※この作品はR-18です。

人外異譚   作:オルフェイス

7 / 8
影絵師様からリクエストが来ましたので、書かせていただきました。

これの天使ちゃんです。
https://syosetu.org/novel/187469/54.html
それでは、どうぞ


変異天使。乙女の棺桶。

 世間一般的な視点で見れば、彼女の姿は天使と呼ばれる存在に近い。

 背中まで伸ばされた金髪。三白眼。一般的に美しいと称せるだけの容姿。これだけならば、天使と誤認してもおかしくはない。しかし、ここからが異形だった。

 頭上に浮かぶ天使の輪のように見える、神経の塊。背中から生える天使の翼───とはかけ離れた、腐って骨まで露出した三対の翼。これでは天使というよりも、堕天使か、あるいは悪魔といったほうがいいかもしれない。

 天使の輪はともかく、腐翼は見たものを怯えさせ、異形の存在であると認識させるだろう。例えどれだけ人に近いとしても、どのような行いをしたとしても変わりない。

 しかし彼女は人間が自身のことをどう思おうが関係なく、気にもしないだろう。

 彼女の関心、興味、信仰は、ただ一つの存在に向けられているのだから。

 

 

 

 

 

 

 彼女は、神を信じていない。

 

 いる、いない、という話ではなく、信じていない。

 

 神は妄想の中の存在に過ぎず、それを本気で崇める信者を蝿も同然に思っていた。

 押し付けられる常識。強制される神への信仰。存在しないものを崇めたところで、何の価値もない。彼女は内心、神を信仰する信者というものを馬鹿にしていた。

 しかし……信者というものは、自分の信じたいものしか信じない。神を貶めるような行いをすれば、相応の報復が待っていることを彼女は知らなかった。

 信者たちの大事にしていたものを踏みにじった。その場面を見られてしまったがために、彼女は辱めを受けることになった。

 誰も助けてはくれなかった。彼女の周りにいるものは、全員が神を盲信する狂信者であったが故に。

 実の父からは犯され、信者たちの慰みモノにされ、実の母からも罵倒を浴びせられた。

 

 ボロボロになった彼女を助けたのは、ある化け物だった。

 

 人の形をした、しかし人でない『何か』。その『何か』───異形の娘と呼ばれる存在と出会い、彼女は人ではなくなった。

 以降、彼女を人ならざる者に変えた存在に対して、彼女は───天使は、初めての信仰心をその存在に抱いた。

 天使を異形に変えるとすぐさま消えてしまった異形の娘。また出会えることを願い、天使は自身を陵辱した者たちのいる場所へと向かい、皆殺しにした。

 

 もちろん、全員を異形の存在へと変えて。

 

「あぁ……始祖様ぁ」

 

 異形の娘───天使は始祖様と呼ぶことにした───がしたように、人を異形へと変えた。

 皮肉にも。彼女を陵辱した信者たちは、天使の信仰心によって殺されることとなった。

 

 

 

 

 

 

 それからは、天使の行動はシンプルだった。

 

 人を探して殺したり、異形に変えたり、もしくは異形の娘が直接変えた存在に会いにいったりなど。

 全ては異形の娘を信仰するが故に。これからも、どれだけ時間を経ようとも、人間を異形に変え続けるだろう。

 しかし、異形と成り力を得た彼女であっても、抗うことのできない事というものは起こるものだ。

 

「どんな姿に変わるのかしらぁ」

 

 その日も、天使はいつもどおりに過ごしていた。人間を異形に変えるために、手頃な人間を見つけていた。

 今回のターゲットは山の中に一人で住んでいた女性。どうやら人付き合いが苦手であるらしく、滅多に外に出ていないようだった。

 乱暴に扉を壊せばすぐに見つかり、そのまま女性を変えてしまえばすぐだった。

 どのような異形になるのかと期待して見ていると、ボコボコと女性の身体が変化───否、変貌していく。

 

「あらぁ?」

 

 少し、いやかなり天使は驚いた。

 女性はパキパキと身体を硬質化させていくと共に、天使よりも大きくなっていく。腕が胴体にくっつき、足同士もくっついて硬質化し、さらに太くなっていく。

 そうして変貌が終われば、そこにあったのは生物と言えるのか怪しい異形だった。

 身体は鉄のように硬く、体表は白濁色をしており、腕も足もない。顔はあるが、他のヒトデナシのように口や目が動かせる様子はない。

 しかしこの異形は間違いなく生物であり、そしてなにより、人間の作り出したある拷問器具に似ていた。

 鉄の処女(アイアンメイデン)───そう呼ばれるものに非常に似ていた。

 いや、これがヒトデナシであることを踏まえれば、正確には乙女の棺桶(アイアンメイデン)だろうか。

 天使の生み出してきた異形は、それはもう相当な異形だったが、これはその中でもかなりの異形だった。

 

「こんなの、初めて見ましたぁ」

 

 思わず近寄り、ペタペタと触る。そんなことをしてしまうくらい、珍しいものだった。なにせ手足がないのだ。一体どうやって動くというのか。

 もしかしたら、そもそも動かないのかもしれない。そう考えていた時だった。

 

 カパ、と。アイアンメイデンが両開きに開いた。

 

「え?」

 

 何が起きたのか理解する間もなく、アイアンメイデンの開いた内側から、ヌラヌラとした大量のピンク色の触手が飛び出し天使を包み込んだ。

 そして素早い動きで内側へと引きずりこみ、先程よりも強い力でバタン! と閉じられた。

 天使の肌から感じ取れる、ヌルヌルとした気持ち悪い粘液の感触と、視界一面で蠢くピンクの触手。自身がアイアンメイデンの内側に引きずり込まれたのだと気がついた天使は、激情を露わにした。

 

(始祖様が変えてくださったこの身体を、汚されたっ! よくもぉ!)

 

 次の瞬間には天使は内側から激しく暴れガタガタとアイアンメイデンが大きく揺らした。並のヒトデナシならばそもそもアイアンメイデンを揺らすことすらできないほどの力で捕らえられていたのだが、凄まじい力だった。

 しかし、その天使の力で以ってしてもアイアンメイデンの拘束から逃れることはできず、無駄に体力を消耗させる時間が過ぎていく。

 しばらくするとアイアンメイデンの揺れが小さくなっていく。最後には揺れは収まり、アイアンメイデンは直立した状態に戻る。静寂が場を支配した。

 天使は抵抗を諦めたわけではない。このままでは何もできないまま閉じ込められるだけだと考え、動き出した瞬間に一気に脱出しようとしているのだ。

 怒りはそのままに、力を温存する。

 それが一番確実な方法であると、天使は自分を納得させた。

 

 ───もう既に、先手を取られた時点で終わっていたというのに。

 

 動きを止めた天使に、動けるだけの体力はないと考えたのか。アイアンメイデンは、体内の触手を活動させた。

 

(っ、なにっ?)

 

 にゅるにゅると、触手が天使の肌の上を這いずり回る。ヌラヌラとした粘液を纏わせ、天使の女体に絡みつく。

 二の腕、首、髪、太腿。触手が服の中に入り込み、何かを探すように蠢く。

 粘液で身体を汚された天使は嫌悪感と怒りを顔に出すが、それを気にしてくれるようなアイアンメイデンではない。触手は胸にまで絡みつき、さらには天使の秘部にまで伸ばされていった。

 胸に到達した触手は生地を捏ねるように揉み、胸の突起にも絡みつく。秘部に向かった触手は、最初はなぞるように動かし次第に奥に奥にと入り込んでいく。

 

 天使が覚えたのは不快感……だけではなかった。

 

 なぜなのか───どうしてなのか。天使は不快感を覚えると共に、触手に触れられた部分が熱く火照り、敏感になっている。そう、快楽を感じていたのだ。

 それを自覚した天使は混乱し、焦った。

 

(このままじゃ……!)

 

 何がどうなってしまうのかわからない危機感に突き動かされ、先程まで考えていた案を捨て去ってすぐにでも脱出を試みる。

 再び暴れだした天使をアイアンメイデンは逃さない。ガタンガタンとアイアンメイデンが揺れだすが、それでも天使が出ることは叶わない。

 

 天使の動きを止めている触手の内の何本かが、中断していた愛撫を再開させた。胸へ、秘部へと触手を伸ばす。

 

「んんっ」

 

 思いもよらないタイミングでの愛撫に、決して声を漏らさまいとしていた天使の口から短くも甘い声が漏れ出る。

 ハッとして口を閉ざす天使だが、今の声を自分が出したという事実に愕然としてしまう。

 

 その一瞬の間に、触手は天使の豊かな胸の突起を強く引っ張った。

 

「んぃ!」

 

 強い刺激が胸から走る。

 自分がどうして、こんな状況で快楽を感じてしまっているのか、意味がわからなかった。

 かつて陵辱を受けたとき、感じたのは不快感と痛みだけ。快楽なんて、決して感じることはなかった。

 なのに、今は感じている。甘い快楽が、身体を走っている。

 

(どうして……)

 

 呆然として、動きを止めてしまう。

 

 天使の動きを止めるために使っていた触手の多くが、今度は天使の身体を貪るように蠢き始めた。

 愛撫による快楽で、何もさせないようにするつもりのようだった。

 

「んっ、は、ぁ」

 

 口から、甘い吐息が漏れる。

 幾本もの触手が、撫でるように、舐めるように、弄ぶように、天使の身体を這いずり回る。

 いつの間に入れられていたのか、秘部の中には一際細い触手が何本も入り込み、天使のあそこを熱く蕩けさせる。

 溢れ出ていく愛液を受け止めるためなのか、他の触手も秘部の近くに集まり蠢いている。

 

 先程まで感じていた不快感は、いつの間にか消えていた。

 

 秘部の中に入り込んだ触手が、中で暴れまわって膣内をほぐし貪っている。それを、天使は気持ちいいと素直に受け止めていた。

 

 自然と、ここから出ようという気持ちも薄れていく。

 

「あっ、あ……あっ」

 

 アイアンメイデンの内側から、密かに女の甘い声と濁った水音が響き続ける。

 ついに天使は、アイアンメイデンの束縛から逃れることはできなかった。

 

 

 

 

 

 何度も何度も繰り返され、アイアンメイデンの陵辱が終わったのはガパリとアイアンメイデンの扉が開かれた時だった。

 どさりと中から出てきた天使は、いたるところが粘液で汚れていた。粘液で濡れた修道服はぴっちりと天使の女体にくっつき、淫靡な姿を醸し出していた。

 

「ぁ、ん……」

 

 倒れたまま動かない天使は、荒い息を吐き続け顔を紅潮させている。

 終わりの見えない陵辱。しかし多大な快楽を齎した性行為。

 

 アイアンメイデンによって齎された快楽は、天使にどのような影響を与えたのか。

 それを知るのは、未だに眠る天使本人にしかわからない。

 

 




『乙女の棺桶《アイアンメイデン》』
分類としては天国に関係のあるヒトデナシ……なのだが、この個体は自ら動くことを想定していないし、そもそもアイアンメイデンなのに天国に関係するのか、という疑問も生まれる。申し訳程度に天使のレリーフが刻まれているが、それだけである。
近寄った生物を男女関係なしに取り込み、貪る。食事は生物の体液を好む。繁殖行為はしない。
取り込まれ貪られた者は、アイアンメイデンへの中毒を患う。常にアイアンメイデンに貪られたいとすら思ってしまう。
強力なヒトデナシほど毒に耐性があるが、快楽に弱い場合はその限りではない。
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