嵐の中、身一つ荷物一つで家出をして。それなのに、何も事情を聞かずに受け入れてくれた優しさに甘えて。
明日には、事情を話さないと。そんな考えは、私の頭が枕に沈んだ時に崩れ去った。今なら、少女漫画とかで見るヒロインの行動がよく分かった。これは、すごい。
「……ユキさんの、匂いがする」
ユキさんの服を着て、そのベッドの中に潜っていると、それはまるでユキさんに包まれているようだった。普段なら私も、それで色々と甘酸っぱい妄想をしながら寝たのだと思う。でも今は、それだけじゃ済まなかった。
下着を着けていない背徳感、使わせてもらっていることの罪悪感、受け入れてくれたことの安心感。それにこの状況も相まって……自然と、そこに手が伸びていた。
「ん、んっ……」
すぅっと左手で抱き寄せた毛布の匂いを嗅ぎながら、右手ではまだ誰にも触らせたことのない秘部を借りたズボンの上から擦る。
いけないことだってわかってる。やっちゃいけないことだってわかってる。いつユキさんが来るのかもわからない。それでも、この快楽の波からは逃れられそうになかった。
「ぁっ、ん、はぁっ……」
指を動かすたび、息が荒くなっていく。右手の動きが激しくなって、腰が勝手に動き出す。自分のものとは思えない甘い声が口から漏れてくる。
いつしか、くちゅりくちゅりと淫らな水音が鳴り始め、秘所から溢れた透明な液体が染み出し、借りたズボンを次第に汚し始める。
「っ、ぅ、ゆき、さん……」
この部屋の本来の持ち主である想い人の名前を呼びつつ、激しく指を擦り付ける。グチュグチュと激しくなる水音、ズボンと毛布の擦れる音とベッドが軋む音が耳に届き、シーツに自分の匂いが染み込んでいく、染み込ませていく。背徳だ。背信だ。罪悪感と興奮で、淫靡で暴力的な快楽が増していく。
「たり、なぃ……」
それでも、足りないと私は、ズボンの中に手を差し入れた。むわっとした湿り気を多分に含んだ熱気が手を包み、次の瞬間には冷えた指が濡れた陰核に触れた。
「っ──ふ、ぅぅ……ん!!」
指がそこを掠めた瞬間、今までとは質の違う快感が溢れた。頭まで突き抜ける稲妻のようなそれに、身体を丸め布団を噛んで、声を漏らさないように耐える。
「ん……ひぁっ!」
そして割れ目に指を触れさせ、快楽の階段を登ろうとした時だった。鋭敏になっていた感覚が、ドアノブの金属音と足音を捉えた。
「あ……はっ……ゆき、しゃん?」
動揺する気配と共に、静かに扉が開かれた。布団に身を隠しながら見れば、土下座の体勢で微動だにしないユキさんがそこにはいた。
「いつから、そこに、いたんです、か……?」
「割と最初からです。いや、本当は明日の朝ごはんの内容聞きに来ただけなんです。本当です。でも許してくださいなんて言いません、通報してください」
とても優しく、情けない姿だった。さっきまであんなことをしてたからか、そんな想い人の姿をみたからか……自分の中の何かが刺激された。魔が刺した、それはきっと今のような状態を指すのだろう。
「通報は、しません。でも、代わりに、こっちに来て、ください……」
「えっと……」
「ドアも、閉めて、ください」
「……分かりました」
私が言ったことを全部目を瞑ったまま行って、ユキさんはベッドのすぐ手前まで来てくれた。だからそのタイミングで、私はユキさんをベッドに引き倒した。そして仰向けになったユキさんの上に、その腰に跨り痛そうな程の膨らみに対して、服越しの秘所を押し付け駄目押しする。
「そ、空さん? なにをしてらっしゃるので?」
「私だけ、見られるなんて、不公平、です。それに、後ちょっとで、イけなかったこと、責任、取ってもらいます」
「ちょっ!?」
テントを張っているそれの先端をさわさわと撫でながら言うと、非常に焦った様子でユキさんは手を伸ばして来た。止めようと、してくれてるのだろう。だから私は、自分のとは違う大きくてゴツゴツしたその手を、自分の胸に誘導した。
「んっ……」
「ッ!?」
ここまでの行為でピンとたった桃色の蕾が、服越しに刺激される。自分で触るのとは訳が違かった。電流が流れるようにびりびりとして、恥ずかしい声が漏れる。
もう、我慢出来なかった。ユキさんに覆いかぶさるようにして、動揺に揺れ続ける顔にキスをしようと近づいていって……
「それ以上は、ダメです。これ以上はやっちゃいけません」
「ここ、こんなに、してるのに、です、か?」
「うっ……でも、それでもです」
その目はさっきまでとは違って、いつもの覚悟を決めた目だった。絶対に拒否する、そんな念が感じられたから……潤んだ目で、落としにかかる。こんなタイミング、もう2度とあり得ない。
「私、そんなに、魅力がない、ですか? やっぱり、セナさんが、いるから、ですか?」
「違っ、そういう訳じゃ……」
「それとも、私のこと、嫌い、ですか?」
「そんなわけ……」
なにかを答えようとするユキさんの言葉を遮って、私は言葉を続けた。
「私は、ユキさんのこと、好きです。大好きです。ユキさんを、全部、全部、私のものに、したいくらい」
言った。言っちゃった。言ってしまった。ずっと隠していたのに、言わないでおこうとしてたのに。それもこれも、全部ユキさんが悪いのだ。
「ユキさんが、そう思ってなくても、別にいい、です」
半脱ぎになった自分のぐしょぐしょのズボンを脱ぎつつ、ユキさんのズボンも無理矢理ずり下げた。するとボロンと飛び出してくる興奮で怒張した竿。露出したソレは想像より大きく、思わず自分のお腹にピトリと当ててサイズを確認してしまう。
「おっきぃ……」
「空さんが、小さいんです。まだ中学生なんですし、だから、こんなこと」
びっくりしたけど、これに蹂躙されてみたい。なんて淫らに蕩けた、被虐的な思考が頭を支配する。きっと、全部は入らない。入らないけど、自分の秘裂は期待に蜜を溢していた。
「ヤ、です」
もう、邪魔な上の服も脱ぎ去って、後戻りできる地点を駆け抜ける。見せて、しまった。誰にも見せたことのない汗ばんだ肢体を、暗い部屋の中で思い人に見せつける。真っ白な肌に、なだらかな膨らみの上でピンと立った桃色の蕾に、少し毛の生えた秘所……段々と顔が赤くなっていくのを感じると同時に、ユキさんのモノがピクピクと興奮したように痙攣する。
「セナさんに、取られる、くらいなら。私が、先に、きせーじしつ、作っちゃいます」
つい先ほどまで1人遊びをしていたおかげで、ぐちょぐちょに濡れた秘裂を。この先を期待してひくつくそこを、ユキさんの竿に腰を擦り付けていく。マーキングするように、私のもので、私が先だと恋敵よりも意識させるように。
「っ、せめて、そこに避妊具があるのでそれをつけてから──」
無理に退かそうとする手は、私に怪我をさせない為か力が加減されていた。だから私でも、無理に押し切ることができた。あらぬ方向へと伸ばされた手をベッドに押し付けて、ユキさんの耳元で蠱惑的に囁いた。
「大丈夫、です。今日は、安全日、ですから」
「ん──ッ!?」
そして余計なことを言われる前に、ユキさんの口をキスで塞いだ。何度も何度も啄ばむようにした後、少女漫画で見たように舌を伸ばしてみる。感じるのは未知の感覚。けれど嫌いじゃない、嫌じゃない感覚。
「ん……ふ、ぅ……んんッ!?」
息も切れかけて、顔を離そうとした時だった。
ユキさんの腕が私の頭に回されて、離れられないように巻き取られた。息を求めて反射的に開いた口の中で、ゴチと歯と歯がぶつかり合う。きっとお互い初めてで、本の中とは違う拙い行為でしかない。だけど、だけど、堪らない。セナさんを明らかに超えた優越感と、浮気をさせているような背徳感が混ざり合って、興奮する。
そして、お互いの舌が触れ合った。生暖かい、ざらりとした奇妙な感触。自然と、舌を絡め合った。トクトクトクと、刻まれる心臓の音が早くてうるさい。同じ歯磨き粉を使ったから、同じはずなのに違う匂いが口の中に氾濫した。
「……ぷはぁっ」
長い長い、お互いの唾液を交換するようなキスの後。顔を上げた私とユキさんの間に、細い銀色の橋が作られた。それがまた、蕩けている頭を更にばかにしていく。
「ねぇ、ゆきさん。わたしと、えっち、しましょ?」
荒れた息を整えつつ、ソレを自分の大切な場所に導いていく。片手で熱い鉄のような竿を、片手で自分の秘裂を広げるように抑えて、とろりと垂れた蜜がユキさんの竿を濡らし──つぷ、と触れ入った瞬間、また違う種類の快楽が頭の中を駆け抜けた。
「ううん……イヤっていっても、しますね?」
「ちょっ、待っ──」
甘い快楽に焼かれる頭で、ユキさんの制止を無視して一気に腰を落とした。既に洪水のように濡れているとはいっても、あくまでこれが初めての行為。勢いも相まって一気に膣の中に滑り込むが同時に、
「い゛ッ!?」
ブチッと何かを突き破る音がして、脳髄にまで響く激痛が走った。更に接合部から、赤い血が初めてを奪われた証として流れ出す。
「い゛た、ぃ……おなか、も、中から、膨らんでる、みたい、で……くるし……」
「ああもう、だからちょっと待つように言ったのに……」
一気に現実へと引き戻される感覚。痛い、いたい、気持ちいいことのはずなのに。そんな混乱に満ちた藜を抱き寄せて、優しく語りかけるようにユキが言う。
「お互い初めてですし、そういうことをする適齢でもないんです。だから痛いのは当然ですし、本当はちょっと危ないんです」
「初めて……? あぶ、ない……?」
「コンドームを買っておいたのは……なんか夜、セナが侵入してくるらしいので、最後の最後に思い止まってくれるように。危ないって言うのは、お互いの身体がです」
せめて痛みが和らぐように、優しく藜を撫でながらユキが言う。
「この体勢、騎乗位って言うらしいですけど、藜さんは奥の方まで体重が乗って刺さるので危ないですし、俺の方も体重でへし折れる可能性もあって危ないんです。あんなに勢いよくすると。……まあ、同人誌の受け売りなので、どこまで正しいのかは分かりませんが」
「それ、じゃあ……もう……」
「まさか。ここまでされて、やめる訳ないじゃないですか」
藜には知るよしもないが、家出少女を保護したことで、まず未成年者略取誘拐罪。ユキがレイプされた形であり、法律で罰せられる事こそないがこちらもアウト。藜がひとつ口を滑らしたり、或いはここから逃げ出して吹聴したりすれば待っているのは社会的な死だ。
そこまで徹底して逃げ道を潰され、据え膳を喰らうどこか据え膳に襲われた状況であれば、さしものユキとて精神が耐えられない。当たり前のように、男としての本能に理性は屈服する。
「今までどれだけ、俺がなけなしの理性を振り絞って我慢してきたか……普通、男子高校生のベッドに潜り込んだりなんてしたら、ただじゃ済まないんですよ?」
そうして爆発しそうになる獣性を、鋼の精神力で押さえ込んで。崩れ落ちた藜を抱きしめるようにしながら、呆れたように、優しくユキが語りかける。
もうこうなってしまえば自棄だ。
どうせセナにはバレるだろうし、それはイコールでお先が真っ暗であることを示している。だったら奪われた初めての記憶くらい、ユキとしても良い物にしたいし、藜にもトラウマとして記憶して欲しくない。
「それ、でも……んっ、ユキさん、なら」
「俺だって、ギリギリですよ」
そう、とうにユキだって理性は大破している。痛いと言えるレベルの締め付けと温かさに己の竿は爆発寸前であるし、目の前の自分を襲った雌を屈服させろと心の底が叫んでいる。
それでも理性が機能しているのは、単に藜の痛みと苦しみに満ちた表情を見たが故だ。初めてを、そういう結果で終わらせてはいけない。その一念のみで、尋常ならざる正気と我慢をユキは保っている。
「こんな、好きな人に、明らかに
「ひゃぁっ、ん……! ふぇ……?」
恐らく半身の先端にあたる部分を、外から優しく触った時だった。微かに、藜の口から甘い声が漏れ出た。今のが自分の声だったのかと目を白黒させる藜の腰を掴み、確認するようにユキが緩やかに腰を前後させる。
「ぁっ……ん、ぃッ……ひぁ!」
じゅぷ、と粘質な音を立てて、抜こうとすれば切なげな声を漏らして、
「……触りますよ」
恐らく大丈夫だろうという微かな理性と、もう我慢ができない獣性の間で揺れながら、ユキが控えめな藜の胸に手を伸ばす。これまでの行為でぴんと立った桜色の蕾を頂点とした、まだ未成熟でなだらかな膨らみ。そこに躊躇うことなく、這わせるように指を動かし、沈み込ませた。
「んっ……! ユキ、さん……おっぱい、好き、なんです?」
「えっと、なんとなく……?」
理性よりも本能の赴くままに。擽るように、なぞるように、押し上げて回すように揉みながら、ユキ自身も理解出来ないままその先端を弄る。
「くふっ……ん、ぁっ……はぁっ、ゃ……!」
「藜さん、やめっ、我慢が」
熱く瑞々しい吐息を漏らしながら、逃げようと藜が腰をくねらせる。その度に走る刺激でユキが微かに痙攣し、それを見た藜が嗜虐的な笑みを浮かべた。
「ぁん、こう、ですよ、ね……!」
「……ッ、射精る──」
「んんぅ──ッ!?」
ぐりぐりと搾り取るような動きで強く締め付けられ、此処までずっとお預けをされていたユキの限界が先に訪れた。どくどくと、待ち兼ねていたと言わんばかりの最奥に射精する。
「はぁ……はぁ……ん、えへ、へ……きせーじじつ、できちゃい、ました、ね?」
「やっちゃった……」
荒く息を吐き出しつつ、心の底から嘆くようにユキが言葉を吐いた。もう本当にこれで、後戻りは出来なくなってしまった。しかし身体は正直なもので、そんな背徳感と征服感が興奮を促し、もっともっとと言わんばかりに痙攣する膣の感触に、既に相棒は硬度を取り戻し始めている。
「でも、ね、ユキさん。私、まだ、満足して、ないん、です、よ?」
艶かしい笑みを浮かべて、舌舐めずりするようにして藜が笑う。
「ちゃんと、我慢、しないと……パパに、なっちゃいますよ」
耳元でそう囁いて、藜は一際大きく腰を打ちつける。
──長い、夜のPvPが始まった。
翌日全部セナにバレた。
そしてユッキーはまたしても喰われた。