「う……」
視界がぼやけている。脳も回っていない。体の自由は……きくわけがないか……。あれだけ【AKUMA】にお腹を殴られたんだから当然か……
「っ!」
思い出したように意識が覚醒したリナリーだったが、鎖の音と共に自分の体が動かない事に気が付いた。
「これは……?」
両手を上げた状態で、手首から肘まで鎖で巻かれている。
そのまま宙から吊るされているのか、足が地面に着いていない。
『目ガ覚メタカ?』
「っ!」
目の前には【AKUMA】と【協力者】が……鞭を手にしてたたずんでいた。
『サテト、始メルカ!』
「始める……? それって――」
疑問の言葉を遮るように、【AKUMA】は行動で質問に答えた。
リナリーの体を鞭で打ったのだ。
先端がぷくっと膨れた鞭だ。そんな鞭が、一瞬リナリーの体に巻き付き、引く力によって締め上げ、皮膚を締め付け、斬り付けた。
「ああ!」
『ゲヘヘヘヘ! ソレ! 今度ノハ効クゾ! オ前ラ!』
「「「はい……」」」
【AKUMA】の指示により、五人の【協力者】がリナリーを取り囲んだ。
その手には枝分かれした鞭や、先端が鉛の鞭、鎖性の鞭など、多種多様な鞭が握られている。
「ま、待って……! お願い……!」
『ヤレ』
「っ! ああ!!」
聞く耳もたない無慈悲な【AKUMA】の命令が下され、前、横、背後から同時に鞭が打ちつけられた。
軽快な炸裂音と少女の悲痛な叫びが異端審問所に設けられた拷問部屋に鳴り響く。
「やぁ! ああ! やめっ! ああ!」
男達は親の仇のように容赦なく叩きつける。その威力と勢いにリナリーの体は大きく揺さぶられ、次第に痛々しい傷が増えてゆく。
『オラァ! コノクソアマァ! ゴ主人様ノチンコニ噛ミツキヤガッテ!』
「ああ! ああ! ああ!」
『シッカリ反省シロ! 100回叩キノ刑ダァ!』
美しく張りのある色白い体に刻まれてゆく無数の傷跡。
顔を除いた、全ての体の部位にまんべんなく鞭が打たれていった。
そしてものの数分で100叩きが終わり、リナリーは疲弊した状態で力なくうなだれた。
「うぅ……!」
『ドウダクソ女! 反省シタカ!』
「はぁ……! はぁ……!」
『返事ハドウシタァ!』
「…………。うぁああああ!!」
『マダ心ガ折レテネェナ! ドレ!』
【AKUMA】の頭部が再び光始めた。
それが意味する事は一つ……再び鞭打ちが始まるのだ。リナリーは歯を食いしばり、来たる衝撃に備えた。
が、【協力者】達は取り囲むのをやめて、暗闇に消えていった。奥の方では金属音に、何かを引きずる音。
疑問符を浮かべるリナリーだったが、答えは次第に暗闇から姿を現した。
「も、木馬……!」
三角木馬。罪人を跨がせ、股に痛みを与え、裂くという用途に用いられる拷問道具。
目の前にあるのは角度もキツく、跨る部分は木製ではなく金属でコーティングされており、より凶悪性が増している。
「うっ……!」
次の瞬間。リナリーの体は天井からつるし上げられ、1m近く宙に浮く。
その隙に【協力者】がリナリーの両足を広げ開脚させると、股の下に来るように三角木馬を移動させた。
「い、いやぁ……! お願いします……!」
『ヤレ』
「んぎぃ! ああああああ!」
支えられていた手を離し、リナリーを解放した。
自由落下で三角木馬にとされた彼女の股に、容赦なく強烈な衝撃が襲いかかった。
陰部の割れ目にしっかりと食い込み、股部分からは少々の出血が確認された。
『オ前達! シッカリ抑エツケテロ!』
さらに追い打ちをかけるように【協力者】達はリナリーの足首を掴み、地面へと体重をかけた。
「んぎぃ! ひうぅうう!!」
『オッシャ! 鞭打チ再開ダ! マズハ乳首ヲ重点的ニ責メロ!』
「んぁああああああ!!」
再開された鞭打ちのターゲットは乳首だった。
【協力者】達の鞭は的確に、重点的にリナリーの乳首のみを鞭で打っていく。薄紅色だった彼女の乳首は次第に赤く、傷つき、出血もみられる。
『力加減ニ気ヲ付ケロ! 間違ッテモ取レタリシナイヨウニシロヨ!』
痛みを与えつつ、しかし乳首が取れるなどと言う事態に陥らないように、絶妙な力加減で攻め続ける。
『へへへ! 大分仕上ガッテキタナ!』
全身くまなく鞭傷が広がり、傷の無い部分が殆どなくなった頃、【AKUMA】は【協力者】達の手を止めさせた。
「うぅ……」
『可哀ソウニ……全身傷ダラケダナ!』
「うぅ……」
一体誰がこんな事をしたのかわかっているくせに……白々しい……
そんな目を【AKUMA】は見逃さなかった。
咄嗟に目をそらしたリナリーだったが、時すでに遅く、【AKUMA】はゆっくりと彼女に近づき、顎をつかんで強制的に顔を上げさせた。
『イイ目ダ。コンナ状況デモ、マダソンナ目ダ出来ルトハナ』
「も、申し訳ありません……!」
『咄嗟ニ主従関係ヲ意識シタ言葉ガ出ルノハ偉イゾ? ソレニ免ジテ、オ咎メハ無シニシテヤル』
ホッと胸を撫でおろすのも束の間、【AKUMA】の頭部が再び光始めた。
何……? 何をするつもり……?
再び暗闇に消えていった【協力者】達。今度はどんな責めをするつもりなのかと恐怖で体を小刻みに揺らしているリナリーを、【AKUMA】は放置して眺めていた。
そして現れた【協力者】達の手に握られていたのは……
「バケツ……?」
『人間ッテイウノハ、傷ツイタ体ニハ、コレガ一番効クンダロウ?』
「な、なんですか……?」
『ソレハ自分デ確カメテミナ! ヤレ!』
【AKUMA】の指示により【協力者】達は一斉にバケツの中身をリナリーにぶちまけた。
謎の液体はリナリーの全身にかぶさり、少しずつ馴染んでいく。
その直後――
「ああああああああ!!??」
全身に激痛が走った。
硫酸? とにかく傷口が焼けるように熱い。そして痛い。
リナリーは今すぐ体を覆っている液体を振り払いたかったが、木馬に股がされ、天井から吊るされている状態では何もできず、体をよじらせる事しかできなかった。
『ドウダリナリー! 効クダロ!』
「ああああ! な、何を……! かけたの……!」
『塩水ダ!』
「し、塩!? んんんん! ああああああ!!」
傷口にしみこむ塩水の破壊力たるや……
鞭は表面を切り裂く痛みだったのに対し、塩水は内部に入り込み、肉を焼くような痛みだ。
まるで毒のように、肉をむさぼる寄生虫のように傷口から体内に入り込み、リナリーの体を蝕んで行った。
「っ!! ああああああ!」
『オ前ラ人間ハ傷ニ塩ヲ付ケルンダロウ?』
「そんなぁ……! ああああああ!」
『ヘヘヘ! 俺ノ優シサニ感謝シロヨォ!』
再び塩水がリナリーの体にかけられた。
再三訪れる激痛。拷問室に響き渡る少女の叫び声を【AKUMA】は堪能していく。
『ソンナニ痛イノカ? ナラ今カラ取ッテヤルヨ!』
【AKUMA】の頭部が怪しく揺らめき始めた。
それに応えるように【協力者】は手にしたバケツを無造作に投げ捨てると、ゆっくりリナリーに近づいた。
「な、なに……ん!? ああ!」
『体ニ付イタ塩水ガ痛インダトヨ! 舐メトッテヤレ!』
今回は投稿間隔があいてしまい申し訳ありません。
かなり忙しく、執筆に時間が取れませんでした。
しかし、休止はしないので、これからもよろしくお願いいたします!