※この作品はR-18です。

蛇獣書房   作:ヘビとマングース

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スト4続編、クロスオーバーです。エロく書けてるかどうかはわからないけど、とりあえずこのシリーズの基本は「悪堕ち」です。凌辱、洗脳、調教など、絶対的な強者が人間を弄ぶシリーズにできればなと思ってます。


征服開始(鉄拳)

 

 木々の間から差し込む陽光は暖かく、風は穏やかに頬を撫でつけている。とてもやさしく、平和な光景だった。

 そんな平和な光景の中で、彼女は広大な敷地を持つ庭の中で、木陰にある白いテーブルを前にしたイスに座って微笑んでおり、やさしく腕を動かしている。腕の中でリズムよく揺られ、落ち着いた顔で眠るのは小さな赤ん坊だ。

 キャミィはいつもの過激なハイレグ姿で外に出て、誰もいないその場所で自分が産んだ赤ん坊をあやしているのである。頬が緩みきった、これ以上ないほどに幸せだと伝わる姿で。

 

 「あら、こんなところにいたのねキャミィ。ちょっと探しちゃった」

 

 場所は、元はシャドルーが保有していた某国のとある大きな屋敷。険しい山間部にひっそりと立ち、大自然に囲まれるこの場所に到達するには航空機を使うか、死を覚悟して歩く以外に方法がない。だからこそキャミィは自身の裸体が丸見えになる透けた素材のハイレグ姿で、陽光が降り注ぐ庭にまで出ていたのだ。

 そこへゆっくりと歩み寄り、親しげに声をかけたのも同じくほぼ裸に近い格好の女性、やけに卑猥な雰囲気を醸し出すチャイナドレスを身に纏った春麗であった。

 彼女は、大胆すぎるスリットから惜しげもなく白い太ももを露わにし、以前ならば気にしたであろうそれを少しも気にすることなく、キャミィに向かって歩いていく。いくら女しか存在しない屋敷の敷地内とはいえ、羞恥の欠片も抱いていない様子は彼女らしくなかった。

 だが春麗はそれが当然だと言わんばかりに、今にもこぼれおちそうな尻や胸もそのままに、キャミィが座る前の席に腰を降ろして、テーブルに肘をつきながら口を開く。安眠する赤ん坊を見たその顔には、キャミィと同じく幸せそうな微笑みがある。

 

 「春麗、今日は動いても大丈夫なのか? 近頃体調が悪かったようだが……」

 「うふふ、実はそのことなの。私も初めてのことだったから、お医者さんに診てもらったの――ほら、中国の腕のいい、最近ここへ来た人」

 「あぁ、例の……三十越えるまで処女で、ゼロに抱かれてからは毎日オナニー三昧らしいな。診断してもらうのはいいが、信用できるのか」

 「もちろんよ。私もなんとなくそうならいいなぁと思ってたんだけど、彼女のおかげでわかったんだもの。実は私――ようやくできたらしいの」

 

 溢れ出る感情が抑えきれないのか、にやにやと頬を緩ませながら春麗がそう言うと、キャミィは驚愕から目を見開いた。同時に腕の中にいる赤ん坊をきゅっと抱きしめ、身を乗り出しながらも春麗に詰め寄る。

 喜色満面で体を捩る彼女につられたようで、徐々に状況を理解していけたらしいキャミィもまた嬉しそうな笑顔を見せ、弾むような声で言った。

 少し声のボリュームを大きくし過ぎたようで、間近で聞かされた赤ん坊が眉を寄せて、慌てて口を噤んだりもするのだが。

 

 「ほ、本当かッ――っと、ごめんな。よしよし、大丈夫だよ」

 「うふふ、キャミィもすっかりお母さんね――ええ、そうなの。本当よ。私もようやくお母さんになるの。ゼロの子供を孕んだのよ」

 

 改めて自分の口から、春麗ははっきりと検査の結果を伝えた。するとキャミィはまるで自分のことのように笑顔で喜び、赤ん坊をあやす手を動かしながら春麗に声をかける。

 言葉の中に込められた感情は、嘘も偽りも混じらない、心からの賛辞だ。

 

 「そうか、よかったな春麗。おめでとう――ずっと言っていたものな。自分も早くゼロとの子が欲しいって」

 「ええ、そう。これでキャミィとさくらに続いて、三人目。私も彼の赤ちゃんを産めるのよ……」

 

 うっとりと、幸せそうな声色でそう呟く春麗の視線は下がり、新たな命が宿った自分の腹を見つめながら撫でていた。嬉しくなってキャミィも同じくそこを見る。

 屋敷の設備は完ぺきだ。襲撃に対しての警備、自給自足も加えた豊富な食料、あらゆる局面に対するための優秀なスタッフたち。この場にいるのは全員女性だが、赤ん坊を産むための設備も施設も人員も揃っている。キャミィやさくらがそうであったように、春麗の子供を取り出すのに苦労はしないだろう。

 これまでの人生の中で、最上の喜びを噛みしめる二人はどちらからともなく笑顔を向け合い、言葉もないままに穏やかな今の時を楽しんでいた。美しい自然に囲まれ、争いから遠いところにいて、愛する男との普遍的な日々を楽しむ。ここはまさしくこの世の楽園だった。

 この場を作り出し、連れてきたゼロへの想いは募るばかり。彼といっしょになれてよかったと、同じ男を愛する二人は青い空を見上げながらぽつりと呟く。

 

 「あぁ……今日も平和だな」

 「ええ……本当に」

 

 そうして穏やかな時を過ごしていると、ふぇぇっとキャミィの子供が泣き出した。それだけで頬を緩ませる二人にとっては、それもまた幸福の一部なのである。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 世間は今、大きな話題で持ちきりになっていた。これまでは数少ない者だけが知っていた事実が世界中に露見し、それによる世界の大きな変化を実感しているのである。

 悪の秘密結社、シャドルーの壊滅。世界を股にかけて悪事を働いていたこの巨大な組織が崩壊したことにより、傘下にあった様々な組織も次々に国家から摘発され、構成員が捕えられていった。これまでうまく姿を隠していた犯罪者たちが一斉に逮捕され、世界は平和に向かって大きな一歩を踏み出したと、世界中の誰もが思っている。

 しかしそう思っているのはのんきな人間たちばかりで、彼らはまだ隠された真実を知らない。シャドルーは壊滅しても、その総帥であったベガは捕まっていないこと、ベガを倒してシャドルーを潰した者に関する情報は全く存在しないこと。

 世界はまだ真なる平和には辿りついておらず、むしろシャドルーが壊れたことによって混沌の道を辿ろうとしていたのだ。

 新たな事態が起こり始めたのは、とある日の夜のこと。とある一件からシャドルーと敵対し、近頃は活動していなかった三島財閥、その所有の高層ビルで事は起こった。

 誰にも言わずに覚悟を決め、孤独を感じながらも計画を止めるつもりのなかった風間仁はこの日、ビルの最上階フロアにある大きな一室で立ち、町を一望できるガラス張りの壁の前で目を閉じていた。

 そこへ、彼を狙う狼藉者が堂々と現れたのである。

 

 「よォ色男、戦争ごっこの準備はできたか? おまえが武器やら兵器やら準備してるせいで、世間じゃ三島財閥は非難ごうごうだぜ」

 

 聞こえてきたのは楽しげな女の声。無礼で傲慢、目の前に立つ男を道端の小石程度にしか思っていないかのような、気にいらなければ蹴散らせばいいと態度で伝えてくる女だった。

 その女、ハン・ジュリのことは仁もよく知っている。といってもそれは彼女が以前、裏世界の組織に所属していた時の話だ。凶暴で行動の読めない彼女は裏の世界では有名だったせいである。

 しかしある時から、彼女の噂はぱったりと途絶えた。死んだとも、殺されたとも、何も語られることなく噂すら立たない。あの有名な女がどこへ消えた、と一時は話題になっていたほどである。これを仁が見逃すはずはない。

 シャドルーほどの巨大な組織、そしてベガほどの用心深い男が倒されたのには理由がある。ならばまず真っ先に考えられるのは、内部からの裏切り行為。重要な情報が流れて、ベガが逃げ出す間もなく迅速な行動でやられた、と仁は推測していた。

 そこで考えられるのは、シャドルーの下部組織に所属し、彼への復讐の機会を望んでいたハン・ジュリの存在だ。復讐どうこうという話自体は仁も知らないが、彼女が誰かにつき従うような性格でないことは裏社会でも広がっている。それにしばらくの間、彼女は痕跡一つ残さず姿を隠していたのだ。動機は十分、そのための実力も潜伏期間もバッチリ合う。

 黒幕はこの女しかいない。そう思いながら仁は閉じていた目をゆっくりと開け、わずかに背後を振り返った。そこには、噂でしか聞かなかった女、ハン・ジュリ本人がにやけた笑みで立っていた。

 

 「……不可解な話だ。シャドルーを潰して、ベガの姿も消えた。だがそこにはおまえの影がない、おまえがやったという証明がない――何を考えてる?」

 「何をだって? そんなの簡単だよ――あたしには愛しい男がいる。身も心も、すべて捧げた大事な男さ。そいつが望むんだよ――世界が欲しいって」

 

 ギラついた瞳が、まっすぐに仁を射抜く。肌がビリビリと震えるような、強烈な雰囲気がそこにあった。

 今のジュリはすでに本気だ。微塵の油断もなく、遊ぶつもりもなく、興味のない男との一時を終えて愛しい男に会う。そのことだけを考えている。だから彼女が望むのは噂で聞いたことがあるだけの男との深夜の密会ではなく、愛する男に生贄をささげること。若く美しい女を抱かせることだ。

 シャドルーが作り出した“風水エンジン”という義眼を左目に持つ彼女は、その目を紫色に怪しく光らせ、狂気的な笑みを見せながら妖艶に腰をくねらせる。その目的は一つしかない。

 

 「何考えてんのか知らねぇけど、あんたが起こす戦争で世界を荒らされちゃ困るんだよ。だってここはあたしの大好きな男のものになるんだから――どっかの犯罪組織がいた頃は役に立ったけど、もうあんたは必要ないんだよ」

 「フン、大体はわかった。だがそう言われてはいと頷けるほど、俺も物わかりはよくないぞ」

 「ああ、わかってるさ。だからちょっとした趣向を凝らしてみた」

 

 ジュリがそう言った瞬間、ビル全体の電気が一斉に消える。二人がいる最上階フロアも同じだ。電気系統を管理する施設に問題が起こったらしく、あまりにも突然な事態は復旧するまで時間がかかりそうだった。

 仁が暗くなった室内を見回し、警戒心を高めながらそう考えていると、ジュリの近くで異変が起こった。

 ずぶり、と音が立ちそうな波紋が暗闇に広がり、そこから一人の男が音もなく姿を現した。軍服とも思える赤い服、赤い帽子、黒いマント。そしてギラリと光るその眼光と、手から迸る強力なサイコパワーを操れるのはただ一人。

 少し前に姿を消したはずの元シャドルー総帥、ベガが、ジュリに従わされるような形でそこに立つ。仁は驚きのあまり全身を強張らせ、愚かにも棒立ちのまま疑問を口にすることしかできなかった。

 

 「なぜ、その男がここに――シャドルーは壊滅した。てっきりどこかで死んだものと……」

 「誰がそんな話ししたんだよ。こいつは今もピンピンしてるぜ。ただし、今は昔と違ってあたしらのおもちゃだけどなァ」

 

 強力な悪が二つ揃い、今一つによって統べられている。その光景を目の前で見せつけられた仁は、知らず知らずのうちに冷や汗を流し、胸中に確信を抱いていた。

 世界はまだ、平和になどなっていないのだ。

 

 「洗脳、したのか……あのベガを」

 「おっと、ひどいなんて言うなよ。こいつが今までしてきたことを考えれば、妥当な最後って奴さ。これからは存分に働いてもらうつもりだよ――ただし今度はボスじゃなくて、ただの平社員としてな」

 「クッ……!」

 

 その時になって仁は拳を強く握り、腰を落として戦闘態勢を整えた。もはやこの場に、安全な場所などない。

 強力なサイコパワーだけでなく、格闘家としてもそこらの人間では倒せなかったレベルの達人であるベガが、ああもあっさりと従えられている。ならばそれを倒したジュリも合わせて二対一、状況は圧倒的に敵の有利にある。

 仁は慌てた様子で心を落ち着け、体の余分な力を抜き、戦うための準備を終える。しかしそこで揺さぶりの言葉をかけたのが、にやりと笑うジュリだった。

 

 「そう心配すんなよ、あたしは一旦ここを離れる。だからあんたと戦うのはこいつだけさ」

 「何……?」

 「――ここに到着するまでに、イキのいい中華娘がいたなァ。あれはゼロが気にいりそうだ」

 

 ジュリが振り返り、部屋の出口へ向かって歩き出す。妖艶にすら見えるゆったりとした歩き方で。

 だがその言葉を聞いた仁は何かに思い当たったらしく、慌てた様子で手を伸ばし、ジュリの後を追おうとした。

 彼女が楽しげに口の端を上げているとも知らずに。

 

 「なっ、待て、そいつはッ――うぐッ!?」

 

 仁が拳を解き、一歩を踏み出したその瞬間、恐るべきスピードで前へ進んだベガは強烈な一撃を繰り出し、仁の顔面に右拳が当てられた。

 その間にジュリはフロアからの脱出を果たし、戦闘が激化するその場所を後にする。直後、先程まで彼女がいた大きな部屋からは巨大な爆発音と爆炎が立ち上った。

 その頃、ビルの電気系統が狂ったことによりエレベーターを使えず、最上階の異変を察知した少女は外に面した場所に配置された非常階段を使ってビルの上を目指していた。

 オレンジ色のチャイナドレスの裾をはためかせ、荒れる呼吸を整えようともせずひた走る少女、暁雨(シャオユウ)はビル全体を揺るがすほどの轟音を耳にして心を痛めている。思うことはたった一つ、そこにいるはずの仁のこと。

 

 「ハァ、ハァ、仁……無事でいて……!」

 

 彼女とて仁の腕前は知っている。彼が強いことも、そんじゃそこらの格闘家には負けないことも。しかしこの瞬間にも胸を焦がす想いはそれとは別物なのだ。

 彼が心配でたまらない。今すぐに動きださずにはいられなかった暁雨は尚も足を止めず、最上階を目指して走る。

 だがその時、一際大きな爆発音が鳴り響き、ビルだけでなく非常階段を揺らしながらも最上階から様々な物が降ってきた。ガラスや壁の破片、室内にあったであろう高価そうなテーブル、本や何らかの資料であろう紙の束もたくさん。

 その中に混じって、小さく悲鳴を上げて体勢を崩した暁雨の元に、上から降って来たらしい女が軽やかに階段へと着地した。獲物を捕える目をした、ジュリだ。

 

 「よぉお譲さん。遊ぼうぜ」

 「なっ、だ、誰よあんた! 邪魔しないで、私は仁のところに――!」

 「あんな奴よりもっといい男紹介してやるよ――マンコにチンポ突っ込まれて、二度と離したくなくなるような、な」

 「なっ、なっ――サイテーッ!!」

 

 足場も悪いその場所で二人の女が蹴りを繰り出し、互いの足をぶつける。ここでもまた新たな戦いが始まった。

 そしてこの時、遡ること数十分前からずっと戦い続けている面々が、このビルの最下層に存在したのだ。ビルの電気がすべて消えてしまったのも、このためである。

 三島財閥のビルへ忍び込んだ人間を捕えるべく動き出した、仁に雇われた暗殺者、ニーナ。金髪をうなじ辺りで括り、紫色のボディスーツに肢体を包む彼女は、現在三人の侵入者によって悩まされていた。

 着る意味の無さそうな透けるハイレグを着て、乳首や陰毛を見られながらも立ちはだかる二人の女性、ユーリとユーニ。この二人はふざけた格好をしているがこれまでニーナが出会った人間の中で最も強く、元も連携が取れている。あまりにも隙がないその連携は逃げることすら許されないような厄介さを持っていた。

 しかし何よりも厄介だったのは、彼女たちに守られる一人の男の方だ。全裸の上に体を隠せる黒いマントを巻いて、靴を履いただけのこのふざけた男、ゼロは、今は隆起した肉棒をニーナに見せつけながら彼女へ向かう歩みを止めない。それがまた凄まじく面倒なのだ。

 彼がすることは、ニーナが繰り出す本気の一撃を軽やかに紙一重で避け、彼女の胸や尻や股に触れ、豊満で柔らかい感触を楽しんだり、あまつさえ強靭な握力でボディースーツを破ったりしている。あくまでもニーナを敵としてではなく、女として見ている様子だ。そしてそれだけでなく、彼女をこの場で抱こうとすらしている。

 これにより、ニーナは言い知れない恐怖を感じていた。これまで美女と称するにふさわしい彼女の体を狙う輩は多かったが、彼女は優れた格闘家で暗殺者だ。そうそう簡単に言いよれるはずもなく、バカな男はすべて文字通り足蹴にしてきた。それが彼女の自信にも繋がっているのである。

 だがこの男は、ニーナを女として見るばかりか、彼女の卓越した戦闘技術を持ってしても一撃も当てられない。すべて完璧に見極められ、ギリギリのところで避けられ、彼女が避けられないという場所を選んで手を伸ばしてくる。

 しかもゼロは一目見ただけでわかるほど、他とは違うと想わせる奇妙な雰囲気を持っていた。絶対的な強者と言えばいいのか、敵うはずの無い存在だと認識させられる。攻撃が一度も当たらないのもいい証明になっていた。

 その上でユーリとユーニが彼を傷つけさせまいと攻撃してくるのだ。もはやニーナは自分の勝機を感じ取ることができず、また実力差のせいで逃亡すればその時点に捕えられるような気もして、前にも後ろにも行けなくなっていた。

 攻防は彼女の全身が汗にまみれても終わらず、ついに業を煮やしたらしいゼロが、ぽつりと呟く。

 

 「きりがないな……仕方ない。ユーリ、ユーニ、俺だけで捕まえるのはやめだ。おまえたちもあいつを捕まえろ」

 「「御意」」

 

 どうすればいいんだ、と体を動かしながら聞いていたニーナは、ゼロが発したその言葉を聞いて愕然とする。まるでそれは、「おまえなどいつでも捕えられたぞ」とでも言われているかのような気分にさせられたせいだ。

 今までは遊ばれていたとでもいうのか、とニーナが憤慨しそうになったその瞬間、ユーリとユーニが素早く動いた。戸惑いを隠せないニーナを前後から挟み込むようにして動いたのである。

 彼女が対応しようと両足に力を入れた瞬間、地面を蹴る寸前に、すでに彼女の懐にはマントすら捨てた全裸のゼロが入り込んでいた。

 

 「なっ――」

 

 驚く暇もなく、ゼロはニーナの体へと手を伸ばし、力ずくで彼女が身につけるボディスーツを引きちぎった。固い繊維でできていたはずのそれはあっさりとバラバラにされ、肉付きのいい胸や鍛えられた腹筋のつく腹が外気に晒される。

 それだけでは終わらず、咄嗟に逃げようと後ろに跳んだニーナを待ちかまえていたかのように、ユーニが彼女の腰へ腕を回す。気付いた時にはすでに遅く、ニーナは跳んだ勢いもそのままにユーニによって投げられ、ジャーマンスープレックスの要領で地面に叩きつけられた。しかもそこにはすでにユーリが待ちかまえており、大股を広げて頭から落ちたニーナを、その状態のままで拘束する。ユーリが足を掴んで固定し、体勢を整えたユーニが両手を掴んで床に縫いつける形だ。

 これでついに、ニーナは完全に動けない状態に固定され、悠々と歩くゼロがそこへ到達する。時間にして十秒も経っていない間のこと、あまりにも速すぎる決着であった。

 ぶるんと肉棒を揺らし、吟味するかのような視線でニーナを眺めるゼロは彼女の傍に立つと、顎に手を当てて考え始めた。苛立つ彼女が憎らしげに彼を見ていることに気付きながらも。

 

 「よし、ようやくだな。さてと、どこから始めようか――」

 

 口、胸、腹と、全身を舐めるように視線が移ろっていくのがわかった。悔しさでニーナは強く歯噛みする。これほどの屈辱は初めてだと。

 焦らすように自分の陰茎を扱いていたゼロはようやく心を決めたらしく、ゆっくりと動き出してニーナに近付く。正しくは、拘束されている彼女と、拘束している二人の傍に、だ。

 三人に触れられる位置に来たゼロはまず、ニーナの大事な部分を隠していた残りのボディスーツを手で破り、彼女の秘所を露わにする。途端にむっとした汗の匂いが広がり、機嫌良さそうにゼロの陰茎がぴくりと反応した。

 羞恥を感じるよりもまず、敵に対する強烈な殺意に身を包まれるニーナであったが、彼女の想いに反して拘束された体はぴくりとも動かない。完璧に動きを封じられていた。

 その間にもゼロは最初の狙いを定めたらしく、きれいに陰毛が整えられた秘所へと亀頭を擦り付け、割れ目から垂れ流れる先走り液をなすりつける。それだけでニーナは彼が考えていることがわかった。

 同時に、この状況から抜け出すことが不可能なことにも、聡明な彼女はすでに気付いている。

 

 「まずは濡らさないとダメか……ユーリ、舐めてくれ」

 「はい、わかりました――んっ、ふっ」

 

 ぐっと腰を突き出すと、グロテスクとも思える肉棒がユーリの口内へと含まれる。彼女は慣れた様子でそれに舌を絡め、拘束する手により一層の力を加えながらも頬を赤く染める。

 同時に、ゼロの尻を目の前にしたユーニはためらいもなく舌を伸ばして、ゼロの尻の穴を舐め始めた。舌先で穴の外も中も揉みほぐすかのような、愛情が込められた動きである。

 ゼロは一度射精して、自分の精液を潤滑油にしてニーナを犯すつもりなのだ。しかしそれがわかったところで、拘束を解けないニーナにはどうすることもできない。なんとか振りほどこうと全身に力を込め、血が出そうになるほど強く歯噛みすることしかできない。それでは何の解決法にもならないと知りながら、そうせざるを得なかったのである。

 彼女がそうして無駄な抵抗を試みている間に、どうやら限界まで高まってきたらしいゼロは二人の奉仕を受け入れた後、腰を引いて解放した肉棒を自らの手で激しく扱き、ニーナの秘所へ亀頭を押しつけて射精した。その瞬間、状況を予測していたニーナであったが目を見開いて驚き、全身を硬直させてしまう。

 凄まじい勢いで放たれた精液は、まるで自らの意思があるかのようにいとも簡単に膣の中へと侵入していき、自身が持つ熱をニーナにも感じさせる。しかも大量に出されているせいですべてが膣内に納まったわけではなく、秘所だけでなく顔や胸にまで飛び散り、悔しさで満ちた表情まで白く染め上げた。

 そしてすべての精液を出し終えた時、納得したように小さく頷いた彼は腰の位置を正して、まだ精液がぽたぽたと垂れ落ちる亀頭をニーナの膣に当て、ずぶりと一息に侵入を開始した。体内に異物が入り込み、その感触を理解したニーナは苦しそうに表情を歪める。

 ただ、そこに確かな快楽が感じられたことは、心を閉じた彼女にも理解できていたようだ。

 

 「うっ、ぐっ――はっ……」

 「締まりがいいな。やっぱり抱くのは格闘家の方がいい。これならすぐにイケそうだ」

 

 この後のことも考え、早々に達しようと考えるゼロではあったが、その割には腰は浅い場所を執拗に突くような動作を繰り返している。嫌がるニーナを嘲笑い、快楽の坩堝に落とし込もうとするかのような、絶対的な強者による遊びに見える。

 ニーナは彼が思う通り、浅い場所を突かれる度、徐々にではあるがゼロの責めで精神を崩されようとしていた。ただの性交ではない、自分という存在すべてが徐々に犯され、支配されていくかのような感覚。すでに男を知っているニーナであっても、彼との性交は初めての体験と思えるものだった。

 次第に動きは大きくなり、ニーナの膣はゼロの肉棒によって掻きまわされる。膨らんだ亀頭が肉を押し分け、カリ首が内壁を引っ掻く度、感じたことのない快感が全身を駆け抜ける。抗いがたい、と思ってしまうような感覚だ。

 こんな短時間でそう思わされている事実に、ニーナは背筋を凍らせて怖くなった。まるで本当に心を操られているかのような、あまりにも強力な催眠だとしか思えない。

 しかし実際に体を駆け抜ける快感は、逆らうことは難しい。否、むしろ実際にその味を知ってしまった今では強い女であるニーナでも逃れることは不可能だと感じてしまうほどだ。

 今、彼女の膣内では先に出された精液がぐちゃぐちゃと音を立てて塗りたくられ、肉棒によって全体を抉られる。気付いた時には、すでにニーナは逃げられない場所まで引きずりこまれていた。

 いつの間にか脱力し、抵抗をやめたニーナは素直に抱かれているようにしか見えない。なにせ今ではユーリもユーニも、さほど彼女に触れる腕には力を入れていないのだから。押さえつけているというより、本当に手を置いているだけなのだ。

 その状態で彼女はゼロに突かれ続け、いつしか顔を紅潮させながら高い喘ぎ声をこぼしていた。性交で快感を得て、自分の体を相手に預けている姿は、いっそ楽しんでいるかのようにすら見える。

 次第にゼロの腰の動きは大きく、速くなり、叩きつけるように膣内を抉る。固くなった陰茎は今になって更なる硬度を持つようになっていた。

 限界は近い。それに気付いていたのは本人であるゼロだけでなく、彼と一つになっているニーナも同じだった。

 

 「くっ、もう出る……!」

 「あぁっ、はぁっ、あぁぁっ!」

 

 叫び声のような嬌声があがる頃、ゼロはまたしても射精を開始した。ただし今度は、ニーナの膣の一番奥に亀頭を強く押しあてた状態で。

 びゅくびゅくと竿が律動し、勢いよく精液が放たれる。それらはすべて大口を開けて叫び、背を逸らしながら全身を震わせるニーナの中へと注ぎこまれていった。

 しかし量が多すぎるせいで中からごぽりと溢れ出る分もあり、ニーナの股が精液でべっとりと濡れた後、すべて吐きだして満足したらしいゼロは数回腰を前後に振ってから、ニーナの膣から自身の肉棒を抜く。すると途端に、中からどっと精液が溢れ出てきた。

 好き放題にされたニーナも絶頂したらしく、先程までの抵抗が嘘のように、今は全身に汗を掻いた状態で脱力し、動けずにいる。ぼんやりと開かれた目はどこを見ているかわからず、せっかくユーリとユーニが手を離しているのに逃げるそぶりも見せない。

 その時、暗闇の中で機械音が響き渡った。ゼロのマントの内ポケットに入れられた、通信機だった。

 ゼロはまたしてもむくむくと頭をもたげ始める肉棒を揺らしつつ、その通信機を取り出し、通話のためのボタンを押す。その際、ユーリには自分の肉棒をしゃぶるように命令し、ユーニには倒れたまま動かないニーナに更なる愛撫を施すよう命じて。

 

 「ジュリか、俺だ。こっちは終わった。予想以上にいい感じだったよ。今はイッたまま大人しくしてる」

 

 通話の相手は同じビル内にいるジュリだ。あらかじめ立てていた作戦がうまく進んだことを伝え、標的を捕えたことを報告する。その時のゼロはユーリに肉棒を銜えられ、淡くも心地よい快感に包まれたままの状態だった。

 ゼロが今起こったことを自分の感想も交えながら伝えると、満足したらしいジュリは笑みを深くしながら彼へと伝え、撤退することを告げる。

 用事は終わった。手に入れたいものも手にした。後は逃げるだけなのだ。

 そう言うジュリは現在、最上階にまで昇り、自分が仕留めた獲物を床に転がして頭を踏みつけていた。サディスティックな笑みを浮かべながら、しこたま蹴られて動けない暁雨の頭を。

 

 「そうか。こっちももう終わる。脱出の準備しとけよ――うまそうな女も手に入ったことだ、帰ったらゆっくり楽しもうぜ」

 

 通信が終わり、楽しそうに笑うジュリは足を動かして暁雨の頭を地面へと押し付ける。相手が屈辱を味わうようにぐりぐりと、力を込めて何度も。

 そうしている二人の前方では、戦いを終えた二人の男がいた。地面にしゃがみ込んで動けないボロボロの仁と、幾度かの攻撃を受けながらもほぼ無傷で立っているベガ。

 今の二人はあまりにも対照的な姿であった。昔、一度だけ戦った時は互角だったはずなのに、今では圧倒的なまでに差が生まれてしまっている。シャドルーが崩壊した、その直後に。

 膝をついて荒く息を吐く仁は闘志を失っていない瞳で、暁雨を踏みつけるジュリを見つめた。その瞳の奥に、憎悪という彼が最も忌むべき物を映しながら。

 

 「ぐっ、なぜここまで……ただの洗脳ではないのか……」

 「さてね。それはおまえには教えねぇよ。それよりとっとと降参しちまえば? どうせあんた一人じゃ勝てっこないんだからさァ」

 「うぅ、仁……」

 

 暁雨が悔しそうな声を出し、仁が地に伏せる彼女に目をやった時だ。ほんの一瞬の隙間、彼がわずかな油断を見せた瞬間に、ベガは勢いよく前方へと突進していた。

 サイコパワーも利用した素早い動きは、疲弊した仁に反応できるようなものではなく、突き出された拳によって彼はまたも紙のように宙を舞う。そして勢いよくガラス張りの壁へと激突し、苦悶の表情を浮かべたままガラスを突き破る。

 そのままなら、仁の体は十階を軽く越える高層ビルの一番上から落下し、地面に叩きつけられるはずだった。だがそうならなかったのは、彼の体に変化が起こっていたからである。

 暁雨の悲痛な悲鳴を、彼の名を呼ぶ声を聞いた瞬間、仁の表情は一変する。ガラスを突き破って空の上へと躍り出た体はそこでぴたりと静止し、黒いスーツを破いて露わになった背から一対の大きな黒い翼が生え、ばさりと音を立てて彼の体を滞空させている。

 翼の色も相まって、今の仁の姿はまるで悪魔のようにも見えた。

 

 「デビル因子――ついに見せたか、悪魔野郎。それを待ってたんだよッ」

 「仁……だめ、それは――」

 「黙って見てろ、負け犬。もうおまえが関与していい時間は終わったんだよ」

 

 ジュリがにやりと笑みを深め、暁雨がさらに心配そうに顔を歪め、攻撃を放ったベガが凶悪なほどに口の端を上げた頃。

 閉じていた目をゆっくりと開いた仁は、目の色を変えた状態で小さく告げた。

 

 「貴様らに――本当の恐怖を教えてやろう」

 

 静寂が訪れた室内へ向けて言い放った、その直後。仁は気配を感じて背後を振り返る。

 するとその途端、彼は自らの背後に接近していた存在に気付き、その時には恐るべき速度で振りかぶられた拳に顔面が撃ち抜かれ、翼がある甲斐もなくあっさりと室内へ殴り飛ばされる。

 勢いよく床に叩きつけられ、数度体を跳ねさせながらも、仁は確かに敵の姿を視認していた。

 ふわりと羽毛のように、仁の後を追って壊れた壁から室内へと侵入したのは、鉛色の肉体を持つ、筋肉隆々の坊主頭の男。セス、それが彼を表す呼び名だ。

 あまりにも強すぎる一撃を受けた仁はたったそれだけで体の自由が利かなくなり、体内で暴走するもう一人の自分のせいで自我を失いそうになりながらも、必死に地面に拳を当てて顔を上げる。そして睨みつけるようにセスを見つめ、振り絞るようにして声を発した。

 

 「なんだ……こいつはッ……!」

 「クックック、アッハッハッハ! おまえみたいな悪魔を相手に何の策も用意してねぇとでも思ったかよ! くだらねェ、そんな使えない奴だとは思わなかったよクソ悪魔!」

 

 体を震わせ、立つことのできない仁を嘲笑い、ジュリが言う。額に手を当てて天を仰ぎながら、ひどく楽しそうな様子だ。

 ベガとセス、洗脳された二人の強者に前後を挟まれ、満身創痍の状態。仁にはもはや勝機はない。彼本人もそれは痛いほどによく理解できていた。

 ジュリの言葉は続き、暁雨の叫びも空しく、状況は終焉へと向かっていたのだ。

 

 「あたしらのおもちゃに勝てないようじゃ、デビル(そいつ)に打ち勝つなんざ無理無理無理ィッ! ただ心配すんな、おまえのこともうまく使ってやるよ――せいぜいあたしらの役に立てよ。おまえが嫌いな、その悪魔の力を使ってなァ」

 「うっ、ぐっ……!」

 

 とどめの一撃を叩きこまれ、仁の意識が刈り取られる。それ以降、彼はぴたりと動きを止めて大人しくなった。

 後に残されたのは楽しげな様子のジュリと、彼女の命令に忠実に動くベガとセス。

 

 「仁……!」

 

 そして絶望を感じて顔色を失う、ジュリに足蹴にされる暁雨と、彼女に見つめられながらも動かない仁がいた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 アジトにボスであるゼロが戻ってきた時、ポイズンはちょうど、自分の仕事部屋である調教部屋にいるところだった。世界中から集められた美女ばかりが裸に剥かれ、彼女の足の下でこびへつらい、更なる快感を求めてだらしなく舌を伸ばしているのだ。サディストのポイズンにとって、最高の仕事であると同時に幸せな瞬間でもある。

 彼女が裸で四つん這いになる女の背に座り、目の前に立つ女の膣をディルドでかき混ぜながら、ボンテージを着た自分の膣を一人の女に舐めさせている時。外から女を連れ帰ってきたゼロが部屋を訪れたのを見て、ポイズンはやさしい笑みを浮かべながら腰を浮かせた。

 乳頭を露わにしたボンテージ姿で、ぶるりと乳房を揺らしつつ、他の女たちが浅ましく自らの体を慰める中、ポイズンは妖艶な雰囲気を纏ってゼロへと歩み寄った。

 彼が近くにあったベッドへ金髪の女を寝かせると同時、ゼロの唇をそっと奪ったのである。

 

 「んっ――おかえりなさいませ、ゼロ様。成果はいかほどに?」

 「上々だ。こっちでこいつを頼む。かなり具合がいいんだ、緩めないようにな」

 

 物を扱うかのように、二人はベッドで眠りこける金髪の美女に目を向ける。裸で、ほぼ全身と言っていいほど精液を塗りたくられ、ツンと鼻に異臭が届くほど匂いを放っている裸の女。帰りの航空機の中で散々犯されていたその人物は、ポイズンが初めて見る女だった。

 当然、彼女は不思議そうに首をかしげる。見たことない女であったということもそうだが、外から連れて来られて、具合がいい女を調教部屋へ運ぶというのもめずらしい。この異質な部屋に連れて来られるのは、ポイズンが好きにしていい、彼女の奴隷にするための女ばかりだからだ。

 彼のお気に入りを調教させるのか、とポイズンは不思議に思っている。その疑念に答えるため、ゼロが口を開くのだが、彼の手は当たり前のようにポイズンの胸へと触れていた。

 左手は乳房を下から持ち上げるかのように揉み、右手は片方の乳首を抓って遊んでいる。熱くなった吐息が、すぐ傍にあるゼロの顔へと吹きかかった。

 

 「この女は?」

 「三島財閥に雇われてた暗殺者だ。腕も立つし、体もいい。でも頭がいいのと精神が強いのは少し問題だ――従順に作り直せるまで、ある程度壊してやってくれ」

 「ふふふ、そういうことならお任せを」

 「たださっきも言ったけど、体はいいんだ。つまらなくするなよ」

 「ええ、もちろん。心得ていますとも」

 

 愛し合うようにちゅっ、ちゅっと唇を合わせて遊びつつ、ゼロの手はゆっくりとポイズンの体を這っていく。胸に触れ、腹を撫で、股を弄って尻を弄ぶ。まるで自分の所有物のように、彼の手は自由気ままに女体を遊ぶ。

 しかしポイズンも嫌がるどころか、それが幸せだとばかりに頬をだらしなく緩めているのだ。まわりで互いの体を触り合い、快楽に満ちた声を発する女たちのように。

 もはや今の彼女に、ゼロに逆らう心など微塵たりともありはしない。すべては彼のパートナー、ジュリによって破壊し尽くされ、ゼロによって新たな人間へと生まれ変わったのだから。

 今のポイズンは、ゼロの部下にして拷問、調教のスペシャリスト。ゼロが性のはけ口として使うための女奴隷たちを管理する、重要性の高いメンバーの一人なのだ。

 

 「方法は任せる。うまくやれたら、おまえのして欲しいことを叶えてやろう。それと――今夜は俺の部屋に来い。ひさしぶりに一晩中犯してやる」

 「あぁ、ゼロ様――私にとっては、それが何よりの願いです……!」

 

 うっとりと呟くポイズンをその場に跪かせて、ゼロは自身が纏っていた黒いマントを取る。するとやはり全裸の体が露わになって、すぐに股間にある陰茎がむくむくと大きくなる。

 調教部屋にいる女たちは誰もが言葉を失って、その威容を持つ姿を見つめていた。彼女たち全員が、一度はゼロに抱かれたことがある。そして全員が全員、その時の快感が忘れられずに今も狂っているのだ。今、手の届く場所にその肉棒がある。自分を狂わせた、あの気持ちよさを与えてくれる肉棒がある。

 女たちはギラついた目でゼロの股間を凝視し、己を慰める自慰の手や隣の女の膣を掻きまわしていた動作すら止めて、二人の行動を見守っていた。

 しかし彼女たちの誰も、求めてやまない肉棒に触れることを許されず、代わりにその部屋のボスたるポイズンだけが己の権威を誇示するかのように、ちゅっと膨れ上がった亀頭にキスをする。

 最初は丁寧に、挨拶をするかのように全体へと舌を這わせる。ぺろぺろと弱く、亀頭から玉まで丹念にだ。うっとりと頬を紅潮させたポイズンは熱い吐息を出しながらゼロの股へと顔を埋める。口に含んだ肉棒の先が、喉を突いても苦しそうにすることもなく。

 彼女は自分の口だけでなく、喉まで使ってゼロへの奉仕を始めた。リズムよく頭を前後に振って、固くなった竿に歯を当てないようにと気を配りつつ、しかし唇で扱くように力を込める。昨日今日ではまずできない動きだった。

 しかもポイズンはそれだけではなく、艶めかしく動かした手で彼の玉を揉み、尻の穴に指を突っ込んで出し入れする。彼の弱い場所や感じやすい場所、すべてを知った上でそうしていた。

 楽しむような、それでいて熱心に奉仕するかのような、情熱的な仕草が続く。ポイズンによる口淫は数分間、言葉も命令もないままに行われた。すべて彼女自身の意思によって。

 そして数分後、限界を感じたゼロはポイズンの頭をやさしく撫で、何も言わずに射精を開始した。大量の精液がどっと溢れだし、尿道を通って亀頭の割れ目からポイズンの口内へと放たれていく。彼女はその瞬間にぐっと先端を喉の奥まで呑みこみ、出される精液をすべて飲み干そうと喉を鳴らす。

 しかしだからといってすべてを呑むことはできず、凄まじい勢いのせいで口から溢れだした精液が、彼女の唇から漏れ出て、顎を伝って大きな胸の谷間へと落ちる。

 すべてを出し終え、射精後の肉棒の掃除も舌でし終えた後、ポイズンはようやく口を離した。ゼロも彼女の頭を撫でていた手を止め、ぶるんと萎えた陰茎を揺らしながら一歩後ずさる。

 

 「よかったぞ、ポイズン。今夜も頼む」

 「ええ、ゼロ様――あなたが望むままに」

 

 そう言ってゼロは踵を返し、調教室を後にした。これからそこで彼が連れてきた新しい女、ニーナが調教されるのだと知りながら。

 シャドルーから奪い取った巨大な屋敷を全裸で歩きながら、ゼロは一つの部屋を目指していた。地下にある調教部屋を出て、廊下を歩いている最中に屋敷で働く女たちに出会い、顔を赤らめる彼女たちを次々に犯しながら移動し、何発も射精しながら目的地へ向かう。

 幾人もの女たちを犯し終えた彼がやってきたのは屋敷に隣接する巨大な建造物の一つ。屋敷、研究施設の隣にある、以前は実験スペースとも呼ばれていた場所だ。

 正方形の空間で屋根が高く、闘技場か体育館のように周囲には観客席のような観覧スペースが設けられており、その中央部で実験の成果を確認するらしい。しかし今ではもっぱら、ジュリの趣味を行う場所と化している。そういう意味ではやはり闘技場に近いのだろう。

 その日、そこへ入れられていたのは新たにこの場へ連れて来られた少女、暁雨。服をすべてはぎ取られ、裸の状態で中央に立っており、自分の手と腕で胸や股間を隠しながら、不安そうに周囲を見回している。

 そこへ新たな人間が現れた。今しがたここへ到着したゼロと、自らの意思ですっかり裸になっているジュリであった。

 二人は共に裸で、体を隠そうともせず、困惑する暁雨の前までゆっくり歩いていく。その時の彼女は、他人の裸を見た羞恥心や、これから何が起こるのかという不安が見て取れる表情だった。

 

 「よォお嬢さん。待たせて悪かったな」

 「な、なによあなたたち……私に何するつもり? 仁は? 彼は無事なんでしょうね?」

 「さぁね。知りたいんなら教えてやってもいいけど、条件がある――そう心配しなくていい。ちょっとしたゲームだ」

 

 腰に手を当て、胸を張るジュリは自らの体を少しも隠していない。ふるりと揺れる胸も、整えられた陰毛も、その下にある大事な部分も、すべてが暁雨の前に晒されている。

 横には全裸のゼロもいる。すでに自己主張を始めて固くそそり立っている肉棒が、隠されることもなく暁雨の目に見えていた。

 だからこそ、暁雨はさらに強く自らの体を抱きしめ、少しでも二人の視線から隠そうとする。特に舐めまわすように上から下まで眺めてくるゼロ、彼の視線が特に性質が悪い。想い人がいる少女にとって、耐えられない屈辱だろう。

 そんなことも気にせず、ジュリは軽い口調で、楽しげに語る。彼女にとってはひどく楽しい、相手にとっては屈辱でしかない、特異なゲームについて。

 

 「ルールは簡単、要するにストリートファイトだ。簡単だろ? あたしを倒せばあんたは自由の身、あの悪魔野郎もいっしょに解放してやるよ――ただし、戦うのはお互い裸で、だ。このまんま、すっぽんぽんでやり合おうぜ」

 「なっ――あなた、自分が何言ってるのか――!」

 「ああ、わかってるさ。なに、簡単なことだ。お得意の拳法を使って、あの時のリベンジマッチをする。このまま、裸で。たったそれだけだ。だってそうしなきゃここから逃げられないんだから」

 「くっ……!」

 

 堂々と胸を張るジュリに対し、より一層暁雨は身を小さくしていった。羞恥だけではない、この異常な雰囲気や空間に耐えられなくなっているのだろう。

 裸で戦う、しかも憎い女と、男根を固くしている男の前で。それはまだ少女と呼べる年代にいる彼女を揺さぶり、絶望の淵に叩き落とすにはもってこいの状況だ。これほどの屈辱と憎悪に身を包まれるのは彼女にとって初めての経験だった。

 だがどれほど悩んでいても、どれほど嫌がっていても、答えなど最初から決まっている。戦わなければ解放されない。それはつまり、戦って勝てなければ、仁と共に帰ることができないのだ。

 ならば一時の恥など無視して、体を晒して敵に勝つ。それが最も有効な手段だと考えた暁雨は、ゆっくりと腕を降ろした。

 そして自身が得意とする中国拳法の構えを取り、腰を落とす。自らの小さな胸や薄く割れた腹筋、まだ毛が生えそろっていない股間などを見られていると知りながらも、彼女はすでに決意している。必ず勝って、仁と共に元の生活へ帰る。

 にやけるジュリに向かって、彼女は気丈にも言い放つ。

 

 「あなたたち、絶対に許さない――仁は絶対に、私が助けるんだからッ!」

 「クククッ、勇ましいねぇ。いいぜ、やってみろよ――できるもんならなァ!」

 

 そう叫ぶや否や、ジュリは地面を蹴って前に飛び出し、ゆらりと体を回転させて鋭い蹴りを放った。あまりにも素早いため、驚愕した暁雨が反応できない速度である。

 暁雨はいともあっさりと彼女に蹴り飛ばされ、勢いよくゴロゴロと地面を転がる。裸で、マットが敷いているわけでもないコンクリートの上をだ。

 しかし彼女はすぐさま立ちあがろうと床に手をつき、顔を上げる。のだが、その頃にはすでにジュリは彼女の目前に立っており、小さな虫を踏み殺すかのように、彼女を見上げた暁雨の顔の側面を強く踏みつけた。

 前に戦った時と全く同じ、絶対的な強者と、捕食されるだけの敗者、その構図があっさりと作られていたのである。

 

 「あうッ!?」

 「アッハッハ、遅ェ遅ェ! そんなんであたしに勝とうっての? ずいぶんと舐めてくれるじゃねぇか、おいッ!」

 

 ぐりぐりと足首を動かして踏みしめ、屈辱を与えるように言葉を投げかける。その時のジュリはひどく楽しそうだった。

 しかしこれだけではゲームの醍醐味を味わえていない。ジュリが提案する「裸同士の決闘」は、服を纏っていない無防備さにこそ意味がある。

 その場に屈んだジュリは暁雨の体に手を伸ばし、顔を踏んだまま小ぶりの乳房をぎゅっと掴む。愛撫などという手つきではない、物を取り扱うような無遠慮さだった。

 

 「ふぅん、結構小せぇんだな。まだ芯が残ってる感じがするし、マジでガキの体じゃねぇか」

 「ぐっ……離しな、さいよ……!」

 「やだね。触られたくないんなら、しっかり自分を守れ。それができないんなら――」

 

 突如として足を退けたジュリは、次の瞬間には暁雨の足の方へと回りこんでいた。そしてそこで、彼女の両足首を強く掴み、勢いよく上へと持ち上げる。

 自然と、暁雨の股が大きく広げられるような形となり、暁雨はまたも驚愕する。裸で戦うことは承諾しても、このような事態になるとは思っていなかったのだろう。

 自らの秘所を至近距離から見つめられ、彼女は何かを考える前に顔が熱くなっていくことを自覚していた。

 

 「黙って犯されてろ」

 「なっ、何を――!」

 

 暁雨が声を発した瞬間、べろり、と赤い舌に割れ目を舐められる。唾液に濡れた舌先が大事な場所に触れたことにより、知らず知らずのうちに「ひっ」と小さく声が洩れていた。

 可愛らしい反応と声を得られたジュリは上機嫌そうに口の端を上げ、さらに力を入れて秘所を舐める。まずは大事な場所には触れず、外側の大陰唇から濡らしていく。

 徐々に、ゆっくりと舐めていくその動きは、ジュリ本人のイメージとは違ってどこかやさしいとすら感じられるものだ。初めての体験に心が揺れ動くが、想像していたよりもずっと怖くはない。それが暁雨の警戒心をゆっくりとではあるが崩していく。

 外側から内側へ向かってゆっくり舐め進めると、ついには暁雨の膣へと触れる。すると途端に、彼女はぴくんと全身を反応させた。あまりにも初々しい、ジュリにとっては心の中へ踏み込みやすくて仕方ない相手である。

 

 「ククッ、舐められただけで感じてんの? 感じやすいんだなァ。いいのか? あいつが捕まってるっていうのに、自分だけ気持ちよくなっちゃってさ」

 「――!?」

 

 暁雨の表情がまた変わる。やさしく、弱い快感を与えられたことで気が緩んでいた暁雨は何かを思い出したかのように、ぐっと歯を食いしばって快感に耐える。膣の入り口を舌でほじくり返されていても、もう彼女は薄く笑みを浮かべていない。

 それが嬉しい反応だったのか、ジュリはさらに笑みを深めながら攻撃を再開させる。舌先に力を入れて膣内に侵入していき、うねうねと動くそれで暁雨に刺激を与えていく。じっくりと焦らすためとも思える、弱い刺激ばかりを。

 初めは歯を食いしばって耐えていた暁雨であったが、いつの間にか体に力が入らないのは相変わらずで、何よりジュリに力ずくで押さえつけられていてはひっくり返すのも難しい。ではどうするか、と考えようと思っても股から全身に広がってくる感覚のせいで、落ち着いて考えることもできない。

 まさに八方ふさがり。暁雨は確かに快感を認識しているが、反抗するための手段を持たない。力では敵わず、そもそも快感のせいで上手く体に力が入らない。

 今、膣内を掻きまわすジュリの舌はより一層激しさを増し、好き勝手に彼女をいじめ抜いていた。気にしないようにと気をつけつつも、快感が暁雨の体から離れることはなかったのだ。

 

 「うぅ、ふぅ――」

 「クックック、意外と耐えるじゃねぇか。でもあたしを押しのけられないなんて、根性ねぇんじゃねぇか? 他の奴らはもうちょっと抵抗してくれたぜ」

 「う、うるさいわね……誰が、あなたなんかに……!」

 「そうそう、その意気だ。もっとちゃんと抵抗しろよ。でないとつまんねぇ」

 

 舌だけを使っていたジュリが、包皮を剥かれたクリトリスを舐め始めると同時、指を使って膣をいじり始める。足を押さえていた手を離しての行動ではあったが、今の脱力し切った暁雨では逃げ出すことも難しいのだろう。床に背を預けたまま動かないままだ。

 今の彼女はただされるがままに股を弄られるばかり。なんとか逃げようと身じろぎするものの、せいぜい出来てそれだけだ。

 だから無防備な彼女の秘所へと、ジュリの指が無遠慮に差しこまれ、リズムよく出し入れを繰り返される。時折指を曲げて引っ掻くように刺激したり、時には指を増やして二本挿入したりと、巧みな技術が見せつけられるようだった。

 経験のない暁雨はこれだけでさらに体の自由を失くしていき、果ては動けなくなったまま喘ぐばかりの状態になっていった。それでも心が折れていないからこそ、いまだに屈服していないからこそジュリは楽しそうに笑っているのだが。

 

 「あーあー、こんなにだらだら垂れ流しちゃって。あたしの指が気持ちいいんだ? それともクリの方が気持ちいい?」

 「うぅ、気持ちよく、ない……!」

 「嘘つくなよ。あたしの指がもうびちょびちょなんだぜ? 気持ちよくて仕方ねぇんだろうが――ハハハッ、発情期の犬の方が今のあんたよりマシだろうなァ」

 

 ジュリの言葉の一つ一つが、暁雨の精神をガリガリと削る。同時に体を駆け抜ける痺れるような感覚が、彼女の平静を崩していく。

 愛しい男を想い浮かべて、何度も自慰をしていた体だ。すでに快感というものを知っている。だが他人の手によって与えられるそれは彼女にとって初体験のため、抗いきれないことを知ったのは今日が初めてのことだったのだ。

 ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が立つ中で、暁雨はだんだんと限界に近付いて行く。その感覚は彼女にもわかった。絶頂するのはもう時間の問題だ。

 そして最後の瞬間を迎えようとしたその時、与えられていた刺激がぱたりとなくなる。ジュリがするりと体を離し、彼女を見下ろすように立っていたせいで。

 

 「――え?」

 

 咄嗟に、暁雨は口に両手を当てる。先程漏れた声が信じられないとでも言うかのように。

 だが解放されたその瞬間に漏れ出た声はしっかりとジュリに聞かれていたようだ。彼女は腰に手を当てて暁雨を見下ろし、上半身を傾けて胸を揺らしながら、にやけた笑みで問いかける。非常にサディスティックに見える楽しそうな笑みだった。

 

 「あれー、どうしたのかな? まさかイケると思ったのにイケなかったから物足りなくなっちゃった? やめろって言うからせっかくやめてやったのにさぁ、これじゃ言ってることが違うんじゃねぇの?」

 「なっ、くっ――あなたは……!」

 「忘れんなよ、まだ勝負の途中だろうが。決着は拳でつけようぜ――それともやっぱり、今すぐこの場であたしに抱かれたい?」

 「……ッ!」

 

 目の色を変えてキッとジュリを睨んだ暁雨はすぐさま立ちあがり、再び構えを取って拳を握る。それを見てから、ゆっくりとジュリも構えを取った。

 しかしその後も、結果は同じ。暁雨が繰り出す攻撃はすべてするりと避けられ、ジュリの攻撃はすべて急所に決まって、裸の細身を蹴り飛ばされる。そして無様に倒れた後は、またジュリに体を弄ばれ、絶頂する寸前で解放される。

 終わることの許されない、拷問にも等しい遊戯だった。暁雨は実力でジュリに負けているせいで彼女に勝つこともできず、かといって仁の安否がわからないせいで逃げ出すこともできず、ジュリに向かい合うしかない。ただジュリのおもちゃにされるしかないのだ。

 何度蹴られ、何度膣内に指を突っ込まれたかわからない。そして何度絶頂の淵まで連れて行かれて、そこから先をお預けされたのかも。

 時間が立つにつれ、行為が重ねられるにつれて、暁雨の精神力は衰弱していった。立ちあがる意思はそのままなのに、体が言うことを聞かなくなってきて、ついには立ちあがることさえ難しくなる。

 その時ようやく、ゼロが動き出す。ジュリに誘われて前に出た彼は今も肉棒を固くそそり立たせていて、一歩を踏み出す度にぶるんと揺らしている。

 全裸の彼が目の前に立ったその時も、暁雨は強い意思を伺わせる目を変えず、しかし疲労で動けない。ゼロは彼女の顔の前で、見せつけるように肉棒を扱いた。

 

 「さぁ、メインディッシュの時間だ。イキすぎて気をやんなよ、中華娘」

 

 ジュリが見ているその前で、ゼロが暁雨に覆いかぶさる。二人の股間がぴたりと触れた。

 亀頭がぐっと膣の入口に力を入れた瞬間、ゼロの顔を睨んでいた暁雨は絞り出すような声で告げる。

 

 「やっぱり――あなたたちは最低よ」

 「ああ――自覚はある」

 

 そしてずぶりと、いきり立つ肉棒が挿入された。濡れそぼった蜜壺は固くなったそれをいとも簡単に呑みこみ、これまでの我慢が加わったことで内部がうねうねと勝手に動き出す。嫌がる彼女の意思とは裏腹に、待ち望んでいた物を与えられて喜ぶかのように。

 彼女本人も途方もない快感と絶頂を感じているはずなのだが、ぐっと歯を食いしばって声を洩らさないように必死に我慢する。これまでの屈辱がそうさせているのだ。その上、愛しい男以外に処女を渡したとあったのでは、反抗心を生むのも当然のこと。

 しかしゼロは暁雨の状態も気にせず、腰の律動を開始する。腰が前後に動く度、熱い肉棒が前後に出入りして、暁雨の膣内を抉っていく。彼女はそれを必死に我慢した。

 声に出さずにはいられないほどの凄まじい感覚に、全身を駆け抜ける強烈な幸福感。気付けば暁雨は自分の意思とは無関係に、甘えるような喘ぎ声を発していた。

 

 「うっ、くっ――うぁぁんっ」

 「クククッ、気持ちよさそうだな。早くもハマっちまったのかな?」

 

 ずるずるとカリ首が内壁に引っ掛かり、ひだが吸いつくように淫らに動く。長時間に渡って行われたジュリのゲームのせいで、初めてとは思えない動きである。

 その感触に満足したのか、ゼロは小さな声でぽつりと呟く。腰がぶつかる音に混じって聞こえるそれは、暁雨にしか聞こえないような声量だった。

 

 「いいぞ。これならすぐにイケそうだ」

 「ふぁぁっ、あぁっ、はぁぁっ」

 

 膣の感触を楽しむ余裕があるゼロと違い、すでに限界が近い暁雨は憎まれ口を叩くことすらできていない。イキそうでイケない、その状態でゼロに突かれている。否、もはや自分がイッているのかどうかすらわからない状態なのだ。

 ただ途方もない快感だけを感じていたことだけは確かだ。そのまま、ゼロの思うがままに膣内を荒らされ、胸を揉まれて、唇を吸われる。口内も舐められていないところがなかった。

 そうして押し倒されて散々に犯され、激しい腰遣いがより一層の速度に達した時、暁雨はぼんやりとした思考の中で終わりの時を察知する。口からは大きな喘ぎ声を発しながらも、ようやくこの時間が終わると認識していた。

 イキっぱなしで突かれ続けた彼女はすでにひどいレベルまで疲弊している。そしてようやく、ゼロは射精を始めた。

 一滴もこぼさないようにと一番奥に亀頭を押しつけ、膣内に精液を放っていった。

 

 「あぁ……あぁぁ……」

 

 最後の最後に、頭が真っ白になった暁雨はくらりと頭を振った。もはや正気を保っていることすら難しい、極限状態にまで追い込まれている。

 しかし、それで終わりではなかった。まだ射精が続いていて、大量の精液が注ぎこまれているその最中に、再びゼロが激しく腰を振り始める。あまりの衝撃に困惑した暁雨は目を見開き、動物のような悲鳴を上げながら絶句して、彼の体にしがみついた。

 もはや何かの感情を抱いている暇もない。心を壊されそうになっている今はただ、死にたくない一心で彼にしがみつくだけなのだ。

 

 「ひぎぃぃッ!? イッた、もうイッたからッ……もう、もう許してぇぇ!」

 「クックック……アッハッハッハッハ!! 良い声で鳴くじゃねぇか! 最初ッからそうしとけばいいんだよ、雌豚ァ!」

 

 ぐちゃぐちゃと、もはや何の液体が混じっているのかもわからない、ひどい状態にある股をぶつけ合い、更なる快楽を貪る二人。その姿は傍から見ていれば異常としか思えない姿だった。

 しかしすぐ傍で二人を見守るジュリは自らの膣を指で掻きまわしながらも、幸せそうに頬を赤らめて笑っている。敢えて時間をかけてゲームをしていた時よりもよっぽどいい表情だ。

 ジュリに見守られながらの性交はさらに激しさを増していき、広い建物の中には淫らな音と暁雨の喘ぎ声、そしてジュリの甲高い笑い声が響き渡る。

 

 「いやぁぁぁ、イクっ、またイッちゃうぅぅッ!?」

 「アハハハッ、イケよ! 好きな男のことなんざ忘れてイッちまえッ!」

 

 三人による淫らな宴はまだ終わらず、その後数時間に渡って続けられた性交により、涙を流し続けた少女の精神はだんだんと壊されていった。

 ゼロとジュリは、こうして味方となる女たちを増やしているのだ。

 

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