薄暗い建物の中。蝋燭が頼りなげに照らすだけの広い室内に、多くの人影があった。
肉と肉を打ち付けるような音。
すすり泣くような女の声。
「あああーーーっ♥」
時折、大きな声が上がる。そこかしこで老若男女が絡み合い、性を謳歌していた。
「お疲れ様です、里長……今日もとても素敵でございました」
「……ウム。ヒノエこそ……この女陰、何千回抱いても飽きぬ。そなたの身体、まこと気焔万丈!」
にやり、と笑みを浮かべて見せた初老の男と、女が抱き合っている。
布団に寝そべった女の上に大男が押しつぶしているようにも見えるが、もちろん体重をかけないよう配慮していた。
女が身動ぎすると艷やかな黒髪が流れ、蝋燭の灯火を受けて夜空に星が瞬くようにきらめく。
先程までの乱れようを示すかのように、暗がりでも分かるほど顔と言わず胸と言わず全身を上気させ、どこか優しげな瞳を情欲に輝かせている。化粧っ気のない薄桃色の唇に髪が引っかかっているのが、得も言われず扇情的だった。
女は豊かな胸を里長と呼ばれた男の胸板に押し付け、男の太い胴体に腕を回してそっと抱きしめ、子供をあやすように背中をさすった。
「……そのような顔をする必要はないのです、里長。これは、私達も納得済みのことなのですから」
「ム…………」
女が母のように、姉のようにそっと告げると、男は余裕ぶった笑みを崩し苦虫を潰したような顔になった。
「すまぬな。ひと目で見抜かれているようでは里長失格だ」
「ふふっ、幼い頃から貴方を見てきたのです、その程度わからなければ『ヒノエねえちゃん』失格です」
くすり、と女が笑う。それは在りし日の……里が未曾有の災害に見舞われる前の、目の前の女がまだ生娘だった頃の笑みと何も変わらぬ、太陽のように暖かく清らかな笑顔だった。
「それにね、里長。……恥ずかしいから、ヒミツですよ? 私達もこういう行為……前から、嫌いでは無いのです」
女はまるで二十歳そこそこの小娘のような顔をして、照れくさそうに目をそらしながらそう言った。
その視線の先には、遠目には暗くて一塊のナニカがうごめいているようにしか見えないが、彼女の妹が居た。
「ほら、ほら。もう少し我慢してください。我慢した方がもっと気持ちいですよ?」
当然のように髪飾り以外は一糸まとわぬ姿で、女は蹲踞のように脚を開いて座っている。その女陰には魔羅が突き刺さっており、我慢しろと言ったそばから腰を大きく円を描くように動かし、穴の中の無数の肉粒で肉棒を刺激する。
「ああっ、ミノト、ちょっと、これ以上は、勘弁してくれっ……もう出させてくれっ」
薄く笑みを浮かべながら、腰を使う。下に敷いた男を無視してあんぐりと開けた口で、別の男の肉棒を咥え込む。
よく見れば女のそばには三人の男が立っていて、両手で一人ずつ男の肉棒をしごき、口をひょっとこのように窄ませて口を使って更にもう一人の相手をしていた。
「じゅるっ、じゅぼぼぼっ!」
若い娘の外見に似合わぬ技巧をもった余裕たっぷりの口淫に、男の膝が笑っていた。
「うああっ!」
結局、両手も、口も、女陰にも同時に射精させた。姉と同じく美しい黒髪に黄色く濁った精液が降りかかり、唇の端からは一筋の精液が、ほっそりとした顎の先へ滑り落ちていく。
「ふふ、今日も一日、お疲れ様でした。さ、まだ私がご希望の方はおられますか?」
涼しい顔をして、髪にこびりついた精液を指で拭って口に運ぶ。
すぐに、今日最後の男に押し倒されて暗闇にまぎれて見えなくなった。
「ほら、あの子も楽しそうでしょう? 私も、先程まで里長とたっぷり楽しんでいました。だから……大丈夫です。これもカムラのため……なにより、あの子がいずれハンターになるまで、里を守り抜かねばなりません」
先程までの性交の名残で頬は紅をまぶしたように赤く、瞳は潤んでキラキラと輝いている。淫らさと、凛とした意志の強さを同時に湛えたそのかんばせは何十年も見とれてきたその表情のどれより美しかった。
「わかった。もう愚痴は言わぬ。……頼んだぞ、ヒノエ、ミノトよ」
男……フゲンは、女……ヒノエの女陰に突き刺さったままの肉棒を引き抜くと立ち上がった。
「皆! そろそろ夜も遅い。今やっているのを最後にして今日はもう寝るようにな!」
暗闇の中から、肉を打ち付け合う音と粘質な水音に混じってまばらに返事が帰ってくる。苦笑を浮かべながらフゲンは部屋を出た。
建物から出ると、性臭を一気に晴らす爽やかな夜風が吹いていた。入り口そばの掘っ立て小屋の暖簾を避けて、中の風呂から桶で水を汲む。初恋の人との性交の名残を落とし、着替えたフゲンは夜道を歩き出した。
「金は天下の周りもの、集めんとすれば多少の無理はやむなし……か」
気にするなと言われたばかりだが、気にせずには居られない。
百竜夜行で減った人口を戻すために婚姻関係に関わらず全員が総当りで子作りを行うと取り決めた。
人ではない竜人であるヒノエ、ミノトの姉妹も、まず子供が出来ないであろうにも関わらず「私達も里の皆の家族です」と毎夜の乱交に参加を決めてくれた。それ以来、嫁が妊婦になった男どもの相手を一手に引き受けてくれている。二人とまぐわうために嫁を孕ませる手合も居て、それも子孫繁栄に繋がっていた。
そして今再び、百竜夜行の兆候が見え始めたという。前回の百竜夜行から40年、対策は練り続けてきた。
だが、それを実現するには資源が必要だ。どうあっても金がかかる。
カムラの里は山紫水明、以前は観光客も訪れ、貴重な収入源であったが、原因不明の百竜夜行により人が寄り付かなくなり、商売もかなり廃れた。これを取り戻し、さらに百竜夜行の備えが出来るほどの蓄えを得るためには……
「G級ハンター。今この里に訪れてくれた事は、果たして天の配剤か、悪魔の垂らした釣り糸か」
里の主要な収入源だったハンター業。まずハンターがモンスターの素材を剥ぎ取り、残りの遺骸をギルドとクエスト発行した自治体で分け合う。
下級のハンターとG級のハンターでは、同じ種類のモンスターを狩っても10倍ほども値段が違う。更にはG級にしか討伐依頼が回ってこないような凶悪なモンスターもおり、天と地ほども稼ぎに差が出る。
それを、カムラの里に留まるよう誘致する。ヒノエとミノト、世にも珍しい、若く美しい竜人姉妹の身体でもって。
勿論、里の皆が反対した。だが、どうやって金を工面できるのか、それを提案出来るものは居なかった。
里の男衆にとっては皆が童貞を捧げた、いつまでも心身とも美しい理想の女性だ。絶対にG級ハンターといえど虜に出来るという思いはあった。
最終的には今までさんざん性交に慣れ親しんできて自信を付けていた二人に押され、二人は里の家族であると同時に、G級ハンター専用娼婦となった。
いや、正確にはこれからなるのだ。行商に出ていた里のものが、噂を元にG級ハンターと接触し、里に来てくれる事になったという。
その滞在をどれほど伸ばせるか、ヒノエとミノトの対応にかかっていた。
シコったら感想、ここすき、高評価お願いします!