今朝は格段と騒がしかった。
別段気をつけていたわけでもなかったのだが、普段から仲が良いとは言えないかすみとあやねが言い争いをしている姿はよく目についたし、その二人が紅葉へ詰め寄って激しく言い争う姿も見られた。これまでの平穏な毎日には不釣り合いなほど剣呑な雰囲気である。
何があったのか、と思えば。先日から挙動がおかしいシオンが何かしでかしたという。
いつからだったか平気な顔して全裸で外を歩き回り、他人に局部を見られようが気にせず、それどころか勃起したそれを見せたがっているとすら思える挙動。目下のところ、平和なザックアイランドにおける唯一の問題となっているのだとか。
彼が裸で歩く以外にどんな問題を起こしたのだ、と想いはしたものの、彼女はさほど大きな反応を見せなかった。ただの噂でしかないが、我慢の限界を迎えた彼がとんでもない変態になって全裸で外を歩き回っていることはすでに聞かされていたせいかもしれない。
時刻はまだ朝。太陽が青々と広がる空にあり、昼になるにはまだ時間があるが皆も起きて活動しているだろう時間帯。
せっかくの休暇を楽しむため、エレナはプールサイドにある白いチェアの背もたれを倒して寝そべり、パラソルの下で目を閉じながら風を感じていた。
当然昨日のようにビキニ姿。自身のポニーテールの髪と同じく金色の派手なそれで、白い肌は均整の取れた肉体をこれ以上なく魅力的に見せており、そうして寝転んだまま涼む姿もなんとも絵になる。まさに絶世の美女という呼び名がふさわしいだろう。
ふぅと吐息を出せば、体の中の毒素がすべて抜けていく。
途方もない心地よさに包まれており、気分が良くなったエレナは今朝の顛末など何も気にせず、ザックアイランドに訪れた者は全員持っている小型端末を手にした。
「少し喉が渇いたわね。あの子に何が起こったのかも知りたいし、一度呼んでみようかしら」
テーブルの上に置いていたそれを操作し、画面に指を触れてシオンを呼びだすためのボタンを押す。飲み物を注文するためだ。
島の中では金を使うことがほとんどない。宿泊費は無料、食事やレジャーにも金銭の動きはなく、せいぜい自分の金を使うのはカジノでギャンブルをする時くらい。
ジュースや酒を頼むのもシオンに連絡をすればいいだけで、わざわざ店に行く必要もなければ財布を持ち歩く必要もない。
非常に簡単な注文を終えるとテーブルへ端末を置き、再び横になる。柔らかな風が落ち着きを与え、目を閉じる間際も気付けば微笑みが浮かんでいた。
暖かな太陽の日差しと涼しさを与える風に海の波の音。ただ寝転んでいるだけでも心が安らぐ。
いつの間にかうたた寝してしまったようだ。意識が浮上し始めた時、ちょうどやってきたのだろう、すぐ傍から島唯一の男の声が聞こえた。
「エレナさん。ご注文の品、お持ちしましたよ」
「ん……」
やさしげな声。少し低音で落ち着く物腰の声だった。
右手で目元を擦りながらエレナは意識を覚醒させ、寝転んだまま寝ぼけ眼で左側を見る。そこからシオンが前かがみに顔を覗き込んでいた。
差し出されているのはお盆に乗ったグラス。鮮やかな色のジュースが中身として入っている。
来てくれたのだと理解し、いつもの柔らかな物腰に何も問題なんてないではないかと微笑み、体を起こしてグラスを受け取る。冷たい氷が入っているため指先に感じる温度はひんやり冷たく、徐々に目が覚めるようでくすりと笑う。
エレナはシオンの顔を見つめて礼を言う。聞いていた噂は嘘だったのかと思いながら。
「ありがとう、シオン。なんだか今朝は騒がしかったようだから来れないかと思ったけれど、見たところ元気そうね」
「はい。もうすでに解決しましたから」
「あらそうなの。それはよかっ――」
ストローへ唇を触れさせ、ジュースを飲もうかと思った直後。エレナの動きはぴたりと止まった。
視線は、背筋を伸ばしたシオンの股間へ向かっている。つい先日までそこにあったはずの水着がなくなっているのだ。
つまり彼は今、全裸でエレナの視線を受け止めていた。しかもそこはなぜかギンギンに勃起しており、体は直立不動だというのにびくびくと震えている。
思わず瞬きを繰り返す。何度目を閉じ、目を開けようと目の前の光景は変わらない。
理由は全く分からない。なぜかシオンは全裸で、逸物を勃起させて、隠そうともせず目の前に立っている。一体どういうことであろうか。
言葉では表せないほどの驚きを抱きつつ、けれど至って冷静に、エレナは当たり前のように仁王立ちする彼を見つめ、素直な疑問をぶつけてみた。
「シオン。あなたなぜ裸なのかしら?」
「え? なぜ、と言われても」
「理由もないのに裸になっているの?」
「気持ちいいからです」
あくまで平然と、何を決まりきったことなど聞いているのだと言わんばかり、別段恥ずかしがる様子もないシオンが答える。
くらりとめまいがするようだった。何気なく額へ手をやったエレナは目を閉じ、幾分眉間に皺を寄せる。
気持ちいいから裸になった。確かにそう言われたのだ。なるほど、理由はきちんと伝えられている。しかしその言葉だけではいかに聡明な彼女でも納得しきれなかったらしい。
グラスを傍らのテーブルへ置き、体の向きを変えて彼と正面から向かい合い、とはいっても座ったまま、今度はエレナもきちんと彼に向き合う。
どうやら奇行が始まったという噂に間違いはなかったようだ。
一体なぜこんなことになったのだろうと考えつつ、尚も胸を張る彼の顔を集中して見る。
「そう、それはよかったわね。でもねシオン、あなたも知ってると思うけれど、世の中の大人は気持ちいいからという理由だけで公共の場で裸になれば逮捕されるのよ。あなたが生まれ育った日本でもそうでしょう?」
「ああ、そうですね」
「わかってもらえて嬉しいわ。だからせめて水着くらい着た方がいいんじゃなくって? 前に着ていた水着も、肌の露出が多くて十分気持ちいいんじゃないかしら」
「いえ、それは違います。両方体験したからわかりますけど絶対こっちの方が気持ちいいですよ」
「どうして?」
「やっぱりチンポが出てるからじゃないですかね」
「私はそれが問題だと言ったのよ。たった今」
胸の下で腕を組んでため息をつく。するとビキニに隠されたエレナの胸が揺れ、明らかにシオンの鼻の下が伸びた。露わになっているペニスも元気に揺れている。
以前に見たはずの彼とは何もかもが違う。出会ったばかりのシオンと言えば、礼儀正しくて初心なところがあり、非常に好感が持てる真面目な青年だったはず。
島に来てまだ数日。一体何がここまで彼を変えてしまったというのか。
思い当たらない節がないわけでもないが、だからといってあまりに大きすぎる変化に上手く思考がついていかず、気をつけようと思っても眉間に皺が寄ってしまう。
「そうね、別に悪いことだとは言わないわ。開放的な気分になってしまう島ですもの。あなたを強く責めはしない。けれど、外で裸になるには場所に気を付けた方がいいんじゃないかしら。例えばあなた以外誰もいない場所で裸になるのは構わない、でも誰かが傍に居る時は水着を履くとか」
「はぁ」
「納得してくれた?」
どうも納得していない様子の顔と声のシオンだったが、エレナは気にせず強行することとした。
彼女もすでに大人、年下の青年が全裸で勃起しながら話しかけてきたところで冷静さを失うことはなかったものの、やはりこのままではいけないと思っているのだろう。少し叱るような口調で彼に注意を促す。
しかしシオンはわかっているのかいないのか、顎に手を当てて何やら考え始めた。
全裸で勃起しているというのに真面目な表情。笑みを浮かべて彼を安心させようとしたエレナですら、馬鹿馬鹿しい光景だと思っていた。
「うーん、でもそれはそれで困る気もしますね」
「あら、どうして?」
「確かに一人になっても気持ちいいんです。暖かい太陽の日差しとか、海の方から来る風とか、普段直接触れないようなものが触れてくるのってすごく興奮して、あぁ、今僕外で裸になってるんだなって」
「私にはあまりわからない感覚ね。でもいいわ、続けて」
「でもねエレナさん。僕が思うに、それだけじゃいけない気がするんです」
「どういう意味?」
「一番興奮するのはやはり、誰かに見られてる時だと思うんですよ」
「あなたはもうどうしようもないわね」
ぐっと握り拳を作り、良い笑顔でそう告げたシオンには開いた口が塞がらない。
エレナは考える前にめんどくさくなってにこりと微笑みかけ、彼を真人間に戻すための説得など早々に諦めた。
「やっぱりこう、見られるっていうのはすごく良い刺激だと思うんです。大きいと言われたらそれはそれで嬉しいし、小さいと蔑まれたらそれはそれで気持ちいい。つまりどっちに転んでも隠す意味なんてないんじゃないかと。男のチンポなんて人それぞれで大きさも長さも違うんだから、見られてなんぼじゃないでしょうか」
「違うと思うけど、あなたがそう思うなら無理に否定はしないわ」
「同意してくれますか! いやぁ、やっぱりそうですよねぇ。大体ジーンズ履いてようが水着履いてようが勃起したらどうせバレるんだし、もういいんですよ。見せればいいじゃないか、見てもらえばいいじゃないか。それで冷たい目で蔑まれたら、それだけで十分なご褒美じゃないか!」
「すごいわねシオン、そう思えるのはあなただけよ。他に居たとしてもきっと少数」
「エレナさんはどうですか? 僕のチンポ見てどう思ったんでしょう。ぜひとも感想を聞かせていただきたい」
「ノーコメントよ。さすがにそこまでふっきれてない」
何を話しているんだろう。自分と相手の発言を思い返してエレナが不思議に思う。
確かに俗世間を離れて天国のような島へ来たはずだが、あいにく自分はまだ人間をやめてなかったはず。にもかかわらずこの意味のわからない問答は一体何なのだろう。
もはやジュースを飲む気にもなれず、目の前の彼も去ろうとしないので仕方なく相手をする。そうしながらも思うことがあった。
ひょっとして彼は、自分を抱きたいのだろうかと。試しにじっと見つめてみたペニスを視界の中心に置いて考える。
体を委ねるほど深い関係ではない。しかし何やら全体的におかしくなっている彼は自分を抑えきれていないようだし、何よりおかしくなる前まではあまり女性とも関わりを持たないような真面目な人間だった。抑圧された性欲が一気に爆発した結果ならば、ひょっとしたら自分も体を狙われている一人なのでは。ペニスだけを見つめて思う。
何も言わずにじいっと見つめ、シオンが悦に入っているのも気付かずに想像してみる。
流石に男を知らない年齢ではないが、前に恋人が居た時などいつのことだろう。思い出すのも嫌になるほど前のことだった気もする。
エレナは巨大な会社を纏めあげる社長だ。自分のプライベートを削って仕事をするなどざらにあり、いつしか自分をないがしろにするようになっていたようにも思う。恋人を作らないのもそのせいだった。
前に男に抱かれた時など思い出せない。ふと冷静になって考えてから、ゆっくりと自分の思考から浮上していく。
考えながらぼんやりしていたのだろう。いつの間にか目の前でシオンが己のペニスを手で扱いていた。
「ちょっと。あなた何をやってるの?」
「い、いえ、ちょっとエレナさんの視線を受けながらオナニーを……うぅ、はぁ」
「本気? 外だとか言う前に知人の女性の前で自慰をするなんて」
「あ、お気遣いなく。僕自分でイクのは得意なんで。うぁぁっ」
「不思議ね。あなたと話してると考えるのが嫌になってくる。これって仕事を忘れて休めてるってことかしら」
どこか憮然とした様子でエレナが言う。シオンは尚もペニスをゴシゴシと扱いていた。
竿を握る手が上下する度、余った包皮がずりずりと動く。赤々とした亀頭が見えたり隠れたり、大量のカウパーを溢れさせながら、面白い光景だ。
へぇ、とエレナが感心する。思えば男性の自慰行為など見たことがない。知識としては知っていても自分の目で見るのは初めてだった。
考えることが面倒になったついでにしばし観察する。腰を小刻みに動かしながらも、浅ましくもペニスが自分の手で悦んでいた。
「ふぅん、男性はこうやって自慰をするのね……そういえば私も、人生で数えるほどしかしたことがないわ」
「はぁはぁ、エレナさんが見てる、僕の勃起チンポ見られちゃってる……!」
「見られてるというより、私の方が見せつけられてるような気がするけれど。あなたにとっては真実なんてどうでもいいのかしら」
「あぁぁっ、気持ちいいっ! 見られながらオナニー気持ちいいっ!」
「聞いてないのね。まぁいいわ」
長い脚を組み、肘をついて手に顎を置く。そのままじっと見つめ続けてみた。
シオンの顔は真っ赤になり、緩んだ頬はだらしなく、嬉しそうにペニスを扱いている。それが本当に幸せそうに見えたのだから不思議なものだった。
思い返してみて、今まで彼がそこまで幸せそうにしている顔など見たことがあっただろうか。笑顔なら何度も見たことがあるが、たった今目にした笑顔を見た後では、今までが他人を気遣って無理やり作っていたのではとすら感じてしまう。それだけ現在の彼は心から幸せそうにしていた。
おかしなものだ。誰からも好かれる頃には幸せそうでなくて、誰からも妙な目で見られるだろう今の方が幸せそうだなんて。
「ねぇシオン、さっきのあなたの持論。あれは女性にも当てはまるのかしら」
「え? どういうことでしょう」
気付けばそんなことを口走っていた。
必死にペニスを扱くシオンとそれを見つめる自分。傍から見ればなんともおかしな二人組だろうな、なんて想いつつ。
ひょっとしたら自分が命令しているのだと思われてしまうかもしれない。脚を組んで、偉そうに一人だけイスに座ったりして。彼が来る前からの体勢だったから仕方ないのに、きっと周りの目があればそうなるだろうとも思う。
知らぬ間に楽しくなっている自分がいた。ここまでのバカが相手だと気分が緩むものなのか、全裸の男を前にしても危機感はなく、楽しみながら平然と話せている。
これだけリラックスしていれば、きっと良い休暇になるだろう。そんな気がした。
「裸を見られるのは良い刺激って話。体の形が違うのは男性だけじゃなく女性も同じでしょう? だから男性だけに当てはまる推論ではない気がするの。と言うことはつまり、あなたは私にも脱げと言うつもりかしら?」
「いえ、一概にはそうは言えません」
「あらどうして?」
「裸になればエロいみたいたこと考えてる人がいますけど、そうじゃありません。見えなくたってエロいんです。いやむしろ見えないからこそエロい状況だってあり得るわけです。例えばそう、むっちむちの体をちょっとだけ隠してるビキニとか」
「そうかしら。自分ではあまり考えたことないけれど」
「見えないからこそ見たいと、男は強く思うわけです。あぁその布切れ一枚の下はどうなってるんだ、と想像して妄想して、興奮します。かといって薄着であればエロいのかとかそういう単純なことでもなく、この辺は状況とおしゃれの具合で変わってきますが、厚着してたってエロい人はエロいんです」
「難しい話ね。じゃあ、今ここで私が裸になってもあなたは興奮したりしないのかしら?」
「物凄く興奮します!」
「話に矛盾がない? 結局裸になっても興奮するのね。ふふっ、それとも私だから?」
くすくすと大人びた顔で笑う。そんなエレナを間近に、いよいよシオンは射精感を堪え切れなくなっていた。
透き通るような白い肌に、金色のビキニのコントラスト。太陽の下で彼女だけはパラソルの影に入り、大自然の解放感も心地よい。
もはや一切の我慢もなく激しくペニスを扱きたて、エレナの全身を見つめながら目が血走っていた。
そしてついにその時を迎える。さらに一歩を踏み出して前へ出て、腰を突き出して少しでもペニスの先端を彼女へ近付けようとする。
「あぁぁっ、イクっ、イキますエレナさんっ! 精子大量に出ちゃいますぅ!」
「えっ、あっ――」
反射的にエレナは後ろへのけ反った。しかしそれで逃げられる距離ではない。
先端の割れ目からびゅっと勢いよく精液が飛び出し、エレナの胸へとかけられる。それだけでなく大量に降り注いだそれは腹や股を覆う水着にも飛び、当然とばかりに太ももへも多量に降りかかった。
シオンは満足そうに息を吐いた。徐々に固さを失くすペニスを尚も扱き、プールサイドへぼたぼたと精液を垂らしながら。
エレナは、呆然としていたようだ。体に精液をかけられ、犯人は謝るどころか満足げな表情。突然過ぎる事態に思考が上手く働いていない。
「ふぅーっ、気持ちよかったぁ。いやぁ、エレナさんの体がどう見てもエロすぎるものでつい――あれ? エレナさん?」
自分の体を見下ろす。見慣れた体に、自分の物ではない体液が付着している。
とろりと粘度があって臭い匂い。肌の上を這いまわるように重力に従って下へ向かい、垂れている。汗を掻くのとはまた違った感覚だ。
改めて間近に見て、さほど嫌がっていない自分に気付いた。
試しに指先で胸に張り付いた少量を掬いあげてみる。不思議と嫌ではない。気持ち悪がってもいない。
かといって好きなのかと言われれば、舐められるかと考えればそれも違うが、久々となる男の精液に恐怖心や抵抗はなかった。
指先をじっと見つめた後、エレナはゆっくりとシオンの顔へ目をやる。
「呆れた。自分の恋人でもない女性にこんなものかけるなんて」
「うぅ、すみません。ハッ!? ひょっとして僕、叱られるんですか? エレナさんにきつく叱られてしまうのでしょうか?」
なぜかハァハァと息を乱すシオンを凝視し、片時も目を離さない。
指先の上を滑った精液の塊が、糸を引きながらぽたりとプールサイドへと落ちる。
「あぁっ、叱られるんなら踏まれたり金玉を蹴られたりしてみたい。いやむしろ何もされない系? して欲しいのにされないという焦らしもあり?」
「叱ったりしないわ。あなたを喜ばせるだけでしょうし」
「えー、叱らないんですか?」
「残念そうね。やっぱり怒鳴らなくてよかったわ」
塗りこむように肌の上を撫で、ねっとりと絡みつく精液で遊ぶ。
なぜそうしていたのか自分でもわからない。ただ、きっと常夏の日差しにあてられたシオンに感化されたか、或いはおかしな姿と思考の彼自身にあてられてしまったのだろうと考えれば納得できた。
いつしか体が火照るようで。久しぶりに間近に感じた男に興奮してしまったようだ。
わずかに目の色を変えたエレナは濡れた指先を口元へ運び、熱くなった息を当てた。
日差しのせいではない。彼女はパラソルの下に居る。徐々に強くなる熱は自分自身の内側から溢れてくるものだ。
ついに最後の一線、精液がついた指先に舌を這わせる。
興奮した面持ちでペニスを勃起させたシオンを挑発するかのように、薄く笑うエレナはわかりやすくちろちろと指を舐めてみせた。
「また勃起しちゃったの? こんなに出したのに満足できなかったようね」
「それはもちろん。エレナさんのエロボディを見てたら何度だって勃起できますよ!」
「正面から堂々と言われてこんなに困ったことはないわ。それにエロボディなんて」
「最大級の賛辞のつもりです」
「ありがとう。嬉しいかどうかは別として」
指を口から離し、ふふっと小さく笑う。
その直後、ゆっくりと組まれた脚が解かれ、股が開かれていった。
誘っているとしか思えない表情と姿勢。暴れる性の化け物となったシオンに我慢ができるはずもなく、迷う素振りもなく視線はそこへ注がれて目が血走り、思わずゆっくりとだが顔を近付けようとすらしている。
エレナはそんな彼を制止しようとはせずにそのまま見つめ、楽しげに声をかけた。
「私を抱きたいの?」
「はい! もちろん!」
「ふふ、素直なのね。でもね、私もしばらくしてないの」
「大丈夫です! 僕が満足させますから!」
「そう。そこまで言うなら、お願いしようかしら」
股間を覆うビキニへそっと指先を這わせ、わずかに力を入れて押してみる。
普段よりも熱があり、少しだけ湿っているようにも感じる。自分で思っている以上に興奮していたようだ。
「あなたの自慰を見てその気になっちゃったみたい。シオンのペニス、入れてくれる?」
「もちろんですとも!」
誘いに乗ってシオンががばりとエレナへ抱きついた。
力強く抱きしめ、豊満な胸に顔を埋め、精液で汚れることすら厭わない。女体の柔らかさを確かめるべくぐりぐりと顔を押しつけた。
非常に幸せそうな表情である。呼吸は荒く興奮しきった様子で、されるがままのエレナも苦笑していた。
「ハァハァ、エレナさんのおっぱい……!」
「ふふっ、もう少し落ち着いて。誰も逃げたりは――あっ」
「んんんんっ、エレナさんの香りがっ、こんなにっ」
首筋に吸いつきながら金色の髪の匂いを嗅ぎ、やけに強くペニスを彼女の股間へ押し付ける。我慢できない様子はまるで発情期の犬のようだ。
彼女は慌てずシオンを抱きとめてやり、自らの指で秘所を隠すビキニをずらし、彼のペニスに手を添えた。
挿入を促すべく先端を膣の入り口に当ててやる。途端にシオンは目を見開き、思い切り腰を前に突き出して膣の中へ入りこんだ。
少し潤っていたとはいえ、まだ固さが残る感触。多少の痛みは伴ったがずるりと奥まで亀頭が進み、エレナは唇を噛んで目を閉じ、だらしない表情のシオンはびくびく震えてとても心地良さそうだった。
「あっ、あぁぁぁ、気持ちいいっ」
「うぅっ、くっ……んっ、まだ少し、早かったかしら」
「はぁっ、エレナさん、エレナさんっ――!」
両手でしっかりと乳房を掴み、唇をしっかりと塞いで、初めから全力で腰が叩きつけられた。
ぐちゃりと肉が動く音が聞こえ、固くそそり立つペニスで体内を荒らされたエレナの体に力が入る。
想像していた以上に強かった彼の腰使いは驚くほど膣内を敏感にさせ、思いやりを感じる暇もないというのに強い快感が伴っている。痛みも次第に薄れていくようだ。
自然と呼吸は荒くなり、しかし口を塞がれ舌を絡められているため、鼻息ばかりが荒くなった。
「んんんっ、んふぅー、んふぅーっ……!」
「ふぅんっ、んんっ、んふっ……」
堂々と外で、プールサイドで繋がり合う二人。解放感が凄まじく、興奮はいまだ治まるところを知らない。
激しく腰を打ちつけ、ひたすら快感を貪った。
大きな水音が辺りへ響き、止められることなく広がっていく。
エレナは一度、逃げるようにキスをやめた。首を振ってシオンの口から離れ、思い切り口から息を吸う。
その間も膣内は固いペニスが素早く出入りし、大きなカリ首がいちいち引っ掛かって、亀頭が子宮の入口を叩いた。
自分でも意識せず高ぶりが大きくなっていき、気付けば知らぬ間にエレナの腕は彼の背中を強く抱きしめ、爪で傷跡を残してすらいた。
「はぁっ、んんっ、は、激しいっ……!」
「おおおっ、エレナさんっ、すごいですっ! すごく気持ちいいですよぉっ!」
「くぅ、ふっ、あぁぁっ……」
シオンの動きは落ち着くどころか、さらに激しくなろうとしていた。
唐突に自身へ抱きつくエレナに体の向きを変えさせ、彼女を背後から抱きしめる。チェアの上で四つん這い、その後ろからシオンが覆いかぶさり、動物のように腰をぶつける。
激しく揺れる睾丸が彼女に当たって乾いた音を立て、ますます興奮度が高まるかのよう。
まさしく二人は今ばかりは人間であることを忘れ、一匹の雄と雌になっていた。
野外という開放的なロケーションでただ性欲のみに執着し、これまで培った経験もモラルも捨て、膣から全身へ波紋のように広がる快楽に犯される。それがとても気持ちいい。
今までの人生で、様々なことを経験したエレナにとっても初めての感覚だった。
「あぁっ、んっ、あっ、あっ……あぁだめっ、おかしくなりそう……!」
「くぅぅ、エレナさん、気持ちいいですよ! エレナさんのおまんこ最高です! 柔らかくて絡みついてきて、あぁ早く射精して精液注ぎこみたい!」
握っていた胸から手を離し、両手で腰を掴んで腰を振ることに集中すると、今まで押さえられていた乳房がぶるぶると激しく揺れていた。
背後から見ていてもしっかり確認できる大きさ。下半身がぶつかる度に衝撃のまま揺れ、それが見ていて気分が良くなる。
幸せそうに頬を緩ませたシオンは俯いて嬌声を発するエレナの後頭部、垂れる金髪、白い背中、そこから垣間見える弾んだ乳房によってまたペニスを固くさせた。
「んんっ、んっ、あっ、あっ――!」
「あぁぁ気持ちいい。うぅぅ、出したいけど、ずっとこうしてたいなぁ」
「はぁっ、あっ、あんっ、す、ごい……!」
叩きつけるようにペニスが突っ込まれていたが、徐々に速度が緩やかになり、ゆっくりと止まろうとしている。
大声で喘いでいたエレナだがそうなると不思議そうに表情を変え、息も絶え絶えに背後を振り返った。
じっとりと汗を掻いて肌がきらりと光り、尚のこと美しさが増したと見える。気のせいかもしれないが、シオンは満足げに深呼吸し、ついに完全に動きを止めてしまう。
「むふーっ」
「んん、はぁ……どうしたの? 疲れた?」
「いえいえ、まだいけますとも。ただせっかくエレナさんとの初セックスですし、もうちょっと色々したいなぁと思いまして」
「んっ……例えば?」
「じゃあまず立ちバックをしましょう! さっきからおっぱいが揺れまくってるのが気になってました!」
「ふふ、もっと見たいの?」
「はい!」
「正直ね。それじゃあ、いいけど、あんまりやりすぎちゃだめよ。揺れると痛くなっちゃうから」
「気をつけます!」
繋がったまま、シオンの動きに従ってエレナがチェアから脚を降ろし、立ちあがった。
互いに背を伸ばし、ふぅと息をついて。ほんの一瞬落ち着いてからまたゆるりと腰が動き始める。
「んっ……これでいい?」
「はい、最高ですっ。あぁでも、もっと色々してみたい気も……!」
「はぁ、ふぅ、いいのよ。この島なら時間はたっぷりあるから。ゆっくり楽しめばいいじゃない」
「はいっ、そうですよね! じゃあ遠慮なく!」
括れた腰をしっかりと掴み、ぐいと強く腰が前後し始めた。
途端にまた睾丸がぶつかり、パンっという音と共に水音が発して行為が再開する。二人の表情もすぐに変わった。
どちらも快感を得て満足げな様子。
今度は我慢せずに激しくペニスを出し入れする。だんだん余裕がなくなってきたエレナの膣からはわずかに潮が噴き出していた。
「あんっ、あっ、あっ、あっ――だ、だめぇっ」
「おおおおっ、やばいやばいイキそうだっ!」
プールサイドにぽたぽたと滴が落ち、水たまりを作るよう。
一心不乱にぶつけられる腰は尚も止まらず、しばらくは嬌声のみが広がる。淡々とした動きのまま時間だけが経った。
邪魔する者はない。密室に居るわけでもないのに二人きりの空間。
青空の下で性交していることを咎められないのはまるで自分たちが地球最後の人間なのではないかと思えてくる。気分はアダムとイヴであった。
気持ちの高まりは抑えられず、二人が抱き合う姿は恋人にも近い。
「うううっ、もうイキそうっ。イキますよエレナさん、中出ししますっ! 孕んでください! 僕の子供産んでくださいっ!」
「あぁんっ、ちょ、ちょっと待って――ふぁあっ!?」
「うぅぅーっ、せ、責任は取りますから! 結婚しましょう! ね! 僕と結婚しましょうエレナさん!」
「あっ、そんな、あっ、あっ……!」
大きな音が鳴る尻が揺れ、いよいよラストスパートがかけられた。
シオンは荒々しくエレナを責め立て、彼女を絶頂へと導く。一方で自らも射精の予感を感じていた。
「うおおっ、イクっ、イキますぅっ!」
「はぁっ、あぁぁっ――!」
ゴツっ、と子宮へ亀頭がぶつかった途端、勢いよく精液が放たれる。
勢いよく大量に放たれるそれらは子孫を残すべく子宮の内側を目指し、しかし納まりきらずに逆流してくる始末。
びゅっと外へ勢いよく洩れでて、繋がったままプールサイドへ精液が落ちた。
二人はびくびくと震えたまま動かず、背伸びをするように脚を伸ばして気をやる。息をつけたのは数秒、じっと静止してからのことだった。
「あっ、はぁっ、んっ……す、すごい量。こんなに、んんっ、中に出されるなんて……」
「はぁぁぁっ、気持ちよかった……でもまだやりたいないです、エレナさん。もっとこのおまんこで射精したいです」
「あっ、ちょっと」
射精したばかりなのにも関わらず、いまだシオンのペニスは衰えを見せない。エレナの膣の中で固くそそり立ったままだった。
これにはエレナも驚くばかり。だが尚も勇ましい彼の姿に、先程の絶頂の名残に頬が緩み、更なる快楽を得られるのだと知って嫌な気はしなかったようだ。
またゆるりと腰が動き始める。鼻息は荒く、興奮は途絶えない。
「んんっ、気持ちいいですよエレナさん。今度はエレナさんが上になってください。僕、そこに座りますから」
「はっ、んっ、あっ。い、いいわよ」
またしても繋がったまま位置を変え、シオンがチェアへと尻を降ろし、エレナもその上へ。
軽くエレナの腰が上下しただけで、剛直なペニスがずるりと出入りして混じり合った体液が落ちた。
二人は体勢を変えて快楽を貪ることをやめなかった。今やエレナも楽しむ様子で自ら腰を振り、彼のペニスを刺激してシオンの顔を蕩けさせている。
そうして動いている最中、何かを思いついたらしいシオンが言った。
「はぁっ、エレナさん、こっち向いてくださいっ。おっぱい、おっぱい欲しいですっ」
「んっ、こ、このまま? もう、仕方ないわね」
少し眉をひそめたエレナだが、接合を解かずに体だけを回そうと動く。彼の意図することを理解しているらしかった。
ペニスを基点にぐるりと回って今度は正面から。豊満な乳房で顔を挟みこみ、再び背中へ腕を回して尻を跳ねさせる。
同じ膣でも感触が変わるようで心地よい。
ずこずこと下から突き上げ、たわわな体が大きく揺れる。まさに至福の一時だった。
シオンの顔はさらに緩み、すでに怖いものなしと言わんばかりの態度。彼女の尻をしっかり掴んで離さない。
「くぅぅ、最高だっ。ねぇエレナさん、気持ちいいですか? おまんこもうとろとろですよねっ」
「あんっ、んっ、んふっ、き、気持ちいいわ……」
「はぁ、じゃあもういいですよねっ。これからたくさんセックスしましょうね。僕たち相性ばっちりなんですからっ」
「うんんっ、ふぅっ、あぁっ……そ、そうね。それも、いいかもしれ、ないっ――」
強く抱き合った性交はなんとも心地よく、意識を集中すればすぐに気をやってしまいそうなほど快楽が伴う。
どちらも全身に汗を掻いていた。互いの体液にまみれて尚気にすることなく続く性交。動物のようだという感覚が尚のこと強くなる。
「またイッちゃいます! エレナさん、中に出しますよっ! うぅ、うぅぅ、孕めぇっ!」
「あぁぁっ、あぁぁぁっ!」
今度はぴたりと息を合わせて絶頂へ到達し、再び膣内に射精が行われた。
勢いよく放たれたのだがそのままの勢いで逆流し、びゅっとプールサイドへ放たれていた。
全身が震えて意識が揺れる。途方もない快感で今までに味わったことがないものだ。
荒れた呼吸を整えるため、腰を止めて強く抱き合う。そのまま動かず、ただねっとりと舌を絡めて余韻を感じた。
「んんっ――」
数分間、体を微塵も動かさずに舌だけに集中する。深いキスが長く続いた。
呆れるほど落ち着く時間だった。これまでの男に感じたことがない安堵。頼りがいがある、と言ってもいいのだろうか。
ともかく最高の性交だったことに間違いない。二度の絶頂を経た今、エレナは確かにそう思う。
「んっ……満足できた?」
「いいえ、まだまだ!」
「あらそうなの? もう、本当に強いのね。んんっ、確かに、固いまま……」
「今すぐにでもできますよ! というわけで続きしましょう、続き! 今度はプールの中なんてどうでしょう!」
「あんっ、そんな急に……あぁっ」
ぐっと指が埋まるほど強く尻を掴み、彼女を持ちあげて立ちあがった。
驚くエレナを落ち着かせる暇もなく下から突き上げながら歩き出し、軽々とプールの淵まで運んでしまう。
しかし流石にそこでまずいと思ったか、ようやく接合が解かれ、エレナの脚が地面へ着く。
並んで立った後、二人でゆっくりとプールの中へと入っていった。肌の表面には汗が浮かび、股からは男女の体液が混じり合って流れ出る状態。
プールを汚してしまうのでは、と気付いたのは冷たい水の中に入ってしまった後のことだった。とはいえエレナの笑みが曇るわけでもなく、赤ん坊のように乳首へ吸いついてくるシオンの頭を撫でながら、ひどくやさしげな声色だ。
「このまま入ってしまっていいのかしら。あなたの精液、プールに広がっちゃうわね」
「はぁはぁ、いいんじゃないでしょうか。それはそれでなんだかすごくいけないことをしている感じが……!」
「ふふふ、確かに。もう私たち、こんなことまでしちゃってるのだし」
水中でペニスがぐいぐい腹の辺りへ押し付けられている。相変わらず興奮しきって我慢できない様子だ。
仕方ないな、と思ってしまう程度には絆されてしまったらしい。エレナは嫌がるつもりもなく彼のペニスに手を添え、自らの膣に宛がった。
「もう一度、する? 水の中でなんて初めてだけど」
「もちろんしましょう! 初めてなら尚更!」
「仕方ない子ね。それじゃあ、ここに――」
そうやってエレナの主導でペニスが挿入されようとした時、どこからともなく声が聞こえてきた。
「シオンさん、少し話が違いますよ」
凛とした、どこか怒ったように聞こえる声。それが聞こえた直後にプールに大きな水しぶきが立ち、隅に居た二人も頭上から大量の水をかぶる。
何事かと思ってそちらに目をやれば、プールの中央へ飛び込んだのはビキニ姿の紅葉だった。
長い髪がしっとり濡れ、顔を隠してしまうせいで表情が上手く読み取れない。ただし、きゅっと結ばれた唇から怒っているらしいことだけは理解できた。
エレナはぽかんとした表情、対称的にシオンは何やら慌てている顔であった。
「も、紅葉さんっ!? なぜか殺気を感じますが一体どうしてっ?」
「私、確かに浮気は許しました。シオンさん、えっちな人だから仕方ないかなって。でもシオンさん、さっき、結婚しようって言ってましたよね。私と結婚する約束したのに」
「ハァッ!? そういえば言ってしまったような気が! でもそれはエレナさんのおまんこが気持ちよすぎるせいで……!」
「あら、私のせいなの?」
「浮気は許しても、他の人との結婚なんて許せません。シオンさんのお嫁さんになるのは私だけです」
やけに鬼気迫る顔つきでぶつぶつ呟きつつ、水面を揺らしながらにじり寄ってくる紅葉。そんな彼女を見てシオンは青ざめてひぃぃと悲鳴を上げていた。
上手く状況が呑みこめない気もするが、とりあえず修羅場なのだろうということだけは理解できる。
何やら危なそうだと感じたエレナはそっとシオンの傍を離れ、当事者とならないことを決めたらしい。
ずらしたビキニを戻し、股を覆って、それからプールサイドへ上がって二人に背を向けた。
「なんだか私はお邪魔みたいね。あとは二人で話し合ってちょうだい」
「待って下さいエレナさん! まだ水中セックスの初体験が終わってない――!」
「水の中でしたいなら私がお相手しますよ、シオンさん。浮気相手ではなく妻である私が」
「あぁっ、目が怖い!? この目どこかで見たことあるぞ! 病んだ時のかすみさんと同じだ!」
「シオンさんのお嫁さんは私です、私だけでいいんです。妻と呼ばれるのは、私一人なんですから――」
物々しい雰囲気で聞こえるばしゃばしゃという水の音を背後に、くすくすと微笑むエレナは楽しげにその場を後にした。
冷静になってみればなんだか雰囲気に呑まれていただけのような気もするが、悪くはない。今思い返しても充実した時間だったと思える。
久しく忘れていた女としての喜び。彼はそれを思い出させてくれた。
ザックアイランドに来て少しばかりおかしくなってしまったようだが、窮屈そうにしていた以前よりも自由奔放で自分に正直な今の方が好感が持てる。先程のひどい姿を見ておきながらそう思ってすらいた。
またお願いしようか。どの道結婚も考えていない以上、そんな楽しい計画を脳内で立てつつ、ふと目についたの屋外のシャワースペースへ立ち寄る。
隔てる物も何もない、本来は水着を着たまま水を浴びるための場所。ただぽつんとシャワーが伸びるだけのそこだ。
シオンの姿を思い出し、くすりと笑ったエレナは、何を想ったかビキニを脱ぎ去ってそこへ立った。
シャワーから水を出し、頭から浴びる。白昼堂々、誰に気を遣うでもなく全裸になって。
「あぁ、気持ちいい……彼の言っていたことや気持ちも、わからなくはないわね」
不思議な解放感。太陽の日差しと柔らかな風、そしてシャワーから降り注ぐ冷たい水を同時に感じる幸福感。なんともいえないものがある。
腹を押さえればそこには確かに彼が放った精液があって、股から今も垂れ流れるのは彼との性交の証明で。
楽しげなエレナは一通りに汗を流し終え、シャワーを止めた後、置いていた水着を手に取って歩き始める。もう一度身に着ける気はない。
まるでシオンを真似るよう、堂々と胸を張って裸で外を歩き、エレナはひとまず自分が泊まるコテージへ向かっていった。
日の光を浴びて、水滴を纏った白い肌と金色の髪が美しく輝き、同じだけ彼女の笑顔も輝くようだった。