牛バラ肉がとろけるビーフシチュー・ソースが掛かったオムライスとコンソメスープ、栄養たっぷりなサラダたちでお腹を満たした後、ミオにお風呂で背中を流してもらった。
お互いにタオル一枚で過ごす半裸のスキンシップは、ぷにっとした肌がたびたび触れ合って、とても心臓に悪かった。背中に当たっていた柔らかい感触のことはあまり気にしないようにする。
料理も上手で、気遣いもしてくれる……言うことなんて何もない、最高の恋人だった。
「かゆいところはございませんかー? なんてねぇ♪ うちは美容師さんじゃないから、あるって言われても、指でカリカリしてあげることしかできないんだけどね」
ミオはそんな風に笑って、濡れた髪まで乾かしてくれた。テレビをボーっと見ながらお世話をされる快感は、もはや恍惚に値するものだった。
ドライヤーを置いたミオは、サラサラに整えた男の頭を抱くようにして、むちむちぷりんとした膝枕に寝かせてくれた。さらに、やわらかい綿棒で耳に入っていた水分まで拭う。
まさしく至れり尽くせりの楽園だったし、それを提供してくれるのがミオだという事実がたまらなく愛おしい。自分の身に余りすぎて溢れてしまいそうな、温かくて甘い幸せに包まれた。
「うふふ♪ また、幸せそうな顔しちゃってさぁ……あなたのその顔がね、うちは一番好きなんだよ♪」
ゆったりとしたパーカー越しでもわかる、ふっくらと立派に隆起したおっぱいの向こうに見えた、女神のような微笑み。それに思わず見惚れてしまう。
ツンツンとつつかれた頬がどんどん赤くなるのを感じた。
「でも、今日は本当に疲れてたんだねぇ……目元が、ちょーっとしわしわしてるねぇ?」
ミオに指摘された通り、今日は特に疲れが強い。だからこそ、ミオの温かい癒やしが響くように沁みていた。
身体はやたらと重かったし、帰宅前から目元の違和感を自覚できるレベルで疲労を感じていた。
その疲れを生んだ原因たちを思い出してしまい、つい表情が暗くなってしまう。
これから生きていくうえで、また、あのような苦痛を感じなくてはいけないのか。
そんな鬱屈した嫌悪が、幸せで覆い隠せそうだった心の底から染み出した。
「……ねえ……今日は、どうする? もっと深く、強めに……うちと一緒に、リラックスしちゃう?」
こちらの様子を全て察してくれているのだろう。ミオは優しく、ドロついた感情を受け入れるように問い掛ける。
ミオは両手で包んだ頭を撫でて、薄く歯を見せるように、艶やかに笑っていた。
そういうところが、いつまでも、果てしなく男を惚れさせる。その色っぽい空気に中てられたせいで、ミオへの愛情が破裂してしまいそうになるほど膨れ上がる。
ミオはこちらの欲情が迸る目から意思を汲んでくれたのか、にっこりと微笑んだ。
「じゃあねぇ……先に、ベッド行っててくれる?」
ミオは自分の赤らめた頬を悩ましげに撫でてから、ちょっとだけ惜しそうにして膝枕をといた。
「準備してから、うちも行くから……いいこにして、待っててね……あはは……♡」
いつも通りに可愛らしく、明るく笑っているのに。その真っ赤に染まって緩んでいた顔が、どうにもエロスを感じさせてくる。
ミオはさらなる癒やしを提供するために、紙袋を持って脱衣所へと向かって行った。