※この作品はR-18です。

辺境領主は銀髪ロリエルフをprprしたい   作:名もなきrlkn

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辺境領主に俺はなる!

 

 

 

 

 

 さて、少し前に10歳を迎えウォルダーと二人で地味な誕生日を祝った。マンサは去年故郷の両親が体調を崩したということで退職してしまったのだ。

 最後までこちらを心配して残ろうとするマンサに、パッパのへそくりからちょろまかした給金を多めに押し付けどうにか送り出した。心配してくれるのはありがたいがここは是非ご両親を優先してほしい。

 

 その後は別邸でウォルダーと二人で暮らしているが、家事もろもろは自分でやるようになった。料理に関してはウォルダーの分まで作っている。

 いやー坊ちゃまの作る料理は不思議な物が多いですがうまいですなぁ、と味は好評なようだ。お前は使用人の自覚があるのかという話だが、ウォルダー曰く料理は執事の業務範囲外らしい。

 まぁ食材の手配はしてくれるし普段世話になっているのでこれくらいはかまわないのだが。料理自体前世からの趣味のようなものだしな。

 

 この5年で別邸も様変わりした。外観はそのままだが、地下に食材等を保管できる冷暗所を作ったり、客室をひとつ潰して自分用の風呂を作ったり、内庭で家庭菜園を初めてみたりと趣味に合わせて改装……というか改造していた。魔法でやりたい放題である。

 

 

 

 

 この世界、科学的な発展がまだ乏しく物理法則についても人類の認識が曖昧な状態なため、世界法則がゆるゆるなのだ。なので魔力があり明確なイメージと知識があれば割と好き勝手できてしまう。

 

 この世界では詠唱を行い決められた効果を発揮する魔法を基礎魔法と呼び、その他の魔法を特殊魔法と分類している。しかしこの基礎魔法と呼ばれている物、詠唱が決められている割に少しぐらいアレンジされても発動するかなりファジーな物だ。

 むしろ人によって詠唱全然違うのに同じような効果を発揮するレベル。

 

 恐らくだが基礎魔法というのは多くの人がイメージしやすいように詠唱や動きを統一し、同じ結果を得られるようにするために考え出されたものであり、魔法の本質は特殊魔法と呼ばれている方なのだろう。

 現状貴族の間ではまず魔力の大きさが重要視されており、魔法に関してはとりあえず発動するのであればそれほど気にしていない者が多い。

 

 王都の魔法院と呼ばれる研究施設では日夜様々な研究がされているらしいが、当然そういった知識や技術というのは秘匿され、研究者や資金を出している極一部の高位貴族の間でのみ流通しているのだろう。

 自らの権威をより高め影響力を強めるためには当然の事だ。その一方で基礎魔法と呼ばれる一見それらしいものを広める事で、魔法とはそういう物だという認識を強め、一般での魔法の発展が進み過ぎないよう抑制しているのではないだろうか。

 貴族にとって重要なのは魔力であるという風潮が強く、多くの基礎魔法が使える事が称賛されている。平民にとっては多少の基礎魔法が使えればすでに上等で、それ以上の研究を行おうとするには日々の暮らしに余裕は無いだろう。

 その中でも研究を行いたいような変わり者は魔法院に囲い込みをしている。恐らく国の上層部の政策なのだろうが、まぁ俺には関わり合いの無い事である。

 

 

 

 

 ここ数年日課としているマラソンと身体作りのための運動を終え風呂に入る。世界は変われど風呂に入る気持ち良さは変わらない。この後は軽く昼食を取りいつも通り読書に耽るとしよう。

 

 本邸の書庫の蔵書は大したものでかなりの量があった。中には異なる言語で書かれている物もあり、これらを集めた歴代当主の誰かの熱意を感じさせた。マジックアイテムのおかげで本はそこまで高価でないとはいえ、これだけの量があれば一財産と言えるだろう。

 しかし現当主を始め今の一家はまるで興味も無いようで埃が積もっている有様だった。せめて掃除くらいさせろよ。

 しかし本に対する興味の無さが幸運に働いた一面もあった。蔵書の中に一冊ひどく悍ましい気配を放つ本があったのだ。嫌な予感がしたので念のため結界を張りつつ調べてみると予想通り外なる神やコズミックホラーに関して書かれた本だったので秒で燃やした。

 なんであるねん。本自体はさほど古い物には見えなかったので余程記述が詳しかったのだろう、魔導書一歩手前レベルだ。隔絶結界を張っていたので向こう側に気付かれる事は無かったと思いたい。

 眷属程度なら問題ないが気まぐれに化身なんて寄越されたなら追い払うのにも一苦労だ。そこらへんは専門家の無垢なる刃さんにお任せしておきたい。同じ性癖を持つ同士として応援している。

 そんな訳で今では面白そうな本は自室に持ち帰りじっくりと読み進める事が出来ている。

 

 今読み進めている本の続きを呆けた頭で考えて居ると人の気配が近づいてくるのを感じる。まぁこの別邸にはウォルダーしかいないが。

 

 

 

「坊ちゃま、入浴中失礼したします。急ぎお知らせしたい事がございます、少々お時間よろしいでしょうか」

 

 どしたの?あんまり良い知らせではなさそうだけど

 

「良い知らせかどうかは少々難しい所ですが、先ほど早馬が参りまして。避暑に赴いておりました当主様一家が魔物に襲われ全員亡くなられたようです」

 

 ……ぱーどぅん?

 

「どうやら移動中にワイバーンの群れに襲われたらしく、護衛含めほぼ全滅。どうにか逃げ延びた従者が知らせを寄越したようです。ほっほ、これは一大事ですな」

 

 おい笑ってる場合じゃねーぞバーロー。いやまじでなんでどうなってんの?てかパッパ魔法使いでしょ?護衛もいっぱいいたじゃん

 

「当主様は魔力量はそれなりでしたが魔法のお勉強はあまりお得意では無かったですからなぁ。護衛達も領の手練れ達は前線の砦に送られておりますので、よそから来たおべっかばかり上手いボンクラばかり。ワイバーン一匹ならまだしも、群れとなればさもありなん、と言ったところでしょう」

 

 おハーブ生い茂りますわぁ!

 

「そうですな、詳しい話は湯からお上がりになられてからに致しましょう。ハーブティーを用意しておきますゆえ」

 

 違うそうじゃない

 

 

 ウォルダーは本当にそのまま戻っていった。あいつまじでどうなってんだ。まるで動揺してないし意味わからん……

 何はともあれ面倒な事になるのは確実そうだ。漏れ出るため息を止められそうにない。俺は現実逃避のためにそれから30分ほど湯舟に浸かり、ようやく湯から上がるのだった。

 

 

 

 

 

 話は少し前に遡る。比較的温暖な気候が長く続くこの地方だが、今年は例年に比べてかなり気温が高かった。そこで当主であるパッパは最近交友が深まったという近隣の領主に避暑に誘われたらしい。なんでも比較的高地にあるらしく涼しく過ごせるとか。

 それなら是非にと家族でお邪魔させて頂く事になり、5日ほど前に護衛も引き連れて旅立っていった訳だ。ナチュラルに俺がハブられているのは気にしてはいけない。

 そして目的地に着く少し前、山間の道を進んでいる途中でワイバーンの群れに遭遇し成すすべなく壊滅。命からがら生き延びた従者が知らせを寄越したという顛末だ。

 

 せめて息子のうち一人くらい生き残りいないのかと思ったが、ワイバーン的に子供の肉の方が柔らかくて好みらしく一番最初に咥えられてお持ち帰りされていったので生存は絶望視されているようだ。

 

 

 

「という訳でして、エディルナ家の生き残りは坊ちゃまお一人となってしまいました。これからは新当主としてこのヘルゲン領を差配して頂ければと存じます」

 

 という訳でじゃねーよ。急転直下、青天霹靂、寝耳に水とはまさにこのことだよ。ていうかそんな簡単に新当主とかなれないでしょ。親戚とかいないの?いるでしょパッパの兄弟とか

 

「親戚はおりませんなぁ。当主様……失礼前当主様のご兄弟は不幸な事故で皆亡くなられておりまして、現在エディルナ家の継承権を持つのはクリストファー坊ちゃまお一人となってしまいました」

 

 あっ、ふーん(察し)不幸な事故があったんじゃね、仕方ないね

 

「貴族家当主の任命に関しては本来王の許しがなければいけません。基本的には当主とその継承者が王都へ赴き、継承の儀式を行うのですが、ここは辺境の地。王都までの距離も離れておりますので緊急時には知らせだけを先に届け、余裕が出来た時に王へと報告を行う事も許されております」

 

 危険がいっぱいの辺境地だからこその例外が許されているのね、まさしく今の状況のような

 

 

 

 面倒な事になったと思うと同時に、ある意味ありがたい事になったかもしれない。もともと気ままな生活を送るのが目標であり、少しばかり贅沢が出来ればなお良しと考えて居たのだ。

 そういった意味ではこのまま当主の座が転がり込んでくるのであればそのまま目標達成と言えるのはないだろうか。

 

 

 

「ふむ、王城の方にはわたくしから連絡を送り手続きを行っておきますので、それでよろしいですね?」

 

 

 

 正直貴族が何すればよいのか良くわからん。まさか自分がなる事はないだろうとそれ関連の書物は後回しにしていたし。

 けどあれだろ、魔物が攻め込んできた時に撃退したり適当に書類にサインしとけばいいんだろ?パッパを少し観察してたこともあったけど仕事してるような所なんてまるで見た事ないしな。つまり実務自体は部下にほぼ任せておいて上司としてそれを承認するだけなんだろ?

 それくらいなら俺にだって出来るだろう。良し決めた、よきに計らえ!

 

 

 

「かしこまりました、ではそのように」

 

 

 

 ウォルダーは慇懃に腰を折り綺麗な礼をすると、本邸の方へ向かって行った。そういえば本邸の家令を筆頭に、執事やメイドも結構引き連れて行ったのでハウスキーパーも補充しなくてはならないのか。

 まぁ家来はウォルダーにやらせればいいし、人員の補充も全部任せちゃって大丈夫だろう。

 

 この時の俺はたいして悩みもせずに気軽に構えていたのだった。すぐに地獄を見る事になるとも知らずに……

 

 

 

 

 

 

 

 クリスは激怒した。必ず、かの邪知暴虐の当主を除かねばならぬと決意した。

 

 まぁもう死んでるんですけどねこのくそ野郎が!パッパお前この無能ぅ!

 

 家族が死に、急遽家督を継いでクリストファー・エルディナ・フォン・ヘルゲンと名乗るようになってから2か月。俺は領内の視察を終えて本邸に帰り絶望していた。

 

 ヘルゲン辺境伯領はそれなりに広い。魔獣と魔物の住む領域、魔領に面しているため安全な土地は少ないが魔領を開拓できればその分を自分の領土に加えてよいとされている。開拓できればの話だが。

 領内には二つの街と4つの村がある。ここ領主館のお膝元であるアルトの街、魔領に面するベルト砦から広がったベルトの街、麦を中心とした農作物を作る4つの名もなき村ABCDだ。それらを一通り見て回ったわけだがそれはもう酷い有様だった。

 度重なる重税で街に活気はなく、糞尿によごれ汚い。砦では騎士や冒険者たちがどうにか魔物を瀬戸際で食い止めているものの、日々負傷者が増え戦力はじりじりと低下していくばかり。

 流れ者が多い冒険者と住人の間では争いが絶えず、防衛のために村から連れてこられた男たちも急に渡された槍に戸惑うばかりでまともな調練も受けられない。

 働き手である男たちを連れていかれた村では取れる作物の殆どを税として取られ、残った者たちがかろうじて食つなぐ事しかできない。

 

 逆にどうやったらこんなくそみたいな状況になるの?と聞きたくなる。素人目にもわかるがこれはもう領として破綻寸前だ。むしろ破綻せずにぎりぎり体裁を保てている事が奇跡に思える。

 もっと余裕のある内に領主に反旗を翻せなかったのだろうかとも思うが、ほとんどが魔力無しで構成される平民にとって貴族とはそれだけ強大だったのだろう。

 

 

 

 もっともこれらの原因のすべてが先代であるパッパだけのせいという訳でもないらしい。

 

 

 

 もともとエディルナ家は法衣貴族だった初代が戦で功績を上げ、ヘルゲン領を拝領したことが始まりだった。最初にアルトの街を作り、次に魔領の抑えのためベルタ砦を構築。

 やがて砦の周囲に人が集まり街を整形していった。初代は戦上手で砦をうまく使い魔領からの魔物の流入を抑え、領内を安定化させた。やがて後方が落ち着いてくると新しく村を開き少しずつ人口を増やしていった。

 劇的な進歩はないものの、辺境の開拓はゆっくりと着実に進みこのままいけば豊かな領になるだろうと思われた。

 

 しかし領を継いだ二代目が問題だった。二代目は放蕩家で色狂い、領の運営には無頓着という絵に描いたようなダメ領主だった。初代は兵士を育てるのは上手かったが、子供の教育は出来なかったのだ。

 外部の教育者に頼ろうにも伝手がなく、他の貴族からはやっかみが酷く頼れる相手もいない。せめてもと大量の書籍を集めてはみたものの、残念ながらそれが活かされる事は一度も無かった。

 

 さて、子供が多かった二代目の後には当たり前のように家督争いが起きた。最終的に3代目であるパッパが他の兄弟達を追放したりころころしたりして当主の座に座った訳だが、ただでさえ2代目の無駄遣いで財政を圧迫していた所にこの家督争いで出費はさらに加速!

 ついでに巻き込まれた家付きの兵士たちもバタバタ死んで腕利き達も大勢死亡、わずかに生き残ってももう付き合っていられないと離散。エディルナ家は大打撃を被ったのだ。残当である。

 

 こうして人と金を大きく失ったエディルナ家だが、3代目パッパは大逆転のための一手を放つ。そう、増税である。もう笑ってしまう程ありとあらゆるものに税金をかけ絞れるものは全て搾り取ろうという勢いでだ。

 ついでに出費の多かったベルタ砦の防衛費用もあれこれいちゃもんを付けて削減していった。こうしてエディルナ家単体で見ればその資産を回復したが、まだ成長途中だったヘルゲン領が耐えられるはずもなく、十数年もしないうちに破綻寸前にまで追い込まれているのだ。

 いっそこの領一回ぶっこわした方がいいんじゃないですかねぇ?

 

 そんな話をウォルダーから聞いた訳だが、お前初代から仕えてるの?いったい今何歳だよまじで何者なんだよ。ほっほっほじゃねーよ笑ってごまかそうとすんな。

 

 

 

 

 ウォルダーの正体も気になるがとにかく今はそんな場合ではない。すべてを放り投げて知らんぷりを決め込みたいがすでに代替わりの知らせは王城に届いてしまっているだろう。

 である以上貴族の責務として領の維持と発展をさせねばならず、万が一破綻して魔物に占領されようものなら罪人扱い間違いなし。まぁ本気で逃げようと思えば逃げられるが、仮にも10年この地で育ったのだ。

 今まで俺が食べてきた食べ物や安寧とした時間は文字通り領民たちの血税である。こうして内実を知ってしまった以上放り出すのは仁義に悖る。

 

 月読様も良く言っていたしな、受けた恩は倍にして返せそして恨みは100倍返しだ、と。あの神はイケメンな見た目によらず陰険な所は結構好きだった。

 

 それによく考えればこの状況はチャンスとも言える。ピンチはチャンス、つまり逆転の発想だ。そう逆に考えるんだ、領内がすでに壊れる寸前なら、別に壊れても構わないくらいの気持ちでやってもいいさ、と。

 自重なんてすべて投げ捨ておぼろげなラノベ知識を動員してNAISEIごっこをしてもいいじゃん、と。俺TUEEEEEしながら領地復興させてハーレムしてもいいじゃんと!

 

 おっしゃやるぞお前俺はやるぞ!ウォルダーお前もこき使ってやるから覚悟しろよ!

 ……え、それは家令の仕事に含まれてないからダメ?いやいやいやいやいや、お前今のは「微力ながらお手伝いいたしますぞ」みたいな感じで協力してくれる所じゃないの?契約範囲外だからダメ?お前ほんとそういう所だぞ。

 

 

 

 じゃぁいいや、行くぞロイド!!

 

「は、はいぃ?! ぼ、僕ですか??」

 

 そうだよこの屋敷にロイドってお前以外に居ないだろ

 

「いえ、そうですが。あの、なぜ僕なんでしょうか……?」

 

 そんなのお前が一番下っ端だからに決まってるだろ。大丈夫、特別手当も出すからさ。はい決定!つべこべ言わずに行くぞ!

 

「え、そんないきなり言われても困りますって?! あ、ちょっと領主様待って引っ張らないで止めて酷い事しないでー!」

 

 

 

 

 ロイドは前当主が亡くなる一月ほど前に屋敷に来た奉公人で執事見習いのようなものだ。仕事を教わり始める前に事件が起きそのまま役職が宙ぶらりんのままだったのでとりあえずウォルダーに付けて手伝いをさせていた。

 色々と始めるにあたって手伝いが必要だが、正直今の家にいる文官達はあまり使いたくなかった。どうせほとんどが着服やら横領に手を染めているからだ。それらが一概に悪だと断じるつもりはないが俺の手足にしたくはない。

 ここも一度手入れが必要だろう。そこを考えると何もそまっていないロイドは色々とちょうど良い。年齢も15歳と若く柔軟な発想もできて、少し見ていた範囲で物覚えも良い。俺の傍らで色々見せておけば後々成長の糧にもなるだろう。

 

 未だにぴーぴーとわめくロイドを引きずりながら俺は部屋を飛び出した。俺たちの冒険はここからだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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