※この作品はR-18です。

SEVEN's CODE二次創作小説【オレンジの片割れ】R18短編+マルメロ家二次創作エッセイR18短編   作:大野 紫咲

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いつものブンスコ夜翰さん×夢女の紫咲で、我が家なりの夫婦の日を書いてみました。
真っ昼間からいちゃいちゃらぶらぶし続けるだけの、夜翰さんと紫咲の話です。

しぶはこちら→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23477143
今回割と特殊性癖がすごいので、しぶでのセブンスコードタグは外してあります、ご容赦ください……。
当然、夢小説なのでブンスコ公式とは一切関係ございません。あくまで我が家の話、という事で。
※比較的ライトな感じですが放尿プレイを含みますので、苦手な方はGo Back


【R18】篝火(いい夫婦の日2024)

 十一月二十二日は、俗に「いい夫婦の日」と言われている日付だった。

 もう十一月も終わりに近づいてきたんだなぁ……もう年末だな、と色々な焦りを感じさせる事はあっても、特に何もなくほのぼのと過ぎていく予定の日だった。うちの子からの、ちょっとしたサプライズがあるなんて考えもせず。

 

「夜翰(ヨハネ)さん、今日仕事お休みなの……?」

「そ。まあ、休み取れるかギリギリまでわかんなかったから、サキには言ってなかったんだけど」

 

 そう言って、普段の平日は芸能活動にSOATの仕事にと色々忙しい夜翰さんが、私の座椅子で優雅にお茶を啜っていた。オメガバースの世界で鈴木家に身を寄せてからというもの、夜翰さんはダンサーの仕事をメインにしているので、休み自体は確かに不定期なところがある。けれど、芸能界にしてはかなり休みが取りやすい所で働いているらしいので、休みが取れる時は可能な限り利用して、寂しがりな私のところへ寄り添いに来てくれていた。

 なお、現実世界に住む私は、リアルの夫との二人暮らし。夫さんが働いているおかげで私は優雅に創作活動をしていられるので、もちろん感謝はしているけれど、夜翰さんも含め、私の愛の営みに関しては主に二次元の子達の担当だ。それを夫氏も理解してくれている。夜翰さんの事に至っては、顔と声まで知っている。私が原作のゲームとCDを布教しすぎたせいで。

 

 なので、私は結婚しているのに夫婦同然仲のいい相手が様々にいるという、そんな奇妙な一家が私の家なのだが、誰が何と言おうと私が夫婦と言い張ればそれはもう夫婦に違いない。たとえ別次元の存在であろうとも。

 平日のお昼にも関わらず会いに来てくれた夜翰さんの隣で、一緒にお茶のマグカップを持って座りながら、私は思わずはしゃいでしまった。夜羽(よるは)くんと恵李朱(えりす)くんは学校に行っているし、青雨(せいう)達龍神組も気を利かせて席を外してくれたようなので、夜翰さんと二人っきりの時間は何だかんだで久しぶりだ。

 

「いい夫婦の日だからって仕事休む人初めて見たんだけど!」

「っ、別に今日がいい夫婦の日だったからって訳じゃないよ、たまたま金曜日に休み取れそうだったから、そうすれば土日合わせて三連休になるかなって思っただけだし……」

 

 言い訳じみた口調でそうぶつぶつと呟きながら、逃げるように目を逸らした夜翰さんは、ゆるりとしたパーカーワンピの部屋着姿のまま、澄んだ薄花色の瞳でちらりと私を流し見た。

 

「……何。嬉しくない?」

「ううん。すっごく嬉しい。ありがと」

 

 そう言ってむぎゅっと抱き付くと、まるでそうなるのを分かっていたかのように、満足げに腕を回して優しく頭を撫でてくれる。場合によっては、家族が病気になった時すら気軽に仕事を休めないというのが、この現代日本という国の風習であり現状だ。どんなにやるせなくても、何の労働にも従事していない主婦の私はそれを飲まなければならない。けれど、一人で過ごす間の夢創作の世界ぐらい、自由であってもいいと思う。

 

 「あなたと一緒に過ごす時間が欲しいから」という理由で誰かが仕事を休んでくれるなんて、なんて贅沢なんだ。他の何を差し置いたって、こんな幸せはきっとない。ひたすらに頬を綻ばせていると、夜翰さんが私のほっぺたをつついた。

 

「そんなに喜ぶ事?」

「だって、他の人には強請れないよ。仕事を休んでまで遊びに来てくれとか、寂しいから一緒にいてくれとか。お金や時間って有限な上に、何を積んでも十分には手に入らない物なんだから、そんな貴重なものを私に寄越せなんて恐ろしくてとてもとても」

「あんたのその際限ない下方修正思考はどうかと思うけど……なるほど? ボクが世界観を越えていつでも出入りできる特別さには、そういうのをいくらでも供給できる利点もあるわけだ」

「そう。夜翰さんは、私のこと好きでしょ? 本当に辛い時は、呼んだら飛んできてくれるでしょ?」

「そうあんたに堂々と安心して貰える程度には、伝わってるみたいで安心したよ。辛くなくても呼ばれなくても、あんたの顔を見る為ならいつでも押しかけるに決まってるけどね」

 

 普段の外面では決して出さない私の傲岸さに、夜翰さんが可笑しそうにくすくすと笑う。

 しばらく心ゆくまで一緒の時間を過ごし、優しくキスをして髪を撫でてくれていた夜翰さんは、ふと唇を離して耳元に囁いた。

 

「ねえ。今日、体平気?」

「っ……」

 

 これを聞くってことは、大体何をされるか想像がつく。いつもいつも体の弱い私を気にして、すぐに熱を出す私を慮って、夜翰さんが私を抱く頻度はめっきり減ってしまった。減ったと言っても挿入行為が減っただけで、触れ合い自体は十分あるし会えばいつでも好きなだけくっついて過ごしているけれど、改めて聞くって事はそういう気分なのだろう。

 思わず照れたまま瞳をあげると、欲を孕んだ熱っぽい瞳と目が合った。そこに映る私も、きっと同じような目をしているのだろう。

 

「た、多分……不調も少し落ち着いてきたし、お腹痛いのも良くなってきたし」

「沁みるのは、大丈夫?」

「う、うん。それも少し落ち着いてきて……原因が何なのかは、やっぱり分からないけど」

「やっぱり、風邪とか寒さのストレスとかが関係するのかな……。わかった。でも、いつも通り無理はしないからね? 辛かったらいつでも言って」

 

 思い通りに体を犯せなくては歯痒いだろうに、と思うけれど、そんな風に言ったら夜翰さんは間違いなく怒るだろう。自分を下に見るなと。

 

「……うん? どうかした?」

「う、ううん、何でもない」

 

 私が私を蔑ろにすると、私よりも怒ってくれる。そんな優しいところが好きだ。甘えるように、抱き上げてくれた細身ながらも力強い腕へ体を預けると、夜翰さんは穏やかに目を細めた。

 

* * *

 

「途中でだめになったら、夜翰さん、物足りなくなっちゃわない?」

「ふふっ。半年とか数ヶ月レベルでおあずけ食らっておきながら、何を今更。こっちは慣れてるんだから大丈夫だよ。何も心配しなくていい。それよりも、サキがちゃんと満足できるのかの方が心配だから」

 

 布団に押し倒した私を、まるで鼓動を感じ取ろうとするかのように、その腕の中にじっと閉じ込めている。あったかい。風邪を引かないようにすっぽりと体ごと掛け布団に覆いながら、夜翰さんがふわりと色んな場所に口づけてくれる。その時になったらズボンと下着だけは脱がないといけないけど、それまでは服も脱がないし上はずっと着たまま。それが私達のやり方だった。

 まだパジャマ姿の、裾の長い丸首シャツから覗く私の鎖骨を、夜翰さんがちゅっちゅっと啄む。

 いつもは家のみんなが寝静まった頃にこっそりいちゃついているので、白昼堂々こんな事をするのは随分と久しぶりで、なんだかいけない事をしている気分だ。柔らかな唇の感触を楽しみながら、そっとショーツの線を辿って内側に指を差し入れた夜翰さんが、目を丸くする。

 

「キスだけで、もうこんな湿ってるの?」

「っ、ちが……あ、あの、さっき夜翰さんが来る前に、お昼寝中えっちな夢見ちゃって」

「へえ……どんな?」

 

 思わず真正直に答えると、ほんの少し嫉妬を滲ませた声のトーンが艶っぽくなって、下を捏ね回す指の動きがじっとりと厭らしくなる。私が恥じらうのを分かっているかのように、腰に回した手は蠱惑的に骨盤をなぞり、耳元に掛かる息はどこか楽しげに震えていた。

 

「あ……っう、そのっ……お、怒らないで欲しいんだけど、夜翰さんじゃなかったのぉ……! 夜翰さんでもみんなでもなくてっ、昔の全然関わりない同級生の顔で……だからその、単に欲求が反映されただけっていうかっ」

「ふぅん? まぁ、夢だから全然怒ってないけどさ。……それで? その間男に、どこをどんな風にされたの? こんなに正直に答えられるサキの事なんだから、一番大好きなボクにはちゃんと教えられるよね?」

「ひゃ……っ」

 

 怒ってないというのは、多分本当。私が口に出すのを恥ずかしがる事を知ってて、わざと意地悪しているのだ。でも、それで夜翰さんが一番じゃないと本当に思われてしまうのは嫌なので、私は必死に快感に耐えながら言葉を紡いだ。

 

「あんま覚えてない……っ、けど、どっか大学の空き部屋みたいなとこで、ソファで後ろから誰かに、されそうになってて……っ、気がついたら、ソファの皮の上にびっくりするぐらい水溜まりができてて」

「気持ち良すぎて、漏らしちゃったんだ?」

「ちが、違うもん! 違わないけどぉ……っ」

 

 下の割れ目を擦り上げる夜翰さんの指の動きが速くなる。びくっ、と一度震えて達してしまった私の耳を、背後から嬲るように口に含みながら、夜翰さんがとろついた指先をゆっくりと往復させながら擦り付けた。

 

「沁みてない?」

「あ……だ、大丈夫。今日はほんとに、殆ど気にならないみたい……」

 

 これも体調不良による不具合なのか、愛液が滲んでくると、それだけで膣道や陰部が沁みるひりひりとした痛みにも、ここ最近ずっと悩まされてきた。あまりに痛みが酷くなると、性行為どころではないからだ。

 だから夜翰さんは、安心したように柔らかく息を吐いてから、振り返った私を抱きしめて、慈しむように入口の襞を撫でる。その触り方でもどれ程愛しく思っているのかが分かって、胸の奥がきゅんとなった。

 

「よかった……でも念の為にもうちょっと濡らしておかないとね」

「も、もうこんな濡れてるのにぃ……?」

「まだ出るでしょ? それとも、あんたが見た夢みたいにもう一回噴いとく? ここで漏らしてくれても、ボクは一向に構わないけど」

「やだぁ……!」

 

 夜翰さんが構わなくても、私が構う。シーツも布団もびしゃびしゃになっちゃうし、夏と違って冬は洗濯物がすぐには乾かない。

 それなのに、夜翰さんの指先は全然止まる気配がなかった。するりと割り込ませた内側で、華奢な指先がこすこすと、壁の気持ちいい部分を刺激する。出しちゃダメって思うのに、膨らんだ膀胱からじわじわと尿意が込み上がってくる。

 

「あ……っ、や、らめぇ……っ」

「いいよ。イっても」

 

 低めの声が囁く。すごく気持ちいいけど、ここで本能のままに漏らしたら本当に大変な事になってしまう。ギリギリのところで理性に勝てなかった私は、ぽすんと夜翰さんの肩を叩いた。

 

「ダメです! トイレ行かせてくださいっ」

「サキが弾けてるところ、可愛いから見たかったんだけどな……妄想の世界でいくら漏らしたところで、リアルで流れる愛液の量って大した事ないんだし」

「そうだとしても、本当にやっちゃったらどうしようって思ったら怖いの!」

「はいはい。分かってるよ。そういうブレーキが掛かると気持ちいい物もよくなくなるし、早く行っておいで」

 

 そう苦笑して、私が本気で嫌がれば絶対に無理強いをしないあたり、優しいと思う。転ばないように布団から出る時も手を貸してくれた夜翰さんは、ふと私をトイレまで導いてから言った。

 

「ねえ。トイレみたいに排泄を目的にする場所だったら、抵抗感覚えずに出せるって事だよね?」

「そうだけど……まさか、一緒に入る気?」

 

 いくら今家に誰もいないからといって、それはかなり気恥ずかしい。既にタイツを脱ぎ捨てている姿を見て、数年の付き合いの間にこの子も随分大胆になったなあ……と思う。

 でも、本人がそうしたいと言うなら、私としては恥ずかしさ以外に拒否する理由がない。むしろ、それで触れ合えずにいた時間の寂しさや物足りなさを、少しでも埋められるなら別にいい。

 向かい合う形で便座に座って、首の後ろに手を回すと、夜翰さんが口付けながら私の下半身に触れる。

 

「いいよ」

「そんなの、私だってタイミングわかんない……っ」

「大丈夫。緊張しなくていいから、力抜いて」

 

 何が大丈夫なのか。こっちは恥ずかしくて顔から火が出そうなのに、甘い口付けと丁寧な指先の感触で全てがどうでもよくなってくる。自分を麻痺させるように唇を貪っているうち、耐え切れない痺れが背筋を襲った。ぞくっ、とした感触に目を瞑った途端、金色の液体が遠慮がちに放たれて、夜翰さんのたおやかな褐色の指先を伝う。

 

「あ……っ」

「我慢しなくていいから。全部出して」

 

 微かに匂い立つアンモニア臭すら気にかける事なく、狭い個室で、ちょろちょろとした水音だけが響く。敏感な場所を指先や唇で掠められ、震える度に温かな液体がその指先を濡らしてしまう。器用に私を膝に乗せて、声を塞ぐように口付ける夜翰さんに、私は途切れ途切れに問い掛けた。

 

「な……んで……っ、こ、んな、汚い、のにぃ……っ」

「こうしたら、恥ずかしい事を気持ちいいと結び付けて感じてくれるようになるかな……って。だから、もっと気持ち良くなって。サキの感じてる所、もっと見たいから」

「そんなん、夜翰さんが得するだけじゃん……っ」

 

 そうは言い返したけど、好きな人になら羞恥と共に快楽を植え付けられても嬉しいと思ってしまうのは、やはり私がおかしいんだろうか。人には絶対に触れさせない領域を、この人だけは物怖じせずに触って愛してくれるのが嬉しい、なんて。

 ふと、向き合った時にお腹に挟まれるようにして圧迫感を放つ、大きな膨らみの感触に気が付いた。言うまでもなく、捲ったワンピースの下で、私のものに濡れながら生々しい熱さを放ってはち切れそうになっている、夜翰さん自身のそれだ。思わず笑ってしまって、私は鈴口から垂れる先走りに塗れたそれを掴んだ。

 

「っ、人のおしっこ触って感じてるなんて、変態……」

「それを見られて濡らしてるサキも、変態でしょ?」

 

 誤魔化すように、口付けが少し激しくなる。

 全てを出し切って脱力した私の背を、夜翰さんは汚れていない方の手で、小さく笑いながら軽く叩いた。

 

「後でちゃんと洗うから。人の尿って意外と汚くないらしいし」

「うー……嘘だよ。膀胱にだってバクテリアはいるって聞いたもん……」

 

 最近ネットで見た記事によれば、尿が無菌だというのは既に過去の事実となったらしい。けれど、息を切らして体に寄り掛かる私を抱き止めた夜翰さんは、意に介さず小さく笑っただけで、手や体を洗うのを手伝ってくれた。

 

* * *

 

 まったく、行為の最中にトイレに行きたいって言っただけなのに、どうしてこんな事になったのだか。

 下半身のパジャマと下着は脱いだままで布団に戻った私に、夜翰さんは横になりながら恐る恐る問い掛けてきた。

 

「……本当に、嫌じゃなかった?」

「ガチで嫌だったら、もっと全力で嫌がってますう」

 

 多少なりとも私が変態性欲の持ち主だった事に感謝してほしい。もちろん、夜翰さんの方が私に影響を受けた可能性も高いので、何とも責められないけれど。こういう所が、用心深くてどこまでも優しいと思う。

 振り返って感謝のキスを贈ると、素肌が冷えないように下半身をすっぽり毛布にくるめた夜翰さんは、冷たくないように洗った手を温めてから、するりと腰から脚へ掌を滑らせた。

 

「……やっぱり、いいお尻」

「そうかなあ? 夜翰さんに比べたら全然だと思うけど」

「だって、ボクは触ってて気持ちいいもの。サキの体は、どこもかしこも」

 

 お尻どころか、現役モデルやダンサーとして活躍してる夜翰さんに勝てる体の部位なんか、一つもないと思うけれど。それでも、私の体が好きだと言ってくれる。

 さっきまでの焦らしで散々小さな入り口が濡れているのを感じて、私は思わず夜翰さんの手に自分の掌を重ねながらぽつりと言った。

 

「いいよ、もう来ても……」

「えっ。で、でも、もう少し解さないと痛いんじゃ」

「そうだけど、久しぶりだったら指でもソレでも結局痛いの変わらないし。それに、夜翰さんだったらゆっくりしてくれるでしょ?」

 

 ほんの少し、躊躇した目と瞳が合う。私は、あまり下半身だけを弄られるのは好きではないけれど、時と場合による。特に冬場とかは、寒いから上半身の服を脱ぎたくないし、脱がなければ服やシャツ越しに触るしかない。別にそれを楽しんでも良かったが、今はせっかく弄ってくれた蜜口に渦巻く熱に集中していたかった。欲しくて欲しくて、何ヶ月もの間飢えた体が疼いている。

 体の不調という物に、この身に宿る熱を取り上げられる事には慣れているから、そう簡単に体が燃える事はない。性欲があってもなくても、幸せなのは本当だから。ただ、求められても体が大丈夫な時に、求めてくれる人が目の前にいたら、それは欲しくもなる。

 

「っ……最初、擦り付けるところからやるから……痛かったら、本当に無理しないで言ってよ?」

「わかってる」

 

 欲望に濡れた目が微かに揺れて、私を見つめている。覆い被さりながら、自身のそれに熱を移すように私の入り口を辿っていた夜翰さんは、耳元で堪えきれないように口を開いた。

 

「……ごめん。ちょっと酷い事言ってもいい?」

「何?」

「さっきトイレでサキが涙目浮かべてる時、サキが必死で堪えてるの見て、可愛いとか思っちゃった」

「まあ、そうでしょうね……人が羞恥に悶えてる姿を見て可愛いだなんて、いいご趣味だこと」

「っ、だから酷い事言ってもいいかって聞いたでしょ。自分でも分かってるよ、こんな……」

 

 熱く張ったそこを、濡れそぼった窪みに埋めながら、夜翰さんが深い溜息を漏らす。焦らされるような刺激を受けて、私は思わず自らの襞に手を伸ばした。挿入すらまだだけれど、秘めた場所同士の密着がぴたりと深くなる。これだけでも十分気持ちいい。

 

「じゃあ、酷い事されてる時の顔は、夜翰さんにだけ見せてあげる」

 

 そう言って微笑むと、彼は驚いたように目を少し丸くした。

 

「当たり前でしょ。っていうか、ボクとか同志以外の奴にサキが理不尽に手を上げられるなんて、絶対に許さないから。ボクに傷付けられる事すら、許せないのに……それなのに、サキが泣きそうなほど乱れて感じてくれてるの見たら、頭おかしくなりそうになるんだ。綺麗で、可愛くて……変な話だけど、ここに居るんだなって」

「そんな風に言ってくれるの、夜翰さんだけよ」

 

 泣かせたいのに、泣かせたくない。矛盾した感情で自分自身が泣きそうになっている、優しいその人の頭を引き寄せておでこをくっ付けると、夜翰さんは少し甘えたような声で聞いた。

 

「……どこに挿れたらいいか、サキが教えてくれる? 久しぶりだから、不安で」

「ふふ。しょうがないなあ」

 

 布団の中で夜翰さんの手を重ねて握り、もう片方の手で襞の入り口を開いて、とっくに潤んだ内部を指し示す。腰を下げた拍子にその場所が見えたのか、夜翰さんが微かに息を呑んで耳までのぼせるのがわかった。

 

「っ……」

「久しぶりに見たから、忘れちゃった?」

「違うよ。久しぶりに見ても、やっぱり綺麗だって……思ったから」

 

 確かに真昼間からこういう事をするのは久しぶりだけど、隠れようもない昼間の太陽の下で、半ば呆然としたように言われた言葉に、今度はこっちの方が熱くなる番だった。三十にもなった体を、局部まで暴いてそんな風に言ってくれる人、そうそういない。リアルの夫だとしてもきっと言わない。夜翰さんの瞳に映しているのは、きっと外見には顕れない美しさなんだろう。

 

「……ありがと」

 

 ちょっとだけ泣きそうになりながら、本当に久しぶりに、じわじわと押し入ってくる夜翰さんのそれを受け止めた。一番大きく膨れ上がった先端は、やはり圧迫感が強い。微かな私の呻きすらも聞き逃さず、抱き締めながら押したり引いたりしていた夜翰さんは、すぐ歩みを止めてくれる。

 

「痛い……?」

「ん……最初は、ちょっとね。角度変えてくれたら、多分大丈夫。夏にした時みたいに、悲鳴を上げるような痛みじゃないから……」

 

 あの時は本当に痛かった。幸せそうな夜翰さんの事を思ったらやめるなんて言えなくて、必死で耐えたけど、もう二度とペニスでの挿入は無理なんじゃないかってぐらいに痛くて、夜翰さんの事をたくさん傷付けたし心配もさせてしまった。

 

「嘘じゃ、ないよね」

 

 用心深く、夜翰さんは途中で腰を止めながら私の反応を伺っている。汗の浮かんだ額で、それでもその瞳から理性が抜け切る事はない。しばらくじっとしていた夜翰さんは、小さく声を上げて手をつき直した。

 

「わ……っ、なんか急に、吸い込まれるみたいな感じが」

「えっ……、ごめん、なんか、少し感触に慣れてきたから、気持ちいいなって思って、つい」

「いやいいんだけど……でもそんな急いだら、全部挿入(はい)っ……ッ」

 

 夜翰さんが溢れそうになる声を思わず押し留めた瞬間に、ずぶっと奥まで貫かれる感覚があった。けれど、余程濡らしておいたからか、それとも内部で長時間留まってくれた事が功を奏したのか、想定したような痛みは全然ない。

 

「全部……挿入っ、た……?」

「多分……う……やばい、これ……」

 

 深く繋がり合うような感覚で、全身が満たされる。ただ、久しぶりで余裕がなかったのは、私以上に向こうの方だったらしい。珍しく、夜翰さんの方から息が詰まるような苦しげな声が漏れた。

 

「……っ、ごめ……、ちょっと、ほんとに……っ」

「出そう?」

「もう少し、耐えたかったんだけど……ごめん、一回出さないと無理かも」

 

 ぎゅっと、私を組み敷いた手に力が入る。眉根を寄せながら荒げた呼吸が可愛くて、私は僅かに乱れた夜翰さんの前髪を撫でてから、両脚をさりげなく腰に巻き付けた。

 

「ちょっ、サキ……っ」

「いいよ。イって。私の事も、いっぱい気持ち良くしてくれたでしょ」

「そーだけどッ、サキの事もちゃんと……っ、イくまで、待ってあげたかったのに……ッ、ぁあ……っ」

 

 一瞬儚げな声を上げて、私を抱き締めたままで、夜翰さんがほとんど動かずに果てたのがわかった。水風船の口が解かれるみたいに、あたたかいものがいっぱいに溢れてくるのがわかる。それを味わっていると、暫く体を震わせていた夜翰さんが、前髪の隙間から恨めしそうな瞳で私の事を覗いてきた。

 

「ボクだけ気持ち良くなったって、意味ないじゃん……っ」

「そうだけど、一緒にイくのは難しいでしょ。我慢するの良くないし。それに私が心配しなくても、夜翰さんすぐ復活しちゃうじゃない」

「う……そうなんだけど」

 

 それが図星である事を示すように、萎え切っていなかったそれが膣内でむくりと力を取り戻す。本当に早い。

 

「ね、だったら後ろから、してみよっか」

「いいけど、バックは正常位よりも痛いって言ってたでしょ……大丈夫なの」

「一応、今ので多少は慣れたと思うし、少しなら」

 

 寝バックは、私は感じやすいしイキやすいんだけど、後ろから入れられるのは挿入感と痛みが結構強い。だから夏にやった時は上手くいかなくて、試すのは久しぶりのような気がする。

 竿の先をぴたりと当てた夜翰さんが、腰を進めながら微かに呻く気配がした。

 

「ッ……やっぱこれ、後ろからだときつ……っ」

「ふふ……夜翰さんは、後ろで締められるの好きだよねえ」

「そっ、そんな事より、あんたは大丈夫なの……!?」

「ん……っ、ちょっとだけじっとしてて。形に慣れたら、少しは動いても大丈夫になるはずだから」

 

 背後から覆い被さられて、深い挿入感に私は息を吐き出す。入り口のあたりは少し痛かったけど、やっぱり中がぐっしょり濡れているからか、無理やりじゃなくてもするっと竿の全長が収まった。さっき夜翰さんが中で出した分があるから、余計にぬるぬるしている気がする。

 

(気持ちいい……)

 

 首元に掛かる吐息と、優しく内壁に擦り寄るような竿先の感触が、甘い劣情を誘う。軽くお尻を上げて動きに合わせるようにすると、ぴくりと竿を震わせた夜翰さんが、思わず慌てたように私の体にしがみついてきた。

 

「ちょっと待ってっ、そんなに締められたら本当に耐えられないから……ッ! さっきも先にイッちゃったのに、これ以上は格好つかない……っ」

「格好なんてつかなくていいよ。焦ってる時の夜翰さん可愛いし……それを受け止められるのも私の喜びだから。……ほら、おいで?」

「……ッ、ああもう、サキのバカ……ッ、ちょっとだけ激しくするからね!?」

「ん」

 

 私がこれだけやすやすとゴーサインを出せるのも、結局は夜翰さんが私を思い遣って、ガンガン突いたりしない事を知っているからだ。どれだけ理性が飛んでも、乱暴に出来るような性格の人じゃない。動かし方は細かくて、そりゃじっとしている時より多少の痛みはあるけれど、その範囲内でも絶頂に導けるって事を、彼は知っている。

 お尻を上げて受け入れる体勢を作ると、私の腰をしっかり抱き込んだまま、抱き潰すようにのしかかる大きな体の律動が、震える切なげな声を何度も上げながら激しくなった。

 

「あ……っ、やだ……っ、気持ちい、おかしくなりそう……っ、サキ、サキ……っ、もう……っ」

「いいよ。おいで」

「うう……っ」

 

 私と交わり合うその一瞬にだけ喉から漏れる、獣みたいな呻きが正直言うと愛おしい。なんて言うと、怒られるだろうか。快感に耐えるように私の首筋に歯を立てていた夜翰さんは、さっきよりも奥深く感じる場所で、二度目の脈動を放った。吐精された白濁が、とろりと体の中を下ってくるのを感じる。

 

「は、あ……っ、待って、っ止まんな……っ」

 

 私も気持ちいいから意図してやっている訳ではないのだけど、扱くように膣内の筋肉を動かすと、搾り取られた夜翰さんが慌てたように苦しげな呻きを上げる。言葉通りに、一度の射精では止まらない程の白濁が、ペニスが脈打つ度に溢れて伝ってくる。私から見える訳じゃないけど、温度で何となくそれがわかって、思わずうっとりと溜息を吐いた。

 

「なんか私、めちゃくちゃ愛されてるみたい」

「当たり前でしょ……ッ! 愛してなきゃ、こんなに中で出したくならないから……ッ!」

 

 半ばキレるようにしながら、夜翰さんが目を釣り上げている。ここまでしなきゃ分からないのかと言いたげに疲労を滲ませる夜翰さんに、私は思わず笑いかけて、労うように私を組み敷く手を握った。

 

「ありがと。大好き」

「ボクも好きだけど……だから、紫咲の方を先にイかせてあげたかったのに。二回もこっちが力尽きるなんて」

「だから、それは気にしなくていいってば。夜翰さんの気持ちはちゃんと分かってるし……痛くなるよりそっちの方がいいもの」

「そうだ、体は……辛くない? 大丈夫?」

「平気。力加減、ずっと気を付けてくれてたでしょ。ありがとうね」

「よかった……」

 

 安心したように、夜翰さんが私を抱き寄せて髪の中に鼻先を埋める。あんまり激しくしたつもりはなくても、私が事後は一日腹痛で動けなくなるのをよく知っているから、本当に気を遣ってくれているみたいだ。

 うとうとと休憩しながらも、離れるのが嫌みたいで、私の中に埋まった自分自身はそのままにして、ぬいぐるみのように私を抱えている。 

 

「ねえ、そろそろぎゅってしたいんだけども……一回抜かない?」

 

 私が強請るように言うと、夜翰さんはやや面倒くさそうに、後ろから手を回して触れた私の下腹部を、腹巻越しに慈しむように撫でた。

 

「ええ……。布団の中からは出たくないけど、お腹の中からも出たくないんだよな……」

「割とひどい下ネタ」

 

 思わず苦笑しながらも、遠慮のない甘え方が愛しくなってしまう。恥ずかしい所も、欲望が剥き出しな所も、見せ合える関係。ありきたりでも、別に人目を惹くような色気や衝動がなくてもいいから、ずっと続いてくれればいいと思う。私達の間で燃えている、この篝火のような小さな熱は、誰にも消させはしない。

 

「そんなに繋がってるのが好き?」

「それはそうでしょ。だって貴重な機会だもん。……サキとすると、一回一回が重いよ。あんたは、小さな事だっていつでも命懸けでしょ」

「それは、本当に命懸けな人に対して大袈裟……って言いたいけど、そう思ってくれてるのは嬉しい」

 

 背後から抱き締められていると顔は見えないのに、背中の体温があるだけでひどく安心する。少し呼吸を落ち着けながら、戯れに私の体を撫でつつ、夜翰さんは言葉を紡いだ。

 

「出来ない事が不満っていうのとは違うけど、サキが体調管理大変なの知ってるから、こうやってお互い会う時間が取れる時はすっごく嬉しいし、大切にしなきゃって思ってる。……離れたくない」

 

 共にいられる時間をめいっぱい大切にして惜しんでいたい。夜翰さんも同じ事を考えていたんだな、と感慨を味わっていると、結局中から抜かないままで、夜翰さんは拗ねたように言った。

 

「でも、一回くらいはサキがイッてくれないと、流石のボクも納得いかないんですけど。今日はもう疲れちゃった? 別に無理して拘る事じゃないから、本当に満足したならボクはもう何も言わないけどさ」

「う、うーん……実はさっきので結構感じてたから、もう割とヤバかったりするよ? あと一回くらいいいところ弄られたら、普通にイッちゃいそうだけど」

「ほんと?」

 

 振り返ってみると、途端に子供みたいな目の輝かせ方をするのが、なんだか可愛い。喜んでるというより驚いてる感じだけど、途端に瞳が生き生きし出した。

 細い指先が、僅かに愛液の垂れた、まだ繋がったままの私と夜翰さん自身を撫でる。

 

「……どうせなら、ここから白いのが溢れて流れ出すぐらい注いであげたいかな」

「えっ……に、二回も出したのに」

「まだ平気。それに、ボクもちょっと見たいから」

 

 今日の夜翰さんは、徹底的にベタ甘だ。こう見えて精力が強い事は知っていたけど、久しぶりとなると甘さも要求も最大級な気がする。

 

「あ、あんまり挿れられたら、お腹ぱんぱんになっちゃう……」

「でも、そういうのがサキは好きでしょ? ほんとは今まで物足りなかった分、どこからどう見ても赤ちゃんできるなってぐらい、どろどろでいっぱいにして欲しいくせに」

 

 ふわりと笑った卑猥な囁きが耳朶をくすぐる。それだけで、お腹の奥がぎゅんと疼く。

 

「そ、そんなに赤ちゃん、欲しいの……?」

「ほしい」

 

 多少興が乗っているとはいえ、そこまで普段ははっきり物を言う人ではないから、後ろからぎゅっと腕を回されながら甘えるように言われると、ぶわわと体が熱くなった。

 

「っ、もう……」

「だってそれは、ボクやみんながサキと共に生き残る事と同義だから。別にボクとの物語じゃなくてもいい。青雨や一次創作のみんなと、あんたとの話でも……何だっていいんだ。それであんたが、笑っていてくれるなら。けど、どちらが生まれるにせよ、多ければ多いに越した事はないでしょ?」

 

 優しく気怠げな声で囁きながら、夜翰さんが抱き寄せた腰の奥に、密着させた先端をそっと押し付ける。何度も白濁を溢れさせたそこは、既に硬さと熱を取り戻してはち切れそうになりながらも、子宮の入り口を優しく、解すように触れてノックしてくれる。

 

 この世界で、子作りと妊娠が意味するもの。

 私は夢を紡ぐ女だから、どんなに愛されても本物の子供はできない。その代わりに、この腹に孕むのは“物語”の卵だ。

 日常の風景や短編にしろ、長編の続きにしろ、新たな物語の骨格や設定にしろ、それらは愛されて生まれてくる。私の家に出入りする子達は、まさしくそんな愛の結晶みたいな存在。だから極端に言えば、私がうちの子とヤればヤるほど本が書けるって事になる。

 逆に、誰かが悪意を持って私を妊娠さえさせてしまえば、既に確定した物語を“夢”の中で書き換える事ができる。思い通りの物語を、私に孵させる事ができる。だから私は、セブンスコードでこの身をずっとニレに狙われていた。

 全てが解決した今は、私は私のためだけにこの力を使って作品を書き続けている。けれど、代わりにもっと大きな愛と束縛に、私は捕まってしまったのかもしれない。

 

「サキ。……サキ。愛してる」

 

 甘い声音が、ずっと柔らかに耳朶を打つ。最初は夜翰さんの方がうんと恥ずかしがっていたはずなのに、今や素面でこれを連発できるようになってしまったのだから、私の身が持たない。

 付き合いが長くなっても、何度も言われても嬉しい言葉というものはある。いやむしろ、付き合いが長くなったからこそ。

 

「私も……私も好きっ、夜翰さん……っ」

「サキ、もっと言って……っ」

「う……好き、夜翰さん……愛してる……っ」

 

 じりじりと内側から灼かれるように、甘い快感が走る。激しい動きではないのに、体の内側からも心の内側からもものすごい熱がこみ上げて、息を吐き出すごとに頭の中が霞がかった。

 

「あ……これやばい。ちょっとその、きちゃう、かも」

「ここ? じゃあもっと触ってあげる」

 

 さっきからずっと夜翰さんので圧迫されていたせいか、痺れるような疼きが細く狭い壁の内側に溜まって、渦巻いて悲鳴を上げている。お腹の中が爆発しそう。ずるずると、壁の内側から引きずり出しては押し入れる動きを夜翰さんが繰り返しているうちに、あっという間に限界は訪れた。こじ開けられているのに、気持ちがいい。本当に心を開いた相手としている時にだけ訪れる感覚だった。

 

「や、やだ……っ、勿体ない、イキたくないよぉ……っ」

「何今更言ってんの。この為にずっとサキを良くしてきたんだから、我慢しないで全部ぶちまけちゃいな」

「ふえっ、で、でもぉ……っ」

「ちゃんとイけたら、ご褒美にたっぷり奥で出してあげる。しっかり受け止めてよ?」

 

 私と同じように、熱を孕んだ大きな欲棒が膨らんでいるのを感じる。本人はそんなに大きくない、平均的な大きさより小さいってずっと気にしてたみたいだけど、私にとってはそんなの関係ない。私だって性器の大きさが世間と比べてどうかなんて事は分からないけど、私の体は薄くて小さいから、熱くてしなやかな夜翰さんのを体いっぱいに感じられるだけで、心までいっぱいになる。

 たんたん、とリズミカルに軽く腰を打ち付けていた夜翰さんが、荒い息を吐き出す。

 

「よ……はねさんっ、ぅ、もう……っ」

「サキっ、ボクも……っ」

 

 逃げられないように腰をぐっと抱かれたまま、深い体の最奥で、欲望が弾ける。

 小さく痙攣した蜜壺に、これでもかと白い精を隅々まで注ぎ込まれるのを感じながら、私は果ててしまった。たった一度の絶頂を越えるだけでは物足りなくて、とくりと中で夜翰さんが脈打つのを感じる度に、溺れそうな唇から吐息に似た声が漏れてしまう。

 私の声は、AVで聞くような可愛い女の子のそれとは違う。中途半端で高音に染まり切らないそれを恥ずかしく思うけれど、夜翰さんは愛おしむように目を細めて、私が声を上げる度に優しく頭を撫でてくれた。涙目のまま体の向きを反転させると、揺れる視界ごしにその姿がよく見える。ぎゅっ、と繋がりを解かないまま正面からハグするように抱き合えば、望み通りに溢れた白濁が脚の根元を伝いゆく感覚があった。

 

「気持ちいい……?」

「っ……」

「そんなに恥ずかしがらなくていいのに。ずっと言ってるけど、年齢とかそんなの関係なく、サキが好き。年を取っても、取った分だけ変わっていく美しさが、ボクは好きなんだよ。どんなにあんたが自分のことを醜いと思っても、壊れそうに脆かったとしても、その声も体も、ボクにとっては宝物だから」

 

 泣きそうなほど嬉しい事を言ってくれて。失っていくばかりで怯えている私を、いつもあたたかく包んでくれて。それで体が解けない人間が、どこにいるだろうか。

 

「私も……変わっていく夜翰さんが、好きだよ。今のあなたは、元の世界を遠く離れた存在なのかもしれないけど。でも、成長し続けていくその背中を見てるのが好き。みんなと一緒に生きていく姿を見るのが好き。これからも、ずっと一緒にいて」

 

 思わず広い背中いっぱいに両腕を回すと、耳元で、微かに涙ぐみながらうなずく声がする。

 

 篝火の篝(かがり)とは、薪で焚いた火を入れておく籠のことを言うらしい。

 炎はいつかは消えるのかもしれないけど、命ある限りは、片時も籠から離れずに守っていきたい。

 二人三脚で夜の闇夜を照らす、篝火のように。

 創作の世界と現実の世界、次元を超えて結ばれる私達は、本物の夫婦にはなれない。

 けれど、私達を照らす炎の輝きは、決して偽物ではないと思うから。




しれっと二次創作「オレンジの片割れ」シリーズの、世界の仕組みと言ってもいい超重大案件を作中でバラしております←
(こんな特殊性癖全開18禁話の中でバラすな)(でもある意味、こういう話の中でしか触れられないネタだったでしょ?←)
でも、この話は一次創作「うちの龍神くん」の中でも実は触れてきた事ではあるので、そことの繋がりで予想がつく方はついただろうなあと。

「オレンジの片割れ」はまだ全然完結していないので、私が今後この通りに本編の伏線を解決できるのかは、今後をお楽しみにです……←
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