※この作品はR-18です。

辺境領主は銀髪ロリエルフをprprしたい   作:名もなきrlkn

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初めてのお使い

 

 

 雨音の装備を整えて翌日、クエストを受けるためにベルタへとやってきた。

 

 アルトでは市内での労働依頼ばかりであり、実戦を経験させたいこちらとしてはあまり用がない。たいした距離でもないのでまだ連れてきたことの無かったベルタにした。

 

 アルトに比べるとベルタは雑多な感じだ。冒険者や商人の数も多く、街の大きさの割に人が多いためそう感じるのだろう。

 色々と優遇措置もとっているからか順調に領外から流れてきているようだ。ただこうして実際に見てみると予想よりも人が多く感じる、グライドとも相談して早めに街の拡張計画を進めたほうがいいかもしれない。

 

 種族も人間族だけではなく、エルフやドワーフ、獣人など割とポピュラーな所は結構いるようだ。雨音も珍しそうに興味津々と言った様子で見まわしているが、今日は勝手に離れたりしないように手をつないでいる。

 離れても場所はわかるので迷子にはならないが、また厄介事になっても困る。

 

 人の流れに乗りながら暫く道を行けば、少し先にベルタの冒険者ギルドが見える。周りの建物が貧相なのを別にしてもやはりでかい。

 

 建物の大きさも内装も王都にあるギルドにだって劣らないだろう。しかし作った時はテンション上がっていて気にしてなかったが、改めて見ると完全に浮いている。

 しかしまぁ冒険者が増えている要因としてはやはりこの建物の立派さもあると思うので、これはこれで良しとするべきか。

 

 少しだけ過去の行いを顧みつつドアを開ければ、すでに昼過ぎだというのにギルド内はそれなりに賑わっているようだ。ドアが開いたことに反応して視線が集まるが、それも一瞬。すぐに視線は切れる。

 今日は私服ではなく装備一式着こんできているので悪目立ちすることもないだろう。雨音も身長の低さは目立つものの、よくよく見なければ細身のドワーフか小人族に見えるだろう。革製とはいえ鎧を来て金属武器と盾を持ったエルフは普通居ないからな。

 

 クエストボードに張り出された依頼を一通り眺めてみるが、流石にこの時間では美味しい依頼は無いようだ。

 割の良い依頼はだいたい朝に張り出されてすぐに受注されてしまうので、この時間はだいたい旨味がなかったり危険度が高かったり、後は常時出ている採集クエストばかりだ。

 今もクエストボード周りにはあまり人はおらず、すでに一仕事終わらせた冒険者たちが集まって話をしたり酒を飲んでいたりといった感じだ。

 

 なんにせよ今日受ける予定だったのは採取クエストなので特に問題はない。やはり初依頼といえば薬草採取、これだろう。

 ついでにスライムかゴブリン、コボルトあたりを叩ければ十分だ。ここらへんは駆除対象になっているのでわざわざ依頼を受けなくても討伐部位を持ってくるだけで報奨金が入るようになっている。

 もし依頼が出るとすれば村の近くに群れが出来てしまった時や、少人数では手に負えない程に群れの数が膨らんでしまった時くらいだ。

 

 まぁ採集クエストも常時依頼なので持ってくるだけでいいのだが、そこはそれ。やはり初めてのクエストなのでしっかり手続きも経験したほうがいいだろう。

 雨音に手順を説明してクエストカウンターへと向かう。申請や登録をやらせてみたが、どうやら問題なさそうだ。

 カウンターのお姉さんに一瞬怪訝な顔をされたものの、すぐに保護者(こちら)の存在に気付いたようで、その後はお使いをする子供を見るようなほほえましそうな視線になっていた。

 まぁ確かに初めてのお使いである事には間違いない、若干殺伐としているかもしれないが。

 

 

 

 

 

 さて、薬草と一口に言っても様々な種類が有るわけだが、今回目標となるのは回復ポーションに使われる中では最もポピュラーな薬ヨモギと呼ばれる物だ。

 

 名前の通りハーブであるヨモギとほぼ同一の物であり、何が違うかといえば魔力の有無である。

 もともとヨモギには止血効果があるのだが、魔力を含んだ物はその薬効が高くなり、いくつかの素材を混ぜる事でポーションを作る事が出来る。

 ポーションにもグレードがあり、薬ヨモギをメインの材料とした物はほぼ下級ポーションに分類されるが、他のポーション材料の薬草に比べれると格段に入手手段が容易であり、多少の傷ならば下級で十分カバーできるためその需要は多い。

 回復魔法を使える人間の多くが教会に属しており、冒険者をやっている者は少数であるためポーションの常備は必須と言えるだろう。

 

 

 

 

 

 そんな引く手数多な薬ヨモギだが、割とそこら辺に自生している。もともとハーブだからな、生命力も強いんだ。しかし普段の生活圏内で取れるようなのは含有魔力が少ないんでポーション作るにはかなりの数が必要になってしまう。

 だが魔力濃度の高い場所、つまり森や魔領付近に生えてる物は含有魔力が多いのでそれを狙う事になるわけだな

 

「なるほど、では魔力を多く含んだ物を採取すれば良いのですね。基準は決まっているのでしょうか?」

 

 もちろんある。ギルドでは計測器があって持ち込んだ物はそれで計測するんだが、基準量に満たない物は弾かれて買い取り価格が下がる。逆に多ければ高品質品として高く買ってくれるようだが。

 計測器を貸してもらえればいいんだが高価な物だからそれも出来ん、何度か採取してコツを掴むしかないだろうな

 

「何も考えずただ摘めば良いという訳ではないのですね」

 

 あぁ、しかもある程度魔力を感じる才能が必要だ、闇雲に摘んでも当たりが少なくて大した稼ぎにはならないからな。一応魔力を感じられなくても見分ける手段はあるらしいが、そういった情報を調べるにも金がかかる。案外駆け出しの冒険者がやるには難しい依頼なのさ

 

「じんこーさいばい、というのは出来ないのですか?」

 

 昔から色々試されてはいるようだが、魔力の濃い所は魔物が出るからな。建物や柵を作っても魔物や盗人から守るための警備の費用が嵩んだり、実際に取れる量も一定じゃなかったりで赤字の方が多かったりと難しいらしい。

 その内出来るようにはなるだろうが、すぐには無理なんじゃないかね

 

「だからこそ冒険者の手が必要なのですね、勉強になります」

 

 

 

 目標となる薬ヨモギの説明をしながら草原を歩く。すでにちらほら見かけるのだが、もう少し森に近い方が効率が良いのでスルー。しばし移動した先で群生地を見つけたのでそこで採取をする事にした。

 まずは見本となる薬ヨモギを見せて特徴を説明した。一応事前に図鑑の絵で調べていたので問題はないだろう、ふんふん頷きながらさっそく採取へと向かって行った。

 手に持った薬ヨモギを眺めてみる。一応魔力を基準値以上含んだ物はそうでない物に比べ葉が厚くなるらしいのだが、ぶっちゃけ俺にはわからない。

 しかし実際に魔力が感じられない人でも少し指先でこすっただけで判断できるというのだから、職人というのはいるものなのだろう。大工の職人も1mm以下の厚さの違いを指で感じるというし、熟練の業というやつか。

 

 雨音の方に目をやれば地面に膝を着いて可愛いお尻をふりふりしながら採取に励んでいる。熱心なのはいい事だが、些か無防備にすぎる。後ろから近付いてその小振りなお尻を少し足で押してやれば、簡単にバランスを崩しぺぎゃっと地面へと突っ伏した。

 

 慌てて身を起こすと突然の暴挙に対してか、不満げに眉根を寄せてこちらをにらんで来る。まぁ迫力なんてまるでないのだが。

 

 

 

「ご主人様、いきなり酷いです。真面目にお仕事しているのに悪戯するのは良くないと思います」

 

 はは、悪い悪いつい足が滑ってしまったようだ。だがな雨音、ここはすでに魔物のテリトリーだ。あまり目の前の獲物に夢中になっていると、あっという間に自分が獲物になっちまうぞ。今もばっちり囲まれてるしな

 

「ふぇっ、すみません全然気づかなったです……」

 

 

 

 周囲は草原で見晴らしはいいが、草の背はかなり高い。こちらも風向きを気にしたり匂いを消したりという事もしていなかったので、向こうからすれば狩りやすい獲物に見えている事だろう。こちらの死角を縫うように、今も距離を縮めてきている。

 

 

 

 一応講義でも話はしたが、人間何かに集中している時というのは他の事に対して注意が散漫になるということだ。

 特にモンスターの生息域では常に気を配らなくてはならない。だが四六時中気を張り続けているのも容易では無い、特に新人の内はまず無理だ。

 だからこそギルドは基本的に最低2人、できれば3人以上のパーティーを組む事を推奨している。そうすれば1人が周囲を警戒している事で、残りのメンバーが比較的安全に作業をこなす事ができるからな。

 採取クエストでさえ1人で受注しようとすれば止められるのはこういった事情があるからだな。余程レンジャー技能に優れているか、不意を付かれても返り討ちに出来るだけの実力が無ければ、ソロの冒険者なんて良い餌にしかならん。

 

「はい、冒険者さんは大変なのですね」

 

 そういう事だ、そら、くるぞっ

 

 

 

 まぁ今の雨音であればこの程度、不意打ちを受けても返り討ちに出来るだろうが心構えは重要だ。

 

 雨音が武器を手にして構えたのを見て気付かれているのを悟ったのだろう。草むらから身を起こして現れたのは狼が3体、いずれも体長はそれほど大きい物ではないので魔獣ではない、野生動物だろう。

 魔獣や魔物が群を抜いて危険であるとはいえ、肉食動物の危険度が決して低い訳ではない。大きな群れに襲われれば魔力持ちですら命を落とす事もあるのだ、貧弱な人間種が舐めて良い相手ではない。

 

 狼は素早く駆け出すと2体は俺に、1体は雨音にと向かってきた。大型の個体に戦力を多く割り振る、妥当な判断だろう。

 

 雨音も自分に向かってくる狼に気付き、盾を構えて半身になる。その身体能力を考えれば万に一つも負ける事はないだろうが、初の実戦で上手く動けるか見ものだ。

 

 狼の速度はそれなりに早い、体躯は標準的なサイズだがあのままの速度でぶつかればかなりの衝撃だろう。対し雨音は腰を落として受け止める構えだ。

 練習では基本的に逸らすか弾くかするようにしていたが、初見の相手の攻撃を全て見極めるには経験が足りない。加えて練習は全て人間だったので動物の動きがどうくるのかというのを見るためでもあるのだろう。

 下手に動いてミスするよりはマシだと判断したようだ。

 

 走ってきた速度をそのままに、狼は雨音へと飛び掛かった。雨音の身長の低さから下手に速度を落としてフェイントを入れるよりも、そのまま重量で押し倒してしまったほうが確実だと思ったのだろう。考えた、というよりは野生の本能での判断だろうが。

 まぁその考えは間違いではない、少女の背丈を考えれば大した膂力などあるようには見えないし、一度引きずり倒してしまえば喉元に食らいつくのは容易であろう。

 もちろんそれは普通であれば、という注釈が付くが。

 

 あいにくうちの雨音は普通ではない。ただでさえ高い身体能力は暴力的な魔力によって更に出力を上げ、強化魔法を使わずとも大の男を上回る力を持つ。

 ついでに重量の増える特殊な盾もあるとくれば、狼の飛び掛かりを受けても揺るぎもしない。盾を使い飛び掛かる狼を空中で受け止めると、そのまま地面へと叩きつけた。

 流石にその衝撃に狼はすぐには動けず、その身に降りかかるメイスによる一撃を避ける事は出来なかった。

 

 

 

「ハイスラー!です」

 

 

 

 若干気の抜ける掛け声とともに振り下ろされたメイスは、容易く狼の頭蓋を砕き一撃で仕留めてみせた。というかその掛け声実戦でも使うのね……

 

 

 

「ふぅ、やりました、ご主人様!」

 

 あぁ、しっかり見てたぞ。初めての実戦にしては上出来だ、よくやったな

 

「はい、ありがとうございます。ですがその……ご主人様は大丈夫ですか?」

 

 ん?何がだ?

 

「いえ、雨音の見間違いでなければ腕と足に狼さんが嚙みついているのですが」

 

 

 

 あ、雨音の戦闘に集中してて忘れてた。これでは人の事を注意出来ないな。

 

 見れば右腕と左足に狼が噛みついてガブガブしてる。噛みついて離さないその頑張りは買うが、無駄な事に気付いてほしい。

 

 

 

 ……これはあれだ、雨音用に取っておいたんだ。うん。次いくぞ!

 

「は、はいです!」

 

 

 

 とりあえず適当にごまかして噛みついている狼を引っぺがし、そのままぽいっと雨音の方に投げてやる。

 

 流石野生動物というべきか、狼は空中で体制を整えると見事に着地してすこし困惑するようにこちらを警戒している。しかしすぐに気を取り直すと、見た目的にまだ組みしやすそうだと判断したのか2匹とも雨音へと向かっていった。

 

 1匹はそのまま正面から、もう1匹は横手に回って2方向から同時にかかるつもりのようだ。そういえば先ほど俺に向かってきた時もほぼ同時に襲い掛かってきていたので、かなり連携が上手いのだろう。

 

 これに雨音はどう対処するかと見てみれば、盾を肩口に構えると鋭く踏み込み、正面から襲い掛かってくる狼へとシールドチャージをかました。雨音自身の体重は軽いので、その踏み込み速度はかなりの物だ。

 その上インパクトの瞬間に盾に魔力を流し重量を増加させていた。ただでさえ高速で動く雨音の体重+装備重量があった所に更に増加だ、その衝撃は絶大だろう。

 事実飛び掛かろうとしていた狼はそのまま後ろへとかなりの距離吹き飛ばされている。頭に当たっていたのでそのまま骨が砕けているか、少なくとも脳震盪でしばらくは動けまい。

 

 雨音は吹き飛ばした先も確認せず、その反動を利用して後ろへと飛び退った。そこへ横から迫っていた狼が飛び掛かったものの、素早く後ろへと引いたのには反応できず空振りとなる。

 着地したあとに雨音の後を追おうとするが、そのまえに再度雨音が距離を詰めるほうが速かった。狼の着地の硬直と、その後の移動の際に四肢に力を溜めるタイミングを見計らい、見事な着地狩りをしてみせたのだ。

 メイスは無理に標的の小さな頭を狙わず、その胴を打ち据えた。そして当然その一撃も並の威力ではない、そのまま背骨を砕き完全に行動不能に追い込んだ。

 

 雨音は万が一の反撃を警戒してか横たわる狼の背中側から接近し、しっかりと2匹にとどめを刺した。

 

 一連の戦闘を見てもしっかりと相手を見て動けていたし、格下相手でも警戒を忘れないのもポイント高い。俺?俺はいいんだ。

 

 生き物を殺す事に関して躊躇するかとも思ったが、特に問題ないようだ。食育ということで鶏や豚を絞める時に一緒にやったおかげだろうか。

 いや、あの時も「お肉楽しみですね!」って言ってたし元からかもわからん。まぁこんなご時世なので下手に抵抗覚えるよりは良いだろう。

 

 仕留めた狼だが、これらは野生動物なので当然魔石はない。損傷は少ないのでうまく毛皮をはぎ取ればそこそこの値段で売れそうだが、当然剥ぎ取りスキルなど持っていない。

 なのでこのまま持って帰ってギルドに丸投げしてしまおう。手間賃は差し引かれるが専門の職員が解体してくれるのだ。

 

 そこで出番となるのがこの魔法の鞄である。そう、あの定番アイテムだ。これもダンジョン攻略中に見つけたレアアイテムなのだが、残念ながらよくあるチート級の性能とはいかなかった。

 口はある程度広がるが限界はあるので大きさに制限はあり、容量も無限ではなく小さめの倉庫くらい。

 重さは軽減されるがゼロにはならず、中の時間が止まっていたりはしない。取り出しはある程度自由に行えるのだが、中が仕切られている訳でもないので入れたもの同士が干渉しあう事もしばしばある。

 魔物の討伐部位と弁当を一緒に入れておいたら、弁当が血まみれになっていたりといった具合だ。

 あればとてつもなく便利なのは確かなのだが、思ってたのと違うというか、かゆい所に手が届かないというか、残念な感は否めない。

 とはいえ狼3匹程度なら余裕で入るし、事前に中身は抜いておいたので干渉を気にする必要もない。帰りに忘れて腐らせないようにすることだけ気を付ければいいだろう(一敗)

 

 雨音が鞄へと収納しているのを眺めながら忘れないように意識しておく。あ、雨音さん待って薬草は一緒に入れちゃ駄目だって!獣臭くなるうえに色んな体液でぐちゃぐちゃになっちゃうからぁ!

 尚間に合わなかった模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想、評価及び誤字報告ありがとうございます。

連休を利用して書き進めようと思っていたのですが、お盆休み中意外に忙しくなり中々時間が取れずあまり進まず。戦闘シーンに苦戦したというのもありますが、中々難しいですね。
とりあえず冒険者ごっこのお話はほぼ書けたので明日続きを投稿できると思います。


※8月16日追記
20話内のランク説明でプラチナランクの説明が抜けていたため加筆修正しました。大変お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございました
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