ザックアイランドのなんでも屋、シオンという青年を呼び出すのは簡単なことである。
それぞれ客に手渡された小型端末を使い、専用のボタンを押すだけ。それだけでシオンが持つ端末へ連絡が入り、GPSが内蔵されたそれを使って、客がどこにいようとも駆けつけるのが彼の仕事だ。
よって島を訪れた女性客は全員がシオンを呼び出す権利を持っており、順番待ちになることはあっても、基本的に彼が呼び出せないなどという時はない。
にも関わらず、今朝はかすみが何度そのボタンを押していても、シオンが姿を現すことは一向になかったようである。
怪しい、と思わずにはいられない。なにせ彼は外見がそこそこ良く、性格も穏やかで礼儀正しく、近頃は全裸で徘徊するほど明らかに様子がおかしいが、前々から多数の女性に可愛がられていた。
まさか自分以外の女性が手を出しているのではないだろうか。
そんな風に思うのも仕方の無い状況であった。現在島の中にいるのは女性のみ、その中には彼へ好意を抱いていたとはっきり認識できる者も多い。
もはや立ち止まってはいられず、朝っぱらからかすみはシオンを探すために走り出した。否、さらに言うのであれば行方が知れなかったのは昨日からのこと、彼女は昨日からこうして彼の姿を探しまわっている。
昨夜にめぼしいところは探したし、島を出たなどという話も聞いていない。ならばあとは、まず間違いなく誰かが彼を隠している。
そう想いながらコテージの傍を歩いていた時だ。
隣接するプールから声が聞こえ、思わず足を止めてそちらを見る。
目標はあまりにもあっさりと見つかった。しかし、予想していた通りの最悪の形で。
「あぁんっ、バカっ、そんな、激しく――くぅぅっ!」
「あぁぁ、きもちいい。あやねさん、すごくきもちいいです……おまんこがきゅんきゅん締めつけてきて、また出ちゃいそうで……」
「ちょ、バカぁ、昨日から何回出せば済むと思って――あんっ、あんっ、あっ、あっ――」
「うぅ、でる、でる、もうでちゃ、あっ――」
プールサイドに立つ裸の男女、シオンとあやねが、立ちバックの体勢で激しく腰をぶつけ合っていたのである。
パンパンと肉が震える音が周囲へ響いていて、当然かすみの耳にもそれは聞こえる。
彼女はゆっくりと音もなく二人へ歩み寄り、必死に快楽を貪って全く気付かずにいる彼らの傍に立った。
そして、にっこりと笑顔を浮かべて、やさしく声をかける。
「何を、してるのかな……かな?」
「あっ、んっ、んっ――え?」
「あぁでます、あやねさん、でるぅ……!」
「あっ、ちょ、バカっ、んん――!」
かすみの目の前で、たった今、シオンはあやねの膣内に肉棒を突っ込んだままで射精した。
ぶしゅっと音を立てて逆流してきた精液がプールサイドに落ち、朝焼けに染められた空の下、その光景が非常にわかりやすく目に映る。
あやねはすでにかすみの存在に気付いて慌て始めていたが、やはり快感には勝てないらしく、膝を震わせながら絶頂を感じて目を閉じ、表情を歪め、シオンは射精の快感に悦ぶことで精一杯なようで気付いてすらいない。
かすみはまだ、笑ったままだ。
「んっ、ふぅっ……もう、また膣内に……しかもバカみたいにいっぱい出して、ほんっと変態……」
「ハァ、ハァ、あやねさん、もう一回、もう一回だけ……!」
「あ、ちょっと、こらぁ。そう言ってもう何回目なのよ、もう――それより、見なさい。後ろにお客さんよ」
「え? お客さ――わぁっ!?」
「うふふふふふ、おはようございますシオンさん。なんだか、朝から、とっても気持ちよさそうですね――私以外の女のなかで」
「ひぃっ!? 修羅がいる!?」
「あんた、この期に及んで自分から地雷踏んでどうすんのよ」
いつもは朗らかで美しいその笑みも、今だけは妙に恐ろしく、まるで鬼か天狗か、修羅が如き雰囲気を放っている。
思わずシオンの陰茎も縮みあがり、一瞬前の雄大さもすぐに消えてなくなって、精液が垂れ流れる膣からずるりと抜けてしまう。
唇を尖らせるあやねであったが、状況を省みてすぐに視線を下から上へと移動させ、やはりにこにこと笑うかすみが気になった。
見つかってしまった以上、どんな形であれ戦いは避けられない。否、むしろこうなることを望んでわざわざ部屋から出てプールサイドでイタしていたのだ。見つけてくれたことに感謝すべきであろう。
下半身を離し、直立不動で顔を青ざめさせるシオンへ身を寄せ、あやねは微笑んだ。まるで恋人がそうするかのような愛らしさ、彼を独占しているぞと伝えるような仕草である。
これは明らかな挑発だった。自然とかすみの笑みも深まり、それに伴い、瞳の中からどんどん光沢が消えていった。
「おはよう、かすみ。ご機嫌はいかが? あたしは最高よ、だって……ようやく欲しかったものが手に入ったんだもん。あんたじゃもう手に入れられない、この世で一つだけのもの――」
「もう、あやねったら。間違えちゃだめでしょ? シオンさんは物じゃないし――あなたのものになるはずがない」
「どうしてそう言い切れるの?」
「シオンさんは、私の大事な人だから。相思相愛なんだから」
ガタガタと震えるシオンを抱き締めるあやねはくすくすと笑い、かすみもまた小さく笑い声を発した。
風もないのにプールの水面が揺れ、辺りの木々が震え始める。この世とは思えない、独特の重い空気が漂っていたのだ。
二人は口元こそ弧を描いて笑みだったが、目は一切笑っておらず、そんな状態で視線を交わしていた。
「あやね、そこ、どいてくれるかな。シオンさんの胸の中、私の居場所だから」
「でも逃げられたんでしょ? あんたはまだ聞いてないかもしれないけど、シオンは一晩中無理やり搾り取ってくるヤンデレ女より、あたしの方がいいんだって。セックスの相性だっていいし、ドMの変態だし、これ以上ないほどいい関係なんじゃないかしら」
「あやね。嘘、ついちゃだめだよ。シオンさんが、私以外に、興味あるわけ、ないもの」
「あらぁ? じゃあどうしてこんなところでセックスしてたか説明できる? 答えなんか一つでしょ。あんたから鞍替えして、あたしに乗り換えたの。もうあんたなんかに興味はないのよ。今はあたしの……ここに、興味津津だから」
くちゅり、と音を立ててあやねの指先が膣内へ入り、中からどろりと精液が溢れ出てきた。
ぼたぼたとプールサイドに落ちて、ただでさえ大量に溜まっていたそこへ新たな量が加わる。
すると瞬間、かすみの笑みがすっと消えた。無表情になり、少し俯き加減に二人を見る彼女は、明らかに先程とは違う声色で呟いていた。
「もう、ほんとに、あやねは悪い子だね……私にイタズラして、嘘ばっかり言って……だめだよ? そんなことばっかり言っちゃ。だって、ありもしないもの。シオンさんは私が好き。私はシオンさんが好き。だから二人で幸せになるの――他の女なんていらない。あやねもいらない。二人っきりで幸せになるんだよ? 私のこと、見捨てたなんて、ありもしない作り話だよ」
「もし、本当の話だったら?」
「本当なはずがない。そんな可能性すらないよ。だって、私たちは、愛し合ってるんだから――」
ついに脂汗で全身を濡らしたシオンから離れ、あやねが一歩前に出る。今のかすみからは、非常に危険な香りが漂ってきた。
ギラリと光る眼、ビキニと薄手のパーカーを羽織っただけの美しい肉体から放たれる奇妙な雰囲気、ぎゅっと握りしめられた拳。このままでは何をしでかすかわからない。
しかしこの時、あやねも黙ってはいない。シオンを守るため、同時に、様々な意味でライバルであった彼女と決着をつけるため、彼女もまた嬉々として自らも拳を握った。
ただでさえ仲などよくなかった。その上で同じ男を好きになって奪い合うような構図だ。
もはやお互い、我慢するつもりなどありはしないようだった。
「なによ、やる気? せっかくのバカンスだから見逃してあげようかと思ったけど、そっちがその気なら……」
「嘘つくような、悪い子は、ちょっとお仕置きが必要だよね――」
「覚悟!」
「うふふふふ」
直後、二人は同時に地面を蹴って飛び出し、ほぼ裸の状態でぶつかり合った。
かずみはビキニにパーカーを羽織っただけの姿、あやねはすでに行為を終えた後のため、ビキニの上も下も傍に捨てた全裸の状態、さらには股からはシオンの精液が垂れ流れている。
両者共に足を振り上げ、蹴りを放ち、バチンと音を立てて肌が触れ合う。
「そもそも、抜け忍のあんたと慣れ合ってる今の状況が気に食わなかったのよ!」
「あやね、シオンさんとべたべた、べたべた……子供、できちゃわないように、シオンさんの精液全部掻きださなきゃ……うふ、うふふ、うふふふふ――」
しかし、二人が距離を取り、拳を構えて再び走り出そうとした時だ。
目の端に映っていたはずのシオンの姿がなぜか忽然と消えていて、全く同じ瞬間に気付いた二人は思わず動きを止め、至近距離に相手を捉えていながら顔色を変えた。
「あ、れ……?」
「は? なんで、シオンがいなくなってんのよ……」
ピンと、頭の中に閃くものがあった。
ザックアイランドに来てから手の着けようがない変態になったが、基本的にやさしい性格のあの青年だ。自ら逃げ出し、肉体関係にまでなった大事な二人を無視するようなことはしないだろう。
ならば考えられるのは、第三者による手引き。何者かがこの混乱を機にシオンを連れ去ったと考えるのが当然。
かすみとあやねは即座に視線を合わせ、同時に頷く。今まさに戦おうとしていたことすら忘れたかのように、思考はシオンのことばかりを、そして彼を連れ去った別の女への敵意に満ちていた。
「あのバカ、女と見れば誰にでもホイホイついていくなんて……ふ、ふっふっふ、まだまだ教育が足りないようね」
「シオンさん、もう、私を嫉妬させようとしてわざとこんなことするなんて、悪い人。でも、姿を消すだけならともかく、他の女とエッチしちゃうのは、やりすぎだよね……」
目の色まで変えた二人は協力して彼を探すことにし、いがみ合っていたとは思えないほどのコンビネーションを見せようとしていた。
ただし、どちらも相棒を出しぬくつもりで行動し始めていたのだから、本当の意味で協力していたというわけでもないのだが。
◆
木々が生い茂る見渡す限りが緑の場所。浜辺から離れ、岩陰となるそこに裸のシオンの姿があった。
傍らには彼をここまで連れてきた水着の美女の姿もあり、二人がどこぞより逃げてきたのは明らかである。
まっ白いビキニを着た黒髪ポニーテールの女性、紅葉は小さく息を吐くと、安堵したかのように笑みを浮かべてシオンを見た。
全裸で、なお且つ陰茎をビンと立たせた彼を前にして、彼女の笑みはどこまでも清純でやさしい。
「ふぅ……ここまで来れば、もう大丈夫でしょうか」
「も、紅葉さん、一体どうして……」
「大変でしたね、シオンさん。でも、ここまで来ればもう大丈夫です」
「ひょっとして僕を助けてくれたんですか?」
「はい。シオンさんの危機を感じたので、居ても立ってもいられずに……ちょっと驚いちゃいました。だってあの二人、本気で戦おうとしてるんですもの。シオンさんが間にいるのに」
微笑む彼女を見つめるだけで、固くなった陰茎がさらに力を増していく。ガチガチに固まったそれは紅葉の腹に触れかける位置にあり、興奮が抑えきれないシオンは今にも彼女に襲いかかろうかと鼻息を荒くしていた。
しかし、先に紅葉がそれに気付き、視線を下げると当然勃起した肉棒が目に入った。
頬を赤らめ、そこをじっと見つめる紅葉は小さく頷き、それからシオンの目を見る。
すでに彼女の中では決意が固まっており、紅葉の手がそっと、シオンの肉棒をやさしく握った。膨らんだ亀頭を両手で包みこむよう、ひどくやんわりと。
それだけでシオンは嬉しそうに口の端を歪め、思わず紅葉の両肩に手を置いてしまっていた。体はすでに期待を抑えきれないようである。
「も、も、紅葉さんっ。い、いきなり、何を……?」
「あ……す、すみません。シオンさんのここ、とても辛そうだったから……私が、気持ちしてよくあげなきゃって思って」
「い、い、いいんですか、そんなことして。いえ、僕はむしろ全然オッケーでバッチ来いですけども、今すぐしたいですけども」
「大丈夫です……シオンさんは、私のこと、お嫌いですか?」
「大好きです!」
「ふふ、よかった。実は私も、シオンさんと、ずっとこうしたいって想ってたんです。……いいですか?」
「もちろんです!」
傍から見ればそのために連れてきたのだろう、と言いたげだが、シオンは全く気付くことなく、紅葉の要求にイエスを出した。
すでに股間は準備万端で、その瞬間を今か今かと待ち望んでいる。びくびくと震え、大量に先走り汁を垂らしているほどだ。
しかし紅葉は手のひらで亀頭を弱弱しく揉むばかり、それ以上の刺激を与えない。
これにはさすがにシオンも困った顔を見せ、腰を小刻みに前後させながらも、紅葉へ対して声をかけた。
「あの、紅葉さん? ちょっとこれではイケそうにないかなぁというか、刺激が弱いと言いましょうか」
「あ、ごめんなさい。私、こういうこと、したことなくて……できればシオンさんが気持ちよくなれるように、教えてくださいませんか?」
「あぁ、そういうことですか。それなら僕に任せて――ハッ!? これがまさか、オレ色に染めてやるってやつですか!」
「よ、よくわかりませんけど……シオンさんになら、私の体、好きにしていただいても構いませんよ?」
「うぅ、天使だ、僕はようやく天使に出会えた……」
上目遣いに、健気な言葉を向けられては男ならば感動せずにはいられない。ましてやそれが、恥ずかしそうに自分の肉棒を握りながらのことだ。
シオンはあっという間に調子に乗ってしまい、溢れだしてしまう涙をぬぐいながら、まずは紅葉にしゃがむよう言った。
柔らかな土の上に膝をつき、いきり立つ肉棒を目の前にした紅葉はさっと顔を赤らめつつ、しかし視線をそこに注いで逃げようとはしなかった。
この態度にもまた感動し、シオンは紅葉の髪へと触れる一方で、彼女への指示を始める。
何も知らない女性に一から十まで自分好みのテクニックを教え込む。この時彼の心は面白いほどに舞い上がり、まるで天国にいるかのような気分だったという。
「じゃあまず、手で扱いてみましょう。両手でも片手でもいいので、こう、竿の部分を――」
「えっと、こう、ですか?」
「うっ、ふぅ、そういう感じで……あぁっ、気持ちいい……」
紅葉の右手が竿の部分を掴み、弱弱しい力を加えながら上下へ動き始める。
同時に左手は亀頭をやんわりと包みこんだまま、恥ずかしそうに指先へ力を込めていた。
「あの、気持ちいいですか? 痛かったらすぐ言って下さいね」
「うぅ、大丈夫です……あぁでも、もう少し力を入れてもらった方が、あっ」
「こう、ですか」
「あぁそれっ、それがすごく気持ちいい……」
シオンの指示に従って紅葉の手に加わる力が変わり、ゴシゴシと速度をつけて扱かれ、シオンの表情は見る見るうちに変わっていく。
ぎゅっと目を閉じ、抑えようともせずに声を出して口元を緩める顔は見るからに気持ちよさそうで、とても幸せそうだった。その表情が紅葉へと良い影響を与えたようで、再び肉棒を見た彼女は更なる熱心さで手を動かす。
単調ながらも上下に、愛情を込めて。シオンの声が聞こえる度に速度を徐々に上げていくと、それだけで卓越した技術を持っているように見えてしまう。
彼は思いのほか上手な動きを見せる紅葉の手により、あっさりと限界へ達し、真剣な表情で肉棒へ向かいあう紅葉の顔を見る。
「うぅ、もうだめ、出ます紅葉さんっ。口、口開けてっ」
「え? こ、こうですか?」
「うぅ、出る、出るぅ!」
最後の瞬間まで紅葉は手を離さず、動きを止めず、しっかりとシオンの面倒を見た。おかげで最高の状態で絶頂へ到達したシオンは、肉棒の先からびゅくびゅくと精液を吐き出し、すぐ目の前にあった紅葉の顔を濡らす。
勢いのいいそれに驚く彼女は身をのけ反らせようとするが、シオンがしっかりと両手で頭を押さえていたせいで逃げられず、さらには口を開けろと言われていたことからも自ら逃げ出してはいけないと思いとどまり、口を開けたままそこから動かなかった。
大量の精液が口内へ飛び込み、喉の奥まで入り込む。それでも彼女は肩を震わせながら逃げず、射精が終わるまでその場に居続けた。
嬉しい態度に、ますますシオンの胸は温かくなって紅葉の頭を撫でる。
せき込みながらも決して口の中の物を出そうとしない紅葉は、時間をかけてすべてを飲み干した。
口を開いたのはそれからのことで、涙目になって見上げてくる紅葉の顔もまた精液に濡れ、シオンの陰茎をあっという間に勃起させるには十分過ぎる力があった。
「ま、まさか紅葉さん、全部飲んじゃったんですか? は、初めてなのに?」
「けほっ、でも、こうした方が男の人は喜ぶと……ひょっとして、間違えてましたか?」
「いいえむしろ正解です! 百点です!」
「そうですか……よかった」
顔にべっとりと付着した精液を指で掬い、不思議そうに見つめる紅葉を見て、シオンは小さく頷きながら決めた。
彼女の頭へ手で触れつつ、腰をぐいと突き出し、またも完璧な姿となった肉棒を押しつけて、彼は嬉しそうに笑みを見せる。
「よし、このままフェラチオも実践してしまいましょう。さぁ紅葉さん、これを口の中へ!」
「く、口の中へ? でも、シオンさんの、その、これは大きくて、入らないかも……」
「大丈夫です、成せば成りますよ、さぁ! そしてできればこれとは言わずにチンポと言っていただきたい! ぜひとも紅葉さんの口から!」
「あ、あの……ち、ちん、ぽ……を、銜えればいいんですね?」
「そうです! 僕のチンポを紅葉さんに銜えてほしいんです!」
「そ、そんなに大きい声で言わないでください……」
顔を赤くして焦り、恥ずかしがっている様子の紅葉は手でしっかり握りながらも、それを呼ぶことは嫌がった。どうやら単純に呼ぶことが恥ずかしいだけでなく、大声によって他者に位置が特定されてしまわないか心配なようでもある。
黙らせるため、満足させるため、紅葉は恥ずかしそうでありながら大口を開け、ぱくりと亀頭を口内へ含んだ。
途端にシオンは小さく声を洩らして黙りこみ、彼女の口内を楽しむかのよう、ゆっくりと腰を前へ進める。
「はぁぁ、気持ちいい……紅葉さん、吸ってください。歯を当てないように、唇で吸いついてっ」
「んっ、ふむっ……」
ずずっ、と音を立て、紅葉が肉棒へ吸いつく。同時に彼女の頭を掴むシオンがゆっくりと腰を前後させ、口の中へと肉棒を出入りさせる。
グロテスクにも見えるそれが、ずるずると厚ぼったい唇を割って中へ姿を消し、唾液に包まれてまた出てくる。なんとも淫靡な光景であった。
紅葉のような美女が従順な態度でされるがままになっているのは、男として極度の興奮を与えられるに違いない。
シオンは我慢できずにぐっと思い切り腰を突き出してしまった。それがきっかけでパンパンに膨らむ亀頭が紅葉の喉にまで届く。
彼女の顔が驚愕に染まり、目が真ん丸と開かれる。
「んんっ!? んっ、んんぅ」
「あぁぁ、紅葉さん、紅葉さんっ……!」
もはや我慢するつもりなどなく、思い切り腰が前後に振られて、紅葉の口内だけでなく喉までも犯す。
シオンの動きは必死に続けられ、紅葉もそれを抵抗することなく受け入れ、木々の間にじゅぷじゅぷという卑猥な音が抜けていく。
多大な興奮も手伝って絶頂を迎えるのは早かった。シオンは最後の瞬間、思い切り彼女の喉へ亀頭をぶつけ、精液を送りだすのもそこで行った。
「うぅ、出るっ。紅葉さん、呑んで、さっきみたいに全部呑んでくださいっ」
「んんんんっ!?」
またしても大量の精液が放出され、紅葉の喉を叩き、そのまま肉の壁に沿って精液が呑みこまれていく。
結局、シオンは竿の律動が止まるまで肉棒を抜かず、すべての精液を彼女の腹の中へと送った。その間苦しそうに眉をひそめていた紅葉だが、頭と口を解放されたところで文句を言おうとはしない。
涙目でせき込みながらもその目は一切シオンを責めておらず、そんな健気とも思える態度がより一層シオンの心を高ぶらせる。
同時に股間の陰茎も高ぶっており、休む間もなく立ち上がるそれは男として元気過ぎるほどで、もはや手のつけようがないほどだ。
「げほっ、ごほっ……シオンさん、まだこんなに……」
「ふぅ、気持ちよかった。それじゃあ紅葉さん、そろそろ……本番を始めましょう」
「は、はい……本番というと、やっぱり――」
「ええ。紅葉さん、僕と一つになりましょう」
シオンの手が紅葉の肩をぐっと掴み、自分の方へと抱きよせる。自然と、紅葉はシオンの腕の中に入ることになった。
ビキニにしか守られていない肉付きのいい肢体が、大きな乳房が、彼の裸体へ触れてその柔らかさを感じさせる。
途端に肉棒の固さはさらに増していき、彼女の下腹部に当たる今、独特の熱さは逃れようがないほどに紅葉へも伝えられていた。
「あ……」
「うーん、ここで寝ちゃうと汚れちゃうし、立ったままするしかなさそうですね。ふっふっふ、でも大丈夫です。すでに予習は済んでますから」
「予習……あやねさんと、してたことですか……」
「あ……ひょっとして、見てました? あぁいやでも、あれは――」
「いいんです。私、気にしませんから。シオンさんがどこの誰とえっちなことをしてても、怒ったりしません……ですから、代わりに、もし許されるのなら」
「な、なんですか?」
「私のことを、常に一番にしておいてほしいんです。ずっと私のことだけを考えて、なんて言いません。少しくらいなら浮気だって許します。だから……私を、ずっとお傍に置いてください」
「あぁ……あなたこそ、あなたこそ本物だ……本物の天使だ――!」
紅葉にそう言われて、なにやら感動した様子のシオンは天を仰いで喜びに震えた。
そのまま何も言わずに黙りこんだまま、シオンの手は彼女の下半身へ伸び、ビキニに隠されていた秘所を撫で始める。薄い布切れの中に手を忍びこませるのはひどく興奮して、彼女自身も興奮しているのかそこはすでに濡れていた。
これならば問題ないと判断し、その上でもはや我慢が利かなかった。
片手ではビキニの中に手を差し込み、大ぶりの乳房を揉みながら、もう片方で下半身の水着をずらすと同時、肉棒の位置を合わせる。
困惑する紅葉への説明もなく、そのまま挿入が行われ、彼女の狭い膣内へ熱い肉棒がずるずると入りこんだ。
「んんっ、あぁっ、あつ、い……!」
「ハァ、ハァ、紅葉さん……僕と、僕と結婚してください!」
「んんっ、は、はいぃ? え、な、なっ――」
「僕は本気ですっ。それほどまでの大きな心、見ても触れても完璧なボディ、あなたほど完璧な女性はいません。ならば妻にしたいと思うのは扱く当然のこと――!」
「あんっ、あっ、あっ――」
正面から抱きあい、じゅぷじゅぷと音を鳴らして、二人の行為は始まった。それもずいぶんな大声による盛大なプロポーズ付きで。
シオンの腰の動きは最初からラストスパートを決めるかの如く早い。
素早い速度で肉棒の出し入れが繰り返され、その度に大量の愛液が飛び、紅葉の口から甘い声が飛んだ。
どうやら先程のプロポーズは功を奏したらしく、挿入した瞬間に比べ、言った瞬間にはきゅんと締めつけてきて、腰を動かして刺激を与えながら言葉の意味を理解し始めると、ますます内部のひだがいやらしく絡みついてくる。
紅葉のそこは、まさしく名器と呼ぶにふさわしい。いまだ女性経験は二人しかないシオンだが、それはすぐに理解できる。
彼女自身は全く動いていないのに、男を悦ばせることに長けた内部の動き。意思に反したようにも思えるそれは、明らかに特別だった。
「あんっ、あんっ、あっ――ほ、本当、ですかっ?」
「え?」
「わ、私と、んんっ、私と結婚……して、くれますか、あぁっ」
「もちろんです! 僕にはもう紅葉さんしかありえませんから!」
「あぁっ、嬉しい――あんっ、んっ、んっ、あぁんっ」
なんとも気のいい言葉である。頭の中からはすっかり先程までの危険な光景が抜けているらしく、本気でこう言っているのだから性質が悪い。
腰の速度もどんどん早まっていき、声の高まりもますます凄まじくなる。
今や紅葉は嬌声を我慢しようとすらしておらず、突かれる度に甲高い声で嬉しそうに鳴いていた。結婚、その言葉がきっかけでずいぶんと表情も緩んでしまっている。
いつしか彼女もまた腰を振ってシオンへ刺激を与えようとしており、呼吸もすぐにぴたりと重なって、嬌声も徐々に大きくなっていった。
「うぅ、紅葉さん、気持ちいい……!」
「あぁっ、んんっ、私も……私も、気持ちいいですぅ」
「はぁっ、イキます、もうイキますっ! 紅葉さん、膣内に出します! 僕の、僕の子供産んでくださいっ!」
「あぁんっ、はい、はいぃ……産みますっ。産みますから、孕ませてください――シオンさんの物だって証を、私にくださいっ」
「うぅ、出る、出るぅ、うぅぅ……」
膣内に居るまま射精が始まって、濃厚な精液がどくどくと奥へ注ぎこまれる。紅葉は歓喜の悲鳴をあげ、シオンも喉を震わせて喜んだ。
衰えを見せない肉棒は飽きることもなく大量の精を放っており、これも精神を解放したが故の恩恵なのか、常人では不可能なほどの回復力と精力の強さで自分の言葉を実現させようとしている。まさしく彼女を孕ませようとするかのよう、腰を小刻みに振って、精液が逆流してくることすら気にせず、子宮の中まで満たそうとしていた。
暑い日差しに激しい運動、紅葉の背を汗が伝い落ち、荒くなった呼吸すらも一つになって消えていく。
ゆっくりと目を開き、精液まみれの顔へ唇が近付き、キスを交わしたのはこの時が初めてのことであった。
「ん――」
「ハァ、紅葉さん……すっごく、よかったです」
「本当ですか? それなら、すごく嬉しいです。やっと念願が叶いましたから……えへへ」
嬉しそうに頬を綻ばせる、腕の中の彼女を見て、シオンのそれは再び力を取り戻す。
出したばかりだというのにビンと立った陰茎は尚も紅葉の腹へ触れ、存在感をこれでもかと醸し出していた。
自然、彼女の頬はまた赤くなり、視線は下の方へと向く。
「あっ……」
「も、紅葉さん、こうなったらこのまま、先へ進んでしまいましょう。僕としてはぜひ、紅葉さんのこの胸で、ぎゅっと挟んでほしいです」
「む、胸で? はい……シオンさんがそう仰るなら」
両手でぐにぐにと紅葉の乳房を揉んだシオンがそう言い、彼女はその場で跪くこととなった。
最初のように顔の前に天を向く肉棒が置かれ、恐る恐るといった風情で紅葉が自分の胸に手を添え、谷間になったそこへ肉棒を挟みこむ。
柔らかく、温かな感触。他では味わえない独特の感覚がシオンの心を幸福で満たし、彼は満面の笑みで空を見上げた。
朝焼けが見えていた空はすっかり青く染まり、今日も快晴、とても気持ちの良い一日となりそうである。
「あぁ、幸せだぁ……どうしてパイズリというのはここまで幸せな気分になるのか。ううむ、不思議だ。でも気持ちがいい」
「あ、あの、これでいいですか? シオンさん、気持ちいいですか?」
「はい、とっても。あ、でもできればその状態で先っぽを銜えてもらえればさらに気持ちいいかと」
「はい――んっ、ふっ、こうれふか?」
「は、はい、そうですぅ……あぁ気持ちいい。まさかここまでしてくれるなんて……やっぱり僕には、もう紅葉さんしか――」
「紅葉さんしか、というのは、どういうことですか?」
紅葉が胸の谷間に肉棒を埋め、乳房で竿を扱きながら、顔を出した亀頭を口内へ含んでいたその時。ふと、シオンの背後から声が聞こえた。
やけに感情が薄いように感じる声色、しかしその声自体、非常に聞き覚えがあるものだ。
瞬間、なぜか感じた危機感に全身が硬直し、冷や汗のような物が頬を伝う。
恐る恐るシオンが後ろを振り向いてみるとそこには、にっこりと笑顔で立つかすみ、般若が如き表情で立つあやねが存在していた。
「なんだかずいぶん楽しそうねぇ、シオン。あたしのこと、すっかり忘れてるみたいで」
「うふふ、シオンさんったら、いけない人……私を嫉妬させるために、色んな人と、私としかしちゃいけないことするなんて……」
「か、かすみさん、あやねさん……あの、えっと、これはですね――」
「んっ、ふっ、ぢゅる――シオンさん、どうですか? こういうのは、気持ちいいんでしょうか」
「うぅぅ、あぁっ」
水着姿の美女が二人、不本意ながらとはいえ見守る中、紅葉の熱心な奉仕は続けられた。それどころか二人が現れたことでさらに力が加わり、シオンへ与える快感も、行為への集中力もますます強まる。
おかげでシオンは二人を振り返ったまま、思わず緩んだ表情を見せてしまい、途端にかすみとあやねは、鬼の形相で紅葉を見た。
「ふむぅ、んふっ――お二人共、シオンさんに殺気を向けないで頂けませんか。彼、私の夫になる人なんです。一夜限りのお遊びはともかく、その殺気は許せませんよ」
「はぁ? あんた、バカじゃないの。なんでシオンがあんたの夫になんかなんのよ。そんなわけないでしょ、その変態はあたしが面倒見るって決めてるんだから」
「うふふ、うふふふ、うふふふふ――もう、二人共、勝手なことばっかり言っちゃ、だめだよ。シオンさんは、私が、私とだけ、いっしょにいるんだから。今は、私を嫉妬させようって、嫌々そんなことしてるだけなんだから――」
「んんっ、別に、お二人がシオンさんを好きでいるのは構いませんよ。それにたまになら、シオンさんとえっちなことしてもいいです。ふふ、シオンさんが最後に帰ってくるところは、いつだって私のところなんですから」
女神のように慈愛に満ちた微笑みを見せる紅葉の言葉は、明らかな挑発とも、勝者の余裕とも取れるものであった。
おかげでかすみとあやねの表情は一瞬で変わり、浮かんでいるのは笑みであっても、これまでにないほど激怒しているのは簡単に理解できる状態となる。
「へぇぇ、そう。そういうこと言うわけ。こっちが黙ってれば、ずいぶん調子に乗ってくれるじゃない」
「ちょっと、おはなしする必要があるよね……ね、紅葉さん」
「ふふ、いいですよ。でも、シオンさんには危害を加えないでくださいね。でないと私、どんなことをしてしまうかわかりませんから」
「フンッ、それはこっちのセリフよ。あんたみたいな奴にシオンを任せられるわけないでしょ。わかったらとっとと退きなさい、パイズリ女」
「シオンさん……待っててね。今、私が、あなたの試練に打ち勝つから……」
愛されているはずが、まるで四面楚歌。戦いとは無縁なリゾートの中で、もはや争いは避けられないだろう。
三人の美女たちは一人の男を囲み、爛々と目を輝かせ、今にも飛び出して戦おうとしていた。
しかしこの状況を生み出した張本人であるところのシオンは、紅葉の乳房が離れてしまったことを非常に残念に想い、直後にはすでに別のことに気を取られていたようだ。
「ハァ、ハァ、水着美女のキャットファイトか……しかも紅葉さんもあやねさんも、股から僕の精液が垂れてるし……ううん、なんというパラダイス!」
本気の闘志を見せる三人を目にし、独自の観点から大きな興奮を得て、この状況を生み出し最も悪いはずのシオンは悪びれるどころか自らの手でいきり立つ肉棒を扱いていたのだ。
もはやこの男、どうしようもない状態のようである。