魔法少女リリカルなのは 愚王シリーズ R-18 作:ヒアデス
「んっ……ああっ……くぅ」
ある日の午後、城内のとある部屋では、ケント専属の騎士クラリフィエがベッドの上でくぐもった声を上げていた。
「(王族やお客様の団らんに使う部屋でケント様と奥様達が)――あんっ!」
スカートやショーツといった邪魔なものをずらし、露わになった秘所に手を入れながらクラリフィエは喘ぐ。
今の彼女の脳裏に浮かんでいるのは、知っているものよりはるかに大きく異様な形をしているケントの逸物と、それを胸で挟みながら舐め合うエリザとリヒトの姿。そして……
「(それからケント様は大きなあれを、ソファに重なった二人のあそこに)あくっ……――んんっ!」
その光景を思い出した途端、クラリフィエは秘所をいじるペースを速めながら無意識に独り言を零す。
「んっ……ケント様のエッチ。ヴァレリーだってアデルとしかあんなことしてないのに……ふっ……だけどケント様と二人がしているところを思い出したら……うくっ……指が止まらなくなって……はぁ、はぁ……ケント様、ケント様! ……あっ――ああああっ!」
嬌声交じりに彼の名を二度ほど呼んだ瞬間に体中に快感が走り、秘所から愛液が流れ出てベッドに敷かれたシーツを汚していく。
それを見てクラリフィエは……
(ああ……またやってしまったのです。早く別のシーツと取り換えておかなきゃ)
大きな染みが付いたシーツを見てクラリフィエは後悔と罪悪感、そしてある種の達成感を感じながらそんなことを思っていた。
数日前の夜、談話室の前を通りがかったクラリフィエは、その部屋から漏れるリヒトやエリザの声を偶然耳にして、興味本位から彼らの行為をのぞき見てしまった。
そしてあの日以来、クラリフィエは隙を見ては、三人の交わりを思い浮かべながら自身を慰めていた。今も同室の騎士が任務で城を出ている間に、自慰を行っていたところだ。途中でやめるつもりだったが結局今日も最後までしてしまった。
しかし二人に迫るケントのワイルドな顔と、想像以上にたくましい逸物を思い出すとどうしても途中でやめることができない。
そこまで思ってクラリフィエはふと――
(もしかして私、ケント様のことが……いやいやそんなまさか! エッチするところ見て好きになるなんて変態みたいじゃないですか! それにあの人妻帯者ですよ! 一度に二人の女性とエッチするような人ですよ! それも寝室じゃない場所で! ないです、ないない! あんなスケベな人好きになるはずありません!!)
頭をぶんぶん振って、クラリフィエはもしやという考えを否定する。しかし……
◆
「フィーってさ、陛下のこと好きでしょ」
「――んぐっ! ごほっ、ごほっ…………いきなり何を言うんですか!?」
昼食中、同僚の騎士が突然言ったことにクラリフィエはむせて咳き込み、水を口に流し込んでから問いを発する。
それに対して、同僚はパスタをくるくるとフォークに巻きつけながら答えを返した。
「いやさ、フィーってここ最近陛下のことばかり話してるし、さっき陛下とすれ違った時だってあの人のことぼーっと見ていたじゃない」
「あ……あれはケン――陛下の身に危険が及んでないか注意してるだけなのです。私だってこれでも陛下専属の守護騎士の一人ですから」
「いやいや、あんた、あの時ずっと陛下の顔や後ろ姿ばっか見てたじゃない。あれはどう見ても恋する乙女だった。私の目はごまかせないよ」
その場しのぎについた言い訳を手を振って否定され、クラリフィエはうっ、とうめく。
クラリフィエとともに昼食を摂っているこの女性は王宮に勤める騎士の一人であり、クラリフィエにとっては同じ部屋で生活している同居人でもある。
彼女と初めて会った時はケントや騎士団長などもその場にいたこともあって、互いに固い挨拶を交わしその後も形式ばった話を交わしながら消灯までをともに過ごした。しかし三日ぐらい経ってから、彼女はクラリフィエに対してくだけて話すようになり、今では軽い雑談や仕事の愚痴や身の上話などを話す間柄になっている。
クラリフィエとしても肩が凝らずにすむので、気さくに接してくれるのはありがたいのだが……。
「それじゃあ一つ聞くけど、あんたが一人でする時って誰のことを思い浮かべながらしてるの?」
「一人でする……?」
首をかしげながら言葉を返すクラリフィエに同僚はフォークを手放して、右手を自分に向け何かを掴むような形を作った。それを見てクラリフィエはぎょっとする。
「――ま、まさか……あなた、気付いて……」
手の形の意味に気付いた途端、しどろもどろになって体を震わせるクラリフィエに同僚はにっとした笑みを向けた。
「そりゃあ昼間に敷かれたシーツが夕方には予備のものに変わっていればピンとくるよ(私もたまにあるし)。特に最近は頻繁にシーツが変わってるから嫌でも――」
「――こ、こんな所でそんな話しないでください! せめてもっと声を落としてくださいよ」
「ああ、ごめんごめん……で、フィーはやっぱり陛下のこと考えながらしているの?」
「……そ、それは……まあそうです」
声を落として改めて尋ねてくる同僚に、クラリフィエは小さな声で渋々そう答えた。
実際彼女が自分を慰める時はほとんどケントの事――正確にはケントがエリザとリヒトがしているところ――を思い浮かべながらだ。
このように壁を取り払ってから、彼女は雑談に混じってこういった猥談すれすれの話をしてくる事も時々あり、当初彼女に抱いていた堅物という印象はかなり薄れた。ケントや上官たちからの評価が高いだけあって、仕事に対しては真面目なのだが……。
「そっかー。もしやと思っていたけど、やっぱりフィーは陛下のことが好きだったのかー」
同僚は腕を組んでうんうんとうなずく。そんな彼女にクラリフィエは――
「そ、そうだったとしてもケントさ――陛下には奥様ともう一人お妾様がいらっしゃるんですよ。私が陛下のことを好きになったとしても叶うはずないじゃないですか。……それに、あの人絶対胸が大きい女性が好みでしょうし」
ぼそぼそと付け足した言葉に、同僚は腕を組みながらうなずく。
「うーん、たしかにそれは否めないなー。王妃様もお妾様も胸大きいし。でも、普段大きい胸ばかり揉んでいるから、手頃なものも揉んでみたいって思ってるかもよ? あんだけでかいと一晩中揉むのも疲れるだろうし」
「――だ、だから、そういう話をする時はせめて声を落としてくださいよ!」
ほとんどふくらみがない胸を見ながらそんな言葉をかける同僚に、クラリフィエは声を抑えるように言って、同僚はまた「ああ悪い」と謝ってから声を落として続けた。
「……まあそんなわけで、胸が小さいからこそフィーも望みはあると思うんだよね。それにフィーにはあの人たちの爆乳にも負けない切り札がある」
「切り札?」
怪訝そうに眉を寄せるクラリフィエに同僚は視線を下げる。しかしその視線が何を意味しているのか分からない。
腹? 日々鍛錬と職務にいそしんでいるおかげで肥満とは縁がないが。
そんな見当違いな事を考えているクラリフィエの頭の中を読んだように、同僚は違う違うと片手を振り人差し指を指して言った。
「フィーのおしりについてる、その
「尻尾!? こんなものでケント様が? ていうかあなた、そんなことのために私と同じ部屋を志願したんですか?」
「そんなこととは何だ! そのふわふわしそうな天然クッションをモフるためにあんたと同じ部屋にしてほしいって団長に頼んで、それからその尻尾を私のものにするまでどれだけの時間をかけたことか。……その甲斐あってあの夜は極上の気分で眠れたよ」
「誤解されそうな言い方しないでくださいよ。あなたが一方的に私の尻尾を撫でて寝ただけじゃないですか。それにこの尻尾は私のもので他の誰のものでもありません」
しみじみと言う同僚に対して、クラリフィエは体と椅子の間に挟まっている尻尾を守るように抱きしめる。しかしこうしてみると確かに柔らかい。これならエリザやリヒトの巨乳にも対抗できるかも。
クラリフィエがそんなことを考え始めている前で、同僚は気を取り直したようにフォークを掴む。
「……ひとまず、フィーだって傍から見れば十分美人なんだし、最初からあきらめる必要はないんじゃない。むしろぐずぐずしていると他の誰かに三人目の座を取られるかもよ。陛下のまわりにはシグナム卿やシャマル卿みたいな美人がまだいるわけだし」
(……それは、確かにその通りなのです。二人とも美人だし凄く胸が大きいし、いつ関係を持っても不思議ではないかも……ケント様だって体が一つしかない以上相手に出来る人は限られている。だったら一か八か、ベルカの人々にはないこの尻尾を使って――)
「まっ、駄目だったら私が慰めてあげるから。その尻尾だけじゃなくいろんなところをモフモフして――」
「だ、だからそういう冗談はやめてくださいよ!」
手をワキワキさせる同僚に怒鳴りながらも、友人に触発されたことで密かに決意を固めているクラリフィエ。
そんな彼女の近くでは……。
「聞いたか? 今度はクラリフィエ卿が陛下に告白するんだってよ」
「くそ! もう少し手柄を上げたらフィーちゃんにアタックしようと思っていたのに」
「リヒトさんといい、なんであんな唐変木がモテるんだ? あの様子からして玉の輿目当てじゃねーみたいだし」
「で、でももし、フィーちゃんが振られたら、あの騎士とフィーちゃんが今夜あんなことやこんなことするんだろう。それも悪くないような」
「…………」
ある女性から想いを向けられ、何人かの男騎士から妬みや嫉妬を向けられるものの、食事を早々と済まされ執務室で書類と格闘しているケントにはそれを知る由もない。
かくして渦中の人物であるケントが何も知らない中で、元パスティヤージュ王クラリフィエがケントに挑もうとしていた。