※この作品はR-18です。

性霊幻想記    作:Tokaz

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アンケートへの協力、ありがとうございます。
その結果、ヤグモ地方では三人攻略する事になりました。
今回は一人目、ルリ編です。
ご覧下さい。


第8話 従姉って結婚出来るよね

 

 

 やって来ましたヤグモ地方!

 でも目的地のカラスキ王国がどこにあるか分からない。スマホでググれればいいんだが、この世界ではそうはいかない。

 ヤグモ地方はシュトラール地方が西洋風であるのに対し、東洋、それも和風と中華風が混ざったような文化圏で、魔法が無い代わりに精霊術が発展していて、人々の生活を支えている。とは言え精霊の民に比べれば微々たるものだが。

 実際旅するとヤグモ地方はかなり広く、俺はすぐに地図を求めたが、あるのは主要な街や村の大体の位置が記された物だけで、日本人の感覚で地図と呼べる物は無かった。こうなると地道に聴き込みしながら進むしかなく、結局目的地であるユバさんの村に辿り着いたのは里を出て3ヶ月以上経ってからだった。

 

 

 太陽の下、村人は忙しなく働いている。そんな中、俺は同年代の二人組の少女に声をかけた。

 一人は栗色のショートカットの活発そうな少女。もう一人は紫がかった長い黒髪の大人しそうな少女。どちらもヤグモ地方で観た中では1、2を争う美少女だ。間違いない、ルリとサヨだ。ユバさんへの取り次ぎを頼むと、二人はユバさんの家に案内してくれた。

 

 ルリに呼ばれて現れたユバさんは、俺を訝しげに見つめる。挨拶すると応接間に通され、そこで俺はユバさんを訪ねた目的を話した。

 ヤグモ地方からシュトラール地方へ流れて来た両親の事を知りたくて、事情通で知られるユバさんを訪ねた事。両親は既に亡く、俺は母との約束でこの地にやって来た事。両親の故郷を探して、そこに墓を建てるのが目的だという事。

 ユバさんは両親の「ゼン」「アヤメ」という名前を聞くと目の色を変えた。それからルリとサヨに席を外させると、深い溜め息を吐いて話し始めた。

 父がこの村の出身である事。ユバさんがゼンの母親、つまり俺の祖母に当たる事。両親の墓は既に用意されてる事を話してくれた。その辺は原作通りだったから、俺は始めて聞いたように驚いた振りをした。

 その後両親の墓に案内された俺は、一人にして貰い、暫く墓前に佇んでいた。

 

 俺は両親──ゼンとアヤメの事をリオの記憶でしか知らない。俺がリオに転生(あるいは憑依)したのは7歳、それ以前の事は記憶してはいるが、母の言葉も想いも、温もりさえ経験してないから、どこか他人のような感覚でいた。この墓参りもリオに対する義理のようなもの、そう思っていたのに・・・・何故こんなにも心が揺さぶられるのだろう。目を閉じると、両親の記憶が蘇ってくる。

 父ゼンはリオが物心付く前に亡くなっていたが、頭を撫でる大きな手の感触を覚えて(記憶して)いる。母アヤメは優しく美しい人で、優しく抱きしめてくれた温もりを覚えて(記憶して)いる。そして母の無惨な最後も───

 

 ドクンッ

 

 突然心臓が高鳴る。

 母は父の友人と信頼していた男──ルシウスに裏切られ、奴に殺された。

 

 ドクンッ!

 

 俺(リオ)を人質に捕られた母は、奴に犯された挙げ句、俺(リオ)の目の前で剣に貫かれた。

 

 ドクンッ!ドクンッ!

 

 死ぬ間際、母さんは何を言いたかったんだろう? 分からない。俺(リオ)には涙を流しながら「リオ」と名前を呼んだ事しか分からない。

 

 ドクンッ!!ドクンッ!!

 

 どうして母さんは死んだ? 奴だ。ルシウスが殺した! 母さんを、そして父さんも奴が、自分の愉悦の為だけに無惨に殺した!!

 

 ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!

 

 どうしてリオ(俺)はこの世界(こんな所)にいる?どうして王女を助けたのに鞭で打たれる?どうして貴族のガキ共に蔑んだ目で見られる?どうして王女を突き落としたのがリオ(俺)のせいにされる?どうしてセリアと一緒にいられなくなる!?

 どうして?どうして!?どうして──!? 

 

 ドクンッ!!ドクンッ!!ドクンッ!!

 

 全ては奴の、ルシウスのせいだ。そしてベルトラム王国の腐った王侯貴族の───

 このままでいいのかリオ? 俺から父さんと母さんを奪ったルシウスを放置したままで。助けて貰っておきながら、俺に冤罪をなすり付け、平気な顔をしている厚顔無恥なベルトラム王国の王侯貴族をこのままにしておいて、本当にいいのか!?

 

「いい訳無いだろ!!」

 

 感情の昂りから勝手に精霊術が発動し、周囲に激しい風が吹き荒れる。

 それと同時に俺の内側からドス黒い感情が溢れ出した。自分の中にこんな感情が眠っていたのかと自分でも驚きつつ、俺はどこか納得していた。

 このドス黒い感情は今まで理不尽に晒されて来た俺の怒りと、両親を理不尽に奪われたリオの殺意が混濁したものだと。

 何の前触れも無くリオに転生し、日本での安全で快適な生活から一転、地下牢で鞭打たれ、貴族の悪意に晒され、云われない誹謗中傷を浴びて来た俺の心が傷付いてない筈が無かった。憧れのファンタジー世界に転生した事や恋人達の愛情に触れる事で誤魔化していたが、もう駄目だ。両親を無惨に殺されたリオの殺意と相俟って、俺の心には確固たる復讐心が根付いていた。

 ある意味俺はこの瞬間(とき)、本当の意味でリオとひとつになったのかもしれない。

 

「復讐・・・・そうだ復讐してやる。父さんと母さんを殺したルシウスに、冤罪をかけたベルトラム王国の王侯貴族に、リオ(俺)の怒りと憎しみを教えてやる!!」

 

 両親の墓の前で、俺は固く心に誓った。

 

 

 

 

 それから俺は、ユバさんの家に暫く厄介になる事になった。

 俺の従姉にあたるルリはひとつ年上の15歳。因みに従姉である事はユバさんに口止めされ話してない。明るく活発な所が魅力的な美少女だが、少々迂闊な所が珠に傷。寝惚けて乱れた服装のまま部屋から出て来て、俺がいる事に気付いて顔を真っ赤にしていた。オーフィア程では無いが同年代に比べれば胸が大きく、農作業で鍛えられた下半身は足がやや太めでお尻も大きい。何とも抱き心地がよさそうな魅力的な身体をしている。

 朝から素晴らしい光景だったが、暫く女を抱いてない身には目の毒だ。

 

 朝食の用意をしているとサヨと彼女の兄シンがやって来た。両親のいない二人はユバさんから精霊術を学んでおり、その縁で良く来訪するらしい。

 シンはルリと同い年で狩人見習いの15歳。最初から妙に喧嘩腰で、何故か俺に突っかかって来る。

 サヨは俺と同い年の14歳。セリアやオーフィアのような華やかさは無いが、野に咲く花のようにどこか人を和ませる雰囲気のある美少女だ。

 何故か俺を「リオ様」と様付けで呼ぶので、呼び捨てでいいと言ったら余計に恐縮してしまい、結局直してくれなかった。

 

 世話になるからには働かねばと、俺は狩りに行ったり、農作業を手伝ったり、大工仕事をしたりと精霊の民の里で学んだ知識や技術を駆使して働いた。一月もすると俺は良く働く便利屋のように認識され、村人達に受け入れられていた(一部を除く)。

 特に好評だったのは風呂。この村には風呂が無かったので、狩りの後、汗を流そうと精霊術で風呂を作った。俺の後に入浴したルリとサヨがとても気に入って村中に言いふらしたので、村中の家に風呂を作る羽目に陥ったのはご愛敬だ。まあ村の衛生面に貢献出来たから、良しとするか。

 

 

 

 

 

 

 少し前にやって来たリオは凄い人だ。

 私──ルリより年下なのに、狩りや農作業、大工仕事に鍛治まで出来る。しかも精霊術の腕前はお婆ちゃんよりも上で、何とお風呂まで作ってくれたのだ! これには私を始めとした村の女衆は大喜び! リオは請われるままに各戸にお風呂を作り、いい匂いのするお手製の石鹸まで配ってくれた。格好良くて人当たりが良いリオは元々人気があったが、これによって女衆は完全にリオの味方に付いた。

 腕のいいリオは親方衆からも好意的に受け入れられたが、反対にシンなど一部の若い衆からは嫌われていた。

 全く、仕事ではリオに敵わず、女衆からもチヤホヤされてるからって男の嫉妬は醜いわ~。でも村の若い衆がリオに敵う筈無い。

 何故なら私はその理由を知っているから。

 

 

 ある日の早朝に珍しく目が醒めると、泊まりに来ていたサヨが庭に熱い視線を注いでいた。何を見てるのかと思って私も見てみると、そこには上半身裸で一心不乱に剣を振っているリオがいた。

 夏に上半身裸で歩き回る男もいるから見慣れてる筈なのに、何故かリオの裸を見てるとドキドキする。サヨも同じらしく顔を真っ赤にしている。

 武芸の事なんて分からない私にも、リオの動きが洗練されているのが分かる。まるで舞いを舞っているような動きに見惚れていると、リオは鋭く剣を一閃して深く息を吐いた。汗びっしょりのリオに手拭いを持って行こうと、私はサヨと共に庭へ出た。

 

「おはようリオ。はい、これ」

 

「おはようございます、ルリさん、サヨさん。手拭いありがとうございます」

 

 リオは手拭いを受け取り汗を拭う。シンなんかが汗びっしょりになると臭いだけなのに、不思議とリオはいい匂いがする。確かに汗臭いんだけど、嗅いでも嫌じゃないというか、ずっと嗅いでいたいというか・・・・ヤダ、何言ってるんだろう私・・・・何か変な気分になって来ちゃった。

 

「す、凄いね! いつもやってるの?」

 

「ええ。毎日の日課のようなものですから」

 

 妙な気分を誤魔化すように私が尋ねると、リオは答えてくれる。

 

「リオ様はどうして強くなろうとするのですか?」

 

「・・・・単純に生きる為です」

 

「「え?」」

 

 サヨの質問に対するリオの答えは予想より重いものだった。私達の反応にリオは苦笑しながら言葉を続ける。

 

「お二人はこの村の外がどんな世界か知っていますか?」

 

 私達はたまに近隣の村にお使いに行くくらいで、この村を出た事はほとんど無い。私が首を横に振ると、リオは話を続ける。

 

「俺が育ったのは王都のスラム──貧民街でした。そこは暴行、傷害、窃盗、殺人といった犯罪が日常の世界。そんな場所で親の無い子供が日々の糧を得るには、盗むか奪うか、あるいは力のある者に媚びへつらい、おこぼれに与るくらいしかありませんでした」

 

 リオの話を聞いて私は愕然とした。今のリオからは想像も出来ない凄絶な過去に驚き、ショックを隠せなかった。

 

「でも俺が従っていた奴らだって、より大きな力にはあっさりと潰されてしまった。そいつらだって更に大きな力にはまた・・・・結局力が無くちゃ簡単に潰されてしまう。だから俺は強くなろうと決めました。生きる為に、そしてこれ以上大切なものを奪われない為に」

 

 いつしか私はリオの強い眼差しに見惚れていた。辛い環境を生き抜き、それでも優しさを失わないリオ。そんなリオにどんどん惹かれ行くのを感じていた。でも───

 

「・・・・・・・・」

 

 隣でリオに熱い視線を向けるサヨは、誰がどう見ても恋する乙女にしか見えない。

 

(まあ、しょうがないか・・・・)

 

 あの大人しくて引っ込み思案なサヨが恋をしたんだ。親友の初恋を応援しようと、私は芽生え始めた想いに蓋をした。

 

 

 

 

 暫くするとこの村に招かれざる客がやって来た。

 隣村の村長の息子ゴンと数人の取り巻きが、壊れた荷車の修理が終わるまで家に泊めろと言って来たのだ。私は当然拒否したけどゴンは聞く耳を持たない。それどころか自分が私の夫になるなんて気持ち悪い事を言い出す始末。この態度にシン達村の若い衆は怒り、ゴンを力づくで追い出そうとするが、腕っぷしの強いゴンに返り討ちにされてしまった。

 欲望剥き出しの顔で、ゴンが私に触れようと伸ばした手が横から掴まれる。誰かと思ったら、そこにはいつもとは違う厳しい目をしたリオがいた。

 

「何だあ、お前は!?」

 

「ただの居候ですよ。それよりルリが嫌がってます。やめて下さい」

 

 こんな状況なのに、リオから呼び捨てにされた事に胸が高鳴る。

 

「ああ!? 関係無え奴は引っ込んでろ!!」

 

 当然ゴンは怒り、リオの手を振り解こうとするけど動かない。驚いたゴンはリオを殴ろうと手を振り上げる。けど、

 

「うぎぃ!? ぎゃああああっ!!」

 

 リオが少し力を込めただけで、いきなりゴンが悲鳴を上げた。リオは平然としているのに、一体何が起きたのだろう?

 

「は、離せ! 腕が、腕が千切れる!!」

 

「では宿泊先は村長宅では無く、来客用の空き小屋でいいですね?」

 

「そ、それは───」

 

「嫌なんですか?」

 

「ぎゃああああーーーっ!! わ、分かった! 分かったから離せ!!」

 

「離せ?」

 

「──っいや、離して下さい!!」 

 

 さっきまでの傲慢な態度が信じられないくらい、情け無くゴンが許しを乞う。ようやくリオが手を離すと、ゴンはほうほうの体で逃げようとした。でも、

 

「ああ、それと」

 

「!!?」

 

 リオの声にゴンと手下達が動きを止める。

 

「ルリは俺の大事な女性(ひと)です。今後このような事をすれば・・・・分かってますよね?」

 

 私の心臓が再び大きく跳ね、顔がカアッと熱くなる。だ、大事な女性(ひと)って・・・・どういう意味!?

 私は火照った頬に手を当ててリオを見つめる。リオは自分を睨みながら去って行くゴン達を見送り、何か呟いたけど、私には何て言ったのか聞こえなかった。

 

 

 

 

 その後、検税官のハヤテ・サガ様が村にやって来て、いつも通り家に泊まる事になった。

 ハヤテ様は見るからに好青年という印象で、以前から懇意にしてるんだけど、何故だろう、前は話しかけられたら心が沸き立つような感じがしたんだけど、今は何も感じなくなっている。それはきっと───

 

 

 

 

 その日の夜、事件は起こった。

 夜、人の気配を感じて目を開けると、目の前にゴンがいた。

 

「!!?」

 

 ゴンの大きな手が私の悲鳴を塞ぐ。

 

「チッ! 目を覚ましちまったか。まあいい。反応があった方が犯り甲斐があるからな」

 

 ゴンは欲望剥き出しの顔で私の身体を舐め回すように眺める。私は寝相のいい方じゃないから、浴衣が肌けて胸の谷間と太股が剥き出しになっていた。

 羞恥と怒りで顔が熱くなる。だがゴンはそんな私の反応を自分勝手に解釈する。

 

「ヒヒヒ、いいぜぇルリ。お前も興奮してるんだな。待ってな、今すぐ天国に連れて行ってやるぜ!!」

 

 ゴンが自分のモノを剥き出しにして私に見えるように腰を振る。反吐が出そうな臭気とおぞましさに鳥肌が立つ。

 

(嘘、私こんな奴に犯られて処女を失しちゃうの!? そんなのヤダ! 誰か、誰か助けて───リオ!!)

 

 その時、私の願いが届いたのか、突然私に覆い被さっていたゴンが後ろに引っ張られて壁に背中をぶつける。

 

「何だぁ!? ──ッ! て、テメエは!?」

 

 そこには見た事の無い険しい表情で佇むリオの姿があった。

 

「リオぉ・・・・」

 

「遅くなってすいません。大丈夫ですか、ルリさん」

 

 私に向けられた視線はどこまでも優しく、だけど何故か苦悩に満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 全く、自分の甘さに怒りを覚える。

 ゴンがルリを狙ってるのは分かっていた。だから適当に痛め付け、警告すれば手出しはしないと踏んだのだが、ゴンは予想以上に馬鹿だったようだ。

 

「て、手前えーーーーッ!!」

 

「やかましい」

 

 殴りかかるゴンを投げ飛ばす。障子を破って庭に転がり出たゴンに手下達が駆け寄って来る。

 

「ちょっと片付けて来ます。大丈夫、心配いりませんよ」

 

 心配そうに見上げるルリを軽く抱きしめ、俺は庭に出る。

 

 

 

「この野郎、折角の楽しみを邪魔しやがって・・・・お前ら、構わねえから殺っちまえ!!」

 

 ゴンの命令で四人の男が棒や鎌、果ては鉈まで持って俺を取り囲む。

 

「強姦未遂に殺人教唆、立派な犯罪だな。いくら村長の息子だろうと許されないぞ?」

 

「うるせえ! お前をブッ殺せば目撃者はいねえ! その後でルリを犯してモノにしちまえば大人しく言う事を聞くだろうよ! そうすりゃあ問題は無え!!」

 

 つくづく駄目だこいつは。呆れて何も言わない俺を怖がってるとでも思ったのか、ゴンはイヤらしく嗤う。

 

「警告はした。それを守らなかったんだからこの結末は自己責任だ」

 

「ハッ! 殺っちまえ!!」

 

 ゴンは鼻で嗤って俺の抹殺指令を下す。男達が一斉に襲いかかる。

 

「おっと、忘れてた」

 

 俺は精霊術で壁を創り、ルリから見えないようにする。凄惨な光景を女の子に見せちゃいかんよな。

 

 男達の動きは素人だ。ゴンに従って甘い汁を吸うだけの、集団でしか人を襲う事も出来ない連中だろう。ならば───

 

 鎌を持った男の攻撃をいなし、反対側から迫る、棒を持った男の方に突き飛ばす。

 

「え? バカどけ!!」

 

「え? ギャアアアアッ!!」

 

 鎌男の鎌が棒男の肩に突き刺さる。蹲る棒男に鎌男は狼狽するだけだ。

 

「やかましい」

 

 棒男の後頭部を踵落としで地面に沈めると、鎌男のテンプルに回し蹴りを叩き込み、倒れた頭を踏みつけた。これで二人。

 

 俺目掛けて飛んで来る石を首を動かすだけでかわす。石礫とはいい案だ。どこにでも転がってるし、当たればかなり痛い。連係すれば厄介だったろうに、

 

「単独で攻めて来たら、返り討ちに合うだけだ」

 

 素早く石を拾って3連投、眉間と喉、金的に命中して石男は股間を押さえて蹲る。これで三人。

 最後に残った鉈を持った男を睨むと、鉈男は思わず後ずさる。だが、

 

「び、ビビってんじゃねえよ、行け!!」 

 

 ゴンに背中を押されて勢いのまま、目を瞑って突進して来る。これでどうする気だ。呆れた俺は足を引っ掛けて転ばせ、後頭部を踏みつけると動かなくなった。これで四人。俺は残ったゴンに視線を向ける。

 ゴンの顔は恐怖と驚愕で青くなっている。手下がやられてようやく俺にされた事を思い出したようだ。

 

「ま、待って─「昼間俺は言ったよな? ルリは俺の大切な女性だと。警告のつもりだったんだが、どうやらお前は頭が悪すぎて理解出来なかったようだな」・・・・」

 

 ゴンはゴクリと唾を飲み込む。

 

「どうした?俺を殺すんだろう?手下はもういないんだ。自分の手でやってみろ」

 

「う・・・うわあああーーーーッ!!」

 

 やけくそになったゴンが殴りかかる。俺はその腕を取ると後ろに捻り上げ、躊躇無く折った。

 

「ギャアアアアッ!!」

 

 痛みにのたうち回るゴン。うるさいので喉を蹴り上げて潰す。ようやく静かになったと思ったらゴンは腕を押さえて逃げようとする。俺は足を引っ掛けて転ばすと、逃げられないように膝を踏んで皿を割った。それでもゴンは這って逃げようとするので、俺は落ちていた鉈で棒を斜めに切って先を尖らせると、ゴンの手の甲を地面ごと突き刺して縫い付けた。ゴンの悲鳴が上がる。今度こそ逃がさない。俺は───

 

「そこまでだ、リオ殿!」

 

 騒ぎに駆け付けたハヤテ殿に止められた。そこでようやく意識が覚醒した。いかん、怒りに委せて暗黒面(ダークサイド)に堕ちる所だった。俺は大きく深呼吸をして意識を切り換えると、ハヤテ殿に事情の説明をした。

 

 

 

 

 この村には役人は常駐しておらず、こういう犯罪者が出た場合、村長に司法権があるが、今回は役人のハヤテ殿がいてくれたので彼に司法権を委ねる事になった。 

 不法侵入に強姦未遂、器物破損に殺人教唆、とどめに暴行の現行犯。ゴンとその手下は即奴隷落ちの厳罰が下った。俺は少々やり過ぎはしたが、相手が五人がかりの上、武器を持っていた事とルリの熱心な弁護もあってお咎め無しとなった。 

 ルリとユバさんからは大変感謝されたが、元々俺の甘さが招いた事、二人の気持ちが少しだけ痛かった。

 

 

 

 

 事が片付いて部屋で横になっていると、微かなノックの音がして襖が開いた。

 

「リオ・・・・起きてる?」

 

 そこには枕を抱えたルリがいた。

 

「ルリさん? どうしました?」

 

 俺が身体を起こして尋ねると、ルリは恥ずかしそうにもじもじしながら爆弾発言をした。

 

「・・・・あのね、一緒に寝てもいい?」

 

「・・・・・・」

 

「その、あんな事があったばっかりだから、何だか怖くて・・・・リオの側なら眠れそうだから・・・・だから、ダメ、かな?」

 

 そんな捨てられた子犬のような目で見るのは反則だ。とは言え流石に不味いよなあ・・・・とその時、俺はルリが微かに震えている事に気付いた。

 いくら気丈でもルリはまだ15歳、強姦されかけた恐怖に彼女の心は救いを求めていた。仕方が無い。僅かでもその救いになれるのなら、明日喜んでユバさんに叱られよう。

 

「仕方がないなあ。いいですよ」

 

「ありがとう、リオ!」

 

 俺が許可すると、ルリは嬉々として布団に潜り込んだ。至近距離で目が合うと「えへへ」とはにかむのがメッチャ可愛い。俺は変な気を起こす前に行灯の火を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 リオの布団に潜り込んだ私──ルリは心臓の音がリオに聞かれないか内心ドキドキしていた。

 私は今日強姦されかけた。力ずくで純潔を奪われそうになる恐怖と絶望、欲望剥き出しのゴンの顔とおぞましいモノを思い出すだけで身体が恐怖に震えた。そんな時、私が心の中で助けを求めたのは──リオだった。

 颯爽と現れたリオはゴンを投げ飛ばし、私を優しく抱きしめてくれた。その時私ははっきり自覚してしまった。私はリオを好きなんだって。

 リオは格好いいから村の若い娘は皆気になってる。私もそうだったけど、親友のサヨが私以上にリオに熱を上げていたので、自然と一歩引いて客人として接しようとした。でもリオと一緒の時間を過ごし、リオの事を知っていく内に、いつしか家族のように気安く接するようになっていた。

 リオが来てからお婆ちゃんも憑き物が落ちたように穏やかになり、村にも活気が出た気がする。私は益々リオに惹かれていったけど、親友の初恋を邪魔しないよう、この想いに蓋をした。でもその蓋は今日の出来事で完全に開き、想いが溢れた私はこんな大胆な行動に出てしまった。

 

(うぅ、ゴメンねサヨ・・・・でももう我慢出来ないの!)

 

 心の中でサヨに謝りながらリオの温もりに浸っていると、リオが声をかけて来た。

 

「ルリさん、寒くありませんか?」

 

「ちょっとだけ寒いかな。・・・・もう少しくっついてもいい?」

 

「そうですね・・・・それじゃあ」

 

 そう言うとリオは、私を抱き寄せた。 

 

「り、リオ!?」

 

「嫌ですか?」

 

「・・・・別に、嫌じゃないよ・・・・」

 

「そうですか・・・・すいませんルリさん。怖い思いをさせて」

 

「え?」

 

「昼間にゴン達を追い出していれば怖い目に合わせずに済んだのに・・・・俺の甘さでルリさんに怖い思いをさせてしまいました。本当にすいません」

 

 リオは本当に自分が悪いと思ってるみたい。半ば呆れた私は、身体を起こして言い返した。

 

「何言ってるのよ! 誰がどう見たって悪いのはゴン達でしょ!? リオは私を助けてくれたんだから感謝こそすれ、謝る必要なんて無いじゃない!」

 

「ですが・・・・」

 

「ああもう! リオは頭がいいから考え過ぎなのよ。助けて貰った私が感謝してるんだから、素直に受け取ればいいの! 誰も貴方が悪いなんて思ってない。仮にそんな奴がいたら、私がぶん殴ってやるわ!」

 

「ぶ、ぶん殴るんですか?」

 

「そうよ!・・・・それにね、何でも自分のせいだと思うのは間違ってるよ? 確かにリオは一人で何でも出来るんだろうけど、それって裏を返せば誰も信用してないって事じゃない? もうちょっと私を信用してよ。じゃなきゃこんなに側にいるのに、リオを遠くに感じて、寂しくなっちゃうよ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 参った。ルリの言葉に打ちのめされた気がして頭がクラクラする。

 確かにルリの言う通りだ。なまじ原作を知ってるから、鬱展開を回避出来ないのは自分のせいだと思い込んでいた。でも俺は神じゃない。原作を知っているというだけの、今はこの世界に生きる一人の男なのだ。何でも出来ると思うのも、何かあったら自分のせいだと思うのも誤った考えで、ルリはそれを諭してくれた。 

 不意にルリに対する愛しさが湧いて来る。俺は衝動のままに、ルリを抱きしめた。

 

「り、リオ!?」

 

「凄いなぁルリは・・・・ありがとう、お陰で目が覚めたよ。俺は思い違いをしていた。本当にありがとう、ルリ・・・・」

 

「当然でしょ! 私の方がリオよりお姉さんなんだから!」

 

 ルリはそう言って俺を抱き返す。

 

「・・・・普段は手のかかる妹みたいなのにな」

 

「うっさい!」

 

 ルリが軽く俺の頭を叩く。見つめ合うと自然と笑いが込み上げて来て、俺達は暫く笑い合った。

 

 

 

 その後再び横になると、自然と俺達は抱き合っていた。

 正直言えば、俺は今無性にルリが欲しい。彼女が愛しくて堪らない。でもさっきあんな事があったばかりの彼女に手を出す訳にはいかない。

 俺はルリの体温や甘い匂いに惑わされまいと、出来るだけ軽く話しかけた。

 

「・・・・それにしても男の寝所に潜り込むなんて、随分大胆な真似をしましたね。俺が手を出したらどうする気だったんです?」

 

 だが、それに対するルリの答えは予想外のものだった。

 

「別に・・・・リオならいいよ」

 

 ドクンと心臓が跳ね上がる。

 

「る、ルリさん・・・・?」

 

「むう・・・・呼び方! 元に戻ってる。ルリでいいよ。敬語も禁止」

 

 思わず身体を起こし、精霊術で行灯の火を点ける。ルリの顔は真っ赤に染まり、黒真珠のような瞳が潤んでいた。

 着崩れた浴衣と相俟って、妙に色っぽいルリに思わずゴクンと喉を鳴らす。

 

「そんな事言うと、本当に手を出すぞ?」

 

 俺はルリの頬を撫でながら、最終回答(ファイナルアンサー)とばかりに尋ねる。

 

 彼女は最終回答(ファイナルアンサー)とばかりにコクンと頷いた。

 

 

 

 

「ルリ・・・・」

 

「あ、リオ・・・・ん──」

 

 ルリの唇に触れるだけのキスをする。ほんの数秒触れただけでルリの鼓動が早くなる。

 

「しちゃったね、キス・・・・もっといい?」

 

「うん・・・・・・あ、うぅん・・・ちゅ、ちゅぷ、ああ、リオぉ・・・・ちゅぷ」

 

 今度は啄むように何度もキスをすると、次第に馴れて来たのか、ルリは自分から俺の唇を迎い入れる。頃合いと見た俺は啄むようなキスから一転、深く長いキスに移行した。

 

「ふむぅ!?・・・・・・んん、ちゅぷ、んふ、んああ・・・・ちゅ、ちゅぷ、ちゅ」

 

 ルリの口内に俺の舌が侵入し、舐め、しゃぶり、突つき、啜るなど蹂躙すると、とどめとばかりに唾液を流し込んだ。「飲んで」と言うとルリは素直に俺の唾液を飲み込む。俺の体液が自分の身体に入った事に興奮したのか、ルリは「もっと」とお代わりを要求する。俺は要求通りに再び唾液を送り込んだ。

 

「ん、は、ああ・・・・リオ❤」

 

 長きに渡るキスですっかり蕩けたルリに俺は話しかける。

 

「ルリ・・・・この先にいく前に話さなきゃいけない事が二つあるんだ。聞いてくれる?」

 

「ほえ?・・・・うん、何?」

 

「実は俺には将来妻にすると約束した女性(ひと)が五人いるんだ」

 

「・・・・は?」

 

「もうひとつ、ユバさんに口止めされてたが、俺達従姉弟同士なんだ」

 

「・・・・はああ!?」

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・・なるほどねえ・・・・」

 

 私──ルリはリオから詳しい話を聞いて溜め息を吐いた。

 大体状況は理解したわ。シュトラール地方に一人と精霊の民の里に四人の合計五人。私は六人目って訳か。リオに私以外の女がいるというのは正直面白く無いけど、話を聞けば仕方が無いかな、と思う。

 セリアさんはリオが最も辛い時、支えてくれた女性だし、リオ自身彼女を慕っているのが良く分かる。精霊の民のサラちゃん、オーフィアちゃん、アルマちゃんは一緒に暮らす内にリオに惹かれていったというのは私と同じ。義妹のラティーファちゃんは・・・・奴隷から解放して貰って、故郷に連れ帰って貰ったら、これはもう好きになっても仕方が無い。

 それにしてもリオと私が従姉弟だったとは・・・・亡き父の弟であるゼン叔父さんについては、私が生まれる前の事だから、武士であった事と何か不祥事を起こして姿を消した事くらいしか知らない。その叔父さんがシュトラール地方に流れて、生まれたのがリオだとは・・・・でもこれでお婆ちゃんがリオを家に置いたのも納得出来る。身内でもなきゃ年頃の娘のいる家に若い男を住まわせたりしないわよね。

 ・・・・もしかして、お婆ちゃんは私達が結ばれるのを望んでいたのかな? ヤグモ地方では従姉弟同士の結婚も、一夫多妻も認められている。私だって今更リオへの想いを無かった事になんて出来ない。はあ、惚れた弱みとは良く言ったものよねえ。私は考えをまとめるように、再び大きく溜め息を吐いた。

 

「事情は分かったわ。でも何で、その・・・・行為が終わってから話さなかったの?」

 

 私は疑問に思ってた事を口にする。

 

「隠し事をしたままルリを抱くのは卑怯だと思ったんだ。あのままルリを抱いていたら、ルリはこのまま俺と結婚して、村が発展する事を期待したんじゃないか?」

 

「それは、まあ・・・・」

 

 私は現村長の孫だ。私の夫となる人は当然次期村長になる事が望まれるだろうし、それがリオなら皆も認めてくれると思う。でも、

 

「俺には俺の目的がある。それを果たす為、いつか俺はこの村を出て行く。その事を話さずにルリを抱くのは卑怯だと思ったんだ。ルリ、俺は全て話した。それでも君は俺を求めてくれるかい?」

 

 全く、14歳で実質ハーレムの主になってる癖に、変な所で誠実なのよねえ・・・・でも他の娘達もリオのそんな所に惚れたのかも。

 

「私が拒否したら、リオは私を諦めちゃうの?」

 

 悪戯っぽく尋ねると、リオは困った顔をする。

 

「それは!・・・・・・俺はルリが欲しい。ルリを抱きたいって心の底から思ってる。でもルリの同意を得ずに強引に事に及んだら、俺はあのゴンと同じになってしまう。それは絶対に駄目だ。俺はルリを傷付けたいんじゃ無い、愛したいんだ」

 

 こんなにはっきりとリオに求められ、私は歓喜のままにリオに抱き着いた。

 

「そんなに私が欲しいんだ?・・・・いいよリオ、貴方に私をあげる。だからちゃんと愛してね、ダ・ン・ナ・様?」

 

「ルリ・・・・ふむぅ!」

 

 私からリオに唇を重ねる。この先どうなるか分からない。でも今の、この想いは本物だから。この想いとリオを信じて、今はこの身を委ねよう───

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。

文字数が一万を越えてしまったので、本番は次回に持ち越しとなりました。
楽しみにしていた方、申し訳ありません。

うちのリオは自分の復讐心を自覚して、真にリオとひとつになりました。
これからはエロだけじゃなく、ザマア展開もあるのでご了承下さい。

次回はルリとの本番とサヨの攻略となる予定です。お楽しみに。


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美春の攻略はどのルートがいい?

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  • 脅して言う事を聞かす鬼畜ルート
  • 貴久に奪われる寝取られルート
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