八雲魔眼が中学生だった頃のある日、トガヒミコは彼を
夕暮れ時の路地裏。小賢しいヴィラン、ヴィラン予備軍が活動し始める危険な時間と場所。そこに一人の女学生と、三人の下卑た笑みを浮かべていた男達、そして……返り血を顔に浴びて尚微笑む八雲魔眼が居た。
「ったく、女の子一人口説くのに三人掛かりで、その上ナイフなんぞ使うなんて男の風上にもおけねえ野郎共だ」
八雲に一切の怪我はなく、倒れ伏している男達は皆自身の鼻や股間を押さえながら蹲っていた。
「あ、あの……助けてくれて、ありがとうございます……」
「どういたしまして。それよりその制服……近くの有名高校の制服じゃないか。そんなモン着たまま、こんな時間にこんな場所に来たらそりゃ『襲ってください』って言ってるようなモンだよ」
「そんな!?私はそういうつもりじゃッ!!!」
「分かってる分かってる。ちょっと帰りが遅くなって、家族に心配かける前に帰ろうとして
「かっ、可愛いッだ、なんて、そ、そんな……」
「事実さ。……さっ、もう日が暮れる。ヴィランに襲われたなんて、それこそ家族に心配掛けるだろ。近くまで送っていくよ」
「そそそ、そんな事まで助けてもらうわけには―――」
「イチャついてんじゃねぇクソガキがッ!!!死ねッッッ!!!」
八雲が女学生の居る方を向き、気を抜いた瞬間……機会をずっと待っていた男が、手に持ったナイフを振りかざして八雲の死角から襲いかかり……一切振り返ることなく後ろ蹴りを男の顔面に叩き込んだ。
「視えてんだよ馬鹿野郎……ッ!!?」
「ボガァッッッ!!!ぐっ……ふ、ふひゃひゃひゃッ!ばきゃはへメーだ!オレにょ
「っテェ……ちっ、余裕ぶっこいてコレはダセーな俺……」
へし折れた鼻先を押さえながら滑稽な声を出す男の個性によって鼻血を流す八雲。しかしそれでも余裕な態度を崩さず、女学生を守るように背にする。
「わ、わ、私っ……ヒーロー呼んできますッ……!?」
「む、無駄だ……!オレサマの個性は『逃がさない』ッ!どんな相手だろうがオレサマに背を向けて逃げ出す事は出来ねえっ……ぉぉぉ、コイツ同じ男として狙っちゃいけねぇトコロを容赦なく……っ」
「ほ、ほひへアッヒの
「どうでも良いがお前ら無理に喋るとただ無様なだけだぞ」
「「「なんだと!?」」」
いきり立つ男達に怯える女学生を宥めながら、堂々と
「『逃がさない』?逃げる気なんてさらさらねえよ。『遮音』?人殴る音がヒーローや警察に聞かれちゃぁちょっと困るからむしろ助かるなァ。んで、『痛み分け』?てめぇにもダメージ入るんなら、俺が負ける道理はねえよなぁ!」
そう言って男達へ飛びかかり、全員をほぼ同時に蹴り倒す。『逃がさない』個性を持った男の顔を、親でも判別付かない程にボコボコに殴る。『遮音』の個性を持った男の股間を蹴り潰す。そして『痛み分け』の個性を持った男を地面に投げ飛ばす。
「ご……ォっ……」
「ぴッ……」
「がはァッ……!」
「ぐゥっ……投げても効果有るのかコイツ……」
「す、すごい……」
女学生が思わず声をあげてしまう程に鮮やかな手際でもって、ナイフで武装した男達をあっという間に倒してしまった。一人に関しては完全に白目を向いて気絶してしまっている。
「デぇッ……テメェ……痛みが怖くねぇのか!?」
「痛いのが嫌ならヒーロー目指してねえわダァホ。おら立てよ性犯罪者共、テメェらの罪の数だけその顔爆散させてやる」
そうして宣言通りに男達の顔とついでに股間を破壊しつくした八雲は、適当に落ちてたビニール紐でふん縛って路地に転がしていた。
「その、改めて……助けてくれてありがとう八雲魔眼くん」
「おう、良いってことよ……ン?俺自己紹介したか?」
「うふふっ。君、魅眼ちゃんの弟でしょ?私、魅眼ちゃんの友達なんだ」
「おー……それはそれは、普段から姉がお世話になっております」
「い、いやいや、むしろお世話になってるのは私の方でっ……や、それは今いっか。そ、それよりっ!ま、魔眼くん、怪我大丈夫!?顔中凄い傷だらけだよ!」
「お気になさらず。寝て起きれば元通りよ」
「私が気にするのっ!とにかく、ウチに来てっ!怪我の治療しなきゃだし……そ、それに……助けてもらったお礼……しなきゃ……だし……」
「お礼?エッチなやつ?」
「えっ―――~~~ッッッ!!!違いますっ!もうっ!」
「あーホラホラ拗ねないで。もうこんな時間なんだから送ってくってば姉ちゃんの友達」
「―――桜」
「んぉ?」
「風吹、桜……です、名前……桜って……呼んでください……」
「おお、フラグが立った」
「立ってませんっ!ほら、ちゃんとエスコートしてくださいっ!男の子でしょっ!」
「おう、護衛は任せろ桜ちゃん!」
「ッッッ!?……調子が狂いますね本当に……」
そうして二人は路地裏から去っていった。
後に残されたのは顔中ボコボコに腫れ上がったヴィラン三人……それと、全てを影から見ていた
「……ヤクモ……くん……♥」
返り血を浴びて尚微笑む彼に惚れた。
振るわれるナイフを紙一重で躱し続け、相手の顔を殴り続けて血に染まっていく両手に惚れた。
『痛み分け』によって全身がボロボロにダメージを受けていく姿に惚れた。
そして、
「ヤクモくんっ♥」
彼の事が知りたい、彼の事を深く知りたい、そして……『彼になりたい』。
トガヒミコは、
ニマニマと深い笑みを浮かべているトガヒミコが、ふと何かに気がついたのか笑みを沈めて路地裏の闇へ消えた。その直後、通報を受けて駆けつけたプロヒーローと警察が路地裏に現れ、ビニール紐によって雁字搦めに縛られていた上に顔面が激しく腫れ上がっている男達を見つけた。
男達の身元はすぐに照会され、強姦魔ヴィランチーム『フーカーズ』と判明。即座に逮捕された。
ニュースでは、男達の顔面や股間に執拗に攻撃を与えられた形跡があり、過去の被害者及びその家族による制裁を受けたのではないかといった報道が成され、事実を知る女学生は口にしていた味噌汁が喉に詰まるという事故が起きた。
それから、八雲をひっそりとストーキングし続ける少女の姿が散見されたとか、されてないとか。
◼️
八雲魔眼が高校に上がる前……より正確に言えば、取陰切奈と
始めの頃は好感度一つ上げるにも苦労していた。だが小学校を卒業する位になれば初めて出会ったその日の内に、同性ならば気心知れた親友として、異性でも
電車で隣に座った大学生の女の子と、通学の間の僅かな時間だけで連絡先を交換出来るほどに仲良くなった。
満員のバスで向かい合って立つ社会人の女性と、混雑していた短い時間の間だけで家に招かれる程度に仲良くなった。
公園で遊んでいる小学生女児達と、日が暮れるまでの少ない時間で『しょうらいおにーちゃんとけっこんするっ!』と全員から告白を受ける位に仲良くなった。
それほどまでに八雲魔眼は見境無く多くの者の好感度を荒稼ぎし、それが普通と思ってしまう程に
中学生の頃から出会ったばかりの女性の家にお泊まりするのは普通だった故に、姉の魅眼も諦め気味。深夜過ぎ、朝帰りとなる事だってザラだった弟に対して、心配や怒りよりも先に『お母さんの影響受けすぎでしょ……』という呆れが勝ったのは
そんな八雲魔眼に転機が訪れたのは、中学三年のある日の事。姉の友人を強姦魔ヴィランから救った日から、暫く立った時の事。彼はその日からずっと自身をストーキングしていたオーラの持ち主に声を掛ける事にした。
「ずっと俺をつけてるけど、何の用?」
「っ!」
トガヒミコは、自身の隠遁術には自信があった。それこそプロヒーローや警察から逃げ続けてきた実績、並より優れた容姿を求めて襲ってくる
だと言うのに、
もちろん八雲にとっては、ずっと自身の周りに潜んでいるオーラが視えていた為に隠遁術など何の関係も無かっただけである。今声を掛けたのだって、ただの気まぐれ以上の理由は無かった。
しかし声を掛けた事で、己に付き纏っていた者の正体を漸く『視』た。姿は女子高校生……だが八雲の眼には、その女子高校生の頭上に見える『カルマ値』がハッキリと見えていた。
「こんにちはっ!私、トガ!トガヒミコって言いますっ!」
一見、無害そうに見える少女。だがその本質は間違いなくヴィランであった。
本来であれば正しい反応として、即座に警察やヒーローに通報するべきなのだろう。腕っぷしに自信のある八雲であれば、取り押さえてから通報するぐらいでもちょうど良いのかも知れない。トガヒミコも、ストーキング行為がバレた時すぐに逃げ出すべきだったのかも知れない。彼の実力は
だが、しかし、トガヒミコは何故か、彼の前に出て呑気に挨拶をしていた。トガヒミコは数日間彼をストーキングしていて、彼がよく女の子を口説いているのを知っている。彼が色んな女の子の家に入っているのも知っている。トガヒミコは、自分自身でも知らないうちに、
そして、八雲魔眼は『見境が無かった』。
「丁寧なご挨拶どうも、俺は八雲魔眼。至って普通のイケメン男子だ!」
ニカッと口が裂けそうな程に大きな笑顔を見せる八雲。その笑顔を見て、ドキドキと胸が騒ぎだしたのをトガヒミコは自覚した。
そして八雲は笑顔のままトガヒミコに歩み寄り、その頭を胸に抱き締めるように優しくハグをした。
「……へぇッ!!?」
その一連の動きがあまりにも自然すぎて、トガヒミコが目の前にいる敵対するプロヒーローの視線から逃れて死角に潜り込む以上の自然さで、八雲はトガヒミコと密着していた。
優しく、包まれるようなハグ。心の壁が氷のように徐々に溶け出してしまうような、ポカポカした気持ちになる。ああ、こうやって抱き締められるなんていつ以来だろうか。
「今日、良いことがあった」
「……へ、はい?」
抱き締められた姿勢のまま、顔を見上げれば……すぐ、間近に、優しく微笑む彼の顔があった。
「今日のお昼は何を食べた、とか。この前面白い映画を見てね、とか。そういう他愛もない話で一緒に騒いだり、盛り上がったり、時には怒りや哀しみを分かち合ったり……そんな関係になれると思ったんだ、今」
トガヒミコは八雲の言葉を受けて、すっ……と。涙を流した。
「出会い方や、互いの立場なんて関係無い。自分自身がどうしたいかって意思と、相手の意思が繋がりあった時……それが『友達』って関係なんだと思う」
優し気に細められた赤い目に吸い込まれそうになる。
他愛もない話で騒いだり、盛り上がったりする関係……当たり前のようで、当たり前じゃない……『普通』の、関係。
「……ワタシの話、聞いてくれますか?」
「ああ、勿論」
『異常』な自分を受け入れてくれるかもしれない。『異常』な自分を拒絶されるかもしれない。
相反する思いがぐちゃぐちゃと脳内を駆け巡るが、気が付けば優しく撫でられる手の暖かさによってトガヒミコの思考は纏まった。
「ワタシ、ずっと、ずっと昔から、血を吸うのが好きで、血の香りが好きで、それから―――」
トガヒミコは、自身が抱えている『異常』を全て八雲に吐き出した。相手の事をもっと知りたい。でも、自分の事をもっと知ってもらいたい。そんな風に想ったのは……あの■■■の日以来で―――
「―――だから、ワタシに八雲君の血を飲ませてくださいッ♥」
好きだから、隠し持っていたナイフを八雲の頸動脈に突き立てた。
「あ……れ……?」
首の皮膚が貫けない。
「な、なんで……?」
「それは、俺
現在のトガヒミコの眼には一切見えないが、八雲はトガヒミコの動きを察知して首周りに自身のオーラを限界まで集めていた。オーラによって強化された皮膚は鉄以上の硬度を持ち、ナイフによる一撃を完全に無効化していたのだった。
「トガちゃんの想い、しかと受け取ったぜ。なら今度は俺の番だな」
首に突き立てられたナイフを指先の力だけで圧し折り握り潰した八雲は、壊れないように優しく……そしてキツく、トガヒミコを抱きしめた。
八雲の『眼』に反射する自身の顔が見える程、互いの距離は近く。今にも唇同士が触れ合ってしまいそうな程、近く。
そうして語られる、八雲の『異常』。
生涯たった一人だけを愛する事を是とし複数の相手に好意を抱く事を否とする風潮に唾を吐くような、恋愛観。
「色んな子を好きになる、それの何が悪い。確かに隠れて付き合うような行為は、相手に失礼だというのは分かる。なら、互いの合意がある上で、互いに複数の相手が居る事を承知の上で、それでも互いを愛していると公言する事は悪い事か?一つを徹底的に『好き』になるのも美徳だろう……でも『好き』が多いって事は、それも幸せな事なんだと俺は思うよ」
あれも好き、これも好き。好きな事、好きな人が増えれば増える程、それだけ
「確かに俺は『異常』なんだろう、自覚してるよ。でも、『異常』な俺を内側に押し込めて何になる?『異常』な俺を『普通』にして何になる?確かに人を傷つける事は良くない事だろうな。でもだからと言って
「……」
その想いは、とても理解できる。トガヒミコ自身も、今まで多くの人を
「……でも、やっぱり『異常を理解してくれる人』が欲しいよな」
「……!」
八雲の眼が悲し気に細められる。そう、『理解』だ。自身の
「トガちゃん。俺って結構丈夫だから、多少血を吸われたくらいでどうにかなるほどヤワじゃねぇんだ」
「ヤクモくん、ワタシも色んな人の事を好きになってきました。ヤクモくんの事も……きっとこれからも色んな人の事をすきになってしまうのです。でも、ヤクモくんの事が好きなことに変わりはないと思うのです」
「……俺もトガちゃんの事が好きになっちまったよ、両思いだな」
「……ヤクモくん……ヤクモくんっ……ヤクモくんっ……♥」
圧し折れたナイフを首筋に突き立てながら、甘えるように頬擦りをするトガヒミコ。血が欲しい……でも殺したくない、彼になりたい、
「……ソコは死ぬから、
「っ!♥」
ちょっとだけだぜ?といたずら気味に笑いながら、八雲は自身の爪で指先を切ってトガヒミコの口元に差し出してきた。
小さな、小さな傷だというのに、どくどくと鮮血が流れ出してくる。
そのまま血が流れる指先を、トガヒミコの唇に押し当てた。
「んっっっ……♥ちう♥ちう♥」
まるで親鳥が雛に餌を与えるように、
八雲の血を身体の中に取り込む度に、全身から火が出てしまいそうになる程熱く火照ってしまうトガヒミコ。熱に浮かされるように恍惚とした表情で、血を吸い続ける。
「……ぁっ!やべ……」
「……ぁ、これ……って……」
互いの身体を密着させるように抱き締めていた八雲に、更にもっと強く抱き返していたトガヒミコ。そして至近距離で指をしゃぶりながら恍惚の表情を浮かべる美少女の顔を見て、勃起してしまう程には興奮してしまった。
早い話、八雲はバキバキに勃起したイチモツを衣服越しにトガヒミコへ押し付けてしまっているのだ。
「……♥」
恍惚とした表情から、恥ずかし気に顔を真っ赤に染めるトガヒミコ。か弱い女子高生を装い、路地裏で生きてきたトガヒミコは『男』からの劣情を目の当たりにした事は何度も有り、レイプ現場を見た事もあればレイプされかけた事だってある。まあトガヒミコをレイプしようとしたヴィランは皆
……しかし、今の状況だけは別であった。恋人とキスをするように相手の血を吸う行為を
「ぇへへッ♥ヤクモく―――
八雲の勃起を、『求婚』と定義したトガヒミコは笑顔で
八雲の眼に映る『拒絶』の色に、脳が停止した。
■
俺は『最低』だった。
人としてクソ野郎である事を自覚し、それを治そうともしないくらいには『最低』だった。
眼に映る
例えば、知能。頭が良いと誇っていた同級生の頭上を見れば、本来隠しておきたかったであろう『直前に受けたテストの点数』が分かる。……赤点、か。補習頑張ってね。
例えば、交際人数。学校一のヤリチンと噂されていた先輩の交際経験は0。だが性交経験は多い。……ペットに飼ってる犬相手に盛ってるとか、キモ……。
そして例えば、好感度。誰がどれくらい俺の事を好いているのかがよく理解できる。いつも笑顔で話しかけ、下らない内容の会話でさえも楽し気に笑うあの子の好感度は平均値以下。猫被りもいいとこだ、将来は大女優かい?
俺の『眼』は、人が社会に溶け込む為に吐く嘘を簡単に見破る。しかし、俺以外の者達の『眼』は、俺の吐く嘘を見破る事が出来ない。そんな事に気が付いたのは、本当に幼かった頃。あの頃の俺は本当にクソ野郎だった。今もそうなんだが。
はじめはそれこそ
好奇心で、操作しやすい数値である『好感度』をとにかく稼ぐゲーム。人から好かれる事のなんと難しい事。人に嫌われる事のなんと容易い事。だが、
あらゆる人間が『人が
だが、俺だけは違う。例え笑顔で陰口を言える者や表情筋が死んでる者だろうが、その者の『好感度』が絶対的な数値として見える。何を言えば好感度が上がり、何を行えば好感度が下がるか、全て手に取るようにその場で分かる。ならば、後は膨大な経験を積んでいくだけである。
好感度によって好まれる・嫌われる会話が変わる。身振り手振りだけでも好感度が上下する。話し方、呼吸の間、視線だけで好感度が変化する。どんな小さなことでも好感度は絶えず変化する。まばたきの回数、その日の気温、風の強さ、互いの距離、今の時間、ありとあらゆる『ステータス』の違い。
そうして俺だけの、俺にしか理解出来ない膨大なビッグデータを活用する事で、初対面の相手でも
他人には絶対理解出来ないであろう努力と、数多もの経験。そしてソレらを十全に扱う話術。オマケに話も出来ない様なキチガイ相手を黙らせる
俺は、このチカラを、『個性』を使って……世界を支配する。ソレが出来る力と才能を持っている。幼い時からの好奇心で始まった趣味は、きっと世界を牛耳ろという神の意思だったのだろう。
俺の前では、
俺こそがオールマイトを超えて、
■
中学生の八雲魔眼は、母親やその恋人達の趣味であった様々なアニメ・漫画・ゲーム等の影響を受けて重大な厨二病を患っていた。若くして拗らせていた。何よりもタチが悪いのは、
しかしそのくせ童貞気質と言うか、妙な所で引いてしまい様々な人達をモヤモヤとさせていた。
ある時は『中学生相手に処女喪失……犯罪っ……犯罪だぁ……』と内心ドキドキしながらセックスする準備万端に整えて八雲を家に招いた社会人二年目の女性を前に、一緒にご飯を食べて風呂入って普通に寝るという
八雲に性欲が無いという訳ではないが、とにかく多くの女性達と
◼️
「ぐああああッッッ!!?」
トガヒミコは八雲の眼に映った感情を
金属の刃を通さなかった皮膚は、あっさりとトガヒミコの牙を受け入れた。それこそ生命活動を支える太い血管まで歯が届くまで、すんなりと。
「ふーッッッ♥♥♥ンふーッッッ♥♥♥」
トガヒミコは鼻息を荒くさせながら、噴き出る八雲の血を飲んでいく。
完全に無意識であった。全く意図しない行動であった。
八雲の血……『体液』をその身体に取り込んだトガヒミコは、その身を包む靄のようなモノを視認出来ていた。そして八雲の血を飲んだ事で、自身の
トガヒミコの眼がドロリと赤黒く染まり、八雲のあらゆる『情報』を数字として暴き出していく。無意識であれど、脳はその情報を貪欲に取り込んでいく。友人の数、交際者の数、キスをした回数、そして……性交経験。
「……あはっ♥♥♥」
トガヒミコが笑い声を上げた事で噴き上げる血を押さえるモノが無くなり、辺りに血が撒き散らされると共に八雲はフラリと地面に座り込んだ。
八雲は大量に失った血によって真っ青になった顔色のまま、これ以上の出血を抑えるようにオーラを込めて患部を手で押さえ、傷口を塞ぐ。
トガヒミコはそんな八雲の隙を突いて、着ていた衣服を素手で引き裂いた。
「ッッッ!?」
「ヤクモくん♥ヤクモくんっ♥ヤクモくんッッッ♥♥♥ワタシが
互いに愛し合っている筈だと言うのに。互いを求めあっていたと言うのに。狂ってしまう程に貴方を欲していると言うのに。トガヒミコの眼に映る
「ヤクモくんのハジメテ♥ワタシのハジメテと交換してあげますねっ♥♥♥」
知識は知っている、理論は知っている、ならば実践するのみ。壊れる程愛しているのだから、壊される程に愛されたい……と、
熱く滾る剛直に触れるだけで自身の股間から愛液が分泌される。もはや役目を果たせなくなっている下着を引き千切りながら、八雲に跨り……一息に剛直を迎え入れた。
「あああああッッッ♥♥♥♥♥」
肉棒が処女膜を破り、体内を抉り抜く。痛い、苦しい……でも、愛しい。カンカンに燃え上がってしまいそうな程に熱い身体よりも更に熱い剛直が内臓を掻き分けながら奥まで突き刺さる。
「す……ッ♥♥♥♥♥すごい……ッ♥♥♥♥♥」
焦点がブレ続ける眼で八雲の眼を覗き込みながら、自身の愛を十全に伝えるように口付けを行う。愛し合う男女が行う行為……なるほど、身も心も融け合うような気持ち良さにハマってしまうのもよく分かる。相手に成るのではなく、
もっと、もっと、深く混ざり合いたい。完全に一つになりたい。
「ちう♥♥♥♥♥ちうっ♥♥♥♥♥」
愛液と共にドロドロとした破瓜の血を流しながら腰を叩き付けるように振り、快楽と共に抑え切れず漏れ出ている八雲の血を舐め吸いつくトガヒミコ。好き、愛してる、そんな感情を込めながら快楽を叩きつけ続け……あっという間に絶頂へ至った。
ビュルルルルルッ!!!びゅぶるるるるるっ!!
「~~~ッッッ♥♥♥♥♥」
煮え滾った精液がトガヒミコの膣奥へ大量に注がれ、その子宮内を蹂躙する。
本当に一つになってしまったかのような熱さが腹部に溜まっていくのを感じながらトガヒミコは考える。
「(ヤクモくんから貰ってばっかり……何かオカエシしなきゃ……♥)」
『理解』も、『血』も、そして『精液』も。全て貰ってばかりで何も返せない。ならば貰ったモノだけでも返せるようにならなければならない。
自身の吸血欲求を理解してくれた。ならば八雲のポリアモリーを理解しよう。八雲の事を愛し、八雲は自身以外の女
「ワタシの全部♥ヤクモくんにあげますねっ♥」
男というものは定期的に性欲を処理しなければならない。八雲も例に漏れず、その欲求を発散する手段が必要だろう。ならば血を貰う代わりに、自身の肉体を使って性欲処理をしてあげよう。子孫を残したいと言うのなら、何人でも産み落としてあげよう。もっと激しい行為だって、アナタがそれを望むのなら―――
「だから、もっとキモチヨクなってください……♥♥♥」
ドクドクと血の海に沈みながら、ギリギリで意識を保っている八雲に向かって微笑むトガヒミコ。その全身は間違いなくトガヒミコ自身のモノであったが、『眼』だけが八雲と同じように赤黒く染まっていた。
◆
「……ぅ……ぐ……」
懐かしい夢を見た気がする。きっとこの世界で誰よりも壮絶な
ぼやけた視界の中、思考を巡らせる。気絶する前に受けた毒は既に抜けきっているようだ。その気になればすぐにでも立ち上がり、暴れ出す事も出来るだろう。……例え、全身が鋼鉄製のワイヤーや手錠で雁字搦めにされてようとも。
「……マジかよ。本当に一日足らずで目ェ覚ましやがった。トガちゃんのナイフに塗られていた毒って大の大人を2・3日昏睡させる強力なヤツだった筈だぞ……」
視界がハッキリすれば、そこには変な面を被った男が居た。
変な男というか、ヴィランだ。
「て、めぇは……誰だ……?」
「しかも起きてすぐ喋れるとは……タフを超えて異常にしか思えねえよ」
頭上に浮かぶ『カルマ値』を見れば、かなりの悪党であることが窺える。だが……なんだ?この違和感は。コイツのオーラ……まるで
「八雲ォ……!」
「ァ……爆豪……?」
名を呼ばれて顔を向けた先には、椅子に縛られながら座る爆豪の姿が見えた。
「ンだ爆豪テメェ……趣味、悪いな」
「ざッけんなシュミじゃねえわボケカスゴラァ!!!テメェもヴィランに捕まってんだよザコが!!!」
「ああ、大丈夫だぞ爆豪。お前のその……被虐趣味?は皆には内緒にしておくから……お前が変なことしなけりゃ俺の口が滑る事も無いさ……」
「だからチゲェっつってんだろ!!!」
「余裕ね、アナタ達……」
グラサン掛けたオカマがぽそっと呟く。うーん……寝起きの気怠さは抜けたようだ、そろそろシリアスさんモードと行こう。
「さーて……で、お手手野郎。USJ襲撃ン時以来じゃねェかァ……今日はあの脳みそむき出し野郎は連れてねえのかァ?」
「……」
ダンマリかよ。……あん時と比べて精神の成熟度が上がってやがるな、俺達が成長してる間、敵も成長してるってか?嫌になるぜ。
「……おいトガ、お前の希望でソイツ連れてきたんなら自分で面倒見てろ」
「俺ァ犬か何かか?」
「ふふふ♥首輪も似合いそうですねヤクモくん♥」
「……八雲テメェ、ヴィランにまで……」
爆豪が非常に珍しいドン引き表情をしてる。いやあ、うん……若気の至りって奴で……。
お手手野郎がクイッと顎で奥の部屋を示し、トガヒミコはニコニコ笑顔で俺を引き摺っていく。……今暴れるのは得策じゃねえ、か。
そうしてオカマに『あんまり大声出しちゃダメよ?』と釘を刺されながら奥の部屋とやらに引っ張られれば……控えめに言ってラブホだった。は?
「さあヤクモくん♥ココでワタシと赤ちゃん作りしましょうッ♥♥♥」
「ズルいですよワタシ!先にワタシと赤ちゃん作りをするんですッ!」
それとトガヒミコが増えてた。なんで。
というか部屋の端にある棚に置いてある大量のビーカーって……
「ヤクモくんの精液を
ヴィラン連合に俺の秘密バレてるぅ……。情報源は、まあ……トガちゃんだよなぁ……。
過去トガヒミコにレイプされた時、路地裏とかじゃなく普通に日の差す小さな通りで
……もしかして、俺このままヴィラン連合の身体強化ポーション工場END迎える……?
幼八雲君のここがヤバい
・誰彼構わず仲良くなる。特に可愛い女の子とは積極的に仲良くなる。
・可愛ければ大人だろうが子供だろうがスケバンだろうがネクラだろうがヴィラン予備軍だろうがマジヴィランだろうがメチャメチャ仲良くなる。
・大体の子とAをしている。
・その気にさせるだけさせておいて放置プレイ。
うーんこのクズ……
トガヒミコにレイプされた事で(一応)反省し、今はもう大人しい(当社比)。
以下、駄文。
小説を書くのが好きなら読むのも好きなワタクシですが、面白い小説に無意識に影響を受けて書く内容に変化が起きる事がままあります。つまり何が言いたいかと言うと……八雲君にネギ持たせてぇ……クソっ何で木刀なんて持たせてンだネギ持ってハジケろ!と言うこと。
以上、駄文でした。