辺境領主は銀髪ロリエルフをprprしたい 作:名もなきrlkn
窓の外で、雨粒が躍る。
私にとって雨の日は特別で、多くの大事な思いでがある。
初めてご主人様に出会えた日。
初めて温かな食事を知った日。
初めてなんの不安もなく眠る事が出来た日。
初めてご主人様に贈り物を、私の名前を頂いた日。
ここには本当にたくさんの思い出あるけれど、この魂に焼き付いたような思いはきっと、死の今際に立っても忘れる事はないだろう。
ご主人様に買われてからの生活は全てが幸せで満たされているようだった。
美味しい食べ物がたくさんある事を知った。
可愛いお洋服を着せて貰った。
屋敷のメイドさん達と楽しくお喋りした。
ロイドさんにお仕事を教えてもらった。
ウォルダーさんと一緒に色んな悪戯をした。
ミリスさんにお化粧を教えてもらったり、ピエールさんとお野菜を育てたり、グライドさんに剣の筋が良いと褒められたり。
本当に、本当に幸せで、大切な日々。
でも、それでも―――
部屋を出て階下に降りる。そこではご主人様がソファーで居眠りをしていた。本が傍らに置いてあるから、途中で眠くなっちゃったのかな。
傍に寄り、その寝顔を眺める。少し癖の強い黒髪に、彫りの深い顔立ち。起きているときはいつも難しそうな顔で眉間にしわを寄せているけど、その寝顔は安らかだ。皆は顔が怖いというけれど、その黒い瞳に湛える光はとてもやさし気で安心できると思う。もしかするとこれが惚れた弱みというものなのかもしれない。
そのまま顔を寄せ、額に、頬に、唇に、そっとふれるだけの口づけをする。その感触がくすぐったかったのか、少しむずがる様子が可愛らしい。いつもされてばかりだから、こうして自分からするのは少し気分が良い。
膝の上に座り、その胸に頬を寄せる。できれば恋人のように隣で肩に寄せたいのだけれど、身長差はいかんともしがたい。身長は伸びてはいるが微々たるもので、堂々とご主人様の横に立てる日は果たして来るのだろうか。
重みで私に気付いたのか、ご主人様が微睡みながら目を開き視線が交わる。しかしそれも一瞬で、またすぐに眠りに戻ってしまった。でもそれは私を無視したのではなく、無言のまま私の身体に腕を回し抱き寄せてくれる。その様子が、まるで無条件で私の全てを受け入れてくれるようで、ただただ私は無限とも思える幸福感に包まれる。その感情のあまりの大きさに胸が詰まり、涙がこみ上げ、下腹部に熱が集まり、だがその全てを覆いつくすような安堵を覚える。
嗚呼、もしかなうならば、このまま時が止まってしまえばいいのに――このまま、世界の全てが壊れても、ただご主人様と二人で居られるのなら、きっと私は幸せだから。
というわけで、短いですが雨音視点での閑話でした。
穏やかな話の流れからのくそでか感情!!