※この作品はR-18です。

ヤンデレ化するオペレーターを選択肢で回避してハーレムを作る   作:黒縫

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こんにちは黒縫です。
R-18タグを運営につけられてから少し登録者減ったので吹っ切れました。
なんで、投稿したら減るんだろうね。投稿する意味なくねって昨日めっちゃ凹みました。
そんな話はおいといて、以前一度一週間限定で投稿したマドロックのA√後の話を投稿します。簡単に言えばif√です。

本当は出したくないって前回駄々こねて消したんですが、もうどうでもいっかな。


加筆

凹んだので当分出さん。めっちゃメンタルブレイクされる。



Mudrock if√"A true end 総集 (再up)

面白くない話をしましょう。

喜劇ではありません。ただの自己満足に過ぎない彼女の事後のはなし。

 

えぇ、急なことで何を言っているのかわからない?

まぁ、読者の方の話なんてどうでも良いのです。

これは彼女だけが望んだ、彼女だけの物語。

私が勝手ながら幕引きをさせていただくことになりました。

少しばかりお付き合いください。

 

では、終章『マドロックは守りたい』

 

否、『マドロックは明日へ向きたい』

 

もしもの世界線。

誰にも望まれなくとも彼女は明日へ方舟を進ませる。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

not A√” True end

 

ドクター視点

 

私はあの無線から聞こえた言葉を頭の中で反復する。

 

『…、…カズデルにて待っている…。』

 

あの声を数カ月前に聞いて以来、行方不明となったマドロックの声だと確信していた。

聞き間違えるはずがない。

彼女と離れ離れになった後、私は心にポッカリと穴が空いたように楽しみだったオペレーター達との会話や食事が虚無感で面白みが無くなっていた。

 

先日、それについてアンジェに言われた。

 

「ね、ねぇ…ドクター…、楽しい…?今…すごく…辛そうな顔をしているよ…大丈夫…?」

 

せっかく気分転換にアンジェから誘ってもらった観光なのに心が晴れなかった。

観光スポットに向かう途中に見えた、砂漠地帯。

今にも崩れそうな遺跡、太陽の光を反射させて幻想的な湖。

どれもあのときを思い出させる材料となり、胸を締め付けるほど悲しい気持ちが溢れ出てくる。

 

しかし、そんなことも今日までだ。

 

日課となりつつあったトランシーバーから、応答があった。私はそこに行くためにロドスの皆には内緒で出ていく。

 

なぜか?それは…カズデルは今はなきサルカズ族が国家として作ろうとした場所。

今は荒廃した街が手つかずの状態で放置してある。

そこには居場所を失った者、ヴィクトリアとの紛争時に奇跡的に逃れた者、犯罪組織のブローカー。

様々な事情を抱えた厄介者達が集い、一つの集落となった。

 

良く言えば自由の街、悪く言えば無法地帯。

ルールや規律など無く、死ねば亡骸もそのまま。

殺されれば金目のもの全てをかっさられる。

勿論、人体も貴重で価値あるものだ。

発見時にどうなっているか、想像したくもない。

だから、その危険な場にかの有名なロドスアイランドの幹部が丸腰で護衛もつけず行くなんて止められるに決まっている。

 

背負えるバックにトランシーバーと数日間の食料、

地図に方位磁針、あとはWからのサバイバルナイフ。

 

結局…返せなくなったな。彼女に申し訳ない。

 

バックはパンパンになり私の心とは真逆で、まるで希望と彼女に対する願いが詰め込まれていたように感じた。

 

バックを背負って執務室の電気を消す。

扉が開いたとき私の机に光が差し込んだ。

差し込んだ先には一つの茶封筒。

『退職願』と書いていた。

 

 

もうここには戻らない。決別のときだ。

 

 

「今までありがとうございました。」

 

 

感謝の言葉を静かで薄暗い執務室向けて言う。

勿論、それに反応してくれる人なんていない。

今は消灯の時間。ただ、部屋に響いただけですぐに静寂と化した。

 

 

 

 

 

 

 

歩いて十数分後。ロドスアイランドの入り口に誰かが立っている。

フェリーンの耳に尻尾。こんな肌寒いのに薄着のタンクトップなのは平熱が常に高くて熱を放出させるために衣服を普段から着込まない彼女しかいまい。

 

「ねぇ、ドクター。どこに行くつもりなのかな。」

 

「…マドロックを探しに行くんだよ。ブレイズ。」

 

「……、当たり前だけど…行かせないよ…?」

 

その通路を塞ぐように立ち往生している。

奥の月夜が彼女を照らすが、瞳には光なんて灯っていない。鋭く、そして周りの暗さに同化してしまうほど黒い。

手元には愛機のチェンソーを持たず腰にも何もない。手ぶらで、私と相対している。

 

私が刃物を使って強行突破するとは考えなかったのか?いや、それを含めた上で徒手で抑え込もうとしているのだろう。だって、今彼女はレスリングの選手のように体をかがみ、タックルするように構えているのだから。

 

私はバックに手を突っ込み、ナイフの柄の部分を握りしめて

 

「私は今、ナイフを持っている。それを取り出して君を斬りつけることだって…可能だ。少なくても君を傷つけることはできる。それでも立ち向かってくるのかな…?」

 

ブレイズに牽制のために話す。

それを聞いた彼女はゆっくり口を開き、

 

「…ドクターがナイフを使って私を傷つけることなんてできないよ…。優しいあなたは、絶対…に傷つけることはできない。」

 

「そんなことッ…!君にわかるわけッ…!」バッ

 

私はナイフを片手にバックから出して構えた。

 

「じゃぁ、なんで手がそんなに震えてるのかな…?」

 

指摘された手を見るとプルプルと震えて、握りしめているはずなのにナイフが定まらない。

 

「……くッ…!!クソっ…!クソッ!!」ガンガン

 

震えている手首に、もう片手で殴り鎮めようとするが駄目だ。持っている限り、体が拒否るように離そうとする。

 

 

 

もしこれで彼女の顔に傷つけたら、一生痕になって後悔するよ…?

 

刺しどころが悪くて死んでしまったら…?

 

他のオペレーター達が悲しむよ…?

 

あんなに食事や仕事を共にしたのに殺しちゃうのかい…?

 

 

頭の中で誰かもわからない奴から意見する声が聞こえる。

いや、これは私だ。

心の底では彼女を傷つけることが嫌だと思っている。それが、相対してから気付くなんて本当に…

 

「………ッ……、…ズルいよ…」

 

使い物にならないナイフは甲高い音をたてながら地面に転がる。

 

「ごめんね、こうなることは分かっていたからさ。ドクター、お詫びは今度するから大人しくロドスの皆と一緒に幸せになろうよ。あの娘は、彼女自身が選んだ道だから仕方ないけどドクターがいなくなったら悲しむ子はたくさんいるんだよ?」

 

淡々と彼女は話す。

 

「たとえ、ここから逃げおおせても私は諦めないし、他のオペレーターがすぐに追いかける。皆、あなたが全てなんだよ…。こんな残酷で悲惨で救いようがない世界の一部に、優しく溶かすように接してくれる貴方を気にならないやつなんかいないよ。」

 

ジリジリと距離を詰めてくる。

 

「だから、大人しく私に捕まってね。ドクター。」

 

瞬間、彼女は助走もつけずに20m離れていた距離をトップスピードでタックルしてくる。

風は彼女を捉えることなく、切り裂いて一直線に詰めていく。

回避することは不可能。あと2m。

捕まればマドロックにあうことも叶わないばかりか、このことが皆に知れ渡って軟禁状態になることもあるだろう。

 

あぁ…、詰んだ…。彼女に敵うわけがなかったのだ。諦めろ…、どうせ、彼女もわたしのことなんて…、、、

 

 

……………………………。

 

 

「………っ…!あき…らめれる…わけないだろ!!!」

 

 

私は彼女のもとに行かなければならない。

 

「そんなので捕まるぐらいなら、レユニオンの方がまだ骨あったさッ!!」ダッ

 

彼女が近づくギリギリのところで通路の壁に蹴りを入れて宙に浮く。空振った彼女の腕は目標を捉えられず空かした。

 

よしっ…!ぬけた!!

 

このまま奥の通路に走る算段を地面に足をつける前に考えたが、その足は地面につくことはなかった。

 

「私がどうしてエリートオペレーターと呼ばれているか、ドクターでもわからなかったみたいだね――――――――――。」

 

ブレイズは宙に逃げた体の反対側の私をすぐに体制を立て直して、浮いていた足を足首をガシッと掴み地面に叩き落とした。

すかさず、地面にうつ伏せで叩き落とした私を腰に身体を乗せて手足が出せないように後ろに掴まれて拘束される。

 

「どんな獲物でも必ず仕留める。これがあの可愛いCEOさんを納得づけた最大の根拠だよ…。」ニカッ

 

見下ろす彼女は捕まえたことによる喜びでその口角は上がる。だが普段と違って不気味で背筋が凍ってしまうほど、恐ろしく覚えた。

 

「じゃぁ、今すぐ私達の愛の巣に戻ろうね、ドクター。勿論…逃げた罰はこの身体に教え込むから…。」

 

 

 

 

身体を激しく動かす。

しかし、彼女の腕が余計に強くなり締め付けられるだけだ。逃げれる隙は生まれない。

拘束してから10分。これを何度も繰り返していた。

ブレイズの顔が私の耳元近くまできて吐息が聞こえる。

彼女はというと暴れて逃げ出そうとしている様子に始めは怒っているような表情だったものが、徐々に今は言うことを聞かない子供と接しているときみたいに呆れた顔で拘束している。

 

「ねぇ〜ドクター、そろそろ諦めてよ〜…。逃げれないし私に敵わないのは実際に捕まってみて分かったでしょ…?諦めが良いのが貴方の美点でもあるんだから、さっさと諦めて帰ろうよ〜。」

 

首を締め付けられている。空気を吸うのに精一杯なため声がうまく出せず彼女の問いかけに反応できない。

 

「……ぐぅ…ぁ"ぁ"……ぃ…や、…だ…。」グググ

 

「…、はぁ…あっそ…。少し痛い目見てもらうけどいいよね。」ガシッ

 

ブレイズはそう口にすると体制を変えて、足と腕で器用に関節技を決めていく。ギシギシと関節や骨が軋むような音が所々聞こえる。

しかし、そんな軋む音は私の叫び声でかき消される。断末魔のような痛みに耐えるために大声を出して意識を保とうと体が無意識のうちにしている。

 

「うぐっ…あぁぁぁァァァあ"あ"!!」バタバタ

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!!!!

 

「さーん。」

 

カウントダウンをしているが意識が締められている腕にいってしまう。

 

「にぃー。」

 

だんだんと締め付けが強くなっていく。

嘘だろ…、腕を折ろうとしてるのか…!?

察した私は足をジタバタと暴れて逃げようとするが痛みのせいで力が入らず、暴れる気力がだんだんとなくなってきていた。

 

「いーち…、ドクターごめんね?」

 

あ、腕を折られる。

 

カウントダウンのせいで恐怖心が心をゆっくりと撫でていく。もう何かなんだか考えられない。

一種の催眠術のように、思考が安定しない。

もう駄目だ、心も同時に彼女におられる。

今見ている景色もスローモーションのように折られるその時まで視界だけが輪郭をクッキリと作り出す。

 

ッ……やめろ……、…やめてくれッ!!

 

「…ぜー…ろ…ッ!?」バッ

 

瞬間、ブレイズは今まで拘束していた身体を離して私から距離を取る。

締め付けられていた腕は一瞬のうちに痛みがひくがそれは脳内でアドレナリンが出ているせいだろう。

動かそうと神経が信号をおくるが上手く動かない。

 

それにしても、なぜ私の拘束をといたんだ…?

 

疑問がすぐに出てくる。

先程までの思考では冴えた答えが出てこない。

 

じゃぁ――――――――――――――――

 

「私のドクターに何をしているのかしら?」

 

私の背後から聞き覚えのある声が聞こえる。

しかし、普段の冷静でまるで海が凪いだときのように言葉に抑揚がない彼女の声とは違う。

明らかに怒気を含んだ声をしており、後ろを振り向かずとも威圧感を感じる。

 

私はゆっくりとその声の主を確かめた。

そこには眉をひそめて片手には彼女の得物である長身の剣が握られており、先程ブレイズが避けたことは彼女が剣先を振って攻撃したと察することができた。

 

「スカジっ…!!」

 

「何で…私の邪魔をするのかな。貴女も私と同類だと思っていたんだけど?」

 

ブレイズは相対する彼女を見据えて睨みを利かしながら問う。

彼女はスカジに似た何かを感じていたらしく、止められるとは思っていなかったらしい。むしろ、ここに居ることに驚いているようだ。

 

スカジは一度目を閉じて、深呼吸をする。

会話する気になったので怒りを抑えこもうということだろう。その深呼吸が終わったときに彼女は口にする。

 

「ブレイズ、貴女と同類?それはありえないわよ。

私はロドスに彼を繋ぎ止めようとするかもしれないけれど、傷つけ苦痛による支配はしないわ。」

 

彼女は不敵な笑みをこぼしながら喋っていた。

ブレイズに嘲笑を込めて、話を続ける。

 

「エリートオペレーターとして貴女は、その品格を乏してドクターに危害を加えようとしたことはアーミヤも看過できないはずだわ。彼の叫び声であと10分程度でここにオペレーター達が確認しに来る。

それでも言い逃れはできるのかしら?」

 

スカジはブレイズに剣先を向けて、コツコツと私の背後から庇うようにブレイズと私の間で牽制をとった。

 

その様子を見たブレイズは、今一度怒りを感じているのか眉をひそめて、何か口にしようとしたが止まり、考え、ゆっくりと言葉を紡いでいく。

 

「………、スカジ。なぜこの状態になったのは分かっているの?」

 

「いいえ…わからないわ。けれど彼に危害を加えるのは許さない。」

 

彼女の様子にチクリと心が痛んだ。

 

「ドクターは『退職願』を机に提出し、もうここには戻らないつもりだけれど、それでも彼を助けるのかな?」 

 

私に人差し指で指して事情を話す。

 

「は…?」

 

スカジはブレイズの言葉に反応示す。あまりに衝撃的だったのか剣を握りに締めている手が震えていた。

 

どういう心情なのか、私はスカジのテンガロンハットで彼女の表情が組み取れない。

彼女は事実に傷ついたのか、それともこの場から離れようとした私に怒りを抱いているのか。

私にはわからない、分かるわけもない。

 

そうこう考えているうちに彼女が握っている剣先が勢いよくこちらの眉間近くまで来た。

あと数センチで彼女の剣が触れて鋭く手入れされた得物は私の皮膚なんか切り裂く動作など入れずとも怪我を追わせることが可能だろう。

 

こちらを見るスカジの瞳にはハイライトが消えて、その美しい緋色の眼光は、蛇に睨まれたように私の体を膠着させた。

 

「3分…いいえ、1分でいいわ。少し彼に問いたいことがあるの。時間を頂戴。」

 

彼女は私に顔を向けながらブレイズに話す。ブレイズとは言うと心底どうでもいいような顔をしていたが

 

「いいよ。1分ね。」

 

と承諾した。

 

 

私はこれから何を聞かれるのか、緊張で動悸が激しくなる。そんな様子に気にも止めずスカジは私にいくつか質問をしていった。

 

「…………、なんで…ロドスから離れるのかしら…。」

 

よく見ると彼女の唇が少し震えているように見えた。何となくだが私がすることを察しているらしく、事実確認をしているといったところだろうか。

 

「マドロックに会うため…。」

 

「私はこんなに貴方を愛しているのに…、貴女は彼女を選ぶのかしら…?」

 

彼女は剣の柄を強く握りしめている。

戦場では天下無双の強さを誇っていたスカジであったが問いかける今の姿は崩れそうなほど脆くつらそうな顔をしていた。

 

だけど、私は答えなくては。私はマドロックのことを愛してしまったのだから。

 

「……ごめん…、私は彼女に恋してしまったんだ。たとえどんなに無償の愛を積まれようとその気持ちが変わることはない…。」

 

彼女を突き放してしまうという罪悪感と申し訳なさで口から言葉が上手く出ない。精一杯の否定。

彼女の表情が歪む。泣きそうなのだろうか、顔に触れそうな近さにあった剣先は降ろされ、俯いている。

 

しばし沈黙がこの渡り通路を静寂と化していた。

 

「分かったわ。」

 

彼女の一言が響く。

身体は前を向いており、ブレイズを見ている。

ブレイズはスカジに

 

「もう時間はいいのかな?」

 

と確認をとった。

 

「えぇ…、何も変わることはなかったわ…。」

 

「じゃあ…ドクターを引き止める手伝いをしてくれないかな。そこの彼を拘束してくれると助かるんだけど「誰も手伝うとか言っていないのだけど」はぁ?」

 

ブレイズが喋っている途中で割って彼女は否定する。そこに誰かの言葉を言われようと頑固たる決意と覚悟が含まれていた。

そして今一度その長身の剣を構えて彼女に相対する。

 

「スカジ、先程までの話を聞いていた?彼はもう二度と私達のモノにはならない。帰ってこないかもしれない。あの楽しい日々は金輪際ないかもしれない。それをわかった上で言ってるの?それがどの裏切りより酷いかわかってる?」

 

「ごちゃごちゃ煩いわ。私は…、彼のことを愛してる。彼がすること、やること、望みはすべて叶えてあげたい。私が彼を好きになったように彼が別の彼女を好きなったのは自然なことだわ…。誰も他人の好意を否定することは許されない。」

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

スカジ視点

 

目の前の烈火の如く炎のように荒々しく彼女は口調を変える。いつもの楽観的な雰囲気とは違い、目は座り真剣な表情で。

まるで、自身にはない異物を見るような目で。

ブレイズは口にする。

 

「貴女が選ばれなくても?他人にその好意を、譲ることだとしても?…私は嫌だね。そんな軽薄な愛は消えてなくなればいい。彼の中で私は一番になりたい。ロドスにいればそんな願いは叶わないかもしれないけれど出しぬくチャンスは生まれる。ドクターに好きになってもらえる…チャンスは…ある…。」

 

そう…自信がないのね。

そうなるか、自信がないのか口調が弱々しくなる。しかし、そんな様子を馬鹿にはできなかった。

なぜなら、私もそうだから。

 

どんなにドクターのためだと自身の恋心を抑えても取り繕うと、割り切れない。

素直に言えれば私を選んでほしい。私を愛してほしい。今まで独りの私の隣で微笑んでほしい。

それだけの望みを叶えてくれてもいいでしょう?

 

チラッと後ろのドクターを見る。

彼の目はブレイズの気持ちを聞いて、申し訳ないような顔で俯いていた。

 

私の気持ちを打ち明けたときもそうだったわね…。

何だかんだ面倒見のいい彼は、私達のことをほっとけないのだろう。

なら、なおさら

 

「ドクター、目を背けないで。」

 

声をかける。せめて、彼が私達を捨てたあとでも、彼女の気持ちに向き合ったと後悔しないように。

 

ドクターは顔を上げて、私の方を見た。

あぁ…その輝く瞳が恋しい。

 

「彼女を見てあげて、せめてあなたの口から言うのよ。貴女は彼女を傷つける義務があるわ。貴方が私の気持ちを否定したように。傷つけたように。それから目を逸らして逃げようなんて私も許さない。」

 

強く言い聞かせる。

ほら、そんな優しい貴方だからこの言葉に辛そうな反応をして向き合おうと顔を上げる。

その様子に安堵した。

 

私が焦がれたあの時の彼でいたことに。

 

彼は腰を上げて一つ一つ歩みを進ませる。

一つ、また一つと私の後ろから前に出てきてブレイズの近くによる。

その度にブレイズの顔が歪んで現実を受け止められないような悲痛そうな顔をしている。

彼女もこれから言われることに察しがついているらしい。

後退ろうとするが、その前にドクターが手を伸ばせば触れそうなほど近くまで来て立っていた。

 

これから彼女は傷つく、どんな人でも当たり前のような出来事で。

 

「ブレイズ、私は君のことを受け入れられない。」

 

あの時のことを考えると恋敵にザマァみろと思えれれば私の今の気持ちは幾らか軽くなったはず。しかし、そんなことは微塵も思うことができなかった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

ブレイズ視点

 

「ブレイズ、私は君のことを受け入れられない。」

 

その一言で胸が締め付けられる。

目尻が熱くなって、涙袋から受け止められないほどの涙が出てくる。受け止められない。

現実も。彼の言葉も。

 

「うぁぁ"…わ…たしは"…、、、…、ッ……ぁぁ"…!」

 

言葉が紡ぐことはない。

私は貴方のことを死ぬほど愛しているというのに。

死んでも愛しているのに。

憎い…?憎い。

彼が…?私が。

恥ずかしい。ハズカシイ。

 

 

支離滅裂、言葉が頭の中でも紡がない。

こんな気持ちになるなんて初めてだった。

仲間が死んだとき以来?違う。

こんな気持ち味わいたくなかった。

潤んで視界が涙のせいでボヤケていくが、彼の目には後悔なんてなく決意に満ちている。

だから、決定的に否定された。

否定されたと決定した。

 

奥のスカジは同情しているのか、自分と重ねているのか涙を流している。

 

あぁ…鉄仮面のような貴女でも泣くのね…。

 

「ごめん、もうそろそろ他のオペレーター達がここに来る。私は行くよ。」

 

彼は私の脇を通っていく。最後に見ることになるだろう彼は迷いなど吹っ切れた様子で、そんな彼に話しかける勇気なんて、振られたときに気力ごとなくなってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

彼がここから、ロドスから出ていったとき。

スカジが私の近くまで寄ってきた。

彼女は

 

「帰りましょう…。」

 

とだけ短く話しかけてくる。

私はどうしようもない虚無感に抗うために彼女に質問した。

 

「……貴女も泣くのね…?」

 

そう彼女の涙を指摘した。

ちょっとしたイジワルな気持ちだった。

彼女は今気づいたと言わんばかりに手で涙が落ちていく通りの頬を触って、濡れた感触に気を持っていかれていた。

そして、その事実を知った彼女は私に対して

 

「いいえ、泣いてないわ。」

 

とだけ強がった。

 

 

 

 

 

 

 

数日後 カズデル 荒廃した路地裏

 

ドクター視点

 

ロドスから去って、数日たった。

所持金でタクシーを使いながら、ここまでやってきたがここに行こうなんてやつはいない。

途中下車してここまで歩いてやってきた。

タクシーのおじさんからは

 

「物好きな方だね。けれど、そんな手薄な状態でそこを目指しているということは事情があるのでしょう。せめてこれをどうぞ、ご乗車してくださったお礼…、いいや、割り合わないですね。やはりただのお節介です。」

 

と拳銃を一丁もらった。

 

足は痛いし、フラフラで、服装は汚れてボロボロだ。

 

マドロックが待ち合わせ場所として指定したところにつく。歩くたびに端ではホームレスの集団が路上や廃墟化した建物に住み着いていた。

街灯なんてない、建物はヒビが入り崩れていたりゴミ収集用のボックスにネズミや小動物がたかっている。

日差しがささないそこは、とても人が生活できるような場所ではなかった。

勿論、そこには誰もいない。

彼女に嘘をつかれたのだろう。

悲しい気持ちが溢れ残念だと割りきろうとする心が一瞬にして胸いっぱいにした。

 

無意識にバックのトランシーバーを掴む。

耳元に当て、トランシーバーを起動して彼女に。

今はどこにいるかわからないマドロックに向けて心の内を大人気なく口にする。

 

『すまない、君には会えなかったらしい』

 

『会いたいよ…、最近まともに食事すら喉を通らないんだ。』

 

『ぁ…あ、そうだ、ロドスから抜けたんだ。私はもう何処にもいけない気がして。』

 

『いや…そんなの言い訳か…。』

 

『叶えたいことができたんだ。けれど、それが一つ増えるたびに諦めなければいけないことがまた一つ増えて…。』

 

『案外、私は欲深いらしい。』

 

トランシーバーのやり取り…、いや、独り言をやめた。虚しくなる。

これからどうしようか。もう居場所は捨てた。

人望も捨てた。残ったのはこのカバンと多少数カ月程度は生きていくことができる所持金。

持ち物なんてどうでもいいか。

 

今あるのは燃え尽き症候群のようなどうしようもない感傷。

しかし、失ったものが多かったほど何にでもなれる気がしてきた。

私は今一度、歩みを止めるべからずその路地裏から離れる。

後ろを振り向いて踵を返して、俯きつつだが確実に私はその足を前に進める。

 

「そこは上を向いて歩くべきだ。上を向いてさえいれば見えてない希望だって…、星の数ほどあるのだから。」

 

私は正面から懐かしい声を聞いた。

大きな片手に鎚を携えていて、そこには旧約聖書の詩編「For evil men will be cut off」が刻まれている。間違いない。見間違えるはずがない。

顔を上げてその会いたかった彼女の顔を見て確認する。

赤い瞳と白髪のロングヘアに黒い双角。

彼女はほら、そうだろと言わんばかりの表情で、柔らかな笑みを浮かべていた。

 

「…上を向けばあっただろう?」

 

私はその問いかけに答える。

 

「あぁ…、案外近くにあったよ。」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

これにて彼、彼女の物語の幕は閉じます。

ん…?いえ、物語の幕は閉じられても人生に幕を閉じたわけではありません。

わたくしが選択肢を提示したところで、それは可能性でしかないのです。

A√やB√の彼女も、もしかしたらC√の彼女だっているのかもしれません。

しかし、そのBADENDのような結末だとて人生は恒久的に続きます。

 

このnot A√true endの先に見る話では不幸で心を病んでしまうときだってあるでしょう。

ここだけの話、B√の彼女は不幸続きの人生で決して楽な生き方ではなかった。

しかし、最愛の人との子供が生まれたときには涙を流すほど喜び死ぬ間際まで楽しく過ごす未来だってあるのです。

 

幸せなんて心の持ち用です。

不幸に押しつぶされられなければ、いつだってhappyendになれるように。

幸せに潰されるなんてないように。

不幸に押しつぶされることなんてないのです。

 

前を向けず自己嫌悪で苛まれるあなたへ。

常にあなたの隣に幸せは眠っているはず。

恒久的な欠落を愛してこその幸福。

こんな幸せは持っていて当たり前なのですから。

 

 

では、話を終えましょうか。

聞き飽きた頃だと思いますので。

私の考えたストーリーでは、BADENDなんてありません。happyendなんてものもありません。

どちらも過程にすぎず、一つの物語なのです。

 

 

なので、どちらも暖かい目で見てくださると助かります。

コンテンツとしては欠陥だらけの物語ですが、何処か幸せを予感させる物語を作っていければと思います。

 

 

 




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