弦太が学校から帰宅した。
部屋の掃除を無断でしたことを告白するかどうか?リビングで待っていた結花は、一瞬躊躇したが結局、思い切って声をかけた。
「弦太くん、話があるの。こっちに来てくれる?」
結花に呼ばれた弦太がリビングにやって来た。
「結花 お姉さん、な~に?」
「弦太くん、座ってちょうだい」
促された弦太は結花の正面に腰を下ろした。
「弦太くん、あのね・・・」
「な~に?」
「悪いとは思ったんだけど・・・、今日、弦太くんの部屋を掃除したの」
「えっ!そんな・・・、僕、掃除はしなくていいって言ってるのに・・・」
弦太の表情に強い不満が表れる。
「そうよね・・・。それについては謝るわ。弦太くん、本当にごめんなさい」
結花が頭を下げた。
「・・・・う、うん。結花 お姉さん、もういいよ」
結花の素直な謝罪の言葉と態度に、弦太の不満は少しずつ収まっていった。
「それでね、弦太くん、話はこれからなの。私ね・・・、変わったものを見つけちゃったの」
結花はそう言って、弦太の目をじっと見た。
「え?変わったもの?・・・な、なに?」
弦太の表情が変わり、目が焦点を失い明らかに動揺している。
「これなんだけど・・・」
結花は綴じられたファイルをテーブルの上にポンと置いた。
「あ!」
ファイルを見た弦太は一瞬で顔を凍らせ、下を向いてしまった。
「弦太くん、これ、なに?」
「・・・・・・」
弦太は無言のまま、うなだれ下を向いている。
「弦太くん、私、怒ってないから。顔を上げてちょうだい」
結花にそう言われ、弦太が恐る恐る顔を上げた。
結花が弦太の目を見る。
「ねえ、弦太くん。このファイルを見つけた時は、私、とてもびっくりしたわ」
「ご・・・、ごめんなさい・・・」
弦太は消え入りそうな声を絞り出した。
「本当のことを話してくれるのなら、弦太くんが何を言っても、怒らないわ。だから、私の質問に答えてちょうだい」
「本当?怒らない?」
弦太が不安げに尋ねた。
「ええ、本当よ。だから、安心して」
結花は優しく微笑んだ。
「うん・・・分かった」
弦太が頷く。
「じゃあ、聞くわね。弦太くんは、このファイルをいつも見てるの?」
「え?そ、そんなことないかな・・・。たまに、パラパラっとめくって見るくらいだよ」
弦太の目が、まるで逃げ場所を探すように左右に泳ぎ始めた。
「ふ〜ん。そうなんだ。たまに・・・、なのね?」
「・・・うん」
弦太の声が一層に細る。
弦太の様子をじっと見てから結花は話しかけた。
「弦太くん、この用紙を見て欲しいんだけど・・・」
昨夜も弦太がオナニーに使っていたと思われる用紙を取り出し、それをテーブルの上に広げ、 結花は弦太に見せた。
「あ!そ、それは・・・」
弦太は狼狽し口を閉じると、再びうなだれてしまった。
「弦太くん、あのね。この写真のね・・・、所々にシミが付いてるんだけど・・・、これ・・・・、かしら?私の顔とか胸とか。弦太くん、ねえ、見える?ほら、こことか、ここよ。あ、ここにもあるわ」
結花は白くて綺麗な指先で、いたずらに精液の跡を探し指で示して言った。
ドックン。ドックン
弦太の動揺がさらに大きくなる。
「あ、そ、それは・・・、えっと・・・、む、麦茶をこぼしちゃって・・・」
無理な言い訳を見つけ、取り繕うとする弦太の魂胆は見透かされている。モニター越しではあるが現場は目撃されている。
「弦太くん、ウソはやめて」
結花が追及の語気を強めた。
結花の強い口調におののき、一旦は上げていた顔を弦太は慌てて下げた。
「弦太くん、さっき、私、言ったわよね?本当のことを話してくれるのなら、怒らないって」
「・・・・うん。・・・結花 お姉さん、ごめんなさい」
弦太は神妙に謝るしかなかった。
素直な後悔を見た結花は優しく微笑んだ。
「分かってくれればいいの。じゃあ、改めて別のことを聞くわね。ねえ、弦太くん、このファイルは何に使ってるの?」
「う、うん。えっと・・・。そ、それは・・・・」
「・・・それは?」
魂胆を持った結花のいやらしい追及が始まった。
「お、お・・・、おな・・・おな・・・」
弦太が言葉を詰まらせる。
「オナニー、でしょ?」
結花がずばりと言った。
弦太の顔がトマトのように真っ赤になる。
結花は優しい口調で弦太に話しかけた。
「弦太くん、いいのよ。中学生なんだし、オナニーするのはフツーよ。オナニーしていいの」
「そ、そう?」
弦太の表情が少し和らぐ。
「ええ、そうよ。あのね、弦太。私がお願いしたいのはね・・・、私の写真を隠れて使わないで欲しいってこと」
「ご、ごめんなさい。もう使わないようにするから・・・」
弦太は泣きそうな表情で謝った。
「弦太くん、勘違いしないで。私の写真はオナニーに使ってもいいのよ。でも、隠れてこそこそとは使わないで欲しいの」
「え?ど、どういうこと?」
弦太は少し混乱してきた。
「私の写真でよかったら、オナニーにいくらでも使っていいわ。変な趣味の写真とかでオナニーされるより、ずっといいもの」
結花は真顔で優しく弦太に語った。
「そ、そうなの?」
「ええ、そうよ」
「そ、そっか・・・」
弦太の表情が再び和らいできた。
つづく