白く長い髪のツインテールに銅銭で作られた眼帯。ある一時を除いて常に冷静沈着な彼女の忍としての名は、柳生という。
半蔵学院の忍クラスに所属する一人で、同クラスの少女、雲雀にしか興味を示さない変わった人間だ。
成績は優秀、クラスメイトとの仲も良好。ただ一つの問題を上げるとすればまず真っ先に思い浮かぶのが、その雲雀への執着心の高さだろう。昔亡くなった妹に似ているとかで、決して他の者へは見せない緩んだ表情が雲雀にだけ見せられるのである。
しかしここ最近、そんな彼女に変化があったというのだ。一番初めに言いだしたのは、その柳生とよくいっしょにいる雲雀だった。
他人の前ではよく仏頂面を見せることが多かった彼女だが、近頃は若の家に赴く時もやけに緩んだ表情を見せるらしい。確かな筋からの話なので、仲間たちは決して疑おうとはしなかった。
だがお互いの時間を邪魔しないようにと決めているため、確認できないのも事実。
果たして本当に柳生は、雲雀に見せるような顔を若にも見せているのかどうかは、当の本人たちにしかわからないことなのである。
「んんっ……あぁっ……若……」
これも当人の二人しか知りえないことだが、近頃の柳生にはハマっていることがある。それは若といっしょにいる時にしかできないことだ。
基本的に、日替わりで若の護衛に就く者は彼の性処理も担っている。もちろん、本人の意思にそぐわない場合は強制されることはない。今のところ全員がその任を受け入れている。
そんな中の話。ここのところ柳生はある体験に目覚めたらしく、事あるごとに若へとその行為を迫っているようだ。
今日も彼が住む屋敷へ到着して早々、リビングにある背の低いテーブルの上に座った彼女は、股を広げ、若干の汗を吸う己のショーツを若に舐めさせていたのである。
「あっ、若、そこだ……もっと強くっ……」
「ん、こうか?」
「あぁっ、そうっ、それ……!」
べろりと伸びる赤い舌が、薄い青の水玉模様の布へと触れて、いやらしく何度も上下に往復する。
今、若の舌が触れているのは小さな陰核、すでに勃起している柳生のクリトリスだ。
さほど目立つ様子ではないとはいえ、舌で触れれば布越しでも感触がわかるそれは柳生の弱点でもあるらしく、若の動きに応じて小さな声がこぼれる。
舌先でつつけばぴくりと震え、大胆に舐めれば大きく息を吐き、唇を寄せてちゅっと吸いつけばあまりの衝撃に息を飲む。若から与えられる刺激で一喜一憂する柳生は普段では見れないほどの百面相を披露しており、すでに頬は真っ赤になっている。
近頃の柳生の趣味。それは若から全身を舐め清められることにある。
一人前の忍となるための厳しい修行を終え、その結果流れた汗がしみ込むこととなった下着が若の口へ触れている。本来であれば最も隠したがるそれが、今は彼の眼前に晒され、あろうことか顔を寄せられて触れられている。
柳生にとってはそれが快感なのだ。加虐的な発想なのか、それとも被虐的な発想なのかはわからない。ただ少なくとも、学校から直接若の家へ赴いた柳生が着替えもせずに彼へと迫ったのには理由があるのだろう。
実際、自身の股に顔を埋められている柳生はひどく満足そうな表情で、もっと強く押しつけさせようと若の後頭部に片手を置いている始末だ。
「はぁぅ、若、今度は、吸ってくれ……音が鳴るくらい、強くっ」
「わかった。ここでいいんだな」
「はぁぁ、そこぉ……もっといっぱい――」
わざと唾液を分泌させた若がずずっと音を立ててクリトリスへ吸いつくと、柳生は長いツインテールをふわりと揺らしながら首を逸らした。
現在、いまだ彼女は制服姿のままだ。傍から見れば着崩したりもしていない、れっきとした学生の姿。なのに今は、若とこれほどまでに淫らな行為に耽っている。
大なり小なり匂いがするはずの下着と、己の最も恥ずかしい部分を舐められながら、気分はますます高まっていくかのようだった。
ふと、柳生は若へ離れるように手の動きだけで伝える。頭を引っ張られてようやく唇を離した若は口の周りを自身の唾液で濡らしていて、それがまた柳生の心をぞくりと震わせた。
彼女は行儀も悪く食卓の上に尻を置いたまま、右足に履いていた長いソックスを脱ぎ棄てる。そしてごくりと喉を鳴らしながら、恐る恐るその足を伸ばしていくのだ。
「わ、若……次は、こっちを頼む。若の舌で、きれいにしてくれ」
命令なのかお願いなのか、自分ですらよくわかっていない。だが少なくとも若には伝わり、彼は迷う様子もなく小さく頷いた。
ゆっくりと動いた若の頭が柳生の足へ近寄り、柔らかな唇が足の甲へと触れる。瞬間、柳生の背筋がぞくりと震えた。当然良い意味から来る感覚である。
次の瞬間には白く美しい、しかし一日の汗で匂いがあるはずの肌がべろりと舐められた。妙に色っぽく、艶めかしく動くそれは微塵の迷いも見せずにするすると肌の上を移動して、まず足の指へと辿り着いた。
一息に親指がぱくりと銜えられる。しかも動きはそこで止まらず、舌は誘うように蒸れたそこへ触れていく。指と指の間すらも丁寧に濡らされた。
若はこうした行為に嫌悪感を持っておらず、ひどく丁寧でやさしい動きによって柳生の足を清めている。おかげでその光景をじっと見ている柳生は心臓の鼓動をさらに大きくしながら頬を染め、知らぬ内に股を濡らすほど興奮していた。
親指が終わり、人さし指へ移動して、次は中指。そうして舌はすべての指に触れつつも止まることなく移動して、柳生の右足の指をすべてきれいに舐めとった。
だがそこで終わらず、足の裏やかかと、それだけでなく足首から膝の裏に至るまで、若は丹念に舌と唇で柳生へ触れる。
ごくり、とまたも喉が鳴る。同時に、もっとして欲しいという欲求が沸き上がっていた。
「若、まだお願いしてもいいか?」
自然と己の秘所へ指を伸ばしていた柳生が、ついに太ももまで到達していた若へ向かって問いかける。すると彼は心得たとばかりに小さく頷く。
言い知れない喜びが胸の内へ広がった。これはもはや歓喜と言ってもいい。
いそいそと動きだした柳生は残っていた左足のソックスも脱ぎ、そっと若の眼前へ突き出す。若は何のためらいもなくその足を手で受け止めた。
「こっちも、頼む。さっきみたいに舐めてくれ……」
「わかった」
上ずった声がそう言うと、自身の唾液にまみれた唇が再び足へと触れる。非常に丹念に、思いやりが込められた様子で舌が伸びた。
今度も時間をかけて足の全体が舐められていき、柳生がショーツをずらして直接性器へ触れ始めた頃には若の動きが終わる。彼女の両足にべっとりと唾液が塗りたくられ、縁側から差し込む日差しでうっすらと光っていた。
若の視線は自然と、柳生が自ら露わにしたそこを吸いこまれるように注視する。じわりと液が溢れだすほどに濡れた秘所は、わずかだが彼女の指先を呑みこんでいる。
指がふやけるほどの大量の愛液に、先程混じった若の唾液。彼女のそこはすっかり準備も万端で、来るべき時を待って疼いているようだ。
だが本人はそれよりも気になることがあるようで、じっと見上げてくる若を見てぞくりと背筋を震わせ、自らの膣を指で押し開いた。
「若、ど、どうしたい?」
自らがして欲しいことはすでに決まっているのに、虚勢を張った柳生は若を見下ろしてそう言った。
頬は綻び、顔は真っ赤で、普段とは違ってあまりにも感情がわかりやすい表情だ。だが、今度は自分からお願いしたりはしない。
彼女は聞きたくなったのだ。若が自らを求める、その言葉を。その口で、その目で、自分の体を求めてほしいと。
柳生のそんな願いが届いたのか、ぺろりと口の端を舐めた若は恥じらいもせずに告げる。
「舐めたい。柳生の体中、全部に触れたいんだ」
「そ、そうか。よ、よし、それなら――」
ためらいのない、本心からの声を聞いて嬉しそうに微笑んだ柳生は、自ら制服へと手をかけた。
焦らすように一つずつ、ゆっくりとボタンをはずしていく姿は何とも艶めかしい。まだ制服を着る少女でありながら、肉体は凹凸がはっきりとして女らしく、普段は男っぽいとすら思える話し方や態度をする彼女。外見や内面、あらゆる点でギャップが見られる。
着流しを身につけている若はすでに股間部分を大きく盛り上げていて、いつでも挿入は可能である。だというのに先延ばしを喰らうのは彼にとっても厳しいことだ。
だが彼は柳生の想いを、欲求を優先するつもりでいる。彼女の全身を余すところなく舐めつくし、彼女自身が満足するまでこの行為を続けるつもりだった。
白いシャツが畳の上に放られ、水玉模様のブラジャーとショーツも降ろされると、柳生はスカートだけを身に纏って残りは裸の状態となる。
大ぶりの乳房はゆさりと揺れて、ツンと立った乳首は桃色で愛らしく、まだ少女の頃を抜けきらない裸体。それが今、股間を隠しただけの姿で目の前にある。
無表情ながらも興奮を抑えられない若が自ら動きだすまでさほど時間はかからなかった。
「きれいだよ、柳生」
「うっ……真顔でそんなことを言わないでくれ。は、恥ずかしいだろう」
「本当のことだ。いつも思ってる。柳生はきれいで、可愛いよ」
「うっ、ぐっ、わ、わかったからやめてくれ……恥ずかしさで死にそうだ……」
直立不動で畳の上に立ち、ぎゅっとスカートの裾を握る柳生は、恥ずかしげに俯く一方で自ら足を広げた。
これが最近の彼女が一番気にいっている体勢だ。自身が立ったまま、若がスカートの中へ顔を突っ込み、下着ないしは直接股を舐められる。ひどい興奮と快感、その両方がいっぺんに全身を駆け巡る体勢だった。
今も事情を知る若はおもむろにスカートの中へと顔面を侵入させて、そのまま舌を伸ばして潤った秘所を舐めている。小さな水音が静かな部屋に響いて、しかしその姿はスカートの中身が見えない柳生には直接確認することはできない。
見えない場所で確かな快感が与えられ、崩れ落ちることは許されず、じっと立ったまま責められる。この時の柳生は露わになっている目を快楽で揺らめかせ、熱い吐息を吐いていた。
「うぅっ、はぁっ、あぁっ――きもち、いいっ……」
なんて気持ちいいのだろう。若の舌を己の股で感じている彼女は静かにそう思う。
思えばこれまで、あまり若の性処理を担うことに意味を感じていなかったのかもしれない。そもそもを言えば、柳生が若の家へ訪れるようになったのは、彼女が大事にしている雲雀という少女が自ら進んで若の性処理を行っていたからだ。
雲雀だけに辛い目は遭わせん、と意気込んだからこそ、柳生は若と頻繁に会うようになり、しかし当初は抱かれてすらいなかった。それがなぜ肉体を重ねるようになったか、もはや彼女は覚えていない。
だがそれでも思うことは、こんなことならもっと早くから抱かれておくべきだった、ということ。これほどまでに気持ちが良く、心地よく、夢中になってしまうのならば、もっと早くに知りたかったと。立ったまま秘所をねっとり舐められる柳生はそう思う。
気付けばすらりと伸びる白魚のような指は、若の黒い髪に触れていて、もっと己の体へ押し付けるように力を込めている。
我を失って覚えたばかりの性交に夢中になった柳生は自分で気付かぬままに、かくかくと小刻みに腰を振っていて、更なる快感を求めようとしていた。目を閉じて首を逸らし、うわごとのように呟くのはやはり普段の彼女らしくないものばかりである。
「あぁっ、はぁっ、きもちいい、きもちいい――若、若っ、うぅ」
「んっ、ふっ、むっ――」
必死に、丹念に舌を動かす若も目を閉じ、行為に集中していた。射精したい、柳生の膣へ肉棒を突っ込みたい、そうした想いを持ちながらのことだ。
唇で吸いつき、舌先で蜜壺をこじ開け、溢れ出る体液を飲みながら。若は柳生のために奉仕を続ける。
そうした彼のやさしさ、気遣い、丁寧な舌使いがすべて柳生へと伝わる。舌で触れられる股間から、じんわりと体が温まるかのように広がっていく。
柳生の喘ぎはますます大きくなっていき、若の頭を押さえつける手の力もさらに強まった。
直立不動だったはずが、背筋を曲げ、膝を震わせ、若へ触れる手に力を込めるのは、もうすでに限界が近かったからのようだ。
「はぁぁっ、若っ、もうだめだ――イクっ、イクぅっ! うぅ、うぅぅっ――」
びくん、と体を震わせた直後。膣内を刺激され続けた柳生は激しい絶頂を感じ、大量の潮を吹いて若の顔へとぶちまけた。
すぐに大口を開いて飲みこもうとする若だが、勢いのいい噴射を止めるには一足遅く、いくらかは顔を濡らし、ある程度は喉の奥へと通っていく。
自分の秘所に口を当て、喉を鳴らす若に対して柳生は顔を赤らめて困惑するのだが、決して嫌がることはなく、むしろ彼の頭を押さえる手にもう少しだけ力を加えた。
勢いよく飛び出した愛液が止まった後、脱力した柳生は呆気なくその場へ崩れ落ちる。すぐさま若が抱きとめていなければ、すぐ傍にあるテーブルへ頭を打ち付けてもおかしくはなかっただろう。
若が柳生を横抱きにし、二人は座って動きを止めた。まだ絶頂の余韻が引かない柳生が元に戻らず、荒く息を繰り返しながらぼんやりしているためである。
彼女の頭を撫でながらしばらく若が待っていると、ようやく回復した柳生は若の胸へと頭を寄せた。
恥じらいが混じる小さな声が放たれる。
「ん、ふっ――すまない、若。俺ばかりが気持ちよくなって……」
「いいさ。まだ終わりってわけじゃないだろう?」
「あ、ああ。若が望むなら、その……俺を好きにしてくれて構わない」
伏せ目がちにそう言い、恥ずかしくなった柳生は顔を俯かせる。
だが若はそんな彼女の唇を追い、ちゅっと軽く触れてからすぐに離れる。
それだけで効果はてきめんで、ますます赤くなって狼狽する柳生は若の胸へ抱きついて顔を隠した。
「柳生、まだ舐めてほしいところがあるんじゃないか? 俺を気遣う必要はない。して欲しいこと、なんでも言ってくれ」
「え? だ、だが今日は俺ばかりが気持ちよくしてもらってばかりで――」
「俺がしたいからそうしたんだ。俺はもっと、柳生に気持ちよくなってほしい」
「うっ――若は、ずるいな。そんな顔で、そんなこと言うな……」
この時、若は薄く微笑んでいた。あまり感情を表に出さず、表情を変えることも少ない彼だ。その表情は頻繁に会っている柳生であってもめずらしいと感じる。
恥ずかしいやら、幸せやら。あらゆる感情に悩まされる柳生はしかし悪い気分ではなく、むしろ心地よさを感じている。雲雀が傍にいないのに、と思うほどに、こちらもまためずらしい。
そう理解したところで、彼女は自らの希望を口にした。若の言う通り、このまま気持ちよくしてもらおうと考えたのだ。
やってほしかったことなら、数えるのも面倒なほどたくさんある。その中からいくつかだけ、比較的叶えてもらえるだろう確立の高い物から言葉とした。
「そ、それなら若、やってもらいたいことがあるんだが、いいか?」
「ああ。俺にできることなら、なんでも」
「う、うん……それじゃあ――」
着流しの胸元をぎゅっと握り、吐息に混じった願望は、ひどくあっさりと若を頷かせた。
◆
湯気が立ち上るそこでは、裸になった若が動いていた。
白いタイルの床に青いビニールマットを敷き、そのすぐ傍で桶に入れた液体とお湯を掻き混ぜる。それはいわゆる、ローションというものだ。
巧みな手さばきで粘り気を生みだす彼は勃起した陰茎を隠すこともなく、ぶるりとそれを揺らしながらも準備を進めている。
その背や、形のいい尻を眺める柳生は湯船の中にいて、体の芯からじんわりと温まる心地よさを感じながら吐息をこぼした。
柳生のお願い、その一つ。それは若とローションプレイがしたい、というもの。若の手と体全体を使って、自分の体をマッサージして欲しいというものだった。
ただしそこへもう一つのお願いも加わる。それは、お尻を舐めてほしい、というもの。ここ最近は全身リップを好んでいる柳生だが、若の舌で全身くまなく舐められた、という経験はない。そうして欲しいと願望を抱きながらも、嫌われることが怖くて中々言い出せなかったのだ。
これから柳生の全身は、若の舌によって舐められる。それは文字通り、触れないところはないようにである。
想像しただけで、柳生の股はきゅんと寂しくなって、期待が表れるかのように愛液がこぼれ出てきていた。
徐々に我慢できなくなってきた柳生を理解しているかのように、準備を終えた若が彼女を呼んだのはちょうどそんな瞬間だった。
「柳生、準備できたよ。そこへ寝転んでくれ」
「あ、ああ……」
若の呼びかけに応じ、いそいそと湯船から上がった柳生は体を隠そうともせず、床に敷かれたマットの上でうつ伏せになった。
簡易の枕へ口元を押しつけ、高鳴る鼓動を示すかのように瞳は期待で揺れている。まるで借りてきた猫のような態度も普段とのギャップを感じさせた。
しかし彼女を理解している若はさほど驚こうともしないまま、手に掬ったローションを自らの体へ塗りたくっていたのである。
「じゃあ行くぞ。楽にしてていいからな」
「わかった。じ、じゃあ、頼む」
「ああ」
ぬるり、と奇妙な滑らかさを持つ物が背に触れる。それが若の胸板だと気付くのに数秒がかかった。
いつも触れている場所なのに、ローションがついただけでこうも違うのか。柳生は少し驚き、その独特の感触へ更なる興味を示して、黙って若の奉仕に集中した。
まずは白く小さな背中へ胸を寄せ、体を使ってローションを塗る。彼がそうした行為を知っているのは、以前に自分が体感したことがあるからだ。
若へ奉仕することが生きがいな斑鳩もそうであるし、彼に自らの体を使って女の扱いを教えた女性もこうして若の上に乗っていた。若自身、自らが動くのは初めての経験で想像でしかないのだが、ともかくやるべきことはわかっているのだ。
そのため、あまり時間もかけず、全身を使ってローションを塗りたくった彼は、早々に事を進めようとしていた。
肌を触れ合わせるだけならいつもやっている。しかし、柳生が望んだものはその先にあるのだから。
「ん、これくらいでいいのかな。じゃあ、始めるぞ」
うつ伏せになったことでむぎゅと潰れる胸を弄りつつ、柳生のうなじへ口づけを落とした若が言う。
彼としては、そうして女性の乳房や股で触れているのが心地良かったが、今日は目的が違う。柳生の望みをかなえようとする若は舌を伸ばし、独特の光沢を放つ背へと触れる。
瞬間、柳生はぴくりと震えて歓喜を感じていた。
「んっ……」
「どうした?」
「だ、大丈夫だ。その、今までとは違う感じだったから……気にせず続けてくれ」
「わかった。じゃあ、このまま――」
唇で軽く吸いつき、舌先で強く肌へ触れ、同時に若は体を擦りつけていた。
両手は彼女の大ぶりの乳房へと伸び、包み込むように揉みしだく。一方で股間の怒張した陰茎は柳生の尻へ押し付けられていて、存在をはっきりと主張している。
そうしながら動きはゆっくりと、焦らすように下へ向かって舌が移動する。徐々に彼女の期待を煽るかのような動きにも見えた。
柳生は今、かつてない興奮に苛まれている。目で若の動きが見えないため、いつ触れられるのか、どうやって触れられるのかが全くわからないのだ。
緊張か興奮か、彼女の体は妙に固くなってしまっている。それを少しずつ揉みほぐそうと若は手を動かし、口で触れる位置を移動させて、己の怒張を押しつけた。
「どうした柳生、怖いか?」
「い、いや、恐怖とは違う。ただ、やっぱり何か変だ。い、いつも通りにはできない」
「そうか。それならそのままでもいい。ただしっかり感じてくれれば、それで」
若の舌が、ついに尻たぶへと触れた。まだ固さは残るものの肉付きのいい、女らしいそこは丸々としたきれいな形を保っている。
そこへ、赤い舌がやさしく触れ、舌先で形をなぞるようにゆっくりと動く。この時、彼女の足には若の肉棒が押し付けられていて、目で見ずとも、手で触れずともその形がはっきりとわかるようだった。
もっとも、手で触れたことも口内へ含んだことも、自らの体内に迎え入れたこともあるのでは、すでに以前から理解していたと言って過言ではないが。
「うぅ、若っ、そんなに焦らさないでくれ――わかったからっ。気持ちいいのはわかったから、はやく、そこを……!」
「そこって、どこ?」
「うっ、意地悪だぞ若。さっきは素直に頷いて――」
「ごめん。でも、はっきり言われないとわからないこともあるから」
変わらず若はマイペースで舌を動かす。尻たぶを大きな動きで舐めまわし、割れ目にわずか入ったところでまた引き、肝心のその場所へ触れようとしない。
柳生はついに堪え切れず、懇願するかのような声色で若へと言った。プライドも何もかも捨て去った、彼女にとってはあまりにもめずらしい一言だ。
「若、俺の――俺の、尻の穴を、な、舐めてくれ……お願いだ」
「どういう風にされたいんだっけ」
「くっ、し、舌を突っ込んで、乱暴に掻き混ぜてほしい……! は、早くやってくれっ。なんでもするから、お願いだっ――」
柳生がそう言った瞬間、若の舌が、ずぶりと彼女の尻の穴へと侵入していた。
乱暴に、力強く。普段の彼からは想像できない舌使いが彼女を襲う。だがむしろ、柳生はその舌使いこそを待っていた。
今の柳生は目を見開き、背を逸らして体を震わせながら、激しい絶頂を感じていた。散々焦らされ、ようやく求めていたものが強い快感と共にやってきたのだ。その興奮や満足感はひとしおだろう。
ぶるぶると震える柳生を休ませることなく、若はさらに深くまで舌先を突きいれ、あらかじめ洗っておいたそこを入念に舐める。いやらしく、艶めかしい動きは彼女が求めていた通りの快感だった。
おかげですでに潤っていた蜜壺からはまた小さく潮が吹かれ、ローションと混じりながらマットへ落ちる。
「うぅぅ……くぅっ、はぁぁっ……!」
たまらないとばかりに首を振り乱し、白い長髪をばさりと揺らす。この瞬間確かに、柳生は幸福を感じていた。
苛烈な若の動きがペースを速めて大胆さを増し、両手で尻たぶを押し開きながらさらに顔を押しつけてくる様は、見えなくても更なる興奮を与えてくれる。あの若が、自分の尻へ顔を埋めて熱心に舐めている。奇妙な興奮と満足度があった。
しかしこの時、彼女はあまりにも油断していた。若に言うことを聞かせ、自分のやりたかったことをしてもらっているという思考が、全身を駆け巡る熱い快楽が柳生から忍の感覚を奪い去っていたのだ。
突如として命令にない行動を始めた若は、右手の中指を彼女の膣内へと突っ込み、内部を乱暴に掻き混ぜ始めたのである。
「ひっ――!」
「こういうのも好きだろ、柳生は」
尻の穴を舐められながらのそれは普段以上の快感がある。途端に柳生の表情はだらしなく崩れた。
ぐちゃぐちゃという卑猥な音を立てながら指は高速で出入りし、大量の愛液を撒き散らす結果となる。ただでさえローションで濡れていた指が、別の液体で淫らな光沢を持つのだ。
挿入する指をもう一本増やす頃、いい加減若の方も限界になってきていて、尻の内部を掻きまわしながらも彼は肉棒を足の裏へと強く擦りつけていた。
ずりずりと包皮が動いて、先走り汁が間抜けなほど大量に溢れだしている。普段であれば体力に任せて我慢もせずにどんどん放出しているだけに、いまだ一発も出していないというこの日の我慢は辛かったようだ。
尻を舐め、膣を掻き混ぜ、その一方で同時に若は己の肉棒を扱き始める。ここで一度出すことに決めたらしい。
長く我慢を続けていただけあって絶頂へはあっという間に到達し、この日初めての射精は、柳生の尻を目掛けて行われた。
「くっ、柳生……出るっ……」
「えっ、あっ――んんっ」
与えられていた二つの刺激が去ると共に、バシャリと尻に大量の精液を振らされ、驚いた柳生は表情を変えた。しかし決して嫌そうなものではなく、それを嬉しがるように目を細めている。
自らの手で射精した若はその後も何度か竿を扱き、尿道に残っていた体液もすべて出し終えると、膨れ上がったままの亀頭を丸い尻へ押し付けた。
自らが出した体液を塗りたくるように、何度も柳生の尻へ先端を押しつけ、その弾力を楽しんでいる。彼女自身も恥ずかしがる一方、嬉しそうだった。
だが次の瞬間、柳生は驚愕と恐怖から全身を固くし、先程とは違う意味で目を見開くこととなる。
そうして遊んでいた若が突如、屹立した肉棒の先端を柳生の尻の穴へと当てたのだ。
「まっ、待て若っ、そこは入れる場所がちが――うぐぅっ、うぅぅっ!?」
ぐいと、まるで遠慮も何もなく、若は力強く柳生のそこへ肉棒を埋める。唾液とローションの働きがあったおかげか、初めてだというのにずるりと内部へ到達する。
入る場所の限界まで到達すると、ほっとしたように一息つき、若が動きを止めた。締め付けが膣よりも強烈なため、その感触が心地よいと共にあっさりと射精してしまうと感じたのだろう。
だが休まれてはそれはそれで、柳生へかかる負担も変わる。ただでさえそんな体験は初めてなのだ。
先程までの幸せも忘れ、全身に力を入れながらぎゅっと拳を握る柳生はどこかを見ながら舌を伸ばしており、快感とも苦痛とも取れる奇妙な感覚に打ちのめされていた。
「かはっ、あがっ、はっ――わ、か……それは、無理ぃ……」
「大丈夫だ。思ったよりすんなり入った。それに、斑鳩はこっちも気持ちいいって言ってたよ」
「そん、なっ――おぉぉぉっ、おほぉっ」
腰がゆっくりと後ろに引かれて、同じように肉棒が抜かれていき、しっかりと主張するカリ首が内部を擦る度、内臓をすべて持って行かれそうな独特の感覚がある。
だが、悪いわけでもない。獣のような唸り声を上げてその感触を確かめる柳生は、まだ自分がそう想っていることに気付いていない。
今はただ、若のされるがままに内部をかき乱され、うつ伏せのまま強くマットにしがみつくしかなかった。
「うぐぅ、んんんっ、んひぃぃっ――わかっ、はげしいっ、はげしすぎるっ」
「はっ、んっ、でも気持ちいいんだろ? ほら、頬が緩んでる」
「いやぁ……むりぃ、こわされるっ、あっ――」
徐々に、だが確実に、若の腰の動きは速くなった。最初はまだ柳生を気遣うような気配もあったものの、今ではそれすらもなくただひたすら乱暴に腰を打ち付けている。
肌と肌がぶつかる衝撃で柳生の尻が揺れ、パンっという肉を打つ音が鳴る。そこにある快感は彼女のろれつを回らなくさせるほどで、抵抗らしい抵抗もできない彼女を存分に責め立てていく。
ローションが広がるマットの上、滑りのせいでわずかに体が滑るまま、二人は激しく絡み合った。その度に肉がぶつかる音と、だらしのない柳生の嬌声が風呂場に広がる。
ますます勢いを増していく一方、何度絶頂しているかもわからない柳生につられて、ついに若も限界に達した。それでも彼は己の陰茎を外へ出そうとはしなかったのである。
「くっ、だめだ、もう出るっ――」
「あはぁぁっ、わかぁ、だめっ、なかは――あぁぁぅ、うぅぅっ」
最後に一度、力強く腰を打ちつけ、若は柳生の最奥で達した。先程同様に大量の精が放たれる。
荒い呼吸が続く中でそれが終わると、若がようやく陰茎を抜いたことにより、体勢を変えて横向きに寝た柳生はおぼつかない動きで己の尻へ手をやる。
どろりと溢れてくる体液は熱く、中で発射されたことを示すように次から次へ溢れて出ていた。
「あぁっ、んんぅ、はぁっ――中は、だめって、言ったのに……」
恨みがましく言う彼女だが、赤らんだ頬や緩んだ口元は隠し切れていない。中に出されたことがむしろ嬉しいと言うようであった。
即座に若が動き出し、横向きに寝ていた彼女を仰向けにして押し倒す。驚く表情を見つめたまま、今度は物欲しそうに蠢く膣への挿入を開始したのだ。
「んんんっ、若っ、ちょっと待て――まだ、イッたばかりで……!」
「心配しなくても、俺もイッたばかりだ」
「そうだがっ、これはっ、んんんっ! あぁっ、だめだ、また、またおかしくなるぅ……!」
「いいよ、おかしくなっても。気を失ってもちゃんと俺が面倒見るから」
いきり立つ肉棒がずぶりと穴へ挿入され、嬉しそうな悲鳴がまた上がる。途端にそこからはぐちゃりと独特の粘っこい水音が聞こえてきた。
マットの上での二回戦は休む暇もなく始められ、柳生が我を忘れるまで続けられた。
その時の乱れ切った彼女は、あくまでも若の視点からではあるが、普段以上にとても美しかったらしい。