バレンタイン、ホワイトデーとタイミングを失って少しナイーブになってましたwなんにも思いつかない感じでw
今回から平常運転…とも言えないけれど、まぁ、頑張りますねっ。
「ユ〜タっ♪」
「おっ。」
やることが無くなったのか、飛びついている彼女をぎゅっと抱きしめる。少し日差しも暖かくなり、春を感じさせる毎日だが、結局こうやってくっついている時間はポカポカとして、陽光よりも温かく感じる。
「今日は何処か行くの?」
「いいや。今日はゆっくり。」
そう言ってふっと微笑むと咲夜の顔はまさに花開いたようにぱぁっと笑顔になった。
普段、大人びている咲夜も…こうなれば、年相応の笑みを浮かべる。今は幾つだったか…19か、18と言っていた気がする。とはいえ、誕生日を祝う文化などここには無いので歳などどうでもいいことなのだが。
「よかった。今日はね。いいお茶っ葉を貰ったから、一緒に飲まない?」
「…ふむ。」
他の住人は周りにはいない。
つまりは二人っきりの秘密の茶会と言っても良い。答えは勿論。
「喜んで。」
そう言って吾は微笑む。
咲夜もそれに釣られて、ニコッと微笑むと待ちきれないというふうに吾の右手をぎゅっと握り、そのままテラスへと引いていった。
「はい。どうぞ。」
咲夜と対面の椅子に座る。
彼女は立ち上がると、持ってきたお茶のセットを使って、吾の目の前のティーカップにトクトクと温かい紅茶を注いだ。
ニッコリと笑う彼女を見て、ほっこりとしながらもティーカップに口を近づける。…ごくりと一口飲み込むと、少々、熱さによる痛みがありながらも、果実のような甘みが舌の上でころころと転がる。
…なんとも不思議な美味さだ。
「美味い。」
「ふふ、じゃ、私も。」
そう言い、咲夜は両手でカップを掴み、ゴクリと飲んだ。
…紅茶一杯飲むだけで、様になる。惚気るななんて、声が聞こえてきそうだが、こういう時くらい思う存分惚気させてくれ。
「あらっ、ほんと。美味しい…。」
歯をにっと見せ、はにかむように微笑む咲夜。
なんだか、此方も微笑ましくなってくる。心の底から暖かくなる…そんな感覚だ。
「ん?なぁに?顔に何かついてるかしら。」
「ふふっ。いーや?…可愛らしいなと思ってな。」
「っ…。やっぱり…面と向かって言われると…恥ずかしい…。」
はにかむように笑ってそう言うと、咲夜は小さな手で顔を隠して、そう言った。咲夜の照れ屋なところは、もはや治らない方がいいのでは無いかと思っている。
「そうか?」
「…むぅ。なんか毎回、私ばっかり照れさせられてる気がするわっ。」
ぷくっと頬を膨らませる咲夜。不満そうに言っているが、そんなことはない。咲夜だって、不意の言葉が強かったりする。吾も敵わないと思ったことが何度もあるからな。
「そんなことはないだろ?」
「そんなことなくないもんっ。絶対、私の方がユタに照れさせられてるっ。」
…そんな自信満々に言わなくても。
まぁ、咲夜は負けず嫌いだからなぁ…。ジトーっと吾を睨む目が少々鋭い。
「そんなことより…そろそろ花見の季節か?」
「あうぇ?なんか、はぐらかされた感じするけど…。まぁ、そうね。博麗神社とか、後は…妖怪の山とか見ものでしょうね。」
…ふむ。
この季節は特に、妖怪たちがあっちらこっちら宴会騒ぎだ。幻想郷は自然が美しい。空気も澄んでいて、桜も見頃となればそれはもう、酒を飲まずにゃいられない。
「お嬢様方も午前中に出られたら良いのだけれど。」
「日傘があれば行けるが。」
「違うわっ。…もっと伸び伸びと過ごして欲しいの。そしたら…二人で一緒にいられるでしょっ!?」
…そういうところだと、ツッコみたい。
素直に微笑む咲夜から、右手で顔を隠す。顔が熱いのもあるが…偉く緩んでいるのを見せたくはない。
「どしたの?」
「…いや、なんでもない。…しかし、二人で行くなら夜でも良いな。」
月と夜桜だって、この季節特有の乙なものというやつだ。まぁ、咲夜ばかり特別扱いもどうかと思われるだろうが…咲夜だけは、決まった時間を過ごして欲しい。だからこそ…じゃなくて、恥ずかしながら初めて惚れた女だから…というのもあるかな。勿論、他の彼女らが特別じゃないわけじゃないが。
「だったら、晴れがいいわね。朝でも、夜でもいい桜が見られるわ。」
「…そうだな。」
子どものように笑う咲夜。
…やっぱり、心が安らぐ。愛くるしい。独占欲…というほどではないが、この笑顔くらいは…吾だけのものと言い張りたいな。
「…あっ。」
知らず知らずのうちに、ティーカップの中身を飲み干してしまったようだ。
「おかわり、いる?」
「いや、いい。」
…朝飯を食べたばかりだし、お腹がタプタプと鳴ってしまっている。飲み過ぎは厳禁だな。
「場所、移動しましょ。」
「飲み切ったのか?」
「ええ。…ここだと、これ以上引っ付けないもの。」
…なるほど。今日の咲夜は甘えたい気分らしい。
咲夜はそそくさとティーカップとティーセットを片付けると、立ち上がった吾の腕をぎゅっと抱きしめた。
「で?何処行くんだ?いつも通り、部屋にでも行くか?」
「うーんと、それだと…ほら。エッチ…になっちゃうでしょ…?だから、普通に…何処かで…。」
そっぽを向いて照れる咲夜。
流石に朝からはやりたくないが、まぁ、咲夜曰く、普通に接したいという。そうなれば、話は早い。
「…じゃあ、そこのベンチで。」
「そうね。」
テラスに近いベンチ席。
美鈴や咲夜が手入れをしている美しい花々が、見える。所謂、中庭というやつだ。
「…んしょ。」
「ん?」
ベンチに座るなり、咲夜が吾に擦り寄ってきた。
肩と肩がぶつかる。触れた肌が柔らかい。
「やけに積極的じゃないか。」
「二人っきりだもの。別に構わないでしょ?」
そう言って上目遣いで微笑む咲夜。
…やっぱり犬だな。心底、甘やかしてしまいたくなるが…本人に言えば子ども扱いするななどと怒られてしまいそうだ。
「…んっ。」
綺麗な髪をしている。
撫でられている彼女は満足そうに柔らかく微笑むともっともっとと小さな頭を吾のゴツい手に擦り寄せてくる。普段は強いのだが…こうやって甘えてくれるのは非常に嬉しい。
「ふっ。」
撫でてばかりではダメだな。
撫でるのをやめると、咲夜は少し寂しそうにあっ…と声を上げる。
「…寒いな。」
まだ早朝は冬の寒さが残っている。
先程は室内だった為、そこまで感じなかったが、外に出れば余計に寒さを感じる。
「じゃあ…もうちょっと引っ付く?」
…そういうや否や、咲夜はキュッと擦り寄ってきた。元々、そこまで距離はなかったのだが、これでほぼ0センチまでに狭まったと言っていい。咲夜の方を向くともはや、接吻が出来そうなくらいの距離だ。
「「…あっ。」」
二人の声が重なる。咲夜もそれに気づいたのだろう。少しふっと微笑むと、目を閉じて、口を若干窄めた。ほのかに頬が赤くなっていて、唇も艶やかに光っている。
勿論、吾はそんな咲夜へ優しく唇を重ねる。
先程のお茶…よりも甘い。なんとも形容し難いが、柔らかい。
ゆっくりと唇を離す。すると、照れたように咲夜がうふふと笑った。吾も釣られて、口元が緩んでしまう。
「ねっ、もっかい。」
「…ん?」
「次は私から。」
そう言い、咲夜は吾の首元に腕を回し、唇を再度重ねた。…その接吻は先ほどよりも少し長くて、咲夜の軽い体が吾に乗ってきているのだが、全く苦ではなかった。
「ぷはっ…えへへ。しちゃったっ。」
そうやって、上品に笑う咲夜。
吾は彼女の頭を撫でると、昼飯ごろになるまで咲夜と引っ付いていた。
久々なのでこんな感じで。
可愛い咲夜さんが書けてたら…いいな。では次回。ではでは。