ヤンデレ化するオペレーターを選択肢で回避してハーレムを作る 作:黒縫
まずはごめんなさい。
あれから色んなことが変わりました。
価値観だって、人が死ぬことだってもう仕方ない程度には。
話し言葉も変わったので、文も変化があって些末なものになったでしょう。
でもそれでも。
ロサが作戦中に倒れた。
彼女の得物であるハープーン(捕鯨砲)を片手に、狙った敵に攻撃を仕掛けた瞬間の出来事。
戦禍の中心で、プツンと切れたマリオネットのように崩れ落ちる。
『…は…ぁ…、えっ…?』
突然のことで場が一瞬、理解するため静かになった。
『ッ…!!クルース!!!ロサを頼むッ!!』
ダメだと、唐突でクリアになった脳に危険信号が送り込まれる。
そのときにはもう、考えるより先に言葉が出ていた。
動きを止めていたクルースも我に返ったように即座に行動に移す。
『はいはーい!!』バッ
すぐに身元を保護した。
しかし、その後の診療でワルファリンから思いがけない一言を告げられる。
『ロサをオペレーターとして扱うのはやめたほうがいい…。もう…、身体はボロボロ。これ以上の作戦には、本人が抵抗してもやめさせるべきだ。』パサッ
『……、えっ…?!』
そう言われながら、渡された数枚の写真を見て私は驚いた。
信じられないものを見たとき、人は息を呑む。
小説内の表現技法だとばかり思っていたが、彼女の裸体を写したであろう、その写真は扇情的な気分には一切ならず、むしろ同情すら覚えてしまった。
『…もとから彼女は心が弱いのだろうな。過去の経験から精神疾患でも患っていたのにも関わらず、限界点を超えたとしても、押し殺していたのだな。入所時の診断した女性らしい肉つきさえ見る影もない。』
どこか申し訳なさそうに俯き、隣でスゥスゥと寝息を立てているロサのコケた頬を触りながら喋る。
風邪を引いた娘を看病している母親のような慈愛のこもった視線は、どこか悲しそう見えた。
一枚目の写真には彼女の裸体。
勿論、乳房や局部は隠してある。
普段は、異性に女性の患者の裸を意地でも見せないワルファリンだが、事態が重く自身の判断では収まらないと感じたのだろう。
私だって研究者として人体の研究にも精通している。それを信頼しての行動だとわかった。
いや…今、そんな信頼なんてものはどうでもいい。
その写真のロサの身体は一般女性より痩せ細っていた。
特に肋付近は骨がくっきりと浮かんでおり、豊満な乳房と下はやせ細った肉付きすらないアンバランスな身体に違和感を持つ。
これでは服の上から決して見分けがつかない。
『栄養さえ取れていなかったんだ…。』
以前、食堂で見た彼女の皿は減っていなかった。
あのときの違和感はこれだ。
摂食障害を患わっていたなんて。
気づいてやれなかった不甲斐なさに嫌気が指した。
二枚目を見る。パサッ
二枚目の写真には、大きな傷口で腫れ上がった腕。
リストカットをした跡。
酷いと思ったのは、ところどころにあった傷口が深く抉れていたこと。
手首にあった傷は浅い。
もしかしたら、できた傷口を2度抉ったのかもしれない。
憶測にしか過ぎないが、それが両手首から肘関節までの腕にビッシリと彫られていたこと。
それほどストレスを抱え込んでいたのだろう。
『う…ぁッ…ぁ』ポロポロ
はじめから白髪だった故に、白髪ができても分からず。
厚着の服装で傷さえ周りに分からせず。
目に隈を作っても化粧で隠し。
いつの間にか自ら心に蓋をして。
ずっとこれまでも独りで。
これからも独りを望まなければいけないような環境にさせてしまったのだろうか。
『なぁ、ドクター。本当に何をしていたのだろうな…?妾達は。感染者救済…?そう奮闘していた妾たちは近くで助けてほしいのに、「助けて」が言えないやつさえ蔑ろにしてしまった。』
心が痛い。
真実が私の心に抉る。
目を背けるために。
少しでもこの事実から目を背け責任逃れをするために。
『痛い』
被害者でもないくせに勝手ながら胸を痛める、醜悪な感情だ。
だが、これでもロサの痛みには何千分の1さえならないだろう。
『ほんとうに…、なんて笑い話なんだ。これが道化と言わず何というのだろうか…。』
ワルファリンはこちらを見定め、続ける。
その瞳には、迷いがない。決意に満ちた瞳で話す。
あぁ、わかってるよ…。君が言わなくたって今私も同じ気持ちだ。
私だって必死だったのだから。
『ドクター、妾からの頼みじゃが聞いてくれぬか?』
私はただただ頷く。
その厳かな雰囲気と彼女からのただ少ない頼みを断るのは気が引けた。
その様子を見たワルファリンは少しだけ口角を上げ、まるで安心したと言っているように感じる。
『ロサのその後は任せる。だが…、彼女にとって最善であると思う行動をしてくれると嬉しい。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロサ視点
気がつけば、白無垢の病床で目を覚ます。
久しぶりに長いこと寝ていたかもしれない。
天井近くの壁に、時計がかけられ、針は一時を指し示している。
太陽はもう水平線に消え、代わりに月が顔をだしていた。
ふと、記憶の途切れた断片を辿る。
あれ、…。私はまだ戦闘中なのに、どうしてこんなところにいるのかしら?他の皆は?大丈夫なの…?
無意識にハープーンを握る手を動かすが、空をさくだけ。
ふと、嫌な予感がよぎる。
いや…いやっ…!早く戻らなくちゃ…!私がいなくなったせいで、誰かが怪我していたのならっ…!
…耐えきれないっ!!
鉛のように重く鈍くなった身体を必死に起き上がらせようとした。
ガッ…ドン…
しかし、なぜか身体自体が動かない。
よく見るとベッド端から端に、この上で固定されているベルトがついていた。
身動き取れない身体に徐々に焦りと不安感が募っていく。
「だっ、誰かいないのっ…?だれか、だれか…?!」ワッッ
声を張り上げる。
しかし、虚しくも私の声は病室のなかを木霊するだけで、誰の耳にも届かない。
「い…いやッ…!ぃ…やぁ…!!」ポロポロ
『ひとりはこわい』
ジタバタと身体を無造作に動かしても、動くどころか縛り付けられる。
たえられない
なんで、わたくしはこんなにだめなの?
のぞんだことひとつさえかなわないなんて。
ちぇるのぼーぐ?ぐむ?いーすちな?
……、ずぃまー…?
ぜんぶわたくしのせいだ。
心から
もう…なにものぞまないから、たすけて…
「ナターリア」
私は君の涙の理由さえ知らない。
次回が終わってからのキャラ候補
-
ホルン
-
リィン
-
ケオベ
-
シュウ