※この作品はR-18です。

転生前は人間のオスだったエルフの聖女、婚約者に嵌められ淫魔になり追放されたらしい   作:芥目たぬき

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世界の問題も解決するしユターシャも救済されるし生命全部救われるので、これもまたハッピーエンドだね!(白目)

時間操作を正規ルートで出来なくしたのは、この終わりにはしたくなかったからです。

彼は自分の幸福を度外視する自己犠牲の男なので、この道を選べるなら選びます。ユターシャが否定しようが、誰が否定しようが、主人公だけはユターシャを愛しているゆえに自分と出会わなければよかったと思っているので。
愛し合った日々を否定して、出会いすら否定してでも、ユターシャの不幸を取り除くためならなんでもするでしょう。

でもこれは流石に不幸。なので非正規ルートです。
本編あとがきも下の方にあります。



=IFエンド(時間巻き戻し・エルフの故郷は燃えなかったver)

 

 星の主導権を、手に入れた。

 それは高次元まで至る全能の掌握。全てが自分の都合で操作できる、万能の支配。

 

 

 

 やり直せるんだ。

 出会った最初から……いや、もっともっと前からやり直せる。

 

「ご主人様?」

 

 時間の糸を解く。ユターシャの悲しみの因果を、緩めていく。

 

 エルフの国が燃やされたのは、不幸か? 

 婚約者に貶められて、追放されたのが不幸か? 

 最初の婚約者が、死んでしまったのが不幸か? 

 

 ……いや、最初からだ。

 1番最初、ユターシャが魔王と勇者の因果を両方とも持っていた事が誤りだったのだ。

 

「じゃあ、それを無くせばいいんだな」

「? 何を……」

 

 こんなに優しい女が、背負うべき運命ではなかった。

 きっと彼女からそれを奪えば、どこにでもいる平凡なエルフとして産まれてくるのだろう。そうなればオレと出会うこともなく、ただの村娘のエルフとして生まれて結婚して子供を作って死んでいくのだ。

 

 そうすれば、きっとユターシャは悲しみを知らずに生きていける。

 

 こんなにちっぽけな身で、エルフの国民を追悼したユターシャ。親兄弟全てを壊されて、その死すら陵辱されたユターシャ。

 彼女の身体で受け止めるにはあまりにも重すぎるその因果から、オレは彼女を救わなくてはならない。

 

 ユターシャに降りかかる不幸の運命を、全てオレが平らげる。

 

「ただの……平凡でどこにでもいる、ただのユターシャになってくれ」

「いやです」

「人並み以上の悲しみなんて知らなくていいんだ。民の死を嘆いたり、自分の運命を呪ったり……そんなこと、気にしなくていいんだ」

「私から、幸せを奪うのですか?」

 

 違う。これは、オレのエゴだ。

 

 オレなんかと一緒にいて幸せだとユターシャは言ってくれる。だが、それ以上にユターシャの苦しむ姿をオレは見たくない。

 

「……今以上の不幸にはならない」

「不幸は耐えれますが、貴方がいない毎日は耐えられない」

「オレを知ってしまったから、そうなんだろ? 大丈夫だから……もとからその幸せを知らなければ、お前は普通でいられる」

 

 最初からわかっていた。

 世界に愛されるような、宝石のような女。オレ如きが触れていいものではなかったはずなのに、いつのまにか恋してしまっていたのだ。

 

 叶うなら自分のものにしてしまいたいが、きっとこんな血と憎しみにまみれたオレでは彼女を幸せにすることなんて出来ないのだろう。

 

 自分以上にユターシャを愛せる者なんてきっと現れるはずがない。だが、オレほどユターシャを幸せに出来ない男もいないはずだ。

 

 彼女にはオレのような悪い男を好きになんてなってほしくない。どこにでもいる普通のエルフとしての人生を歩めば、きっとその方がいい。

 

「……なに、言ってるんですか?」

「愛してる」

「私の話を、聞いてください」

「ユターシャ」

 

 本当に、心の底から怒っているという表情のユターシャ。

 だけどもう決めたのだ。

 

「お前を救済する。そのためなら、お前からオレを奪ったっていいだろう?」

 

 世界が回っていく。呆然と、オレに見捨てられたかのように見つめるユターシャの姿が引き伸ばされていく。

 点、線、空間、そして時を手で掴んで捻じ曲げた。自身の肉体をそこに生成して、今の時間軸を全て否定する。

 

 ユターシャとの毎日、出会い、その何もかもが無に返される。覚えているのはオレだけでいい。ユターシャの枷になるのであれば、その幸せだった思い出すら無に返したって構わない。

 

「……なんで」

 

 彼女に、救いを。

 それがオレの願いなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ———とある90年ほど前の、エルフの国にて。

 

 ユターシャの母親の前に、オレは静かに降り立った。いつか昔に着ていた鎧を被り、ユターシャから奪い取った黄金色の鎖が身の回りで揺らめいている。

 

 産気づいている女。周りには産婆がいて、そしてオレを見てみな息を呑んでいる。

 

「……お前の不幸を、オレが全部背負おうか」

 

 今、まさに胎から生まれようとしているユターシャ。オレはその母体に、鎖を巻き付ける。

 与えるのは、オレに唯一あるちっぽけな幸福を。

 奪うのは、ユターシャの魔王としての因果を。勇者としての運命を。

 

 平凡で平穏な、どこにでもいる普通のエルフになればいい。

 きっと、ユターシャと会えるのはこれが最後なのだろう。それで、よかった。元々オレ達は出会った事自体が間違いだったのだから。

 

「どうか、お前の命はお前だけのものになってくれ」

 

 そして、その場を後にして早々に立ち去っていく。背後からは泣き叫んでいるユターシャの産声が聞こえた。

 

 愛している。

 愛しているからこそ、オレは振り返らない。

 

 彼女はこのままオレを知らないまま、平穏な生活を過ごせばいい。深い悲しみのない、ただ普通のエルフとして彼女は生きるのだ。

 

 きっと幸せになれるはずだ。

 不幸も訪れず、身の丈にあった生涯を送ってくれればいい。

 

 彼女の大切な人が、みなユターシャを愛しますように。

 ユターシャの居場所が、彼女の死まで安泰でありますように。

 

 友に囲まれていてほしい。兄弟に、親に、そしてまわりの人々から愛されて……オレの分まで、幸せを与えたのだからきっと大丈夫だろう。

 

 

 

 

 * * * *

 

 

 何年も経つ。

 

 幼子は少女へ、少女は大人へ。

 酸いも甘いも経験し、しかしそれは生涯の試練として乗り越えられるもので。

 

 100年が経った。200年、300年———

 

 

 * * * *

 

 

 

 

「おばあちゃーん!」

「はいはい、どうしました?」

「なんか面白い話してぇー」

 

 エルフの国、離宮。

 

 エルフの聖女として活躍し、人間や他種族との交流を推進し、そして華やかな生涯を締めくくろうとしている老女の最後の城。

 子宝にも恵まれた。夫となった賢王も彼女を愛した。

 

 どこかの誰かが夢に描いたように、きっと誰もが良いものだったと言う生涯を終えようとしている。

 

 親や恩師の死に目に立ち会い、涙と笑顔で見送った彼女。生まれてきた子供たちが、皆健康で元気に活躍する様を見届けた彼女。

 

 美しい湖畔の横に立つ東屋の中で、そのエルフの老女は微笑む。

 

「……じゃあ、おばあちゃんの秘密を教えてあげましょうかね」

 

 もう十分に長生きした。

 夫の死に目にも立ち会い、この国の安泰を確信したのだから悔いはない。

 

「おばあちゃんの産まれる時にね、死神が現れたのよ」

「死神? って、なぁに?」

「さぁ……真っ黒で怖くて、黄金色の鎖を使うらしいわよ」

 

 なにせ生まれたばっかりの時の話だ。覚えていないし、全く知らない。

 老女の母親から聞いただけの話を、孫にそっと教える。

 

「おばあちゃんの秘密———生まれた時に、死神に祝福されたのよ」

 

 もしかしたら、知らない誰かに祝福されたからこんなに幸せな生涯を送れたのかもしれない。今となっては誰にも聞けないが、きっとそうだったら素敵だと老女は目を瞑る。

 

 はたして、その死神というのは誰なのか。

 老女は知らなかった。知らないまま、幸せな生涯を閉じていくのだ。

 

「おばあちゃん、眠いの?」

「えぇ……そうね、少し眠ろうかしら……」

 

 瑞々しく、穏やかに息を引き取っていく。

 柔らかな風が吹いた。未来ある子供の笑い声を横で聞きながらも、老女の瞼がゆっくりと落ちていく。

 

 それは彼女の知らない、彼女を愛した誰かの望んだ終わり方。魔王となった男に愛された聖女は、魔王が望んだようにそれを知らないまま美しく命を散らしていく。

 

 

 

 

 




以下、本編あとがき。


すごいざっくり言うと主人公くんはビーストⅢ/RでユターシャはビーストⅢ/Lです。

・主人公くん(ご主人様)
地底深くにある星の根元に到達して星の頭脳体と同一化、巨大な1人となった。
殺生院キアラのように自分1人の快楽を独り占めするわけではないけれど、自分とユターシャ以外の全ての生命を否定しているあたりも近い。ちなみに戦闘能力は魔法が使えない代わりに肉体チートで最強を誇っている。

主人公くんはセックスの時にマグロになりがちだし騎乗位セックス大好きだぞ。
最近流行りの『ヒーローは世界を救うために貴方を犠牲にするけど、ヴィランは貴方を救うために世界を犠牲にする』を地でいくタイプ。

・ユターシャ
複数人の自分を用いて、この世全ての愛に対応して1人の人間を夢の中に堕落させる魔王。
ちなみに彼女のツノデザインの元ネタは殺生院キアラ。元々ユターシャにはビーストⅢ/LR両方の特性を持ってもらい(なので2人格持ってた)ご主人様を永劫に幸せにして星を滅ぼす予定だったのですが、片方はご主人様くんが担ってくれました。よかったね。よくねぇよ。

ユターシャオリジン(起源)
元々産まれる予定の方。当初は観測器であり、愛によって目覚めた結果紆余曲折の末魔王として覚醒。観測器の役割をやめてからはオリジンと呼ばれる。魔王としての運命を背負ってた。

ユターシャオルタ(代替品)
あとから入ってきた転生主の魂。男。
勇者としての運命を背負ってた。だから異常なまでに旅に憧れてた説がある。
彼がいたからこそ魔王は生まれられなかったので、ちゃんと勇者としての役割を果たし続けていた。

・ルシファーちゃん
ヤギ型貧乳ちっぱい吊り目高齢ロリババアおねえさん
ユタ子の正反対を行くタイプのちゃんと悪役。
人類大好きだし、他種族が嫌いという正統派悪魔。マイクロブタかわいい〜って言いながらとんこつラーメン食べるタイプ。

彼女が産まれてからの時代、もうとっくの昔に神は終活して睡眠に入ってた。とはいえ昔々の言い伝えを知っているので存在だけは微かに聞いている。
いずれ人類が星の頂点に立てばいいと思っていた。人のご主人様が神に代わってる(人が頂点に立った)ので、概ね願いは叶いました。よかったね。

・お義父さん
ジョジョのファニーヴァレンタイン大統領みたいな人。
というかまんま彼なとこある。自分の思う正義のために『いともたやすくえげつない行為』を敢行できちゃう人。人類の未来のために身寄りのない無垢な子供達を暗殺者に育て上げたりする。

彼の希望は星に対する参政権を生命が持つこと。
まぁ……概ね叶ったのでしょうか。叶ってるといいね。


強さ的には
ユターシャ>>>>>ご主人様>ルシファー>お義父さん

とはいえ主人公補正や慢心デバフ補正が入るので
お義父さん>ご主人様>>>ユターシャ>ルシファー

お義父さんは主人公補正が強いので、慢心デバフの入った魔王ユタ子と戦ったら意外と勝てます。
ルシファーはドヤ顔で強者ぶってるけど、他3人が化け物級だし補正がすごいかかるので陰に隠れてしまいます。普通にしてたらまぁ強い。


・ユタ子最初の婚約者が死んだ事件に関して
お義父さんの差金。そこからの戦争も含めて、彼の掌の上でコロコロしてた。
ちなみにお義父さんは当初、主人公が殺した中に魔王候補がいると思っていた。

その際に主人公がなんらかのミスをしてお義父さんからの信頼を失ったけど、それに関してはあまり考えてないです。きっと何かがあったのでしょう。

なんで戴冠式事変かって?
そりゃちょうどその頃にfgoで戴冠式があったからじゃよ。

・宇内の血潮
fgoでいう星の内海。
ユタ子の職場にして、ご主人様が落下した穴は黄泉比良坂のようなもの。霊墓アルビオン。

機関的に言うと、宇内の血潮が政府などの国家運営そのものに対して天国や地獄が国営刑務所のような感じ。
そもそも神自体は星に生きる者をメインで取り扱っていたので、魂とかの管理はあまり触れていなかった。とはいえモデルケースの世界(ユタ子の前世)では死後の世界が信じられていたので、じゃあ作ろうとなった次第。

・神様
長生きするの疲れちゃったね。


* * * *


本編にて、一応人類が死ななくても済むルートもありました。
(ご主人様が地表の生命を否定しなかったパターン)

その場合だと、ご主人様がユタ子を宇内の血潮に召し上げてから自分の分身を作成。ごしゅとユタ子オリジンで星の管理を行いながら、分身体とユタ子オルタで星を見て回る。

なのでまぁ人類は消えない(まぁエルフは死んでるけど)+オリジンレクイエムに同族滅亡の悲しみは吸い取られて人の世界で生きるユターシャはノーダメージスタートっていうのも考えました。(ある日起きたらエルフで淫魔になってた現代男くんスタート。エルフ時代を思い出せないので口調も男)

多分これは割と幸せなんだろうけれど、個人的には『悍ましい形をした者たちが、他者から見たら恐ろしすぎる究極的な愛で溶け合ってる』方が美しいと思えるので、これは正規ルートにはなりませんでした。というかなんでもできるエロって魅力的じゃん?そっち書きたかったんだよ。



・時間巻き戻しでエルフを助けるルート(IFのバッドエンド)(本作)

ユタ子は主人公と出会う前まで巻き戻されて、エルフの聖女にはまぁなるけれど元の婚約者と結婚する(政略結婚なので受け入れざるを得ない)(主人公と出会ってないから別れもないので不幸ではない)し、ご主人様はユタ子から魔王の因子を全部奪って自分が魔王になって消滅を選ぶので、普通に地獄です。

ちなみに星の抱える問題は義父に託せばかなりいい方向になんとかしてもらえます。

主人公は自分の幸せよりもユタ子の幸せよりも、ユタ子が不幸な目に遭わなければいいの救済魔です。ユターシャだけのための救済の魔王です。

自分なんかがユターシャに見合うわけがないと言う自己否定感が強いので、過去に戻れるとなったらユターシャの意見を聞かずにユターシャとの出会いを無かったことにしてしまいます。この世界の住人はみんな納得できるし不幸を感じてる人もいないけど、読んでる側は救われないでしょう。作者も救われない。



・エルフ一族滅亡直前に戻って義父を止めるルートは?

ユターシャが時間操作能力を入手した場合にのみ表れるルート。この場合ご主人様はユターシャをエルフ国に置いて逃げ出します。

ユターシャから逃げ出します。

ユタ子としてはエルフの国で一緒に暮らすか、ラブラブ駆け落ちしましょう!になるのですが、主人公目線になると『エルフ国の次期皇妃だった女と出自不明の薄暗い過去持ち人間が釣り合う訳がない』の自己否定によって普通に逃げ出します。

だって主人公が身を引けば、ユターシャは国に守ってもらえる立場になるんですからね。好きな男と添い遂げられなくても、その身だけは安全な場所にあり続けるからね。
駆け落ちも、まぁ主人公自体が薄暗い人間でユターシャを汚したくないと思っているので主人公的には選びたくないです。

で、主人公が逃げ出すとユタ子はヤンデレになります。

魔王問題が解決してない時点で悪魔と義父殺してるので問題の先延ばしにされてた魔王が発症。
世界を滅ぼしながら主人公を探し出して腹部収納監禁ルート。この場合だとメリバに該当しますね。



* * * *



次話はごしゅユタイチャラブセックスの予定なのですが、そこから先は作者の性癖を大いに反映させたものとかも出てくると思います。
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