(ぱっつん)ヘアと彼シャツとはだし 作:ナルキケーネ(ハーメルン支店)
そろそろ、次のステップに移行してもいい頃合いだろう。そう思い、はち切れんばかりのおっぱいを封印していた、儚げに抵抗しているボタンに手を掛けた。
「はぁっ……はぁっ……♡ ちょ、ちょっと……んっ……待って……! お、おねがい、だから……!」
興奮が収まらなくなる直前で、おかゆの理性が働いた。
乳房と乳首への愛撫でエクスタシーを呼び起こそうとしている、不埒な手を止めさせる。
「はぁー……ふぅー……♡ もーっ……ホントに、イッちゃうところだったよ……♡ おっぱい弄るの、上手すぎだから……♡」
おかゆは肩で息をしながら、夕焼け色でもごまかせないほどに頬を上気させている。
興奮の度合も性感の具合も十分のようだが、それよりも優先したいことがあるらしかった。
「続きをする前に……僕のワガママにも、付き合ってくれる……?」
おかゆは色香が増した身体を動かして、こちらの膝の上に跨った。自然と対面座位のような体勢になり、すっかり濡れて透けた乳房をこちらの胸板に押し当ててきた。
たっぷりとした乳圧を掛けてくるおっぱいと、くにゅくにゅっ♡と可愛らしくあいさつをする乳首の感触がたまらない。
ドクドクとおっぱいの肉壁を通して伝わる鼓動の激しさが、おかゆの中にある興奮の大きさを物語っていた。
「えっちなコトする前にね……。きみが僕のことをどれだけ好きでいてくれてるのか、確かめておきたかったんだ……ん、ちゅっ……んむぅっ……♡」
首に腕を回されたことに気付いたときには、既に唇を奪われていた。おっぱいに夢中になってしまい、つい失念していた大切な愛情表現だった。
薄く濡れた花びらのようにやわらかい感触と優しい温もりが触れ、口内にじんわりと幸福感が溶け込んでくる。
その甘美なばかりの口どけは、宝石のように透き通っている氷砂糖を、二人で融かして分け合っているのかと思うほどに濃密だった。
「はぅ……むっ……♡ んにゅ、くむ……んふぅっ……♡」
長いまつげを薄く合わせたおかゆが、唇を食み合わせるように、時折ついばむようにしながらキスを重ねる。
その甘い繋がりをしばらく楽しんだ後に、飽くなき欲望が再び乳房の肉感を求めてしまう。腰から脇腹を撫で上げ、位置を確かめてから乳房を揉んだ。
「はふぅんっ♡ もーっ、またおっぱい触ってくる……はぁっ、くぅんっ……♡ んむぅ……ふぅ、ふみゅぅ……♡」
おっぱいを揉まれ、乳首をスリスリと撫でられて、おかゆの口から再燃した快楽の嬌声が漏れ始めた。
その恥ずかしい音吐を漏らさないように、キスで唇を塞いで、くぐもった声を漏らす。
「くぷ、ぁっ……はぁー……♡ ふぅー……はぅー……♡」
キスをとく。身体が少しだけ離れる。
変わらず手が触れる距離にいるのに、喪失感に近い名残惜しさを覚えた。
「うふふっ……♡ 唇とカラダで、触れ合ってるだけなのにねー……どうして、こんなに気持ちいいんだろうね……♡」
舌を入れていたわけでもないのに、セックスのように濃厚な感情のやり取りをしていた気がした。
おかゆの煌めく瞳が、とろり、と情欲の熱で融け始めている。かすかに潤んだ光の奥に、生命の昂りを感じた。
「ぼくのワガママに付き合ってくれて、ありがとー……♡ じゃあ、また、きみの番だね……♡」
服越しにおっぱいも揉んだ。キスも済ませた。そうなれば、次にやることも決まっている。
手と口から最高の快感が伝わり、脳が射精よりも強い多幸感を味わった後だからこそ、さらに質の高い快感を求めた。
標的に定めたのは、おかゆのセクシーな胸元を飾る可愛らしいリボンだった。
男の夢と浪漫をギュっと包んだラッピングをほどいて、調和していた魅力の封を切ろうとする。
そのわくわくとドキドキを同じ分だけ混ぜ合わせた時の気分は、クリスマスの朝、プレゼントの箱を開ける前に覚えた純粋すぎる童心に似ていた。
リボンを首から抜いて、ボタンに手を掛ける。その緊張の刹那に、おかゆの複雑な感情が混ざった視線に気付く。
もしかして、まだワガママは終わっていないのか。そう尋ねると、おかゆは、自分でもわからないと言った風に小首を傾げる。
「僕はきみのことが大好きだし、愛してもらうことも大好きだよ。だからこうして、おっぱいとかカラダを欲しがってくれるのは、とても嬉しいことなんだけど……」
おかゆは手を使わずに、言葉だけでこちらの動きを止めて「だから、もしもの話だけどね?」と瞳を覗き込んでくる。
「僕とのちゅーと、生のおっぱいのおさわりみたいなエッチなこと……そのどっちかだけしかできなくなるの。もしそうなっちゃったら……きみは、どっちが欲しい?」
赤らんだ顔の口元はいつも通りゆるんでいたが、目の奥はまったく笑っていなかった。
直接的には言ってこないが、おそらく、これから先の性交に愛情と愛欲のどちらを求めているのかを聞いているのだろう。
これまで、こちらが求めたら好んで応えてくれていたおかゆだからこそ、今さらながらに、女の子として気になったのかもしれない。
その真剣な目に気圧されることなく、決まっていた答えを身体で示す。
おかゆの胸からスケベなばかりの手を下ろし、膝上にある華奢な腰を抱き寄せて、愛情たっぷりにキスをした。
「ふぁ、んむぅっ……♡ ん、ぅ……ふむ……ぅ……?」
胸板に置かれた手がわちゃわちゃと動き、その動揺を伝えてくる。
こちらの答えが予想外のものだったらしい。この胸にある、おかゆへの愛情の大きさを伝えきれていなかったことには素直に反省した。
おっぱいに触れなくなることも、おかゆとセックスができなくなることもつらい。その答えを選ばなかった今でも、その熱すぎる体温と性感を求めて股間が暴れ回っているぐらいだ。
それでも、そもそも比較にならない問題だった。
おかゆのことが死ぬほど好きで、その相手を心から愛しているからこそ、この燃え上がる情熱で官能が覚醒しているだけなのだ。
性欲の発散が目的なら、粗雑な自慰で済ませればいい。それでも昂る性欲が邪魔をするなら、股間を切り落としてでも、おかゆを愛せるように尽くしたい。
そんな想いを込めて、言葉にならない吐息でおかゆを求める。舌を入れたい衝動を抑えて、触れ合わせるだけのテクニック不足な接吻で、不器用な想いを伝え続けた。
「……んふっ……♡ ふふっ……んっ……ぐす……んんっ……♡」
鼻の奥で、感涙を抑えるような音がした。気分屋のように振る舞ってはいるが、根本的なところで寂しがり屋な本質を抱えているのだろう。
不安に思わせてしまった分だけ、その心の寒さを埋め尽くす。性欲を伴わない純朴な情熱だけを注ぐことを意識した。