そのフォロー…します?」
…ジトーとした目で振り返り、吾を見る椛。…むっ。確かにそうか…。そう思うと少し恥ずかしい。
「…ぷっ…あははっ!!」
「…どうした?急に。」
「ふふっ。だって、愈咫郎さん、面白くってっ♪あははっ♪」
…目尻に涙を浮かべて笑う椛。コロコロとした鈴の音のような声が室内に響き渡る。…ふむ、よくわからんが…椛が楽しそうならまぁ、いいか。
「うふふっ…あー、おかしいっ…。あっ、ごめんなさい。笑っちゃって。」
「いやいや、お前が楽しそうならそれでいいさ。」
「…あっ、もうこんな時間…。」
…置かれていた時計の針は既に22時過ぎを指していた。もう寝る時間である。
「ちょっと待ってくださいね。…えっと…。」
椛が押入れの方はテクテクと歩いていく。
…しかし、あの月は見応えがあった。寒さと天候の変化を除けば、冬の山も悪くないな。今度は咲夜と一緒に来ようか。雪だけに注意せねば…。
「…あのぅ…愈咫郎さん?」
「ん?どうした?」
押し入れのあたりから振り向いて、此方を見る椛。何やら、浮かない顔をしている。
「えっと…そのぉ…お、お布団…一つしか…なかった…。」
「…そっか。じゃあ、吾はこのソファでいいよ。」
「だ、ダメですよぉっ!!…さ、寒いですし…お客様ですし…。」
…ふむ。なんだか、少々泣きそうになっている椛。しかし、それを言うなら椛だって家主だしなぁ…。吾も急にきた手前、強欲にはなれん。
「良いって。ここで。寒さには慣れてる。」
「でもっ!!…そうだっ!!なら、一緒に寝ませんか?それなら、寒くないですしっ!!二人一緒に寝られますよ?」
「…え?それって…。」
…椛の方が持たないのでは…と言いかけたが、余計話がこじれそうなのでやめた。仕方ない。
「わかったよ。…そうしよう。」
「はいっ!!」
ぱぁっと椛の表情が明るくなっていく
布団に椛と一緒に入る。…が、流石に狭いな。椛の手やら背中やらが当たっている。
「…そっか…こうなるんですよね…。」
「…やっぱり、出ようか?」
「いえっ…今日一日だけ…たえましゅ…っ!!」
…果たしてこの状況で寝れるのかは知らないが…。
素直で真面目な椛のことだ。だいぶ頑張っていることだろう。ただ、椛には悪いが、末端から温まる。…椛には怒られるだろうが、彼女が寝たらそっとソファーに移動しよう…。
…そうこう思いつつも小1時間が経ち、椛の健やかな寝息が聞こえた。…あまり眠たくはないな。さて、そろそろ移動しようかな…。
「…っ!?」
「むぅ…すぅ…むにゃぁ…。」
…マジか。…手に柔らかい感触がある。持っているんじゃない。当たっているのだ。横を見ると吾の太い腕をぎゅっと掴んだ…椛の姿が。恍惚そうな顔で吾の腕に抱きついている。…こりゃダメだな。あっちに行ったら起こしちまう。
「…はぁ…。」
…寝るしかないか。
「…んん。」
…今…何時だ?
ベッド近くに置かれている少々古めの時計を見るに4時か。椛はまだ寝ている。
「むにゃ…すやぁ…。」
「…ん?」
…今、窓に誰か通ったような…。
パシャっ…!!
突然の光と音に椛の持っていない方の手を使って目を隠す吾。…カメラ、妖怪の山ときたら…アイツしかいないな。
「…ん、んん…ふわぁぁ…。ん…ん?きゃぁぁぁぁッ!!」
「うわっ!?」
イテテテ…。
起きた椛にベッドから押し落とされてしまった。
「あっ…あっ!!ゆ、愈咫郎さんッ!!す、すみませんッ!!」
「イチチチ…ッ…!!だ、大丈夫だから…。あはは…。」
…慌てふためく椛。正直、痛みよりもびっくりの方が勝った。
「ほ、本当ですか…?」
「あぁ。本当だよ。」
ゆっくりと立ち上がる吾に近寄って心配そうに見る椛。吾は大丈夫と笑いながら、帰り支度を進める。
「…もう、帰っちゃうんですね…。」
「あぁ。急にお邪魔したな。今度、何か埋め合わせさせてくれ。」
「ええ…待ってます。あっ、愈咫郎さん、目、つぶってください。」
「ん?」
何をする気だろうか。吾は言われるがまま、目を瞑った。…そこに柔らかいものが頬に一瞬、触れた…気がした。
「…おまっ…一体何を…。」
「…えへへ。秘密です。」
そうやって目を細めて笑う椛。…秘密ってなんだろうと思いながら、吾は帰路に立った。
…後日、『白狼天狗隊長に熱愛報道!?』と言う見出しで文々。新聞が出されたのだが…それは吾の腕を抱いて寝ている椛と…吾の頬にキスをする椛の写真が載せられたものだった。
「…そういうことかぁ…。」
などと呟きながら、顔を真っ赤にしていたのは…内緒である。
というわけで、お手数でなければ感想やアドバイスをよろしくお願いします。リクエストも可能な限り、実現させますので宜しくお願いしますっ!!では、来年もよろしくお願いいたしますっ!!