転生前は人間のオスだったエルフの聖女、婚約者に嵌められ淫魔になり追放されたらしい 作:芥目たぬき
前作の終わりにホルスタインハード調教セックスの予告がありましたが、全く筆が進まないという事故が起きてしまったのでお蔵入りとなりました。
ホルスタインコスプレしたユタ子がスパンキングされながら搾乳機でミルクを搾り取られながらも2穴責されて悶絶する様を楽しみにされてた方も多くいらっしゃると思いますが、書けないモノは書けないので申し訳ございませんが無期延期とさせていただきます。
今作には作者の粘っこい性癖のひとつである、『愛を言葉で語っても証明できない故の苦痛』を多大に含んでいます。
ほんぺで『愛の証明』を成し遂げてる2人ですが、証明できないが故の苦痛を味わうのもまた愛だね。
お慕いしております。
好きなんです、愛しております。
その横顔も、笑顔も、ぼんやりと虚空を眺める顔も、頑張っている時の真剣な顔も、全部好き。
花のような甘い香りも、風にたなびく輝く黄金色の髪も、柔らかい指先も、白いうなじも、青い目も、全部全部愛しております。
この思いが我が身に釣り合わぬと理解していても、それでも激情だけは抑えきれず。
この世にいるかもわからない神よ、この矮小な身に秘密を隠し持つことだけはお許し願えますでしょうか。
———どこか遠くで。
「まぁいいんじゃねェの?」なんて、軽すぎる答えが帰ってきた気がした。
* * * *
「ユターシャ様、お身体にさわりますよ」
「……ゴーシュくん」
夜風に当たっている彼女の肩に毛布をかける。
本来ならこんな夜に男女が密室で会うなんて軽率なのだろうが、彼女の付き人として幼少期から仕えているオレはそれが許されていた。
エルフの聖女様、ユターシャ。
この国を支える要人の1人。輝かんばかりの美貌を憂げにして真っ暗な森の都市を見下ろす彼女は、はたして何を考えているのだろうか。
「ふふ、寒いですね」
「白湯をお持ちしましょうか?」
「それには及びません。……こちらへ、来てくださいますか?」
彼女の横に来るように言われて、そのままそこに腰掛ける。オレの身体にしなだれかかってきたユターシャ様は、嬉しそうに頭を擦り付けてきた。
まるで恋人同士のような逢瀬は、本当なら許されないもの。
「ゴーシュくん、それで……前の話なのですが」
「……ユターシャ様、それは無かったことにしましょうとお伝えしましたが?」
「なぜ?」
何故もなにも、釣り合わないからだ。
数ヶ月前、オレは彼女に告白されていた。
純血エルフで第一聖女で、地位も権力も血筋も何もかもが一等な彼女に、どんな血が入っているかもわからない拾われただけの人間であるオレが告白されたのだ。
彼女には婚約者もいる。
この国を率いる未来がある。
オレのような低俗な人間が釣り合う筈がない。
なかったことにしようと告げてからもう数ヶ月が経っていた。彼女の気持ちは嬉しいし、オレとて愛しているのだ。しかし、それが許されないのもまた事実。
オレは、彼女のために身を引くしかない。
「国なんて捨ててしまえばいいのです」
「一時の気の迷いで、貴方の永い生涯の名誉を捨てるのですか?」
「貴方とならば何も怖くありません」
「私はヒトですから、貴方に最期までお仕えすることなんて出来ません」
「貴方は……私のことが、好きではない、のですか?」
「………………」
好きだ。好きに決まっている。
だけど彼女にはオレを諦めてもらわなくてはならないのだ。二度とそんなことを聞くことがないように……彼女が気の迷いを持つことがないように。
前は、なかったことにしようと頼み込んだ。
それでもオレの気持ちをわかっているユターシャは、オレの決意を覆そうと迫ってくるのだ。だから……
「好き、じゃ、ないです」
バレているかもしれない。だって、オレが彼女を慕っていることは隠していたのに知られていたから。
つっかえながらも放った言葉は、彼女のための必死な嘘。オレは無表情を作り、彼女に冷徹に返す。
これは必要なことなんだ。
ユターシャ様のための言葉。自分の心を偽り、苦しみを覚えながらも、それでも言わなくてはならない。
だから。
———そんな傷ついた顔を、向けられたって困る。
「ぇ……?」
「婚約者様のいらっしゃる身で、男といるなんて体裁が悪いでしょう。はやくお休みになられてはいかがですか」
目にじわじわと涙が溜まっていくユターシャ様を、無理矢理にベッドに押し込む。これ以上、彼女の顔を見ていられなかった。
「な、なんでそんな嘘をつくのですか? ねぇ、貴方は私をっ……」
「ユターシャ様」
彼女の言葉を遮る。そして
「おやすみなさいませ、よい夢見を」
オレの服を掴む彼女の指をそっとほどき、彼女から離れていく。早々に部屋を出て扉を閉めれば、中からはぐずぐずと鼻を啜りながら小さく泣く彼女の声が聞こえてきた。
もしも、オレがエルフであれば。
王族だったり貴族だったり、彼女に見合う地位があれば。
せめてなにかひとつでもあれば、彼女を愛してもいい権利を持っていたのだろうか? ……いや、そんなことを考えたって無駄なのだ。
オレは、静かに彼女の部屋を後にした。
* * * *
その数日後。
「ユターシャ様、こちらですッ……!」
「あ"……ご、しゅ……」
彼女の婚約者だった男は、ユターシャを嵌めて犯罪者のレッテルを貼った。
国中にばら撒かれた虚偽の罪。
助けだす間も無く施された呪い。
気がついた時にはもうどうしようもなくて、オレがやっと追いついた時にはユターシャ様の身体に焼印が施された後だった。
「大丈夫だから……守ります、絶対に守るから、だから」
「ゴーシュ、くん……」
なんで。どうして。
そんな言葉が自分の中で渦巻くが、今は彼女を優先しなくてはならない時だった。
背には翼。臀部には尻尾。
そして、頭には禍々しいツノが2本。
悍ましい魔族に堕とされてしまった彼女を抱えて、安心させるように声をかけ続ける。
自身の魔術により彼女の肉体は大きなダメージを受けていた。
せっかくの美貌も血に塗れていて、そんな彼女を隠すように抱いて馬に跨る。
とにかく、逃げなくてはならない。
後ろから聴こえる怒声が遠ざかっていくのを感じながらも、オレはただ前を急ぐだけだ。
目指すは、甘き森と呼ばれる危険な地帯。大型の魔獣が多く生息するその森は大変危険で、熟練の戦士であろうと死がつきまとうところなのだ。
追手も、流石に甘き森の中には追ってこないだろうという思惑があった。
「ユターシャ様」
「……ごめん、なさい……巻き込んで、しまって」
「オレは貴方のための従者ですから、気になさらず。それより……手当てをしましょう」
かなりの距離を離して、洞窟の中に逃げ込んだ。
馬は森に入る前に離してやったから、きっとうまく野生に戻ってくれればいいだろう。
地面に座り壁に背を預けて、苦しそうに肩で呼吸をするユターシャ様に近付く。
悪魔になってしまったらしい彼女は、自身の体を回復させるだけの魔力すら今は消費してしまっているようだった。
「魔力が、足りなくて……」
「魂を喰らうのでしょうか? オレのものでよければ、ご随意にどうぞ」
悪魔の食事なんて、何を食べるのか知らないのだ。
しかし、元から彼女に全てを捧げているこの身。オレ自身であれば、いくらでも彼女に売れる。
何が欲しいか、と問いかけた。契約書でも血でも、なんでも彼女の必要だというものなら揃えなくてはならなくて。
だが。
「その、えと、……せ、ぃえき、を……」
「生気?」
「……ざ、ザーメン……と、いうものを、欲しい……で、す」
は?
なんて?
「……ユターシャ様? あの、オレの耳がおかしくなったようでして、もう一度正しくおっしゃっていただけますか?」
「お、女の子に、そんな……ふしだらな言葉を何度も言わせないでください」
ふしだらな言葉を先に使ったのはそちらだろうに。……じゃなくて。
「ほ、ほんとうに? 本当にその、ザーメン……ええと、精液が必要なのですか?」
彼女は小さく頷いた。まじか。
マジなのか。
だってあの聖女ユターシャが、そんな、精液を必要とするなんて天と地がひっくり返ってもあり得ない。そもそも彼女の口からそんな単語が出てくること自体が、ありえなくて。
「ユターシャ、様。その、なんで……?」
「身体が呪いによって、淫魔になってしまったようでして……ぐっ……」
ぜぃぜぃと、荒い呼吸を繰り返す彼女はオレに手を伸ばす。
「ゴーシュ……」
「ユターシャ様……ダメ、です」
「お願い、します……痛くて……」
サキュバス、淫魔。
男の精液を啜り生きる、闇の魔族。人間社会に潜み住んでいると聞いたことはある。
エルフの国では見かけることがないその存在へと変異してしまった彼女を、オレはどうすれば助けられるのかわからなかった。
———抱く、のか? オレが彼女を?
「助け、て」
彼女は絞り出すかのように、そう呟いた。
オレなんかが、彼女に手を出していい筈がない。だがそうするしか今はなくて、それに他の男のものなんてもってのほかだ。
目の前のユターシャ様は震えていた。悲しそうに、それでも痛みを堪えながらオレの答えを待っている。
……1番辛いのは、彼女じゃないか。
「ユター、シャ」
これは、彼女のためなんだ。
仕方がないことだから。
「オレ、で……いい、のか?」
「あぁ……ごめん、なさい……ゴーシュくん……ごめんなさい……」
もう少しも動くのが億劫だとばかりに、彼女は身体を楽にしていた。浅い呼吸、肉が露出し血に塗れた腕、いつもの黄金色の髪もどこかやつれて見える。
ただ、これは愛し合うような行為ではないのだ。
最小限で、最低限でなくてはならない。
「……暫く、我慢していてください」
「ゴーシュくん、私は……」
彼女の纏っていた囚人服の、その下だけをそっと脱がす。彼女の白い太腿、シンプルな下着———視界に入れるのも申し訳なくて、そっと目を伏せる。
もしも、これが許されたものならよかった。
祝福されて、堂々と愛しあえた結果に見る柔肌ならばどれだけよかったことか。なし崩し的に聖女の身体を穢すなんて、あまりにもユターシャ様が哀れだ。
オレなんかが、触っていいものではない。
「ゴーシュ」
「……すぐ、終わりますから……大丈夫です。目を、瞑っていてください」
下着をずらして、そっと顔を寄せた。
いくらサキュバスとて初めてなのだからと、オレはユターシャ様の秘部に舌を這わせる。
見てはいけないとわかっていても、どうしたって見てしまう。ユターシャ様のピンク色の肉は鮮やかで、なんだか甘ったるい匂いもして……
「あっ……♡ だめ、汚い、ですよッ……♡」
「綺麗、です」
ぺちゃっ……ぺちゃ……じゅるる……っ♡
ダメだと分かっていても味わってしまう。恥じらっているのか足を閉じようとするユターシャがいじらしくて、この行為を楽しもうとすらしてしまう自分がいた。
ダメだ。楽しむためのものではない……これは彼女のための行為であり、オレの私情など挟んではいけないのだ。
「あぁぁぁ……だめ、だめ……っ♡」
「足、ちゃんと広げといてください。きっと痛いかもしれないから、だから……」
「ゴー、シュくんっ……♡ でもぉっ……♡」
「オレが相手なんだから、恥ずかしいなんて思わないでください」
この行為はただ回復のための食事でしかない。
彼女にとってオレは従者でしかなくて、それ以上にもそれ以下にもなれない。立場の違う使用人相手に、恥じらう必要なんてないのだ。
ぎゅう、と太腿に顔が挟まれる。彼女の内腿は、ひどく柔らかかった。
「身体、痛くてお辛いでしょう? 楽にしていてください……」
「ゴーシュっ、ゴーシュっ……♡」
クリトリスを舐めながら、濡らした指でゆっくりと中に侵入していく。彼女の穴はもうすっかりとびちょびちょに濡れて、甘ったるくてねっとりと糸を引く透明な汁をたっぷりとそこにこぼしていた。
……やばいな、これ。
あぁダメだ。こんな感情をユターシャ様相手に持つなんていけないことなのに……だが、恋慕していた相手をこんな風にできる日が来るなんて思っていなくて、どうしても理性がまともな仕事をしてくれない。
「はーっ♡ はーっ♡ 指、はいって、きてっ……」
「……苦しくはありませんか? 増やしても、よろしいでしょうか?」
「えぇっ……大丈夫、ですから」
ぐちゅっ……ぐちゅっ……ぐちゅっ……♡
中指と人差し指を差し込んで、へその方に向かって指の腹でゆっくりと撫で擦る。指を曲げて伸ばしてを繰り返せば、キュンキュンと締め付ける膣肉が脈動を返すのだ。
どんどん、自分の中の熱が昂っていくのがわかる。なんなら今すぐズボンを脱ぎ捨てたいほど硬くなっていて、痛いほどに勃起していた。
「ユターシャ様……痛く、ないですか?」
「は、いっ……! 大丈夫、ですからぁっ♡」
指で中を掻き混ぜ、クリトリスに吸い付きながらも彼女に伺い立てる。
ユターシャ様のおまんこを舐めているなんて、信じられなかった。閉じようとする彼女の足を押さえつけて、じゅるじゅると溢れる愛汁を舐めとっていく。
ユターシャ様のためだなんて言い訳をして、楽しんでいる自分を心の中で責め立てる。
それでもどうしても彼女の痴態に興奮してしまう自分がいた。
この行為は、ただ彼女の破瓜が辛いものにならないための、必要な準備でしかない。だからオレは、彼女に対してどんな感情も抱いてはいけないのに。
「はぁっ……ユターシャ、様……もう、よろしいでしょうか?」
「ゴーシュくんっ……」
自身のものを、取り出す。硬くなって、すっかりその気になってしまった愚息は興奮を隠しきれていなかった。
そしてまた、ユターシャ様もそれを凝視している。服を着込んで、取り出したソレだけをまじまじと見つめられるのはどうにも恥ずかしかった。
「……ユターシャ様、そう見られますと」
「ごっ、ごめんなさいっ! えぇと、その……」
「もう少し、慣らしてからの方がよろしいでしょうか?」
怖いだろうとオレが問いかけると、ユターシャ様はゆっくりと首を横に振った。
「大丈夫、です」
「ですが」
「……はやく、挿れてっ……」
———それも、そうだ。
これ以上彼女に負担を強いるわけにはいかない。今も彼女の肌は焼け爛れたままなのだ。
もちろん彼女に痛みを与えるわけにもいかないけれど、だからといってこのまま待たせ続けるのもよくない。
ただ彼女の身体を治すための、必要な行為なのだ。
「……ユターシャ様、失礼します」
彼女の身体を抱き寄せ、足を持ち上げた。秘部に自身のものを押し当て、そして手で彼女の目元を覆う。
「ゴーシュ?」
「……挿れます、ね」
こんなのが、彼女の初めてだと覚えてもらいたくなかった。
ユターシャ様はいつか盛大な結婚式を挙げて、お世継ぎを作られると思っていた。そこにオレの血は入ってはならないのだ。
いつか、本当に彼女と結婚するような男に捧げられなくてはならないもの。
それがオレのような、彼女に仕えてきただけの召使いであるべきはずがない。
彼女の大切な初めてをオレのような矮小な存在に奪わせたくなかった。
だからせめて、思い出にも残らないように目を隠す。
「ゴーシュッ、これ、見えなっ……」
「ッ、……見なくて、いいですから」
彼女の中は、ひどく熱かった。
熱くてうねって、肉棒を舐めしゃぶるように締め付けてくる。
ゆっくりゆっくりと挿れたいのに、誘われるままに奥へと侵入してしまう。あまりの気持ちよさに夢中になりかける自分自身をなんとか諌めながら、彼女の顔色を伺いつつ侵入していく。
「ごー、しゅっ……ごーしゅ、くん」
「ユターシャ様……痛くは、ないです、か?」
こくん、と小さく頷いた彼女。
根元まで埋まり、そして馴染ませるようにそのままで深呼吸を繰り返す。
オレの顔も身体も覚えないようにと隠した手の中で、ユターシャ様の瞼が動いた気がした。
「……大丈夫、だからっ……動いて、ください」
「は、い」
じゅ……ぱ、ちゅん♡ ぱちゅっ……ぱちゅ……
穏やかな律動だった。中を掻き回すように、優しく優しく穿っていく。初めてだというのに痛そうでないのは、彼女がサキュバスになったからなのだろうか。
オレは、ユターシャ様の中を犯していた。
「あっ……あっ、あっ、あぁっ……」
甘い声が響く。腰を動かす度に彼女の中が絡みついてくるようで、その快楽に耐えなければならなかった。
自分勝手に腰を振って仕舞えば、どれだけ気持ちいいだろう。今すぐ邪魔な服を全部脱がして、あの大きい胸に指を埋めてしまいたい。せめて、その唇にオレが触れることが出来ればいいのに。
それらの薄汚い欲望を、理性で押さえつける。
「あぁぁぁっ……んっ、はぁっ……」
ぐちゃぐちゃと音が立つ。水音と肉がぶつかり合う音が、やけに大きく聞こえた。
オレが動くたびにユターシャ様は艶やかな声で鳴いて、脳みそがドロドロに溶かされそうだ。
ユターシャ様の腕が、オレの顔に伸ばされた。そのまま引き寄せられて、唇が近づく。
「ゴーシュ、くん」
互いの息すら感じられるほど近くて、だけど。
「っ、だめですユターシャ様っ……それ、は」
顔を背けて、ユターシャ様の口から逃げてしまった。いくら彼女からの頼みとはいえ、そのような不敬を勢いに任せてしたくはなかったのだ。
オレは、所詮彼女の従者に過ぎない。
そんな恐れ多いことをしていいような存在ではないのだから。
「……ぁ、あぁぁ」
すぐに、ユターシャ様の手は離れていった。
オレの手で隠している目は、今どんな表情を浮かべているのだろうか。熱に浮かされたオレは、それを考えられるほどの余裕もない。
ずっと好きで、ずっと恋していた彼女を抱いている今の状況に、オレはおかしくなっているのだ。
「ユターシャさまっ……」
「あっ……あぁぁっ、ゴーシュ……」
ユターシャ様を抱きたいだなんて浅ましくて低俗な思いを持っていた自分を、知られたくなかった。いまこうして犬のように必死に腰を振る様を見られたくなかった。
こんな最低な自分があのユターシャ様の身体を暴いているだなんて、あまりにも胸糞が悪い。
だからせめて、ユターシャ様には今抱かれている相手が誰なのかも忘れて欲しいと願ってしまう。
これは、ただの治療行為。
自分の欲望を考えるな。喜ぼうとする下卑た自分を許すな。ユターシャ様の御身だけを案じる自分でなくてはならない。
「はぁっ……も、出しますっ……」
彼女の頭を押さえ込んだ。自身の首元に彼女の顔を押し付けて、そのまま奥の方に怒張をねじ込む。
ちゅう、と吸い付く子宮口は柔らかくてザーメンを欲しがっているようだった。
びゅぐっ♡
「ごー、しゅ……ッ」
「ぁ、う……ぐっ」
びゅるるるっ……どくっ……どくっ……♡
今まで感じたことの無いほどの快感が襲ってきて、目の前がチカチカと点滅する。思わず強く抱きしめてしまっていたユターシャ様の身体が柔らかくて、そのままの姿勢で射精後の虚無感をすごしてしまう。
自身の呼吸が落ち着くまで、オレは彼女の身体を抱きしめていた。
やってしまったという自己嫌悪と、薄暗くて汚らしい彼女への恋慕がぐちゃぐちゃになっている。必要なことだったからと言い訳をしながらも、自分が彼女の初めてだったのだと幸福を感じてしまう自分が嫌だった。
……仕方ないんだ。
これは、仕方がないことだった。
「ユターシャ、様」
しばらく……およそ1分にも満たない後、オレは身体を離す。不思議なことに彼女の腕には怪我の一つも無くなっており、そして萎えていた黄金色の髪は本来の輝きを取り戻していた。
これで、よかったんだ。
安心して、自身のものをゆっくりと引き抜く。ヌルヌルとしたそこに包まれていたそれは、彼女の中ですっかりと精を吐き出していた。
「……」
「ユターシャ様……その」
多大な幸福感、そして地獄のような虚無感。
自分の声が普段よりも少しだけうわずっているのは、きっと気のせいだと思いたい。
身体が離れて、彼女の顔を正面から見る。
「———ぇ?」
そして、ようやく気がついた。
気がつくのが、遅かった。
いつもなら彼女の少しの機敏だってわかるのに、今だけは浮かれていたから、だから。
「……ごめんなさい、ゴーシュくん」
「ユターシャ様?」
———泣いていた、のだ。
静かに、音も立てずに目元からは涙が溢れ出ている。オレから逃げるように視線を外して、流れ出る涙は果たしていつからなのだろうか。
「なっ……ぇ、あ……ユターシャさま?」
「ッ、見ない、で」
やはり痛かったのだろうか。それとも、聖女としてのあるまじき行為に心を痛めたのだろうか。頭から氷水を浴びたように身体が冷え切って、心に焦りが生まれる。
そっと目元に指を這わせた。涙の跡を拭ってあげても、彼女の瞳からはさらに滴がこぼれてきて。
ハラハラと静かに泣きながら、ユターシャ様はオレの手を取った。
「……私、は」
———ずっと、両想いだと思っていたんです。
「ユターシャ、様?」
「ようやく、立場も無くなったと思えた。あなたが私に正直になってくれると思った……だけど」
美しい、泣き顔だった。
悲壮を湛えながらも言葉を紡ぐその様は、神々しいほどに美しい。
触れることすら禁忌のようで、なのに手を伸ばしてしまう。泣かないで欲しいのに、その表情を見つめるだけで時が止まったように引き込まれてしまう。
彼女はオレの手を、そっと包み込んだ。
「あなたの気持ちを、私は自分のいいように解釈してしまっていた。好きでもない女に言い寄られて、迷惑だったでしょう?」
「……なにを、言ってらっしゃるのですか?」
「使用人だから逆らえない、そんなあなたの立場を私は利用していた」
ごめんなさい、と彼女は繰り返す。
なぜ彼女がオレに謝るのかわからなかった。
「……好きでもない女を、抱かせてしまってごめんなさい」
何を、言っている?
「私を抱いている時、顔も見たくなかったのでしょう?」
———違う。それは、ユターシャ様のため。
最中ずっと彼女の目を隠していたのは、今抱いている男がオレだと思い出に残して欲しくなかったから。
神聖な彼女の心に、そんな楔をつけたくなかったから。
「キスも、許してくれなくて」
———それも、ユターシャ様のため。
彼女から請われたキスから、そっと背いてしまった。
「……好きじゃないって、言ってました、もんね」
———ユターシャさまの、ため。
「ちが、う」
「いいの、いいのですゴーシュ。私は貴方の虚勢を求めません。嫌なら嫌と言っていいですから」
「違うんだ。オレは、貴方のためを思って……」
「ゴーシュ」
彼女の顔は、諦め切っていた。
「……今までごめんなさい」
違う、違う。そうじゃない。
確かにユターシャ様がオレのような人間なんかを愛するのは間違っている。
だけど……全ての責はオレにあり、ユターシャ様が謝らなくてはならない事なんてひとつもないのだ。
全て、オレが悪い。
貴方と釣り合える男ではない。
貴方に出会ってしまった。
貴方の心にいらぬ楔を打ち込んでしまった。
それらは全てオレが背負わなくてはならない苦悩である。美しい彼女の近くにいることを許されているオレに課せられた、重たい罰だ。
ユターシャ様が悲しむ事なんて、何もないのに。
こんなオレごときのために、貴方の心に小さな波も立てたくない、のに。
「あなたの心に私がいないことを、やっと理解した私を……どうか許してください」
濡れたまつげが、伏せられる。
わからなかった。優しすぎるユターシャ様に、オレはどうして応えればいいのだろうか。
それならいっそ、嫌われた方がマシだ。拒絶されて、憎まれて、いっそ忘れられた方がマシなのに。
「泣かないで、ください」
「ッ、優しくしないで……また勘違いしてしまうから」
ぽろりと頬を流れ落ちた雫を見て、胸が締め付けられるような感覚に襲われる。
「謝ります、なんでもします……だから、ユターシャ様、お願いします。泣かないで、ください……貴方の悲しい顔は、オレには……ッ」
手を伸ばす。しかしその手は、彼女に初めて拒否されて行き場をなくしてしまった。
「私を慰めるための言葉を、禁じます」
「……ユターシャ様、オレは」
「私を愛していないあなたから愛の言葉を無理矢理言わせても……それは、貴方を苦しめるものだから」
違うんだ。
「ぁ、いしてる……ユターシャ、オレは貴方を、愛して……」
「いいの」
———無理、しなくていいから。
あ。
あぁぁぁ……
あああああああ……
違うんだ。違う、違う。どうして、そうなってしまうのか。
これまで積み重ねてきた全ての選択肢を間違え続けていた。彼女を愛しているからと、オレは自分勝手になってしまえばよかったのか。
「それでも、きっとあなたのことを好きで居続けてしまう愚かな私を……ゆるして、ください」
愛していると、繰り返す。
好きだと、心底貴方のことだけを想っていますと口走ってしまう。
愚かなオレは、きっともう救われない。
どれだけ言葉を重ねようが、彼女にとってそれらの言葉は全て『慰め』へと変わる。
好きでもない女を、慰めるための偽りの言葉。
愛ではなく、忠誠からくる甘い口説き。
「違う……嫌だ、オレは心の底から、貴方を」
「ゴーシュ」
あぁ。
オレの言葉はもう、信じてもらえない。
* * * *