※この作品はR-18です。

ヤンデレ化するオペレーターを選択肢で回避してハーレムを作る   作:黒縫

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遅めのあけおめことよろ!
黒縫いです。
年明けましたね。今年は最後の年ですから思う存分、頑張ろうかな。
それと、アークナイツ2周年おめでとうございます。



シーンは焦がれたい A√前編

わたしはグラベルさんが差し伸べてくれた手を取ろうと手を動かす。

しかし、

 

「って、やっぱりそんな簡単には行かないわよね〜。」ドンッ

 

急に腹部を蹴飛ばされる。思いっきり強く飛ばされ、蹴られた瞬間「ぅッ…。」と声が出てしまった。

そのまま元場所から数mは飛ばされただろうか。

ズザザッと着地した部分から擦れる音が聞こえた。

 

なんで、けられたの…?

 

と疑問で身体は動きをやめてしまう。

けれど、向けた視線の先で即座に何故そうしたのか理由がわかった。

地面がえぐれている。

先程までのいた場所に地面が草木の根ごと抉られ、集めていたレンズの部品たちが舞う。

グラベルさんの方に視線をやると、

 

「ごめんね?けど、仕方ないことだから許して。今度ご飯でも奢るから。あとちょっとばかし状況が悪くなっちゃったからドクターの言うとおり逃げるわよ。」チラッ

 

そう言いながら仕舞っていたサクスを両手に構え、警戒している。

目線で先程まで蹲っていた敵を見るよう促してきた。

身体を起こしてローブを見ると、血走った眼でこちらを睨み、無くなった腕とは片方の手でアーツを込めながら撃とうとしている。

 

「マズイわよね。やっぱり、生け捕りじゃなくてそのまま首飛ばせばよかったかも。不意打ちだから勝機があったってのにワンマンじゃ流石に分が悪いわ。」

 

グラベルさんが少しだけ苦そうな顔をした。

 

「クソっクソっクソクソクソクソッッ!!アァッ!!痛えぇ"ぇッッ!!こんッのクソアマよくもやってくれたなッ!これは高くつくぞ!!絶対に殺ってやる!」

 

逆上しきった敵は完全に殺意が近づかなくとも分かってしまう。

吠える声は何処から出ているのだろうと思うほど大きく、先程までの冷酷な印象とは打って変わった。

 

恐い。わたしははっきりそう思ってしまう。

狂気に染まった敵の威圧的な文言が胸を締め付ける。

しかしグラベルさんはそんなのに怯まず、

 

「あんなにこの娘を痛ぶっているときは冷静沈着な感じだったけど、やられたら余裕がないわね。格好悪すぎるんじゃない?」ウフフ

 

「五月蝿ぇ!!ただじゃ殺ってやらねぇよ。嬲ってやるから、さっさとかかってこいッ!!」バッ

 

「うん。…じゃぁ――――そうするわねッ!!」ザッ

 

グラベルさんは、戦闘開始の合図のよう真っ直ぐ敵に近づくため走り出す。 

チェーン付きのサクスを片方握り締め、もう片方を勢いよく斬りかかるために振り回す。

サクスで奴を袈裟斬りしようとしているのだろう。

接近戦を試みるようだ。

 

「まぁ、接近戦なら俺のアーツを被弾する可能性が限りなく減らせるからな。近くで爆じけちまったら俺だって撃つのにリスキーだもんなッッ!!」ジャキ

 

そう近づいたグラベルさんの顔を、隠し持っていたサバイバルナイフを片手に、斬りつけようと狙う。

けれど、腰まわりに手を入れ探していた様子を、横目で見ていた彼女は、足の軸を回して身体をそらして躱す。

そのまま勢いよく振ったせいか懐ががら空きになった。

 

「ふッ―――――――」スッ

 

その隙を逃さず、サクスで首を狩るように差し込んだ。

たった数秒の出来事は死を諭すかのように淡麗な技術。

 

ただ…、奴には一手足りなかった。

 

「うおっ!!?く、ぉラッッッ!!」バッ

 

驚きながらも身体を後ろに反らし、地面に手をつけると勢いよく脚を振り上げ、バク転の要領でグラベルさんの肩を蹴り上げた。 

スバ抜けた身体能力に精密動作性。

軽々しく行った蹴りは、もはや達人レベル。

これには私から見て、近接戦闘に優れたグラベルさんであっても回避できずモロに受けてしまった。

 

「ぐぅっッっ!!」バッ

 

食らってしまったグラベルさんは、一度立て直そうと距離を置くが上級術師隊長は、ナイフを投げ捨て空いた手にアーツを込める。

 

「よけてっ…!」

 

瞬間、アーツの術攻撃が彼女を目掛けて撃ち放たれた。

グラベルさんは間一髪躱すが、2,3発間もなく放たれる。

速すぎる攻撃を避けるにはワンテンポ遅く、彼女は苦い顔をしながら地面を大きく蹴り上げて石や砂利を空中に舞い上がらせた。

 

その中でも大きな石をサクスで打ち返してアーツと被弾させる。当たった際に衝撃と爆破。

硝煙が巻き上がって敵を撹乱させる。

 

近くにいたわたしも煙の中で何も見えなくなった。

 

「ゴホッゴホッ!!」

 

咳き込んでいると、ふとお腹周りに抑え込まれている感覚を覚える。

見えづらい視界の中、隣を見ると額から血を流したグラベルさんの横顔が見えた。

 

「"今のうちに逃げるわよ…?なに?アイツ?術師は基本根暗で近接に弱いくせに、あの攻撃さえ躱してカウンター入れてくるとかついていけないわ…!"」

 

頬をムッとさせた不機嫌なグラベルさんに抱えられながら、その場近くの茂みに急いで逃げ込み、後にする。

 

「ぐぅッ…。」ザッザッザツ

 

「ど…うしたの…?」

 

ふとグラベルさんが顔をしかめ、苦しそうな呻き声を出したので、心配になり声をかける。

走っている速さが少し落ちたと感じた。

けれど、彼女は何もなかったようにいつものニコッとした笑顔で

 

「何もないわよ?…大丈夫だから。もう少ししたらドクターのいる拠点につくわ。そこなら医療班もいる、あと馬鹿力の仲間もいることだし、あたし達の勝ちよ。」

 

と不安を拭うような声をかけてくれた。

その笑顔が、柔らかな笑みの中に暖かな温もりを感じさせてくれたのは分かった。

しかし、心の中はそうもいかない。

 

たった一つの家族の絆を失った喪失感と助けてくれたグラベルさんの額の怪我と肩の打撲、体を張ってまで助けてくれた申し訳なさが心を締め付ける。

 

これもすべて自分の実力不足だと感じさせる。

 

腹底から押し上げられた圧迫感。

涙を堪えるために顎を強く奥歯を噛み締めた。

今にも泣き出してしまいそう。

いや…もう気づかないうちに泣いていた。

 

「…ごめん…なさい…。」ポロポロ

 

ただただ、こんなことに巻き込んでしまった。

不甲斐なさに少しずつ心を蝕んでいく。

 

「……、泣いちゃだめよ…?たとえ…、失っても歩みを止めてはいけないのだから。」

 

彼女の腕の中、わたしは包まれた温もりを感じながら拠点に帰り着く。

 

その後、黒ローブの敵は発見されず、どうなったのかは分からない。

ついた瞬間、あれよあれよとグラベルさんとは離れ感謝も言えずじまいだった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

拠点にて 

 

グラベル視点

 

「ありがとう、グラベル…。仲間を失わずに済んだよ…。」スッ

 

隣からドクターの声が聞こえたかと思うと、コップに入れられた温かいスープを渡すようにかざしてきた。

 

「ありがと、ドクター。嬉しいわ。」

 

今日の編成でグムがいたから、多分あの子が作ったのよね。

飲みながら考え耽る。

 

 

シーンと別れた後、医療班のススーロから『こんなに無茶して…もっと自分を大事にしてよっ…!』と叱られながら応急処置として包帯を色んなところに巻かれる。

 

どうもその場に居ると、医療班の人達から軽い説教を食らってしまうのでテント外れに逃げてきたところ、ドクターから差し入れられた。

そして今に至る。

 

イヤわよね…。体痛いってのに『自業自得っ!!』って口揃えて皆が言うもの。

…楽な仕事じゃないわね。

 

そう考え込んでいると、ふとドクターから話しかけてきた。

 

「なぁ…グラベル。こんな状態で言うのも何だが、怪我は大丈夫か…?無理をしたんだろ?その様子だと。」

 

ドクターは心配そうな表情の奥で、どこか自責の念を感じているのか申し訳なさそうにしている。

 

もう…、あなたが気にすることじゃないのに。

けど正直なことを言わないと、もっと抱え込んじゃうかもね。

 

「うーん…、ふふふ…。ススーロから言われちゃったわ。ちゃんとした診断じゃないけど全治三ヶ月は軽いって。特に逃げるときに受けちゃった脚は骨が出ているからしばらくは杖つきながらじゃないと生活できないって。」

 

「…………。ごめん……。」

 

もっと顔が暗くなり、俯く。

 

「責めてるわけじゃないのよ…?けど、やっぱり…デートの約束は無理かもしれないわ…。」

 

そう、別に責めてるわけじゃないのよ。

咄嗟に下した仲間を送る判断は正しいわ。

むしろ脚を撃たれたのはあたしの落ち度だ。

だから、自分のせいだと思ってしまうの。

あたしは貴方に尽くすためにロドスへ訪れたっていうのに。

数カ月のことだとしても、貴方にしてあげれることがない。

存在意義がないの。

 

あたしが駄目だったばかりに、ドクターを苦しめている。

その事実が受け入れ難くて。

 

「…いや、…絶対に約束は果たすよ。約束は約束だ。男に二言はない。それに…、君が辛そうな顔をしているのに断れるほど、そこまで軽薄じゃないよ。」

 

っ……。ふふふ…。

えぇ…分かっていたわ。貴方はそういう人だったわね…。

けど、辛い顔をしているのはあたしだけじゃなくて貴方もよ?

 

あたしは身体を彼の方に向き直り、目線を合わせて笑顔を作った。

 

「……優しいのね?」ニコッ

 

それを聞いた彼は少し苦い顔をして、すぐに困ったように眉を下げ返事をする。

 

「あぁ…、これぐらいしかしてやれないんだ。こんなの十八番みたいなもんだよ。」

 

「自虐ネタはあたし以外にはモテないわよ?」

 

「君にモテるならコレも悪くないもんだな。」ハハハ

 

冗談混じりに話してくれる彼に、少しだけ気持ちが楽になる。

こんなにも落ち着けるのは彼のおかげだ。

だから…好きになったのよね…、あたしは。

けど、今ここで彼の声が必要なのはあたしじゃない。

 

「そんな冗談をあたしに言うより、あの子のこと元に行ってあげてよ。今、あの子に必要なのは貴方なのよ?」

 

「わかってるよ。けど、グラベルは…。」

 

もう大丈夫よ。だから行って。寂しくなる前に。

 

「なら、あたしはこれで我慢するから。早く行ってあげて。じゃないとデートしてあげないわよ?」チュ

 

あたしはドクターの頬にキスをした。

外の空気で頬は冷たくて、それが唇を通じて感じる。

こんなにも胸は温かいというのに。

 

彼は突然のことで驚きながらも頬を紅潮させた。

 

ふふふ、やっぱり貴方は暗い顔より、そっちの顔のほうが似合っているわよ?

 

「……、…ありがとう。埋め合わせはちゃんとするから。」

 

ドクターは立ち上がり、決心したような目つきで感謝の言葉を述べて走り出す。

どんどん離れていく彼の背中を見ていると少しだけ寂しく感じた。

 

「はいは〜い。」ブンブン

 

作り笑顔と腕を振って、彼を見送る。

少しだけ、ほんの少しだけ。

脚を貫かれて、これから数カ月あたしの存在意義が無くなってしまうと感じていた不安感が紛れる。

傍から見たら、ただそれだけのことかもしれないけれど救われた気がした。

 

「こちらこそ、ありがとうね。ドクター。」ボソッ

 

片手に持っていたスープを一口啜った。

しかし、その頃にはもうとっくにぬるくなっていて、何故かしょっぱく感じた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

ドクター視点

 

グラベルと別れたあと、私はシーンを探しに医療班のテントに訪れる。

しかし、他のオペレーターに聞いても彼女は擦り傷程度だったので、すぐに治療は済ませ、どこかフラフラとした状態のまま消えたらしい。

 

「どこに行ったんだ…?」キョロキョロ

 

彼女の足は、はっきり言って遅い。

もとから動きに鈍いのもあるが、それを補うためのレンズが付きっきりだった。

しかし、いつも隣で甲斐甲斐しく世話を焼いていたレンズはもういない。

 

作戦終了時、それに気づいた私が問いかけると静かに彼女は泣き始めた。

ぽつりぽつりとかすれた声で、涙ぐみながら話す。彼女特有のマイペースさは何処にも無く、別人のように感じた。

 

誰にもより添えず、これからは独り彼女は生きなければいけない。

それが何よりも辛いことか、記憶喪失を経験した私なら分かる。

悲しみの容量は端末機器のように沢山あるわけがない、機械のような鋼じゃないんだ。

鋼のメンタルじゃない、裸のメンタル。

君はレンズのように強くはない。

だからこそ、今ここで彼女を独りにしては駄目だと思った。

 

「頼むから、出てきてくれ…!」ザッザッ

 

拠点周り全てを走って駆け出す。

聞いて回るが、誰も見てないと口を揃えて言う。

まるで、はじめからそこに居なかったように。

彼女がどこにもいないなんて思わない。

思いたくない。

 

「っ…。……ここは…。」ハァハァ

 

いつの間にか開けた森林内の盆地に来ていた。

先程までオペレーター達が戦闘をしていた場所。

勿論、そこらじゅうに敵や味方が流した血は悲惨さを物語っていた。

湿ってはおらず、もう乾ききっている。

こんもりと盛り上がった土に一輪の花をお供えてあった。

 

ロドスは死んだ人を弔う意味で死に場所を掘り、そこに埋めるようにする。

毎度、意味のないことだとしても無理を言ってオペレーターにはお願いしてる。

都合のいいことだってわかっている。

元凶は私だ。

…私の采配で死んでいった人達だ。

 

「感傷なんかに浸るな…。死んだ人は死んだだけなんだ。」

 

良からぬことが脳裏によぎる。

そうだ、死んだ人は戻らない。

ここで彼らは死ななきゃいけなかったんだ。

殺らなきゃ殺られている。

今更、自責の念に押しつぶされるのは遅すぎるんだ。

なによりも虫が良すぎるだろ?

考えるな。

今はシーンのことだろう?

目的を忘れるな。

 

けれど…やっぱり。

 

 

 

「それで割り切れるほど大人じゃないんだよ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だよなァ。どの面下げて死人に顔合わせなんてしてんだ?尚更、俺が割り切らせねぇよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背後で声が聞こえた。

 

私は突然のことで驚きを隠せず、後ろを確認しようと振りむこうとするが

 

「動くなよ。じゃなくても今、頭であるテメェのことなんて憎たらしくて仕方ねぇんだ。」

 

と言われピタッと止まった。

いや、体が膠着しただけだ。

心臓がバクバクと鼓動する。

汗が溢れて、手にも気持ちが悪いけれど握りしめた。

 

 

「誰だ…。」

 

本当はわかっている。

一般人なんてこんなところには絶対にいるわけがない。

それに、報告を聞いたから予想なんて簡単にできる。

 

 

「うなもん、あの褐色の女から聞いただろ?俺の腕を切り落としたアイツだよ。いや、そんなことどうでもいいか。」

 

奴はもったいぶるように話しかけてくる。

しかし、その声は威圧的で背中からは殺気を感じた。

 

 

 

「ひとまず、話をしようぜ。例えば…、お前の死に場所とかさ。」

 

 

 

 

 





次回ロサ編出すから、許してくれ。

次回が終わってからのキャラ候補

  • ホルン
  • リィン
  • ケオベ
  • シュウ
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