※この作品はR-18です。

SEVEN's CODE二次創作小説【オレンジの片割れ】R18短編+マルメロ家二次創作エッセイR18短編   作:大野 紫咲

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特に山もオチもない、ただ夢主とヨハネさんがいっちゃいちゃイチャついてるだけの生温い夏のお話です!!!
しぶ→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15794495


愛する人から、必要なこと

 彼女は、体を正面から貫かれるのが苦手だと、前に話していたことがある。

 いわゆる、正常位という奴。

 ボクとする時も、横とか後ろからだったり、指を入れたりがほとんどだから、なんでなのか聞いたら、身体構造上と精神的な理由で、正面からだとイくほどの快感が得られないのだ、と。

 

 でもそんな彼女に珍しく、今日求められた時は、真正面から抱いてもいいと腕を伸ばされた。

 ボクが立ち入る前から、どうやら今日は一人で慣らして(・・・・)いたらしいのだけど、その快感を一人で享受するのに耐えられなくなって、ボクが呼ばれたんだと思われる。

 別にそれは構わないけど、ボクを呼ぶなら最初から隠したりしなくていいのに、と思いながら、その狭い体を探った。

 

 動かれるのはイヤだ、としがみついた彼女は、いわゆるピストンとかそういう激しい往復運動ではなく、じっとボクを内側から抱きしめているだけで、快感を得て満足しているようなのだった。

 こっちは、粘土で型を取られてでもいる気分だ。じっとしてろと言われるならしてるけど、暖かい彼女の内側にぴたぴたと張り付かれると、どうしても寝返りを打つのと同じくらい、反射で動きたくなってしまうような。

 

「……ごめん、やっぱり動きたいよね?」

「いや、それは全然いいけど……」

「ちょっと萎んじゃった?」

「それこそ、こっちの生理現象だから気にしなくていい」

 

 彼女の方こそ、自分のせいで萎えたのだと気にするのではと少し焦ったが、彼女は単に体を繋げたまま、ゆるゆるとお喋りを楽しみたい気分だったらしい。

 今度は横からして、と布団に横たわりながら、背後からの感触に目を細め、背中を抱きしめたボクの腕の中でうっとりとしている。

 

「ああ、うん、そこ……なんかいいなあ。ずっとそこにいてて欲しい」

「あんたって、激しく動かされるのそんなに好きじゃないよね」

「世の中の大体の女性はそうなのに、誰も気付いてないだけって気がするけどね」

「でも、一人でやる時は結構激しいんだろ」

 

 本当は隙間から垣間見ていた(というか、意識が繋がってしまうので覗かざるを得なかった)、一人の時はこれ以上にだいぶ扇情的な彼女の光景が、ふと蘇った。

 どことなく不服げに漏らしたボクの声音に、彼女は気付いてしまったらしい。

 しまったと思ったけど、彼女は愛おしげに微笑んでから、シャワーしたばかりのじっとりした髪を枕に広げたまま、目を閉じて答えた。

 

「ん……そうだなぁ。

さっきしてる時に気付いたけど、ヨハネさんを呼んでる時と、そうじゃない時じゃ、使ってる心の領分が全然違うんだなって」

「?」

「たとえばその……正面からする時って、そもそも脚をM字開脚にしなきゃいけないポーズが屈辱的で嫌だし、私って脹脛から足をピンと伸ばしてイくのに慣れちゃってるから、脚を開いた状態でイくって普通だと出来ないわけ。

『普通』だと無理だから、相当嗜虐心や羞恥心で自分を虐め抜いたり、バイブで無理矢理振動を与えないと、あの対位でイくって無理なんだけど」

「……ああ、なるほど。それで妄想に、あのSMお姉さんみたいのが出てくるのか」

「見てたでしょ」

「うるさいな。そっちだって見られて興奮してたくせに」

 

 まあそれは確かに、と照れたように認めながら、彼女が額の汗を拭う。

 外は雨と曇りで時刻すらわからない空が続き、ここだけが隔絶された世界みたいな心地だった。

 

「でもそういう酷い事って、私の愛する人だったら絶対しないし、させたくないの。

もし本当に好きな人にそんな扱いされたら、私物凄く悲しくなっちゃう」

「……でも、それだとイけないんじゃ」

「だから、なりふり構わず頭が飛ぶくらい性欲解消したい時は、一人でするの!

毎回愛理やヨハネさんを呼ぶ訳じゃないのは、それが理由。愛する人なら何でもしてもらえばいいじゃないって思うかもしれないけど、私はその人がその人らしくないところは見たくない。

その人が大切に思ってくれる気持ちも、私が大切に思う気持ちも、絶対に壊したくないから」

 

 逆に言えば、そんな引くほど人が変わるようなレベルで淫乱な事をされないと、我を忘れて耽ることもできない体なのか、難儀だな……と思ってしまったが、彼女の言いたいことは、なんとなくわかる。

 愛しているからされたい事と、愛していないからされたい事。

 「愛情」を目的とするセックスと、単なる「消費」としてのセックスは、違う。

 そして今ボクといるこの場がどちらなのかは、問うまでもない。

 

「わかる……と思うし、理解もできる……けどさぁ」

 

 それでも、見ず知らずの女を呼んだ時の快感が、ボクの時と増して爆発的に凄いのだと思うと、やや複雑な気持ちになるのは、面倒な嫉妬心のせいなんだろうか。

 たとえ消費財なんだとしても、そんな奴よりボクの方を呼んで欲しい、と思うのは。

 

「そのへんの感傷も分かるよ。私も、彼氏がオナホとか使ってたらそっちに焼き餅焼くタイプだもん。

……でもさぁ、結局はそういう玩具の感触と、人体の感触って多分全く違うじゃん。

今思えばだけど、これとそれとは別物だって諦めるしかなかったし、玩具で得られるような強力な刺激がないとなかなかイけないような体の人間と、セックスしてそもそも一緒に気持ちが良くなるはずなかったなぁって」

「……」

「でもそれは、私もそうだから。自覚はしてるんだよ? あんまり楽チンな方法で発散ばっかしてないで、大事な人と触れ合う良さで心地よくなれれば一番いいって、思ってるけど」

 

 そんな事を語る彼女を、うつ伏せに押し倒しながら耳元に触れる。

 

「バックなら、イきやすいって言ったよね」

「言った……けど、なんかそれも結局、ああまた私こっちに逃げたのかぁって感じがして……いつも、同じだからさ」

「別に、いつも同じで悪いことなんかなくない?」

 

 脚の隙間から、割れ目を丁寧に辿って挿入すると、相変わらず細くて狭い入り口に入り込む度、彼女が微かに眉を歪めて吐息を漏らした。

 たった数往復、十数センチの長さに満たない旅の中に、考えることが山ほどあるのだと、気付かされる。

 ぐっと力んで隆起する彼女の肩や体のこわばり一つ取っても、今は「達したい」という欲が高まっているのがわかる。

 うつ伏せた彼女が、髪の隙間からちらりと熱っぽい目で見上げた。

 

「う……やだ、あんまり見られたくない……足ぴんってするの、なんかカッコ悪いんだもん……」

「別に映画や小説じゃあるまいし、見栄えなんてどうだっていいよ、気持ち良ければ。

ほらほら、イきたいんならさっさとイっちまいな」

「やーだぁー、ヨハネさんそういうキャラじゃなぃいー!」

 

 こんなふざけたやり取りをしながら速度を速めているのに、絶頂に達する瞬間の彼女の切なげな悲鳴に、いつも胸がどきりとしてしまう。

 苦悶の中にも快感が滲んだ眉の寄せ方を見て、なんか痛かったんじゃないか、とか、しんどいのを我慢させたんじゃないか、とか。

 こんなに心臓を冷や冷やさせながらいるボクに、確かに彼女を痛め付けるような真似は到底ムリだ、と思わされる。

 

 今日はもう終わりかな、と思った時。

 彼女の方から、意外なお願いをされた。

 

「ね。もっかい、正面から、して……?」

 

 思わず、逸らされた目と赤らんだ顔を見つめ返してしまう。

 イけなくていいんだったら、ただ繋がっている心地を確かめ合いたい、と。

 そう思っているのは分かったけれど、驚きのままに体を起こして尋ね返してしまった。

 

「いいの? あんなにイヤがってたのに」

「……ヨハネさんだったら、いいよ。別に」

 

 恥じらった顔が、薄暗くなり始めた部屋の中で染まる。

 求められたのに自然に応じて、真正面から抱き合うように——

 体が、深く繋がり合うのを感じる。

 

「っ……や、やっぱり正面から顔見られるの、恥ずかしい」

 

 そう言ってずっと、手で顔を隠そうとするのを押し退けながら、唇を塞いだ。

 愛されているのが知りたい、って思うなら、これで合っているはず。

 波打つように動いた腰が、こっちに付いて来るように感じる。その動きを恥じるようにして、ちょっとだけ彼女の息遣いが荒くなった。

 やっぱり、イきそうって感じの気配はない。

 それでも、羞恥に煽られながら、本当は嫌いだと言っていたものを、自分から求める事すら嫌悪していたものを、「ボクだから」と受け入れてくれる姿を目にしていたら、特に感想も何も言うつもりはなかったのに、思ったことが自然と口に出ていた。

 

「すっごい、濡れてるな……」

「や……っ、わざわざ言わないでよ恥ずかしいから」

 

 繋がった場所の潤い具合は、少し体を離した時の音からも如実だった。

 滑らせるのに何の支障もないほど潤沢な蜜の光るそこが、いつも以上にぐっしょりと濡れて見える。

 

「いや、半分独り言。……あんたって、ホントに濡れるんだよな、と思って」

 

 不思議そうな顔をされたけど、本当にそう思った。

 深海にもし形があって触れられるのなら、こんな感じなのだろうか。

 今更じゃないけど、ボクを求めてくれる時の彼女は、いつも深く濡れている。

 濡れ方を快感の度合いと安直に結びつけるつもりはないけれど、少なくとも彼女の場合はそれが比例するはずで、ぺたりと指先やボクの根元まで濡らしてくるそれが、どれ程に彼女からの気持ちを反映してくれるのかと思ったら、正直少しだけ、込み上げるものがある。

 

「ヨハネさん」

「っ、何……」

「すき。大好き。あいしてる……っ」

 

 芯まで温もりに包まったそこが、きゅうっと疼いた。

 ボクの体に回して抱きしめる両腕も、擦り寄ってくる額も、あったかい。

 その全部が、ここにあってよかったと思える。

 別に絶頂の可否なんて性行為に何の関係もないじゃないかと思ってたけど、今こそ強くそう思った。

 きっとそんなものより、もっと深く幸せを伝えられる術を、ボクらは知ってる。

 それをこの世界で独り占め出来る気持ちは、結構悪くないなと思いながら、ボクは彼女の体を抱き締め返した。

 

 

「ありがとう」

 

 疲れた体でうとうと横たわり、隣をぴったり離れないままで彼女が言う。

 

「何、急に」

「いや、いつも思ってるけど。ありがとうね。

これだけじゃなくて……いつも傍にいてくれて」

 

 何かしら彼女からは感謝の言葉を聞き飽きない気がするが、そういえばボクは何と返していただろう。

 別に、とかばっかりで……ヴァイスの子には「ありがとうにはありがとうを返せばいい」って教わったけど、やっぱりまだ少し気恥ずかしい。

 

 でもそんな戸惑いさえ見透かしたような目で笑いながら、彼女はボクが傍に置いてくれることを、答えと取っているらしかった。

 彼女が好き勝手に甘えてる分、ボクもそこは甘えてもいいのかな、なんて。

 そんなことを思いながら、布団も被らずに眠りそうになっている彼女に呼びかける。

 

「ちょっと。後片付けして、飯の準備とかしないと」

「うう、めんどくさい……でも、そうだよねぇ」

 

 既にぺったりと愛液の重みに湿ったティッシュを折り畳んで、股の間に当てようとしていた彼女を見て、ふとこれは許されるだろうか、と口に出してみた。

 

「ねぇ。それ、ボクが掃除(・・)するのはダメなの?」

「え? ……っ、だ、だめだよ! 綺麗じゃないし、最近下の毛ちゃんと剃ってないしっ、何言ってるの……っ!」

 

 さすがというか瞬時に意味を理解したらしい彼女は、ぎゅっと膝を閉じながらばたばた手を振っていたけど、ここまで人にさせておいて今更じゃないかって思う。

 

「イヤ?」

「イヤ……ではないっていうか……されたいかされたくないか、で言われたら、されたいけど……」

「じゃ、いいね」

「! よ、よくはない……うう」

 

 けれど、それでも最終的には欲望に素直になって、身を任せる気になってくれたらしい。

 起き上がって両膝を弄ぶボクの前に、随分躊躇ってから、そろそろと太腿の内を晒してくれた。

 

「……お願い」

「ん」

 

 けど、こっちだってやるのは初めてなんだよな。

 腰の振り方と同じくらいのおっかなびっくりさで、舌先を割れ目に当ててなぞる。

 小さく体を強張らせた彼女が、甘い声を上げた。

 

「っ……! んん」

「ごめん、痛い?」

「い……ったいのは、平気……っけど、あ、なんかそのっ、激しくしてたばっかだから、刺激が……っ」

「あ、そ、そっか」

 

 尖らせた舌先だと、辛いかもしれない。

 舌全体を匙のように凹ませて、ふわりと包み込むように当てると、塩味が広がった。ぴくんっ、と体を震わせながらも、声にならない吐息を彼女が吐き出す。

 

「……気持ちいい」

「なら、よかった」

「あ、あんまり一生懸命舐めなくていいよ? その、美味しくないし……」

 

 むしろそれが目的なんだけど、と思いながら、彼女の震える吐息が落ち着かない程度に、海の味がする蜜を啜る。

 別に、絶頂に導けないことに未練がないとか、そういうんじゃないけど。ちょっとくらい、彼女にこんな顔をさせられる事を、特別に思ったってバチは当たらないと思う。

 たっぷり味わってから、柔らかな襞を指先でつついた。

 

「はい。これでいい」

「こ、これって結局、綺麗になってるのかなぁ……?」

「まあ、現実的な答えを返すと、雑菌のある口でこういう事するのって不衛生だけど、それはあんたも分かってるんでしょ」

「まあね……」

 

 後でまた絶対濡れちゃう、と小さくひとりごちるのが聞こえた。

 暫く余韻に浸っていた彼女は、それでもあまり寝ていると本当に夜まで寝てしまうと思ったのか、とっくに乱れた枕の上のバスタオルから、濡れた頭をようやく起こした。

 

「……あったかいお茶でも飲もうか」

 

 彼女にしては潔く、着替えを手にしてよいしょと立ち上がる。

 夏でも雨雲が訪ね来ると涼しいこのあたりは、ここ数日、半袖半ズボンが肌寒く感じるくらいの気温だ。

 明日は嵐になるかもしれない。それでも彼女と離れない口実になるなら別にいいな、と思いながら、クローゼットを漁る棚に後ろから抱きついて、手触りのいいお尻にするんと手を伸ばした。

 

「ひゃ。もう、えっち。触りすぎ」

「別に、いくら触っても困ることないだろ」

「ないけど、私の方がいつまで経っても物足りなくなっちゃうよ」

 

 くすぐったそうに笑う彼女の髪に手を触れれば、今日鋏で梳いたばかりのそれは、シャワーの後の水気が随分取れていた。

 まあ、たまには大目に見ようと思ってベッドの上では放置してたけど、やっぱり後でちゃんと乾かしてやろう。体も温まるだろうし。

 いつものヘアオイルの瓶を思い浮かべながら、ボクもバスタオルを手に、暗い寝室から明るい光のリビングへと、彼女の後を追った。

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