『サテト、コノママココデ楽シンデモ良イガ、増援ノ【エクソシスト】ガ来テモ面倒ダ! 移動スルゾ!』
「……はい」
【AKUMA】の口から出た言葉に、リナリーは顔をしかめた。てっきりこの【AKUMA】は欲望のままにこの場で事を始めると思っていたが、意外と冷静な面を持ち合わせており、援軍を期待していたリナリーの儚い夢をズタズタに引き裂いた。
リナリーは渋々【AKUMA】に続き、歩き始め――
『オイ』
「え? ――がっ!?」
突如腹部を鋭い痛みが襲った。体が真っ二つになってしまったのではないかと錯覚してしまう程の激痛が走り、リナリーは軽い呼吸困難に陥った。
涙目になりながら地面をのた打ち回り、込み上げてくる胃液を必死に喉奥に戻し、腹を抑えるしかできなかった。
『性奴隷ガ! 立ッテ! 歩クナ!』
「がっ! ぐっ! んぐっ!」
【AKUMA】は追い打ちをかけるように何度も何度も腹を蹴る。一発一発が重く、並みの人間ならそのまま絶命もしかねない程強烈な蹴り。しかもリナリーは【エクソシスト】とはいえまだ少女。意識が飛びかける程の激痛に、苦悶の表情を浮かべていた。
『マダ自分ノ立場ガ解ッテナイミタイダナァ? アァ?』
「~~~~っ!」
仰向けに倒れたリナリーの腹に【AKUMA】の足の裏が乗せられ、どんどん力が加えられていく。内臓が圧迫され、呼吸も出来ない。ミシミシと音を立てて骨が軋み、更に意識が遠のく。
『犬ミタイニ四ツン這イデ歩ケ! 解ッタカ!』
「~~~~っ!!」
計20発の蹴りが叩きこまれた上に、腹を踏まれたリナリーは何度も何度も頷いた。
【AKUMA】はゆっくりの足をどかし、彼女を解放した。
咳をしてむせび返し、吐き気と眩暈がするリナリーだったが、今は気にしている時ではない。【AKUMA】の命令を聞かなければ、【協力者】が殺されてしまう。リナリーは激痛に耐えながら四つん這いになり、先頭に立ってそれに続くように【AKUMA】と【協力者】が歩き始めた。
『ヘヘヘ! 良イ眺メダナァ! ケツノ穴マデシッカリ見エルゼ!』
「っ!」
冷たい石畳の感触を手の平と膝に感じ、背後からは下卑な視線を感じる。
もはやリナリーの中に怒りや殺意はない。あるのは恥かしさと惨めさだった。
まだ救いなのはギャラリーがいないこと。これで街の人々がいたと考えるだけで……リナリーの背中に悪寒がなぞられた。
『ン? オッ! 丁度良イナ! 止マレリナリー!』
「え?」
突如の停止命令にリナリーは疑問符を浮かべた。丁度良い? 十中八九それは私にとって良くないものだと直感しが――それは当たっていた。
「ペット……ショップ……?」
かなり大きい店だ。通常の民家の四倍はあろう面積があり、外の看板には『あらゆるペットに必要な道具が揃っています』と書かれていた。
『オイ、オ前達。中二入ッテ探シテコイ』
怪しく光る【AKUMA】の頭部を見た【協力者】達は、小さく頷くとペットショップの中に入っていった。店内ではガラスの割れる音に、棚が倒される音など、【協力者】達が催眠術に略奪をしている事がわかった。
そして数分後、店内から出てきた【協力者】達の手には様々な商品が握られていた。
何を持っているか観察する間も無く、道具は【AKUMA】に手渡された。
『ヘヘヘ! リナリー! ゴ主人様カラノプレゼントダ!』
そういって目の前の地面に何かが放り投げられた。これは――
「首輪……?」
投げられたものは犬用の首輪だった。赤地に大きめの鈴が付いており、特に飾り気のないオードソックスなものだ。
『着ケロ』
「っ!? こ、これをですか?」
『ア?』
「い、いえ! 着けさせていただきます……!」
リナリーは自分の首に首輪を巻き付けた。【AKUMA】はそれを確認すると、リードを引っ張り、リナリーを先導する。
『オラ! サッサト歩ケ! モタモタスルト面倒ナ事ニナルカラナ!』
「は、はい。ご主人様」
馬車のようにリナリーが先頭を歩き、【AKUMA】はリードを握る。先程と同じ構図だが、先程よりも一層主従関係が強くなった。
『ウ~ム。何カ足リナイナ』
数分歩いたくらいだろうか。リナリーの背後から【AKUMA】の囁きが聞こえてくる。
何か足りない? 全裸にさせられ、四つん這いで歩かされ、その上首輪まで着けさせられ、一体何が足りないの?
リナリーの頭の中は疑問でいっぱいだったが、答えはすぐに出た。
『尻尾ダ! 性奴隷ノペットナンダカラ、尻尾クライ着ケナイトナ!』
「は……?」
尻尾を着ける? 疑問をよそに、背後の【AKUMA】はリナリーに近づき――垂れていたツインテールを二本とも引っ張り上げた。
「痛っ!? ああ!!」
『へへへ!』
まるで吊り上げられた魚のように、髪だけで全体重を支え、宙吊りにされる。
バタバタと足を動かすが、むしろ髪の毛に負荷がかかり、痛みを悪化させるだけだった。
『長イ髪ダナァ……コレ位ナラ大丈夫ダロウ』
「あっ!」
次の瞬間――リナリーの体が地面に落ちた。引っ張られていた頭の痛みが消え、恐る恐る髪の毛を触ってみる。
「……っ!?」
ツインテールの髪先が25㎝程切られていた。まさかと思い、背後に立つ【AKUMA】に視線を送ると、その手には自分の髪の毛が握られていた。
「そ、そんな……! 私の髪の毛……!」
『気ニスンナ! マタ生エテクル! オラァ!』
「ああっ!」
放心状態のリナリーに蹴りを食らわせ、地面にうつ伏せにさせる。
『ケツヲ突キ出セ!』
「は、はい」
リナリーは言われた通り、【AKUMA】に尻を突き出した。自分の秘所を見られるのにはまだ慣れていないリナリーは心臓の鼓動が速くなる。
『ヨシヨシ! 次ハ両手デケツノ穴ヲ広ゲロ!』
「へぇ!?」
『サッサトシロ!』
「は、はい!」
【AKUMA】の勢いに押されたリナリーは言われるがままに尻の割れ目に両手を入れ、出来る限り広げた。
すぐに我に返ったリナリーは自分のしている行為に気づき、ゆでタコのように赤面する。
『ヤッパリケツノ穴モ綺麗ダナァ!』
「あ、あの……いつもでこうしてれば……? というか、なんでこんな体勢に……?」
『ソレハナ? ――コウスルタメダ!』
「? ……――ぁぁああああああ!!??」
謎の感覚がリナリーのアナルを襲った。痛い――というわけではないが、味わったことのない不思議な不快感が全身を駆け巡る。
恐る恐る視線を後ろにやると――【AKUMA】が肛門内に彼女の髪の毛を挿入していた。
「ひぐぅうううう!!」
『へへへっ! 可愛イ声デ鳴クジャナイカ! ソレソレェ!』
ズブズブと容赦なく入ってくる自分の髪の毛。人生で初の排便とは真逆の行為に、リナリーは悲鳴を上げることしかできなかった。
そして数秒後……髪の毛が肛門内に5㎝程入り、リナリーに『尻尾』ができた。
『ギャハハハハハ! 可愛イ尻尾ガ出来タナ!』
「うぅ……!!」
味わったことのない感覚と恥ずかしさがリナリーを襲っていた。
目元に涙を浮かべ、歯を食いしばりながら地面を見つめるしかなかった。
『オラ! サッサト進メ!』
「は、はい……!」
様々な気持ちが渦巻き、心の整理が必要な程動揺していたが、当然【AKUMA】がそんな時間をくれるわけがなく、すぐさま行進が再開した。
それからどれくらい歩いただろうか。
少なくとも30分は四つん這いで歩いた。
いつしか肛門に感じていた違和感に慣れ、恥ずかしさも薄れた頃、リナリー達の前に大きな建物が現れた。
「ここは……?」
『ココハ異端審問所ダ! 俺ヤ他ノ【AKUMA】達ノ住処ニナッテイルンダ!』
「い、異端審問所!?」
『へへへ! 【エクソシスト】ガ異端審問所デ【AKUMA】ノ性奴隷トシテ奉仕スル! タマランシチュエーションダナ!』
「っ!」
『サテ! 中ニ入ロウカ!』
リナリー一行は異端審問所の中へと入っていった。
『フゥ! ヤット着イタナ!』
審問所内にある一室。
【AKUMA】はリナリーを連れて入り、自分は室内のソファーに勢いよく座り込んだ。
最近まで形跡はあるものの、ここに来るまでの廊下はいたるところに穴が開いており、ガラスもひび割れ、蜘蛛の巣も目立つ。この部屋も照明器具は機能しておらず、蝋燭のか細い光だけが唯一の明かりだった。
『ソレジャリナリー? 始メヨウカ?』
「は、はい……ご主人様……」
こうして悪夢の一章は終わり――地獄の二章が始まろうとしていた。
お読みくださり誠にありがとうございます!
今回で前戯的なパート終了です!
次回からいよいよ「行為」が始まります!
次話も私の性癖をぶっこんでいきますので、よろしくお願いいたします!