辺境領主は銀髪ロリエルフをprprしたい 作:名もなきrlkn
「いやー、あれはまさしく地獄絵図でしたね。その後に大地が一人でに動き出した時は天変地異で世界が滅亡するのだと思って気絶してしまいました」
地獄絵図は大げさだろ、誰も死んで無いし、むしろ薄桃色の炎が穢れを祓っていく様は美しく幻想的だったろう
「そっすね。あれがほんの少しの炎だったら美しく感じられたんでしょうけど。ありえない色をした炎が燃え盛る様はこの世の物とは思えない光景ではありました。あのあと住民の一部が火を見るたびに怯えだして対処するのが大変だったんですよ?」
んー、それは悪いとは思ってるけどね。でもあそこで対応後手に回ってたら住民の半分は死んでたと思うんだよ。だからまぁイーブンって事で。
「たしかに病気で死ぬよりはマシなんでしょうけどね。そういえば最近は領民も皆身綺麗になってきましたね。大量の湯を使う銭湯を立てるとか、貴族くらいしか使えない石鹸を領民に使わせるとか、最初は気でも狂ったのかと思いました」
言い方ぁ!
「ですがこうして効果を実感できると素晴らしい判断だったと思います。近頃は他領に出かけるのに気が滅入りますよ」
ほんとそれな。領主として叙任してもらいに王都へ行った時はきつかった。王都はまだましだったが、道中はほんと辛かった。何度体裁なんて無視して一人で飛んで行こうかと思ったことか。しかし石鹸は作り方さえ分かっていればそれほど難しくなかったからな。銭湯については立地が良かった、雨が多く水脈が太いから比較的水を贅沢に使えるし、開拓で森を開くから薪も取れる、魔物の防衛で得られる魔石の一部を使えばマジックアイテムの補助も使える。
今は補助的に使っているマジックアイテムだが、今後改良していけばそっちを主体にできるだろう。そうなればアルトやベルタだけでなく、今ある村にも、今後拓いていく所にも作れるはずだ。儲けるつもりもないから料金も安いしな。
「それは良い事ですね、是非改良に成功してほしいものです。しかし最初に安い障害奴隷を買い集めてきたときは何かと思いましたが、まさか彼らを石鹸を作る労働力にするとは。他の場所では厄介者扱いですし、結果的に人材流出の対策にもなる」
別にそこまで深い考えがあった訳じゃないよ。普通に動ける者にはもっと難しい仕事にあてたかったし、単純にコストの問題もあった。それに最初はダメ元でやらせてみただけだしな。ダメだったら汚物回収の仕事に回そうと思ってたくらいだ。
「そうなのですか?度重なる改良の末に今では貴族の間に出回っている物より品質が高いと聞きますが」
それもほとんどミリスのおかげだよ。俺がうろ覚えの知識を色々垂れ流しただけで製品化と問題点の改善、改良までやってくれた。彼女がいなければ今頃はせいぜい石鹸のような物、が出来てたくらいじゃないかね。
「ミリスさん、たしか最初の頃にクリス様に拉致されていらした方でしたね」
だから言い方!
「まぎれもない事実ですので。最初は文官にまじって仕事をしていたと思うのですが、そういえばいつごろからか見えなくなっていましたね。まさかそんな事になっているとは」
お前あんまり本当の事ばっか言ってると事実陳列罪で訴えるぞ。
まぁ、彼女の適正と希望もあってね。無理に他の仕事もさせるより専任させるべきだと判断したんで任せてみた。そしたらまぁあっという間に労働者の指揮を執って完成させてくれたよ。俺なんかよりも余程人を使うのが上手いと見える。その後もある程度裁量を与えて自由にさせてみたらどんどん効率化を進めていくし、最近は俺から美容品の知識を搾り取って化粧水やら乳液やら美容液やら、まぁ色々と研究しているようだよ。げに恐ろしきは女の美にかける執念か、実に素晴らしいね。
「たしかに、女性が美しくあることは良い事ですね、クリス様のご意向にも沿う事ですし。あぁ、そういえば汚物回収といえば報告書が回ってきていましたよ。肥料をまいた畑の作物の高成長が観測できた、堆肥の作成に成功したと思われるので確認してほしいとの事です」
まじかよ、すげーな成功したんだ。なんでみんなあんなにふんわりした説明で出来るのか。
「こちらは2年ほど前から始めた試みでしたね」
そうそう、元々は貧民街の住人への仕事と軽犯罪者の罰則の一環として朝夕の汚物回収させてたんだけどさ、当初は集積所に集めてまとめてから下流に流してたけど環境に悪いからな。そこで人糞も肥料に出来たの思い出してその作成を命じてたんだ。だがまぁ俺の知識もうんこと土と生ごみと麦藁を混ぜて撹拌していい感じに発酵させると匂いがなくなって肥料になる、くらいのゆるい知識だったから色々試行錯誤してもらってた訳だ。初めの頃は撹拌が足りずにガスが溜まってうんこ爆発したり、水分が多すぎて腐っちゃったりと失敗しまくりだったからな。もう定期的に浄火するしかないかと思ってたが、肥料として使えるようになるならありがたい。確認は後で行くとして、従事者への振る舞い酒の用意をしておいてくれ。今回は特別に受刑者にも一杯だけ出してもいい。それと今後他領に向けての輸出が出来るようになったらその売り上げの一部を賃金に上乗せしてやると伝えてやれ。
「はっ、かしこまりました。諸々手配しておきます」
アルトの街を火の海に変えたあと、そのままベルトの街へと飛び同じ事を行う。ベルトの街の方が小さいが、魔物目当てで冒険者が来ている分混乱は大きいかもしれない。まぁガン無視するが。
とりあえず浄火を行った後に区画整備を行う。ここは商業よりも魔領での魔物の討伐や資材の獲得がメインになるはずだ。まずは砦の補修と城壁の強化を済ませ、冒険者ギルドやその関連の施設は砦の近くへと寄せておく。
これなら冒険者が問題を起こしても兵士が対処しやすくなるだろう。めいびー。
後は冒険者ギルドの改築だ。冒険者ギルドは特殊な成り立ちで国家間の縛りを受けないというよくわからない独立した組織なので本当は勝手に手を出してはいけないのだが、どうにも金回りが悪いのかベルトの街のギルドはしょぼい。
魔領に面した最前線であり、危険は多いがその分獲物も多く運びこまれているはずだ。ギルドに対しては領主と言えど勝手に税金を引き上げる事は出来ないのでギルド内部の問題なのだろうけども。この際それはおいておこう。
問題なのはギルドの内装が地方のちっさいお役所の建物みたいに狭ことだ。受付のカウンターは一つしかないし、クエストボードは狭いから古い依頼が埋もれていくし、職員用のスペースは持ち込まれたアイテムやクエストの資料が散乱し混沌としている。
魔獣等の解体用スペースは裏庭にあるようだが、大型魔獣でも搬入されればそれだけで埋まってしまいそうだ。視察の時にドキドキしながら入ったときのこれじゃない感は未だに忘れられない。
そう、冒険者ギルドといえばクエストカウンターは複数あってタイプの違う綺麗なお姉さんが受付してて壁一面にクエストの依頼が張り出されてて職員スペースは会社のオフィスのようにデスクが並んでいて様々な資料が納められて二階にはギルドマスターの仕事部屋がありそこで一見うだつの上がらないように見えるギルマスが敏腕秘書にお小言を言われながら仕事しててなぜかギルドに併設された酒場では昼間から酒飲んでる3流冒険者がいて喧嘩が始まると奥の訓練用のスペースで模擬戦が行われてその横にある素材の買い取りカウンターに新米冒険者がありえないほどでかい魔石を持ってきてあれ僕また何かやっちゃいました?って言ってなきゃダメなんだよオラぁん?!
そんな俺の妄想を実現させるためなら少しばかりの労力など厭わない。今回は石作り豆腐ハウスではなく見た目も出来るだけ洒落た感じにして、近くの森から木をぶっこ抜いて木材に加工し内装にも拘っていく。
建築に意識を裂き過ぎて自由になった住民たちが勝手に組みあがっていく新冒険者ギルドを唖然としながら見つめている。そこ、あんまり近づくと危ないぞ。
そうして建築する事30分、街の住人全員来てるんじゃないかこれってレベルで見守られる中、ぼくのかんがえたさいこうのぼうけんしゃぎるど、は完成した。
おいこの中に冒険者ギルドマスターはいるか。お前か?お前だな。いいか、この建物をヘルゲン領の領主として冒険者ギルド へと寄贈する。そう寄贈だ、金をとる気は無い。というかそんな金ないのは分かっている。なので私は貴様にこの建物に相応しいだけの働きを期待する。わかっているな?わかったな?では精々励め、私を失望させない程度にな
――領主様、お言葉ですが勝手に建てて勝手に押し付けてその上これに見合った働きをしろって……正直に言って領主館より立派ですよこの建物。流石に無茶振りじゃないですか?ほら、ギルドマスターさん顔面蒼白ですよ
ロイドお前いきなり正論放り込んでくるの止めろよ。というかさっきまで気絶してたのに随分余裕があるな
――えぇ、先ほど天国の祖父と話をしまして。見たもの、感じた事をあるがままに受け入れる事こそが大事であると。例え妻が夫である私を縛り付けて乗馬鞭で叩くことに快感を覚える人だったとしても、まずはそれを受け入れる事で見えてくる物もあると仰っていました
言ってる事は良い事なのにその例えいる?新たな扉開いちゃってるじゃん
――ですので僕も領主様がどれだけ常識外れな事をしても、どれだけ奇天烈な発想をお持ちでも、どれだけえげつない性癖を持っていたとしても、それを認めこの方はそういうお方なのだろうなと受け入れていけばいいのだと気付きました。
おい人がえげつない変態性癖持ってるの確定してるような言い方を止めろ。その優しいまなざしで見つめてくるのを止めろ
とりあえず街でやるべき事は終わった。後は砦にも用があるが、これは明日日が昇ってからの方がいいだろう。まずは今後の方針と予想される問題とその対策について文官達と認識をすり合わせておかなくてはいけない。
街もしばらくは混乱があるだろうから屋敷の武官を街の見回りに出すことも必要だろう。
ヘルゲン領の抜本的改革の為、賽はすでに投げられたのだ。勢い付けすぎて空中分解するか、叩きつけられた衝撃で砕け散るか、方策が裏目に出て自滅するか、あるいは奇跡的に持ち直すのか。まぁ出来る限りの事はやってみようじゃないか。
明けて翌日。俺は軽く朝食を済ませるとベルタ砦に赴いた。
ロイドは置いてきた、この戦いについて来れそうもなかったからな……今頃区画変更後の事情把握や仔細調査のために駆けずり回っているだろう。
ベルタ砦は隣接する魔領から魔物の流入を防ぐたに建てられた、アルトの街にとっての盾のようなものだ。砦の構造段階で魔獣や魔物を引き寄せる効果が組み込まれており、近くの外敵の注目を一身に集めて後ろに敵を通さない、イケメンのメイン盾と言えよう。かっこいいタル~。
もしここの守りが抜かれてしまえばそのままヘルゲン領全体が大きな危険に晒される、極めて重要な防衛拠点なのである。そしてその砦は今まさに崩壊の危機を迎えていた。堅牢に作られた砦自体は問題なかった、昨夜魔法でさらなる強化も行ったので壁が崩される心配はない。
問題はそれを支える中身、砦の兵士達がボロボロなのだ。無能パッパが砦に回すはずの防衛費用をけちって削減しまくったのが原因である。
剣や槍は消耗品だ、手入れや補修をしっかりしていてもそのうち壊れてしまう。戦いの中で破損しようものなら当然大事故に繋がる。予算がないから人を雇う事もできず、ばかりか給金を支払うのも困難で人は離れていくばかり。
惨状を訴えてようやく補充人員が来たと思えば戦いの経験もない農民がろくな装備もないまま送られてくるばかりで戦力の増加どころか足を引っ張られるようなものだ。
これまで砦が落ちずにいられたのは、地元出身の冒険者や兵士の頑張り、崇高な意思を持った一握りの騎士達の献身、そしてそれらを束ねる存在、グライド騎士長のカリスマがあったからだろう。
グライド騎士長自身も相当の実力者であるが、特筆すべきはその指揮能力の高さだ。実力も志もばらばらな、ともすれば烏合の衆にしかならないような団体を一つにまとめ上げる手腕はそうそうマネできるものではない。
もしも国の中央に赴けば相応の立場とともに迎え入れられるような傑物だろう。
そんな彼も、肉体的にも精神的にも重なり続ける疲労のためか今では憔悴しきった顔をしている。けして昨夜の騒ぎが原因ではない。ないったらない。
ともあれここで彼に倒れて貰っては困る。領地を立て直すにはこのベルト砦から出る魔石が絶対に必要なのだ。現状目立った特産品のないヘルゲン領で外貨を稼ぐための唯一の希望なのだから。
基本的に冒険者が手に入れた魔石はギルドへ売却されその一部が税として領に入ってくる。しかし砦の騎士や兵士が間引きしたり防衛戦で入手した魔石はそのまま領主館に流され、それを中央の商人等に売却。
その売却益を使って砦の維持費を含む領内の様々な経費にしていた訳だが、パッパはその殆どを自分のぽっけに入れてしまったのだ。本当に何を考えているのかまるで分らない。よくこれで壮絶な兄弟喧嘩を生き延びる事が出来たね君。
資料を見るとここ最近ベルト砦から送られて来る魔石は明らかに目減りしており、はじめは魔物を間引く余裕もないのかと思っていたが改めて現場を見ると違和感を抱く。
たしかに皆ボロボロだがその目はまだ死んでいない、正直戦場の野戦病院のごとく負傷者が溢れていてもおかしくないはずだが負傷はしてても手当はきちんとされており、使っている武具もくたびれてはいるがまだしばらく保ちそうに見える。
報告されていた資料を見た限りではとうに破綻してしていて然るべき状態のはずだが、薬品や武具の予備がまだあったのか、あるいは間引きして得た魔石をギルドに持って行って換金していた可能性もある。もし考えが当たっていれば立派な横領な訳だが……ここは見て見ぬふりをしよう。
やむを得ぬ事情ならば致し方なし!ダブルスタンダードの自覚はあるが、今ここで前線が崩壊されれば諸共終わりだ。領主館の奴らのように私腹を肥やしていた訳でもないのだし、事が終わってから再調査と必要なら釘を刺しておけばいいだろう。
やぁやぁグライド殿元気かな?元気に見えるかって?もちろん見えるとも。どうにかして生きあがいてベルトの街を守りぬいてみせるという気概に溢れているように見えるよ。さて、基本的には君に任せている砦だが、今日は少し口出しさせてもらおうと思ってね。どうもこの前人員を補充したにも関わらず調練が進んでいないようじゃないか。そんな余裕があるはずないって?いやいや、それをどうにかするのがグライド殿の仕事でしょう、真面目にやってもらわねば困るよ。
とはいえ砦にあまり余裕がないのも理解している。 そこで3か月の調練で彼らを一端の兵士に鍛えてほしい、グライド殿が直々に指導してね。何、魔物の事は気にしなくて良い。こちらでどうにかしよう。新兵の武具や食料等も今手配させている。グライド殿は調練に専念してほしい。では成果を期待しているよ。
ちょっと嫌味な感じの貴族っぽさは出せていただろうか。俺の実力は昨夜のパフォーマンスで理解できたと思うが、何せ見た目が10歳のガキである。頼りがいも威厳もあったものではない。
もう少し時間に余裕があればグライド騎士長とは信頼関係を築く事も出来ると思うのだが、今は俺にも相手にもそんな余裕はない。せめて生意気なガキ領主になめられてたまるかと反骨精神を発揮してもらえれば儲けものだろう。
余計に反発されて大惨事になる可能性もあるが、前領主よりはマシな働きをすればそうそう爆発もしないはず。そういう意味で乗り越えるべきハードルがめっちゃ低いのは助かるが。
ともあれお仕事開始だ。まずは砦の兵士と騎士の中から体力自慢を数人借りる。あ、装備は最低限でいいよ、武器も剥ぎ取りナイフがあれば十分だから。あと大きい籠も。素材採取に行くのかって?まぁそんな感じ。魔石取り放題ツアーにご案内だ!
そんな訳で森の近場に荷馬車を置いてずんずん進んでいく。ほぼ丸腰のためかお付きの兵士たちはビビってる。まぁ敵対勢力の領地にそんな状態で連れて来られれば怖いわな。
だが今日に関しては問題なし、大船に乗った気持ちでいてほしい。まずはお付きの兵士たちに強化魔法を施す。これで今日一日は普段の数倍の身体能力を得られる、魔力持ちにはそれ以上に効果を発揮するだろう。明日は反動で筋肉痛に悩まされると思うが僕しーらない。
力の沸く高揚感のためかざわつく兵士達に改めて手順を説明する。俺が魔物や魔獣、大型の肉食獣等の危険生物をぶっ殺す。みんなはそれを解体し回収する。以上。至極シンプルな作戦だ。そうして近場の脅威を取り除き、砦付近の安全を確保するのだ。
後は微弱な結界を張れば冒険者が飢えない程度に砦が獲物を誘うだろう。仮に強力な魔物が結界に近づけばわかるので、それは個別に対応すれば良い。
単純に安全を確保するだけならば近隣の魔物を皆殺しにして、魔領の奥地にあるだろう魔力の吹き出る穴、龍穴を散らしてしまうのが早いのだが、それでは将来的に魔石が手に入らなくなってしまう。
継続的な収入のためにも魔物にはそれなりに繁栄してもらわないといけない。後余裕ができたら美味しそうな魔物を調理してみたいし。
余談だが魔物を食べるのは余り一般的ではないらしい。食べると魂が汚れると宗教的に広く信じられており、忌避される傾向にある。しかし一部の部位は貴重な薬の材料になったり、そういった話を気にしない一部の冒険者は食べているそうだ。
さて、広域探索魔法を発動しまずは周囲の反応を探る。脅威度の高い順にチェックし優先順位をつける。範囲魔法を使うと森ごと吹き飛ばしてしまうし、操気弾で吹き飛ばすにしても貴重な部位も一緒に吹き飛ばしてしまいそうだ。
遠距離攻撃は苦手で大雑把である。仕方ない、ここは近づいて首を落としていくのが確実だろう。それじゃ魔物殲滅RTAはぁじまぁるよ~!のりこめ~^^
はい、かんそうしたかんそう。タイムは8時間10分!んー、いまいち!途中で兵士さん達がへばってしまって何度も休憩を挟んだ事が大きなタイムロスに繋がりましたね。†悔い改めて†
なんにせよ、ちょっと時間はかかったが当初の目標は達成。しばらくは魔物の群れが襲撃してくるような事はないだろう。そして今回の狩りで大量の魔石と魔物素材を入手出来た。
魔石は売却してお金にするとその一部を税として国に取られるが、魔石をそのまま税として納める事も可能なのでそちらの方がお得なのだ。視察の時に今年は麦の出来が良くないような事を聞いたので、これで多少は補填できるだろう。
近々納税の時期なので屋敷に戻ったら一度ウォルダーやロイドと確認を行わなくては。
砦に戻るとグライドが驚愕の表情を貼り付け出迎えてくれた。まぁ荷馬車いっぱいに積まれた魔物素材に、籠からあふれんばかりの魔石の山を見れば無理もないか。
とりあえずこっちの魔物素材の扱いは任せる、自分たちで加工するなり売却するなり好きにしていい。こっちの魔石は納税用に貰っていくぞ。後は街の冒険者に森の状況を知らせてやってくれ。詳しくは付いてきた兵士が説明してくれるだろう。
定期的に様子は見に来るがしっかりと調練を行うように。では任せた。
屋敷に戻るとすぐにウォルダーとロイドを集め、ベルタ砦での顛末を伝える。と言っても近隣の魔物ころころしておいたから暫くは大丈夫だろうというざっくりな内容だが。
まぁここは時間稼ぎさえ出来れば良いのだ、3か月後にうまく新兵が使い物になれば防衛力も安定し、魔石収入も向上していくはず。
元々ベルタ砦を任されていたグライドの一族は優秀でそのノウハウもある、どっかの誰かがアホな事しなければ問題なかった処か、少し投資してやればもっと儲けも出せていただろうに。
その後はそのまま二人を引き連れ倉庫へ向かう。砦で回収してきた魔石を保管するのと、元々保管されている備蓄を確認するためだ。長期保存のきく小麦や大豆は納税に使う他に倉庫へと保存しておき、寒冷期に食糧不足になった時や不作の年に解放し領民に施すのだ。
今年は不作なのが分かっているので収穫分と魔石はほぼ納税に回し、備蓄を解放して寒冷期を越す事になるだろう。早めに在庫量を確認して分配計画を作るように指示しなければならない。
足りないようなら調度品を売るなり借金して調達せねばならないのだ。それにベルタ砦へ物資を送るように指示してあったが、場合によってはそれも減らさないといけないだろう。考えるだけで頭が痛くなる。
倉庫に着くと倉庫番をしている武官が挨拶してきた。もうずいぶん年がいっているが、大量リストラに入っていない事からもわかる真面目な人柄を評価している。じいさんちょっと邪魔するぜーと倉庫の鍵を開け、扉を開く。するとそこには俺の想像絶する光景が広がっていた。
――何もありませんね。
――見事に空ですなぁ
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛も゛ぅ゛や゛だぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
倉庫の中身は空だった。思わずデスボイスで叫びたくもなる。
何か知らないかと老齢の倉庫番に聞いてみれば、しばらく前にパッパが商人を呼んで倉庫の中身を粗方売ってしまっていたそうだ。
更にロイドによると、避暑にお邪魔するにしても手土産は必要だろうがうちには特産品ない、道中で買うには少しばかり手持ちの金に余裕がない、これはどうしたものかと悩んでる姿を見ていたそうだ。そうしてまぁ倉庫の中の備蓄をすべて売っぱらったという事なのだろう。
貴族の行動としてそれはそう間違った行動ではない。格を示すために護衛や使用人など大人数で動く事になるし、相手に持っていく手土産がしょぼかったら舐められる。貴族は何をするにしても金がかかるのだ。
そうして行く先々で金を使う事で平民が収入を得て経済が回っていく。備蓄に関しても普段は本当にただの備蓄で、納税分はその年の収穫から出せばいいのだから問題にならないはずなのだ、例年であれば。たまたま今年が凶作になって首が回らないだけで。
それだって納税は麦を中心とした穀物と現金、さらに一定額までは魔石で納める事も許可されている。故に金があればなんとかなったのだ、それもパッパ達と一緒に消えて無くなりましたけどね!出かける時に館の現金もほとんど持って出かけて行った訳だが、それらは当然戻ってきていない。
魔物が持っていくような事は稀だが、タダでさえ目立つ貴族の一団が壊滅したのだ。警邏隊が到着する頃には目敏い賊共が粗方奪いつくしていった後だったろう。
こうなれば家財を売るかとも考えるが、2代目たるジッジが無駄に集めたコレクションのうち価値のあるものはすでに手放した後のようだ。今あるのは見栄えはするが価値が低い物ばかり。
本を売るかとも思ったが、マジックアイテムで製販技術がそれなりに進んでいるため価値のある本は極一部。それも所謂コレクターと言われる者達の間での事で、残念ながらそういった伝手は無い。仮に商人の所に持ち込んだ所で買いたたかれるのが落ちだろう。
ならば借金するしかないかと思うが、果たして今の惨状をみて少額ならまだしも大量の金を出してくれる商人がいるだろうかいやいない(反語)
そもそもヘルゲン領に貴族相手に金を貸せるような大店が有るかは怪しいところだ。領土が広くともここは歴史の浅い辺境、わかりやすい特産品でもあれば別だがそうそう美味い話は無い。
そういった場所にやってくるのは一発を夢見てやってくるベンチャー商人がほとんどだ。すでに収入基盤の整っている大手はその地の開拓が十分軌道に乗ったと判断してから動く。当然先に入っていた者が有利なのは間違いないが、彼らはそんなリスクを犯す必要がないのだ。
エディルナ家付の御用商人もいるが、やはりその規模は決して大きな物とは言えない。複数の商人から無理やり絞り取る事も可能ではあるが、そうすれば彼らはこの地を捨ててとっとと逃げ去っていくだろう。
そうして他の商人達にその話が伝わり、いよいよまともな商人は寄り付かなくなるのは想像に難くない。失った信用を取り戻すには多くの時間を必要とするだろう。
ダメだ、中々良い案が浮かばない。
…………今日の仕事終わり!閉廷!以上!皆解散!お疲れ様!俺は風呂入って寝るから!
この後めちゃくちゃふて寝した。
評価ありがとうございます。ブックマークしてくれる方も増えてきていて、こうして目に見える形で成果があるとモチベーションになりますね。
はい、言いたいことはわかっております。申し訳ありません。そうですまだヒロイン出て来ておりません。色々反省して短縮はしているのですが、ここは書いておきたいなと思うとつい掘り下げてしまい長くなる……もう少し簡潔に書ければいいんですけど、中々バランスが難しいですね
しかし集中して書きたいのに死ぬほど暑い。外気温が高すぎてエアコンも今一つ効果が薄いのでつらたん